月別アーカイブ: 2014年5月

ignore your perspective 24

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児玉画廊にてシリーズとなっているグループ展、ignore your perspectiveが開催された。ignore your perspective24となる今回のテーマは油画考#1「コンセプト、イメージ、画材のコンジャンクション」となっている。大槻英世、清水信幸、杉本圭介、関口正宏浩、森下明音の5名の作家による絵画という手法でのそれぞれ異なった作品が展開された。大槻英世は今回始めての展示とのことだが一見するとマスキングテープで壁にとめられたただのうす紙のようだが実はテープの部分はアクリル絵の具で描かれているというトリックのような作品だ。繊細で儚い感じのする作品であった。清水信幸の作品はカラフルな絵の具の固まりがゴツゴツとキャンバスの上でひしめき合っている立体ともとれる作品。前から見たり横から見たりすると作品の印象が変わって見えて面白い。杉本圭介は平面、立体、パフォーマンスなど多岐に渡る活動をしている作家とのことだが、塗り重ねられたキャンバスに彫刻刀でグリッドを彫り込むという非常にシンプルだが深みのある作品を制作している。絵の具が乾燥するにしたがって予期せぬ細かなひび割れの線が現れるのが面白い。関口正宏浩の作品は絵の具を塗るのではなくまるで絵の具をガラスで挟んで抽象画を製作している感じだが、額の中でガラスにしわつきながら挟まれた色彩と形が偶然的で独特な味わいを出している。森下明音は絵画を「記憶している感覚を可視化する行為」と認識しているそうだがどことなく夢の中の一コマのようなイメージとはっとするような美しい色彩が魅力的な作品でとても気に入った。毎回のように繰り返しているが同じテーマで数人の作家が異なったアプローチで作品を作り出すというこのグループ展の趣向はいつも面白く、今後も楽しみな限りである。

森田恭通(第1回)インテリアとアートの話

インテリアに於けるアート

田辺:今日はありがとうございます。

森田:はい、よろしくお願いします。

田辺:このコーナーはゲストの方それぞれにアートコレクションをお持ちいただき拝見しながらいろんなお話しを伺っていくコーナーで、今までフミヤとか本木とかにも出てもらって来たんですけど、今回は森田さんなのでインテリアとアートというお話しを気楽に出来たら良いかなと思っていて。。。

森田:はい、はい、はい。

田辺:あの~インテリアに於けるアートの役割っていうんですか?
そういうのは森田さんはどういう風にお考えですか?

森田:うん、あの~僕自身はそのインテリアの仕事をさせて戴く時に、最初からアートありきで入らないことが多いんですけど、でも昔はそうだったんですけど、なぜか最近は、なぜかって言うのもおかしいんですけど、アーティストの友人が増えたこともあって、彼らの作品ありきでやるプロジェクトもあったりして、で、最新だと大阪に作ったバーがあるんだけど、それはもう完全にアートメインで作ったバーで、で、メルビン・スクロスキーって写真家、1960年代にハーパースバザーとかでガンガンやってて、で、今もまだご健在ですけど。

田辺:え、もう一度。なんて名前ですか?

森田:メルビン・スクロスキー。

田辺:メルビン・スクロスキー!?

森田:そうそう、で、彼の写真を使ったり。で、よく仕事でやる奴にシュナーベル・エフェクツっているんですよ。笑

田辺:ははは

森田:日本人なんですけど、その、表の本の絵とか。。。

田辺:はい、はい、はい、はい。
あ、なるほどね、ヴィジョネアのなんだろうなって思ってました。

森田:あれは、彼が僕のアトリエに来て、僕と、あと、ギャップの藤本さんと、もうひとり誰かのお家に行って、それぞれの書棚を撮って「その人の頭の中」ってタイトルで作品にして、で、僕のとこにはヴィジョネアがあったのであれを並べて撮った。

田辺:で、それをシルクにおこして!

森田:シルクにおこして。。。

田辺:シュナーベル・エフェクツ!?

森田:シュナーベル・エフェクツ!笑

田辺:ははは!おかしいっすね!?爆笑

森田:おかしいでしょ!?
だけど、なんでシュナーベル・エフェクツなんだって?
そしたら、ジュリアン・シュナーベルが好きなんですって!

田辺:あー!

