月別アーカイブ: 2014年1月

笠井爾示 MUSCOVITE

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去年伊勢丹で開催したフォトグラファーズトウキョウという企画は婦人服の売り場にプロのフォトグラファーが陣取りお客様の写真を撮るという斬新な企画だった。その昔、カメラがまだ一般的に普及していない時代には街に写真館が沢山あって記念写真などはプロに撮ってもらうのが普通だったが、今やプロの写真家に写真を撮ってもらうというような機会は少なくなった。そんなせいなのか最初は照れのある人も多かったが、最後には素敵な写真を撮ってもらえてとても喜んでいただけた。その企画に参加を願ったフォトグラファーの1人、笠井爾示氏の展覧会が代官山のギャラリーにて開催された。モスクワなどで撮影された女優、真木ようこさんの写真展だ。モスクワの風景写真も折り込まれ30点に及ぶ作品が展示された。笠井さんは普段とてもシャイな感じの方なのだが、撮影に入ると被写体にのめり込んで撮影するのでフォトグラファーズトウキョウの時にそのギャップを見てとても驚いた。でも、普段は内向的に見えるけど、いざ制作が始まると全面に乗り出してのめり込むように被写体に没頭するというのはアーティストにはよくある、そして理想的な姿なのかもしれない。笠井さんの写真は一言で言えばとてもクール。たえず直球で、被写体の内面を最短距離で見事に捉える事が出来る才能を持ったフォトグラファーだと思う。写真家にとって、被写体が人であれ風景であれそのものとの距離感のようなものが大切な気がするが笠井さんは絶妙な距離感で接近する事が出来るフォトグラファーなのだ。モスクワの街も真木ようこさんも今まで見た事のない表情で見事に捉えられているのが分かる。今後も笠井さんは彼にしか撮れない写真を極めて行くに違いないし、それを見続けるのは楽しみでもある。

佐藤翠展「Fascinated Times」

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佐藤翠さんの個展を渋谷ヒカリエにある小山登美夫ギャラリーに見に行った。昨年、伊勢丹新宿店で彼女の作品の展示とその期間中にデパートの一角で公開制作、いわゆるライブペインティングのイベントを頼んだ経緯がある。その後、彼女はイギリスに半年ほど留学したので久々に個展でご本人と再会した。今回の絵はイギリスで描いたものも多く、大きなキャンヴァスに描いた絵をその後に枠組みから外しロール状に丸めて持ち帰ったそうだ。彼女の絵のモチーフはクローゼットだったり奇麗な壁紙やカーペット、花やハイヒールなど女性身の回りにあるようなものを題材に取り上げる。作品はいずれもカラフルであるがその色彩感覚は独特で、どの作品にも共通するのはパステルのような淡い色と派手な色の組み合わせの絶妙なバランスの美しさだと思う。色彩感覚というのは誰かに教えられたり学校で学んで身につける類のものではなく作家自身の才能というか、感性の現れだと思っているが、彼女も実に独特な色彩世界を持っている。そして、これは以前にライブペインティングをしている制作風景を見て思ったのだが、一見すると具象的な彼女の絵の正体は実は非常に抽象的な絵画の描き方やアプローチで制作された抽象画なのである。絵の具の垂れを絶妙に利用して描き進んだり、荒々しいブラシストロークを多用したり。遠く離れて見るとクローゼットに整然と並ぶ洋服の絵のように見える作品も近くで見ると過激なまでに抽象的なアプローチで描かれた作品となっている。そのギャップがとても面白くて抽象画の新たな姿を形成しつつあるような予感さえ感じる。2013年に若手作家の登竜門であるBOCA展に於いて大原美術館賞を受賞した将来が楽しみな作家さんだが、ご本人はお洒落が大好きな現代女性でもあり、その自由な雰囲気が作品にも躍動する生命力のように宿っていると感じた。今年はもう一つ大きな個展も控えているということで今後も更に見続けたい作家さんである。

ヒロ杉山(第2回)「ヒロさんのコレクション」

日本と海外のアートマーケット

田辺:僕もONE SIZE GALLERYの時に、ONE SIZEではちっちゃい方にしたんですけど、まあ、幾つか、可能性を考えた時に、おっきいのはあのぐらいが限界かなと、あれ以上になるとちょっと。

