月別アーカイブ: 2014年3月

フライド幽霊とボイルド空想

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清澄にあるシュウゴアーツにて金氏徹平の最新個展を見る。人気のある作家なので高額な物も含めて既にいくつかの作品は売れていた。マンガの背景エフェクト の絵みたいな平面作品がギャラリーの壁いっぱいに沢山展示してあるほか、様々な形と手法で作り上げられたオブジェ、木の板に描かれた絵を複雑にくり抜き再 構築したような彫刻作品など多彩な作品がギャラリーのいたるところに展開されていた。白いセメントのような液体で満たされた色とりどりのプラスチックケー スやバケツが重厚なオブジェ作品になっていたり、フィギュアなどにも白い液体がドロッとかけられてオブジェ化している。日常的な物が非日常的な物に変化させられてアート作品として息吹を吹き込まれる。そんな不思議な感じがする作品だ。不確かさが興味の対象とのことだが、確かに得体の知れないなにかという印象の作品達である。9月にはシンガポール滞在期間中に製作した80点にも及ぶ作品の展示もあるそうだが、多産な制作活動には創作への意欲やアーティストとしてのエネルギーの強さを感じる。今後、世界中で注目される作家になる予感をさせる展覧会だった。

アートフェア東京2014

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3月7日からの3日間の週末に東京国際フォーラムにてアートフェア東京2014が開催された。このアートフェア東京には毎年行っているが年々規模が大きくなっているような気がする。今年は三越や西武などの百貨店もブース出展していて出展者が幅広くなっていたのも興味深い。日本を中心に、アジアやその他の国から出展された様々なギャラリーブースで会場は埋め尽くされているが、海外のアートフェアに比べると正直言って規模はまだまだ小さい感じがする。でも、列が出来るほど来場者もあるらしく認知度は確実にアップして来ているようだ。いわゆる骨董屋さんからギャラリーまで、見て回ると色々な美術を商売にしている人が沢山いるのだと分かり改めて驚かされる。骨董品などはなんでも鑑定団ではないけどそういった目で見てしまったりして楽しいが、本物の美術品や骨董品が見れる機会としては貴重なのかもしれない。アートも様々な種類のギャラリーなどが出展しているが、ミズマアートギャラリーや大田ファインアーツ、小山登夫、ヒロミヨシイ、山本現代、児玉画廊、アラタニウラノ、ナンズカなどなど現代アートを扱うギャラリーのほとんどが出展している。普段はそれぞれのギャラリーに行かなくてはならないのだがこうして一堂に揃っていると見易いし出展ブースが決して広くはないのでアートをすぐ近くで見ることが出来るのも魅力だ。今年は六本木アートナイトや横浜トリエンナーレなどアートの祭典が幾つかあるので楽しみだが、こうした「実際にアートを見る機会」が増えることは素晴らしいと思うし、出来るだけ長く続けて欲しいと願うのみである。

ignore your perspective 23 Analysis of Empathy

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ignore your perspective 23
Analysis of Empathy

 松嶋由香利/盛井咲良

児玉画廊でシリーズ化されて開催されているグループ展、「ignore your perspective」が今回もまた開催された。「ignore your perspective 23」と題された今回の展覧会は松嶋由香利と盛井咲良という2人の女性作家の作品展だ。松嶋由香利さんは以前に個展も見たことがある画家でカラフルかつポップともいえるような画面構成が印象的で、いつも何かが散りばめられていたり、色の組み合わせを変化させて画面を作るような独特のスタイルがある。一方の盛井咲良さんは初めて見たのだが色とりどりで形の違う沢山のプラスチックチップのような物を使って不思議なオブジェを作っている。絵と組み合わさった作品だったり大きなインスタレーション装置のような作品も印象的だ。最近の傾向なのか女性作家の意欲的な作品を以前よりも目にする機会が増えた気がする。海外ではルイス・ブルジョアに代表されるように女性の性を意識した作家が昔から多くいるが日本にも女性作家といえば草間彌生!というだけじゃなく、こうした若い女性作家が増えて来ているというのはとても喜ばしいことだと思う。女性作家の方が身体的な感覚を表現に取り入れる場合が多いと思うのだが、この2人の作家もどこかそういったなにか女性独特の感受性に基づいた身体的要因が制作の源に横たわっているような気がしてならない。ともあれ、こういった新しい試みのグループ展は興味深いし、今後も児玉画廊の「ignore your perspective」はとても楽しみだ。