森田:他になんかあったんじゃないかなって。
まあ、僕らは面倒くさいから佐竹!って呼んでるんですけど!

田辺:わははは!爆笑
ですよね~長いもの!

森田:ジュリアン・シュナーベルって、長いし、知ってるし。
有名過ぎるその人!笑
怒られるよ!?みたいな。
まあだから、そういうの、佐竹君とか、あとこないだ、その店のトイレの中にもアートが必要だって。
トイレってひとりになる空間だから。。

田辺:はいはい。

森田:だからその時こうぱっと、雰囲気に醒めない程度になにかウイットに富んだことがやりたいと思って。
で、こないだあのいっぱいメールで送った中に凄いアーティストの手に入った奴があるって言ってやったら実はうちの猫の描いたアートだったっていう。。

田辺:え~ははは!爆笑
あれはなに?猫に?

森田:猫にiPadで、そういうゲームがあって。。

田辺:あ~iPadで!?

森田:そう、iPadでそういうゲームがあって、ネズミがね、画面に出るのを猫が手でこうパンパンってやったら、ああいう絵になる。

田辺:あ~ああなるんだ!

森田:で、やっと手に入った、これ本当に手に入らないからって言って、で、それを言って工事中に僕は海外に行っちゃったんで、それから1ヶ月位して僕もやっとそのオーナーに会って、本当に凄いアートをありがとうございますって言われて。。あれ?言ってなかったっけ?って、言って。。笑

田辺:ばらしたの!?

森田:ばらしたの!

田辺:どうでしたリアクションは?

森田:いやもう感動しましたね!
逆に本物のアートをその店内にいっぱい入れているから誰も疑わないんですって!

田辺:なるほどね~

森田:で、その~アートの概念ってなんだろうって思って、猫がやったものでもアートだし、まあ、有名なデミアンみたいなああいうのもアートだし、まあ、ゴッホもアートだろうし。

田辺:幅広いですよね~

森田:だから、アートの定義ってインテリアの中ではその、有名無名関係無しにその雰囲気をより盛り上げてくれるもの!

田辺:うんうん、なるほどね。

森田:が、まあ、アートなのかなと。

田辺:なるほどね。

森田:その、何もない空間っていうのも、それ自体がひとつのアートかもしれないけど、でもその、アートありきでやるプロジェクトっていうのは、まあ、1967もそうだけど、なんかこう、まわりの友人達も面白い人達もいるし、いろんな世界中の知り合いのアーティストにここでだったらちょっと協力してよ~って雰囲気ですよね。そういうプロジェクトが増えて来ましたよね。

田辺:そうすると、シンプルな引き算の美もありますけど足し算というか、アートを入れることによってその場所の個性もより出て来たり。。。なんか、こう上がる?空間になるっていうのが商業なんかだと多いってことですね。

森田:そう、上がる!
だからたぶん同じこときっと感じてらっしゃると思うけど、この10年くらいでアートに対する一般の人達の、エンドユーザーっていうとおかしいけど、一般の人のアートに対する認識はだいぶボトムアップして来た。

田辺:なるほどね。

森田:そういう気がしますね。

田辺:そうですよね。

森田:インテリアもそうなんですよ、インテリアも家にはお金かけないとか、家には手が回らないって言ってた人も逆に若い子なんか車は買えないんで家具は良いの買いますとかね、なんか、お金の使い方も変わって来たのかなって。

田辺:なるほどね~

森田:だから若い子達もアートをやっぱり買ってたりするじゃないですか。

田辺:はいはい。

森田:それはだから投資って意味じゃなくて。
自分の気分が家で盛り上がるっていうのが、その~ひとつのね。。。

森田さんの好きなアート

田辺:じゃあ、自宅にも森田さんはアートをいっぱい飾ってらっしゃると思うんですが、お家でのアートってのはまた商業とは違うってことですか?

森田:違うこともありますよねー。

田辺:でも、森田さんの賛美眼っていうか、見てると、もちろんその派手なものとかありますけど、色っぽいもの好きですよね。

森田:やっぱりそれはもう、多いですね。
だからマイアミで一緒に見ても買う奴はやっぱりそっち系になる。。

田辺:そうですよね!

森田:別に裸が好きな訳じゃなくて、アートが好きなんです!って、何度も言うんですけど。
でも、どっちにしてもそういう色気っていうのがやっぱり、良いよね!