ヒロ:そうなんですよね。

田辺:気軽に買えない大きさかなと。

ヒロ:やっぱり、飾るってこと考えると、皆そんなに住宅事情的にね、いい壁を持っているわけでもないし。

田辺:釘とか出来ないじゃないですか。

ヒロ:ですよね。

田辺:だから、そういうのもね、辛いですね。

ヒロ:そう、やっぱり、つまんないところですよね。

田辺:ピクチャーレールで吊るすっていうの僕はあんまり好きじゃないんです。

ヒロ:僕も嫌です。

田辺:線が出ちゃうし。

ヒロ:そうなんですよ。

田辺:アートを飾りたいって人には恵まれた環境ではないというか。 海外に行くと絶対にアートって、家具のひとつというか、必要不可欠みたいな物っていう役割なんですけど、日本だとなんかちょっと、敷居が高いというか。 そういう存在なのはちょっとおかしいですよね。

ヒロ:そう、だから僕いつも言うんですけどOLが20万のルイヴィトンは買うけど20万の絵なんて買わないじゃないですか!

田辺:絶対買わないですね。

ヒロ:だから、その辺の感覚がやっぱり日本にアートマーケットがないっていう寂しい状況のひとつになりますね。

田辺:この話は本当に深い話になっちゃいますけど、日本のアートマーケットっていうのが凄く特殊で、ビジネスとしてこうきちっと確立されてこなかった。 あと、世界基準から取り残されちゃったとか、色々あると思うんですけど、もう少し、例えば、まあ、投資として買えるみたいな側面とかがしっかりしてたり、あと税金の問題とかがフォローされてればもっと違うと思うんですけど。

ヒロ:そうですね。

田辺:本当にその問題って大きいですよね。 あと、たぶん日本人って宗教もキリスト教も何も全部いいじゃないみたいな、わりとなんか、アートも別に特別じゃないというか、なんか、マンガがカルチャーになったりとか、西洋のアートを壁に飾って拝むではないけど、特別にするみたいな感覚がわりとないのかなあとか思ったりして。。。感覚の中に。。。

ヒロ:でも、なんか、江戸時代の浮世絵的な?あれも版画だと思うんですけど、あれを町人が買って、で、やっぱりあれを家に飾ってたと思うんですけど、あの感覚とか、床の間に掛け軸を掛ける感覚とかあったはずなんですけど。

田辺:そうですね。

ヒロ:たぶん、戦争に負けて(笑)贅沢だってことになって排除されて行ったのか、たぶんああいう文化がそのまま残ってればアートマーケットっていうのが現代にも残ってたんじゃないかって気がするんですけどね。

田辺:たぶん、あとなんか、そういうお金持ちの人はやっぱアート買ってるんだと思うんですけど、なんか、こう、画壇のお墨付きみたいのとか、なにかちょっと違う世界?一般、例えば僕らとか若者達っていうのはそういう趣味はないみたいな感じで、だからそこでたぶんヒロさんも今回Neo Silkっていうのをやられたと思うんですけど。 僕も本当に、やっぱアートを飾るとなんか部屋が締まるし、部屋を自分の好みのインテリアでやるっていうのもそうですけど、なんか良い事だと思うんですよね、 だからちょっと広めたいなと。

ヒロ:そう、だからさっきの最初の話に戻りますけど、その、ジム・ダインの版画を買った時に、その、あんな版画でもエディション30とか40だとすると、世界に40枚しかない物のひとつを持ってるという贅沢な気持ちとか、なんかそういうワクワクした気持を、もっと一般の人に感じてもらえたら、なんか、もう世の中にマスのようにある有名ブランドのハンドバッグ1個持つよりどんだけ贅沢な気持ちを味わえるのかと。

田辺:そうですよね。 なんか、3年前の震災直後のART FAIR TOKYOの時に完売ブースとか出てて、その時まだミサ・シンさんって方がディレクターだったんだけれど、話をしたら、なんか完売ブースも出ちゃって、こんな震災もあって景気も良くないのにって話してたら、やっぱりなんかある部分の人達は言われたようにヴィトンのバッグに何十万出すよりもオリジナルの物1点で自分が価値を認めた物に払う動きが出て来たのかななんて言っていたんですけど、まだ、それはART FAIR TOKYOに来るような人達であって、一般的にはなかなか。でも、Neo Silkみたいに、3万円とかのプライスレンジだったら若い子もポスターを飾る感覚を本物のアートのエディションでって出来ますもんね。