LICHTENSTEIN

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20代の頃、戦闘機が空中で撃破される瞬間の一コマを描いたロイ・リキテンシュタインによる絵のポスターを部屋に飾っていた。今考えるとおかしいが、ポスターをわざわざ額に入れて飾っていたのだ。でも、それを見るたびにポップアートな雰囲気に浸れるし、なんだか部屋全体が急にモダンでお洒落な感じになったような気がして凄く気に入っていた。その後、ポスターは引っ越した時にでも処分してしまったのかもう手元にないが、あの頃のウキウキした気分だけは今も心の片隅に残っている。ポップアートの作家は数しれずいて、巨匠といわれる作家も多い。ウォーホルやジャスパー・ジョーンズ、ラウシェンバーグ、ローゼンクエストなど、全ての作家が偉大な足跡を残してアメリカンポップアートの一時代を築いた。そんな中でも僕はリキテンシュタインが大好きでこの本も20代の時に購入した記憶がある。アメリカンコミックの一コマをキャンバスに描きつつ、コミックの持つ均一なドットの並びやシャープな線を独自の表現方法として取り入れ、それを貫き、唯一無二のアートの表現として昇華させていった偉大な作家だと思う。アメリカンコミックから影響を受けた大胆でシャープな線やフラットな表現手法はリキテンシュタインのトレードマーク的な描き方となったが、彼はアメリカンコミック的な題材から様々な他の題材へと描く対象を変えては次々に彼独特の世界観で表現して行った。風景も描いたし抽象画や他の巨匠達の絵も彼のタッチで描き、新たな作品として作り上げた。ドットは印刷されたように正確に並び、線はあくまでシャープにはっきりと描かれ、点や線、または色が混ざり合ったりしているような曖昧な部分はない。でも、画面はとても豊かで様々な工夫によって実に見応えある絵として成立している。昔ニューヨークに住んでいた頃、リキテンシュタインのアトリエがソーホーに近いノーホーのラファイエットストリートにあったのだが、ロフトビルの1階入り口のボタンの脇にLICHTENSTEINという文字があってその前を通る度にちょっとドキドキしながら近寄ってみては「このビルの中であれらの絵は描かれているんだろうなあ」なんて思ったのを覚えている。まるで職人のように忠実に真面目に自分の選んだ表現手法で様々な絵を描いた偉大な作家はきっとそのロフトビルのアトリエでコツコツと日々偉大なアートを描いていたに違いない。

谷口真人 Untitled

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谷口真人の新作展を見た。1982年生まれの作家は80年代90年代という時代に多感な時期を過ごしたに違いない。80~90年代といえば、日本でアニメ文化やサブカルチャーなる言葉が流行り始めた時代だ。彼の作品は実に不思議で、こういった形態の作品を今まで他に見たことがない。作品自体は絵の裏側が表に露出し、裏にある絵自体は鏡に映った姿でしか認識出来ないように作られている。そのイメージはアニメやアイドルに象徴されるような少女の姿だ。どことなくアニメのセル画を彷彿とさせるが、この作品は表に出ている絵の裏側と作品の奥の鏡に映った絵の裏側に存在する絵の表側の全てが一体となってひとつの作品として成立する。真正面から見るとぐちやっとした絵の具の固まりしか見ることは出来ないが、横に視点をずらして奥の鏡を見ると、そこに少女の姿が現れるといった仕掛けになっている。もちろんそれら全てを含めて作品なのだが、敢えて少女の姿が認識できる絵の部分を作品とするならこの作品は鏡で見ることしか出来ない絵の裏面にだけ存在しているのだ。それはどこか封印されたような趣があって、少女の絵とそれを映し出す鏡のわずかな隙間にのみ彼女が存在している儚さのようなものが感じられる。アジアでも評判がいい作品と聞いたがアニメ世代の作家がそのイメージをアートという文脈の中でからくり箱に納めて見せたような作品に共感を抱く人が多いのかもしれない。ひとつ物足りなかったのは展覧会のタイトルがUntitledだったことで、まあ、作家の意図があるのだとは思うのだが、タイトルなどがあった方が見る側には作家の展覧会への意図や作品に対するより具体的なイメージの先の広がりが共有出来ることもあるので、もしもタイトル的な物や名前などがあったならもっと思いが広がったのではないかと感じた。いずれにせよ、独特な方法と画法で表された作品からは、イメージとそれが存在することとはいったい何かといったような根源的な疑問への控えめなようでいて強い投げかけを感じた。