田辺:そうですよね。

森田:こないだマーク・ラグランジェルの大判のやつも。。この人の。。

田辺:お~

森田:この人の写真をこないだ大判で買ったんですけど。。

田辺:へえ~素晴らしいですね。。

森田:この人は全部もう。。

田辺:ファッションなんですか?

森田:うん、ファッションが多いよね、でも、全部脱いでんのこの人のは、ね!

田辺:マーク?

森田:マーク・ラグランジェル。

田辺:あ、凄い!

森田:これなんかファッション。。。だからもともと僕はインテリアに入る前はファッションが好きで、ファッション雑誌が教科書みたいなものだったんで、インテリアを考える時に。。。だからこういった写真が多いですよね、どうしても。。。

田辺:そうですよね、よく買いますよね、こういう感じの作品。。。

森田:この人なんかもよく買いますよね。。

田辺:へぇ~グイド・アルジェンティーニ!?
良いですね~この写真も凄く。。
こういうのはどういう風に探すんですか?

森田:あのね~探すっていうか基本的に出会うのはアートフェア行ったり。。

田辺:あ、アートフェアね。。

森田:アートフェアいったり、例えばファッション誌のカメラマンとかだったりするんで、あとカルロは、ピンナップガールの作品を僕使うんですが、彼なんかはロンドンのカフェに飾ってあったのを見て。。。

田辺:見て!?

森田:見て、で、連絡して、で、直接連絡取るようになった。

田辺:それ、なんていう人ですか?
カルロ?

森田:カルロ・ピェンナーリ。その、彼もファッションフォトグラファーなんですけど、アートとして現代のモデルをピンナップガールにしたりとか。

田辺:なるほど、へぇ~。
1967にありますよね!?
1967はなんとなく部屋ごとに色々あって。。。

森田:そうそう!一番最近だと、これはサーチギャラリーで買ったの。

田辺:あー、ロンドンの!?
誰なんですか?

森田:マーク・クヮン。

田辺:マーク・クヮン。
面白いですよね、これ。

森田:これねえ~ケイト・モスがヨガしてるやつなんですけど。。

田辺:アートフェアとか行くとチャック・クロスとかのケイト・モスなんかもよくありますけど、あれは変な話、肖像権とか大丈夫なんですかね?

森田:いや、どうしてんだろうなって思って。。。

田辺:前にマイケル・トンプソンがセレブ撮ってるのは1枚あげるって言ってましたけどね。

森田:あ、1枚あげるってことね。。。

田辺:うん、それぞれなんだろうけど。。。まあ、いろんな人がセレブを撮るんで。。でも、ケイト・モスくらいになるとそこでガアガア言わないのかもしれないですけど、アートにされるってことがちょっとこう。。。

森田:なんか、もの凄い巨大な彫刻が出来てたんですよね、これの。

田辺:なんか、見たことあるような気がする。。。

森田:3メートルか4メートルくらいの!

田辺:マジですか!?

森田:あの、ベニスの美術館の前に両腕のないもの凄いでかい銅像があるんですよ。
同じ人なんです。

田辺:あ!そうですか。
3メートル、これだ。それは迫力あるなあ。
なんかKAWSがこの間、木の奴作って。。。

森田:あれ、凄いね!

田辺:あれも写真で見たけど凄いことしますね。

森田:そもそものスケールが凄いよね!

田辺:そうですよね、僕も前からアーティスト達の方々と話をしていて、日本のアートっていうのが世界基準に乗って行かないじゃないですか。

森田:そうですね。

田辺:だからやっぱり世界基準に乗りたければアーティストが飛び出して行かなきゃいけないみたいな。。村上さんや奈良さんみたいに。

森田:うんうん。

田辺:で、ニューヨークとかだと俺はアーティストになって金儲けしてやるみたいなことを平然と皆言うでしょ。

森田:うんうん。

田辺:で、さっきのジュリアン・シュナーベルなんてもうすっごいお金持ちになっちゃって。。で、結局そうするとよりスケールの大きい作品が作れるっていう。
そういう流れっていうか、決してアートがきれいごとじゃなくビジネスとして?やっぱり、売れて、それが作家に還元されるっていう流れがもっとうまく出来ると作家が育つんだろうなって思うんですけどね。