ヒロ:そうなんです、あと、僕が思うのは日本人って自分で価値判断が出来ない人種なんじゃないかなって。 だから僕、よく海外のアートフェアに出品してパリのFIACとかは自分も出品してて、で、初日はVIPのレセプションなんですよ。 でも2日目から一般の人も入って来て。 一般の人のアートフェアに来る人口って凄いんですけど。 で、面白いのは、おじいちゃんとかおばあちゃんまで来るんですよ。

田辺:へぇ~

ヒロ:で、ずーっとゆっくり絵を見ながら、で、この作家はどういう作家なの?とか、質問しながら。 日本から来てる無名の作家でも気に入って自分の予算に合えば買って行くんですよね。

田辺:素敵ですよね~

ヒロ:そう、だから自分で好き嫌い良い悪いを判断して、それが別に有名だとかそうじゃないとか関係なく。 日本人ってそれが出来ない。

田辺:そうですね、なんか、お墨付きが欲しいんですよね。

ヒロ:そう!ただもうブランディングされた物は買うけど、自分で価値を見出してそこにお金を投資するってことがなかなか出来ない。

田辺:本当に良いお金の使い方だし贅沢な生活だと思いますけどね。 やっぱり海外は、僕もアートフェア行ったりしますけど、本当にいろんな人が来ていて、興味持ちますよね。 あと、ヨーロッパはアートに対するリスペクトみたいなのが凄くあって、あと、アーティストとかにも。 でも、日本って絵を描いてるとかっていうとなんか道楽者みたいに思われちゃう。

ヒロ:そうですよね。

田辺:なんかこう、ちゃんとした市民権を得た職業と認められていない!みたいな。

ヒロ:そうなんですよ、ヨーロッパ行くとアーティストはやっぱちゃんとした職業だし。 で、やっぱり向こうの絵を買う人は、絵もそうなんだけどアーティストに興味を持つ。

田辺:そうなんですね。

ヒロ:どういう作家なのかとか凄い質問されるし。

田辺:何かこうサポートするみたいな、パトロンの精神なのかもしれないですね。

ヒロ:あとなんか、例えば鞄や時計や車は自慢出来るじゃないですか、外へ持って行って。 でも、絵は外へ持って行って自慢出来ないから。

田辺:なるほどね。

ヒロ:で、海外って意外とホームパーティーが沢山あるから、家に呼んだ時にどういう絵が飾ってあったかっていうのがその人のステータスになるし、その、絵について1時間2時間語り出すじゃないですか。

田辺:語りますね~

ヒロ:日本はやっぱそういうのがないから、自慢出来ないっていうのがひとつありますね。

田辺:本当、外国行くと絵を褒めますもんね。 で、なんか最近買ったんだとか、この作家はこういう人でとか言って自慢しますよね。

ヒロ:そう、で、どういう作家を持っているかでその人の趣味趣向が分かったりね。

田辺:でも、まあ、そういう現状ではありますけど少しづつNeo Silkであったりとか、やり続けるしかないってことですね。

ヒロ:だから僕が最初にジム・ダインを買ったのがキッカケで、そういう、絵をコレクションするのが好きになったように、なんか、その一個のキッカケになったら良いかなと思って、金額を下げた企画をやったりしてるんですよね。

田辺:大事な事だと思います、やっぱりまず1枚、ひとつの作品を買って、で、なんかこう、家でひとり酒でも飲みながらニヤニヤしているっていう。

ヒロ:そうそう!(笑)

田辺:そういうの贅沢ですよね。

ヒロ:なんか、彼女が来た時に、これ良いねとか言われて、もうちょっといい気になって、で、二枚目を買うとか。 で、今は3万円でも3年後にはお給料が上がっていて次は15万円とかでも買えるかもしれないし。 そうやってちっちゃいけどもアートマーケットができる事が、僕は日本の若手の人が育つモチベーションになると思っていて。

田辺:僕もそう思います、やっぱりだから凄く才能がファインアートへじゃなくて、ま、それはまあゲームとかのカルチャーを上げたのかもしれないけど、ファインアートの世界ってなんかスポってないというか、凄く数が少ないじゃないですか。