エレクトリカルパレードで満足したことは一度もない Chim ↑Pom/篠山紀信Leslie Kee,他

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渋谷駅構内にある岡本太郎の壁画に原発事故の絵を足して話題になりメディアにも度々登場することが多くなったアーティスト集団Chim↑Pom。彼らは非常識で過激な表現や反逆的なアーティスト活動を続けて来た。そのChim↑Pomの唯一の女性メンバーでありChim↑Pomといったら彼女という感じになっているのがエリイだが、そのエリイがつい先頃めでたく結婚をした。お相手はアーティストなどではなく新宿のホスト だというのにも少々驚いたが結婚をデモと化して新宿の街を練り歩くパフォーマンス?を行ったのにはもっと驚かされた。いつも奇想天外な発想と独自の表現世 界を貫いて来た作家だけに自らの人生もサプライズの連続だ。警官隊が先導する中、エリーと旦那様、そして彼女達の友人知人がプラカードを掲げて新宿の街を闊歩し、街中で熱い抱擁とキスを見せつけてくれた。その様子を記録するのは篠山紀信氏とレスリーキーというから記録係も豪華な顔ぶれだった。hiromi yoshii roppongiギャラリーではデモ直後にその記録を公表する展示を行ったが、今回それに続いて「エレクトリカルパレードで満足したことは一度もない」と題した展示を行った。エリイの1st写真集出版記念イベントも開催されたこの展示ではギャラリー2階にはデモの様子やデモに使ったプラカードなどを織り交ぜたインスタレーション、ギャラリー1階は壁を破壊してくり抜いた展示や壁一面を埋め尽くすような展示が繰り広げられた。いつものことだが、Chim ↑Pomらしい過激な表現方法とその独自な世界観は見るものの意表をつき驚かせる。しかし、写真作品やその他の作品の一つ一つは非常に洗練されたテクニックと表現方法で制作されていてアーティストとしてのChim↑Pomの制作作品のクオリティーの高さや完成度は素晴らしかった。これからも様々な方法で我々を驚かせ続けてくれるであろうChim↑Pomに今後も更に注目したい。

CHINA DIARY

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誰でもいいから好きな画家になれるとしたらどの画家になりたい?なんて考えてみる。やっぱりピカソ?でも、女性問題で大変そうだ。ゴッホは気が狂ってしまう。ウォホールはSTUDIO54とかファクトリーとかとにかく楽しそう!でも、社交界に疲れしてしまうかも?そう考えるとアーティストって皆それぞれに激しく過激な人生を送る宿命なのかもしれない。そんな中、なんとなく丁度良いチョイスかもしれないなんて思わせる何かがデビッド・ホックニーにはある気がする。温和な感じ?感じたままを素直に絵に表現して淡々と暮らしているような雰囲気?全て勝手な想像だけど、とにかくホックニーの絵を見ていると和むし平和な気持ちになれるのだ。そんなホックニーが中国を訪れた際に描いたドローイングや水彩画を集めた画集が「チャイナダイアリー」である。画像では紹介していないが本には様々な文章の他に沢山の写真も掲載されている。そして、それらと共にホックニーの見たチャイナの風景や出会った人々がまるで旅行日記のように紹介されている。中国の水墨画に影響されたような薄い濃淡の水彩画はしかしながら凄くカラフルでホックニーらしい色合い。人々を細部まで細かく描写したスケッチやドローイングも彼らしい豊かな線の表現で見ていてとても楽しい。なんというか、イギリス人独特のお洒落のセンスを感じるし、アーティストとして感じたままを素直な色や線で表現するという簡単そうでいて難しい事もなんなくこなしてしまうような凄さを感じる。最初の個展で作品を完売させたという伝説を持つ画家、デビッド・ホックニー。このチャイナダイアリーはもしも彼みたいに見た物を素直に、そして鋭く絵によって表現することが自由自在に出来たらきっと旅行するのも楽しいんだろうなあと思いながら眺めて和んだ気分に浸れる画集なのである。