森田:そうですね。
でも、あと税制の問題もありますよね。

田辺:あーそうですね。

森田:出たがらないです。
色んなことがこうつつかれるんじゃないかって。

田辺:そうですよね~

森田:ちゃんと買っててもそう思われちゃう。

田辺:税務署から連絡来たら怖いみたいな。

森田:なんだろう、アートが生活の一部になってなかったから、調べる人達も生活の一部じゃないでしょってなってしまう。
だから、海外とかだともう生活の一部じゃないですかアートは。

田辺:そうですね、完全に。

森田:だから日本は生活の一部にまだまだなり切れなかったんじゃないですか。

田辺:なるほどね。

森田:お殿様しかやっちゃいけない物だったんじゃないですか。

田辺:なるほどね、そうですよね。
でも、やっぱりその戦後、戦前?例えばその床の間があって掛け軸みたいな日本独特の文化もあったじゃないですか、それがだんだん今のお家とかはアート飾るところもなかったり、持ち家でなければ壁に釘打っちゃいけないっていう、こう、やりにくい状況が多いですよね。

森田:そう、で、住宅やる時にアートないなって思ってふっと困って、僕がよくやるのはテーブルを、あの、天板をガラスの天板にしてこう入れ替えれるようにしてあげるといつも好きな絵を見ながらいられる。

田辺:あーはいはい、なるほどね。

森田さんとコラボレーションするアーティスト

森田:僕も家でやってるんですけど、ちょうどこう90センチ角くらいのテーブルだとガラス乗せるとそれがそのままアートになっちゃう。

田辺:ギャラリーになっちゃう!

森田:ギャラリーになっちゃう。

田辺:このテーブルなんかも?

森田:これ倉科さんです。

田辺:あ、倉科さん!さすがですねぇ!

森田:あ、これは違って壁が倉科さんだった。
倉科さん、壁が空いてるんですけどって電話したんです。笑

森田さんオフィスにある倉科さんのアート

田辺:ははは、でも、素敵なハート形の?グローブ(地球儀)ですか。
でも、倉科さんも本当に職人ですよね。

森田:そうそう、倉科さんなんか特に僕のインテリアとアートの関わりが深い人ですよね。
フランフランも含めてそうでしたけど、やっぱり、あの人は本当のアーティスト魂持ってはる人なんで、だから、僕らもお頼みする時はちゃんとリスペクトしながらプロジェクトも選んでやらないと失礼にあたるかなと思うんですけど、こないだ倉科さんも一緒にやったんですよ、大阪!

田辺:あ、そうなんですか!

森田:個室2部屋を、今回は倉科さん相当悩んでたんですけど。。いつもじゃない感じお願いしますって言ったんですよ!

田辺:あ!そのアバウトさは。。。

森田:ははは、で、考えて。。考えて。。。で、最終的にいくつか上がったんですけど、う~んって言って、で、倉科さんあの、モザイクやってみませんかって言ったんですよ。

田辺:うんうんうん。

森田:モザイクで、モザイクで例えば誰もが知ってるようなニューヨークの景色とか、自由の女神とかあとは、フランスのパリのエッフェル塔とか、どう見てもださいアングルをですね、それを格好よく出来ませんか?って。

田辺:なるほど。

森田:で、やったら相当、それ奇麗に上がって来たんですけど、でも、さすが倉科さんだなって思ったのが、そこによーく目を凝らすと右の方にはたぶんモザイクで出来た僕が写り込んで来たりとか、モザイクって眼を凝らすと見えてくるんですね。

田辺:へぇ~

森田:で、色んなトリックをそこに入れてるんですよ。

田辺:なるほど!

森田:死にかけましたっていってましたけど!笑

田辺:それはその~1枚1枚スプレーで?

森田:スプレーで!