ヒロ:そうですね。

田辺:だから、ギャラリーも頑張ってるギャラリーとかいますけど、まだまだ足りないし、なんかニューヨークに住んでいた時にアーティストが「俺はニューヨークで有名なアーティストになって大金持ちになってやる!」みたいな夢を持てた訳ですよ。 で、実際アートが売れるとがっぽがっぽ金が入って来るし、まあ、バスキアとかそうですけど、なんかそういう画家は貧乏にちがいないみたいな日本とは180度違う感覚っていうのを覚えていて、凄い違いますよね。

ヒロ:可能性が普通にありますからね。

田辺:ですよね、で、お金が入ればもっともっと大きな作品とか大きな構想の作品とか出来るから、才能をより使い切るっていうか、新しい事に使い切る? そういうなんか、土壌っていうか。

ヒロ:あと、ニューヨークとか行くと、こう、なんだろう、趣味の違うコレクターが沢山いるから、向こうのギャラリーで凄くダサそうなギャラリーでも、誰がこんな絵買うんだろうって絵でも売れてたりするじゃないですか。

田辺:あれも凄いですよね!

ヒロ:そう!やっぱ、こういうのも買う人がいるから成立してるんだな~っておもいますね。

田辺:裾野が広いですね~本当に。 あのチェルシーなんかも、まあ、有名ギャラリーは1階とかの目立つところにありますけど、あのビルの中の、なんかもう、線3本くらいみたいな絵ばっかりのギャラリーの、これ誰買うんだろう!?みたいなのもあるし。

ヒロ:ありますね~ でも、成立してるんですからね、それでも。

KAWSと作品を交換

田辺:いや、本当に凄いですよね。 まあ、日本は現状、村上さんでも奈良さんでもやっぱり海外に出て行ってしまうってことで。 本当に若手を応援するためにもアートが日常に根付いたものになるようなことはして行った方が良いですよね。 さて、話は長くなってしまうので、ここでアートを!

ヒロ:あ、これですね。

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田辺:あ、KAWS!

ヒロ:KAWSの初期の頃の、バスの広告をKAWSはその、盗んで来て、それにペイントしてまたバスのショーケースの中に戻すっていうのをやっていて、まあ、グラフィティーの基本というか、公共の物に描くっていう、今のKAWSは全然違うところに行っちゃいましたけど。 これは買ったんじゃなくて、KAWSと絵の作品交換したんですよ。

田辺:あ~そうなんですか!

ヒロ:ええ。

田辺:で、これを選んだ?

ヒロ:僕がちょうど展覧会やるんで準備してる時に、KAWSが遊びにきて、で、1個、KAWSが気に入った絵があって、これ買いたいんだけどって言って、いいよ~って。でも、買うんだったらアーティスト同士だしなんか交換しようよって言って、で、KAWSはこれを送って来てくれて。

田辺:なるほど。これ、何年前くらいですか?

ヒロ:これはね、何年だろ?2000。。。この作品自体は何年か分からないですけど、交換したのは2003年とか。。

田辺:あ~10年くらい前。 これは描いたんですか?

ヒロ:そうなんですよ。

田辺:へぇ~なんか、しっくり来てるから分かんないです。

ヒロ:分かんないですよね。

田辺:分かんないですよね、アクリルかなんかで描いてんのかな? 分かりました、これは凄いわ! で、額は自分で入れたんですか?

ヒロ:そうです。 もう筒に丸めて送って来ましたからね。

田辺:マジっすか!?

ヒロ:ははは

田辺:凄いっすね。 でも、KAWSテクニック凄いですね。

ヒロ:そうですね。 ディズニーにいたんですよね。

田辺:あ、そうなんですか!

ヒロ:うん、ディズニーのアニメーション部門にいて絵を描いていたそうですよ。 だから、器用だし、仕事が細かいから。。 この絵もさっきの話じゃないですが、額が重いんで、こういう普通のマンションの壁じゃダメですね。

田辺:日本は地震あったりもしますし。

ヒロ:ですよね。

田辺:でも、こういう本棚みたいのがあると、いっぱい絵を飾れるから良いですよね。

ヒロ:そうですよね。

田辺:分かりました!今日は面白いお話しと貴重なコレクションを見せていただいてありがとうございました!

