月別アーカイブ: 2013年12月

三宅信太郎展 「Sitting on a Chair,Eating Bread 」

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独特の世界観を持つ作家、三宅信太郎の個展がヒカリエの小山登美夫ギャラリーで開催された。初日には作家本人がギャラリー内の壁に壁画を延々と描き続けるライブドローイングのパフォーマンスもあったが、彼がどのようにしてあのクネクネした独自の線の絵を描くのか直に垣間見れてとても興味深かった。今回のテーマはパン屋さん?作家もライブドローイングのパフォーマンスはパン屋さんの恰好で臨んでいたのでパン屋の気持ちで制作した作品なのだろう。もしくはパンへのオマージュなのかも?しかし、彼の場合はどういうテーマにしてもその独自の世界は全く変わらず揺るぎない。彼のライブドローイングの様子を見ていると完全に絵を描く世界に入り込んで無心に描いているのがよく分かる。そして、彼の絵に必ず登場する子供の絵のようなキャラクターやそのクネクネした線も彼の中から自然に溢れ出るものだというのが良く理解出来た。彼には他にまね出来ない彼だけの世界とそれを表す強烈な絵がある。色彩感覚もとても独特でなんというか懐かしいような不思議な色合いを描ける珍しい作家のような気がする。今回はドローイングやペインティング以外にもパン屋さんのナイフのオブジェや巨大なサンドウィッチのオブジェなども展示されているが、テーマに沿って展示を考えて表したい世界観を完結させる工夫を作家としてきちんと成し遂げている。好きな人と好きでない人に別れるような絵かもしれないが自分は結構好きなタイプの絵である。でも、値段が高くなったので買えはしないけど、これからも気にしながら創作の推移を見守って行きたい作家の1人だ。

黒田泰蔵展

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陶芸作家の黒田泰蔵氏の展覧会が六本木のhiromiyoshiiにて開催されている。ギャラリー内にはこの展覧会の為に特別に設えられた木のテーブルが整然と並ぶ。テーブルの下には黒い石が敷き詰められて和の趣を醸し出している。テーブルの上には黒田氏が全身全霊を傾けて創作した真っ白の陶器が静かに置かれている。繊細であるが大胆、美しい白の質感は普遍的な美を表すかのようだ。シンプルなフォームがまっすぐに伝わって来る力強くて迷いのない造形美には感嘆させられる。2階にも照明を落とした中に陶器が浮かび上がるような展示があって素晴らしかった。限りなく純粋な白という世界で造形を浮かび上がらせる黒田氏の陶芸の世界は厳しく、儚い、だが、何よりも物としての卓越した存在感が素晴らしい陶芸作品だと思う。

DAVID SALLE

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1980年代、ニューヨークのアートの世界にはユニークなペインターが続々登場した。ジャン・ミッシェル・バスキア、エリック・フィッシェル、ジュリアン・シュナーベル、フランチェスコ・クレメンテ…それぞれが独自に痛烈なイメージを描き出して次々と話題を提供した。ギャラリーもソノベンやリオ・キャステリといった老舗ギャラリーに加えて、メアリー・ブーンやガゴジアンといった若くて勢いのあるギャラリーが台頭して来た。そんな中で現れたアーティストの1人がデヴィッド・サーレだった。メアリー・ブーンギャラリーで彼の絵を最初に見た時、今まで見た事のないような独特な絵を見たような衝撃を受けたのを今でも覚えている。異質なイメージの融合、イメージの上にイメージを重ねる違和感など視覚的な刺激が巧妙に施されたそれらの絵画はペインター全盛期のアートの世界でも特に勢いがあり、輝いて見えた。写真をキャンバスに投影して描かれたようなリアルなイメージが様々な手法と共にひとつの画面で完結している。しかし、完結しているようでいるにもかかわらず、その絵が持つ不安定なイメージの世界ゆえに次の不安定な絵へと見る者を無理矢理に移行させざる得ないような不思議な感覚を抱かせる。もしかしたら描いていたサーレ自身が描いては不安定さを増して次を描かなくてはならない衝動に駆られて次々に作品を生み出して行った経緯が見る側に伝わったのかもしれない。いずれにせよ、サーレの絵は大きななにかの断片のように終わりのないイメージ世界を表現し続けるといった印象があった。その後、彼の絵は勢いを失い、しぼむように力をなくして弱い絵になってしまったが、少なくともピーク時の彼の絵には得体の知れない力が宿っていたと思う。きっと、彼の才能は彼にも意味が分からないようなイメージの不完全な断片を描けた事であり、彼自身がそこに意味を求め始めたとたんに面白みのない絵しか描けなくなってしまったのかもしれない。いずれにせよ、サーレはあの時代のニューヨークが生み出した希有なペインターの1人だと思う。