田辺:凄いですね~

森田:いや、凄いの出来ましたよ。

田辺:それはお互いに課題を出し合ってみたいな。。

森田:そうそう。新しい感じ。

田辺:あーなるほどね。

森田:だから出来たんですね。
倉科さんが昔よく言ってたのは倉科さんは2次元のものが多いのでなんとか3次元になれませんかねってことをよくやってましたね。

田辺:倉科さんも色んな物にね、3次元の物にもスプレーペイントしますけど。。本当に良くああいう緻密な作業やれんなあってくらいに凄いですよね。

森田:えー倉科さんは本当に良いですね、一緒にやってても。
あとは、佐竹君とか、、インテリアとアートっていうのはさっきも言ったけど上がるテンションっていうのもあるんですけど、逆にこう、そのプロジェクト自体を盛り上げるとか動かすくらいのパワーもあるじゃないですか?だから本当にフランフランの時なんか、あれは青山の旗艦店っていってもただの倉庫ですからね。

田辺:そうですよね~

森田:倉庫を木目を描いてもらっただけであれだけ凄い物になったから。。

田辺:そうですよね、あの木目のビルって皆言いましたもんね~

森田:でも、人によってはあのゼブラのビルなんて人も!笑

田辺:アバウトだな~笑
よく見て欲しい!!

森田:え、ゼブラ?笑

田辺:でも、あれもったいなかったですよね、でも、それが良いところでもあるのかな。。。

森田:うん、まあ、その儚さもそのひとつですよね。。

田辺:なんかあの下見的なこと、マイアミでヘリコプターで行った時にね、なんか、倉庫みたいなアイデアが。。。

森田:そう、あれマイアミで見たんですよ。

田辺:ですよね~ちょうど。。だからもう5年くらい前かもしれないですね。。。

森田:でも、何回くらい?4回くらい行きましたっけ?

田辺:いや~4~5回行ってますね。

森田:ねえ~痛風なのに行ったりね~

田辺:ははは、その話はやめましょう!
足ひきずりながら。。。なんて。。
今はもう大丈夫ですから。

森田:ははは、そうですか、そして薬局に消えて行ったみたいな。。。

この続き:「森田恭通(第2回)海外のアートの話」はこちら!

AMERICA ANDY WARHOL

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アンディー・ウォーホルによる写真と文章の本「AMERICA」を買ったのはまだNYに住んでいた頃だったからもう20年以上も以前のことだ。ウォーホルといえば誰でも知っている有名なポップアートを代表するアーティストである。つい最近まで六本木ヒルズで展覧会も開催されていたので多くの若者も20年以上前に他界したこのこの類い希な才能を持ったアーティストの片鱗を改めて知ることが出来たのではないだろうか。ウォーホルというアーティストはAMERICAが大好きだったのだと思う。UNITED STATES OF AMERICAというよりもAMERICAという漠然とした括りで捉えられる人々やカルチャーを愛していたのだ。ハリウッドセレブ、ロックミュージシャン、コカコーラ、キャンベルスープ、リッチもプアーも全てを含んだAMERICA的なものが大好きだったのだと思う。そして、それはそのまま彼の創作意欲に直結していて彼の崇拝するAMERICAを表現する作品を山のように作り上げたのだ。ウォーホルはシルクの作品に留まらず様々な手法のアートで表現を試みた。ムービーや写真なども彼の重要な表現手段だった。特に彼には収集癖的な気質もあり日々の生活で出会った人や行った場所を写真などで記録することを怠らなかった。六本木ヒルズで開催された展覧会でもこうした写真やタイムカプセルと称した彼の蒐集物の展示がありとても興味深かった。AMERICAに納められているのはそんなウォーホルが撮った写真の数々だが、毎日の生活を生涯写真で記録し続けた彼はこの本に収まり切らない数の写真を撮っていたに違いない。このAMERICAでは特に彼がこだわったいくつかのテーマで写真を編集して掲載している。そして、写真のボリュームと同じかそれ以上なのが彼の手記でそれは読んでいてとても面白い。彼の独特な物事への考え方が非常によく分かるし、繊細で頭脳明晰なアーティストの一面が理解出来る。ウォーホルはイラストレーター時代の作品を見れば明らかに素晴らしい腕前のアーティストであったが、その後、彼のファインアーティストとしての活躍はこの独自の明晰な考え方によって成り立ったのだという事実をAMERICAの写真を見ながら手記を読むと分かってくるのだ。また、AMERICAにはニューヨークにいた頃にクラブで見かけたダウンタウンのセレブリティーやその時代を代表するセレブ達が多数写真に収められていてそれらの人は見ていて懐かしい気持ちにさせてくれる。AMERICAを愛し、時代を愛したウォーホルは沢山の作品と記録された記憶を残した作家だった。