ヒロ:ありがとうございました。

→ ヒロさんインタビュー前半「コレクションはお好きですか?最初の印象深いコレクションは?」はこちら!

ヒロ杉山(第1回)「コレクションはお好きですか?最初の印象深いコレクションは?」

印象深いコレクションは?

田辺:今日はよろしくお願いします!

ヒロ:よろしくお願いします。

田辺:ヒロさんの場合は、ご自分でもアートを作るし、見るし、企画もするしっていう、まあ、アートと非常に近いところにいる生活をしていると思うんですけど。
コレクションするとかはお好きですか?

ヒロ:好きですね~大好きです。

田辺:最初の印象深いコレクションは?

ヒロ:最初は、ジム・ダインのシルクスクリーンを青山のギャラリー360°っていうところで買ったので。
僕はまだ20~何歳だったかな?20代半ばくらいかな?
まだ湯村輝彦さんの事務所でアシスタントしている時ですね。

田辺:湯村さん、はいはい、あのヘタウマの!

ヒロ:そうそう、で、まだお給料が十何万の時ですけど、その時で3~4万のシルクスクリーンだったのかな。

田辺:結構なお値段!

ヒロ:そうなんですよ!
ドキドキしながら買いましたけどね。

田辺:ジム・ダインはハートですか?

ヒロ:いや、ハートじゃなかったですね、その時のは。
絵柄ちょっと覚えてないんですけど(笑)

田辺:もう持ってないんですか?

ヒロ:持ってます!
ただ、しまっちゃってるんですよ。

田辺:何に惹かれたんですか?

ヒロ:なんか、ポップアート大好きだったんで、アンディー・ウォーホール、リキテンシュタインから入って、当時ポップアートに僕は凄い影響を受けていて。

田辺:ローゼンクエストとか?

ヒロ:そうそう、僕ローゼンクエスト大好きだったんですけど。
その時の、作品を買えるなんて思ってもみなかったんですよ、自分が!
まあ、版画ですけども、でも、そういう本当の人の作品を買うっていう、所有するっていうことがもう!
もしかしたらジム・ダインじゃなくても良かったのかもしれない(笑)

田辺:その、買うっていう行為?

ヒロ:そう!

田辺:その行為がもうエキサイティングな!

ヒロ:もうずっと本で見ていた有名なアーティストの作品、シルクでもそうなんですけど、それをなんか自分が買えるっていうことが。
お金の値段ってことよりもそれを買える機会があるってこと自体がね、なんか、ドキドキしましたね。

田辺:額入で買ったんですか?

ヒロ:いや、その時はもうシートで。

田辺:シートで?
で、自分で額に入れて。

ヒロ:それ、額に入れてないです。

田辺:あ、そうなんですか?

ヒロ:そのまま、マップケースに入れてます。

田辺:あ、そうですか。
で、それが最初で、でも、20代半ばでって早いですね、コレクターとしては。

ヒロ:そうですね、それを機にちょこちょこ、こう、お金を貯めては買いましたね。

田辺:なんか、印象深いのってあります?

ヒロ:ローレンス・ウィナーっていう文字の作家がいるんですけど、その人の、まあ、ポスター的な作品なんですけど、そういうものとか。 あとは、なんだろう、リキテンシュタインのポスター?あの頃はやはりポスターが多かったですね、値段的にも1万2万で買えて。 ポップアート関係の人が多かったですかね。

田辺:グラフィックとかはあまり?

ヒロ:興味なかったですね。
あと、オールデンバーグ!

田辺:クレス・オールデンバーグ。

ヒロ:そうですね、オールデンバーグのダンボールを切り抜いたミッキーマウスの形のマルティプルスがあるんですけど、それを買ったりとか。
それもだから当時で4~5万したのかな。

田辺:どこでお買いになるんですか?ギャラリー?

ヒロ:ギャラリー360°っていうところが神宮前にあったんですよ。

田辺:表参道じゃなくて?

ヒロ:ええ、その前に。
オーナーの根本さんと仲良くて、いつも遊びに行っていて、で、洋書買ったりとか。
すると、「こんなの入ったよ~」とか言って版画を見せてくれるんですよ。

田辺:なるほどね、それは買いたくなっちゃいますよね。

ヒロ:そう!(笑)
そこが、きっかけですかね。

コレクションのポリシー

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田辺:うーん、様々なアートを買って来たと思うんですけど、今一番、ま、今回は1点、この逸品を出していただくんですけど、それは最後にとっておくとして、なんか、ポリシーみたいな?

ヒロ:ポリシー?作品を買うにあたって?

田辺:そうですね。

ヒロ:ポリシー。。。そうですね、一番は、やっぱりこう、無名、有名を問わず、心を動かされたかってところにありますね、値段も関係なく。
無名の作家のでも自分が心動かされたなら買うっていうのもその条件にも入りますよね。 あとは、価格的に買えるのかとかも条件に出て来ますけど。

田辺:やっぱりエディションとかの方が買い易い。

ヒロ:あとは、昔は結構おっきい、といっても1メートルとか1メートル50ぐらいの版画とかも買ってたんですけど、だんだんもう、飾れないってことが分かって来て。

田辺:それはフミヤも言ってました!

ヒロ:住宅事情的に。
なので、今はもう、だんだんちっちゃい方に行ってますね。

田辺:なるほど、小さい作品。

ヒロ:ちっちゃいキャンバスだったりとか。

田辺:あーキャンバスとかもお買いになる?

ヒロ:ええ。
あと、写真もたまに買うんですけど、写真はどうも自分の中では買わないようにしている。

田辺:買わないように?
なぜですか?

ヒロ:写真買い出すと大変だから、切りがなくて。(笑)

田辺:切りがない!

ヒロ:あと、保管が難しいんで、湿気とか。
写真の方がエディションもあるし、大きさ的にも手頃なのあるんですけど。

田辺:そうですね、あと、なんか、マーケットも確立して来たというか。

ヒロ:そうですね。

田辺:この20年くらいでね、アートとしての価値も上がりましたよ。

ヒロ:ね!でも、写真も昔に比べて凄く高くなって来て。

田辺:そうですよね、本当に!
ちょうどTOKYO PHOTOやってましたけど、ああいうとこのは高いんだろうなと思って見てましたけど。
もう、見た事のあるような写真が並んでいたので。。。

ヒロ:写真はちょっと僕の中では値段が上がり過ぎてるんじゃないかなって、キャンバスみたいなタブローに比べて。

田辺:出力のものとか、どこまで耐えられるのか分かんないですよね、100年経ってないですからね。

ヒロ:そうですね。

田辺:消えてなくなちゃったらどうするんでしょうね?

ヒロ:ポラロイドのウォーホールのとかは結構色が抜けちゃってるっていいますね。

田辺:そうですね、抜けると思いますよ、やっぱり、薬品ですからね。
で、今AMANAでしたっけ、ゼラチンとかプラチナみたいなの復刻させてますけど、なんていうんですか、こう、コレクタブルな物としての価値っていう方向へ行ってる動きもある感じですよね。

ヒロ:うん、そうですね。

田辺:余りにも全てがマスで簡単に、もう、家でデジタルプリントが出来ちゃうような時代になっちゃったんで、そういう特別感というか、そういうのを逆に見直すというような感じになって来たのかな。

ヒロ:そうかもしれないですね。
写真の良さっていうのはやっぱりエディションが20とか30あって、版画と同じように価格が抑えられているってところが魅力的だったと思うんですけど、それがもう全然凄い値段したりしますから。

田辺:それを言ったらアートも、この間、なんでしたっけ、バスキアでしたっけポロックでしたっけ、何十億でしたっけ?
もう、ちょっとアートマーケットも行くところまでいっちゃってるというか、普通の人じゃ考えられないような金額ですよね。

ヒロ:そうなんですよ、だから僕もギャラリーに所属して、ヨーロッパとかアメリカ行って展覧会して相手にしてるのはそういうお金持ちの人じゃないですか。

田辺:パトロンみたいなね。

ヒロ:で、それはそれでひとつあるんですけど、僕が最近感じているのは、もう少しこう、変な言い方ですけど、一般の人達に普通にアートを楽しんでもらいたい。
それで始めたのがNeo Silkなんですけど、やっぱり版画であって、とにかく価格を下げて、多くの人に自宅にあうアートを飾る楽しみを伝えたいなっていう思いがあってやってるんですよね。

田辺:賛同いたします!
大きさも、あれはちょうどいい大きさですよね。

ヒロ:そうですね。

→ 第2回「ヒロさんのコレクション」はこちら!