月別アーカイブ: 2014年8月

ignore your perspective 27 油画考#2「アンチ抒情の絵画考」

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白金の児玉画廊でまた僕の好きな恒例のグループ展が開催された。ignore your perspective 27ではペインターに「油画考」と題して特に絵画を掘り下げる試みの作品を集めた展覧会となっている。参加した作家は大久保 薫、梶原航平、坂川 守、髙石 晃、土屋裕央、中川トラヲの6名だ。一見すると何かを物語るかのように見えながらそうした抒情性とは距離を置く作品を製作するという視点で作家を選んだのだという。いつもながら見応えのあるグループ展だが特に絵画作品が好きな自分にとっては今回の展覧会は非常に興味深かった。作品自体もとても面白い作品が多くて良かったが、なんといってもほとんどの作家がまだ若い点が個人的には注目だった。日本の将来を担う若手が精力的に面白い作品を制作しているというのはワクワクするし、将来的には日本はもちろん世界に向けて作品を発表して行ってもらいたい。肉体をモチーフとした絵画を制作する大久保 薫は制作にはモデルを使わず雑誌やネットで拾った画像を元に制作するといういかにも今の世代的な制作方法をとっている。梶原航平は軽快な筆運びで瞬間的に掴んだイメージをキャンバスに投げつけるように描き印す。ボディービルダーのモチーフから皮膚や肉といった質感を描く絵画から始まり欠陥や神経、人形や玩具など様々なモチーフの質感を描いて来た坂川 守は独特で生々しい印象の作品を作り上げる。髙石 晃は2013年に個展もしているが不思議な夢の世界の風景のような作品を描くが実は最初に無造作にキャンバス上に描いた曲線から全てのイメージを展開するといった非常に記号的、考察的なプロセスで絵画を描く。今回初の展示となった土屋裕央は主に生死観をテーマに作品を制作する。意識が失われる瞬間、神話や天地創造など非常に感情的な場面を描くにもかかわらず彼のアプローチは感情的でも感傷的でもなくあくまで生死の境を見定める手段として絵画を使うといった感覚に溢れている。中川トラヲは以前に個展もやった僕がとても好きな作家のひとりで彼の溢れるような線と色と形の世界は全くもって魅力的だ。あくまで自由に、感情の赴くままに描きまくる彼のエネルギーは純粋で潔くて見ていて気持ちがいい。ギャラリー内に展示された様々な作品は作家が様々な方法で絵画を制作した過程の積み重なった結果としてのイメージでありそれは最終的な姿でもあればプロセスの延長にある姿でもある。そこに何をどう読み取るかは観るもの次第なのかもしれない。

三宅信太郎 The cards in the air !

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小山登美夫ギャラリーの作家である三宅信太郎の新作展が六本木ヒルズのA/Dギャラリーにて開催された。つい先頃には渋谷ヒカリエにある小山登美夫ギャラリーでも展覧会を開催したばかりだが今回も本人がギャラリー内にてライブドローイングをするという趣向は変わらず実に精力的な作家活動だと思う。三宅信太郎というアーティストは以前から独特な世界を持っていてそれは確固たるスタイルのように普遍的である。子供の描いたドローイングのような不思議な世界には必ずアーモンド形の横長の顔のキャラクター達が登場する。絵の描き出す世界やテーマは毎回のように変わってもこの登場キャラクターはいつも同じでしたがってどんな物語であろうと彼のおとぎ話はこれらのキャラクターの世界として完結する。いったい彼の頭の中はどうなっているのかなあといつも感嘆しながらその作品と作風を楽しませてもらう希有な作家だ。そして、この世界とキャラクター達の物語は彼の中から泉のごとくわき上がるのだろうか、ライブドローイングをする彼を見ているとなんのためらいも躊躇もなくすらすらと下書きなど無しでどんどん描き進むのである。描く本人は毎回そのテーマの中の人物のようなコスチュームに身を包み、完全にキャラクターになり切って描いているというのも特徴的だ。今回の展示作品のテーマはトランプのカードや中世の肖像画にあるようで大小さまざまな作品が会場の壁を埋めていた。色々な形の古い感じの額縁に入った肖像画のシリーズは大半が売れていて作家の人気振りが伺えた。彼はきっとこれからも様々なおとぎ話のような世界を彼のキャラクターが生きている様で描き続けるのだろう。

ignore your perspective 26 モノの流用、イメージの引用、その次 After Appropriation

 

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白金の児玉画廊で恒例のように企画されているグループ展ignore your perspective。26回目を迎える今回も意欲的な企画展だった。モノの流用、イメージの引用、その次「After Appropriation」と題されたこの展覧会には大谷透、大槻英世、國政聡志、竹村文宏の4名の作家が作品を展示した。モノの流用、イメージの引用は美術においてダダ、ネオ・ダダ、シミュレーショニズムなどを経て重要な思考と表現方法となっている。今回の展覧会ではそれぞれの作家がこの思考と表現方法を継承しつつも次の新たなる流れに向けた作品を制作している。大谷透はロゴマークやスタンプなどの規格されたアイコンに自らの落書きや色彩を加えて新たな絵画的表現の世界を作り上げている。大槻英世は以前にも注目した作家だがマスキングテープで貼り合わせたような繊細な作品を作るのだがマスキングテープはよく観察すると描かれた絵であるという驚くべきディティールのコラージュ的作品を作り出す。國政聡志ゴムバンドや洗濯バサミといった日常的に別の用途で使われる為に生まれた物を巧みに組み合わせて全く新しく奇抜なオブジェ的作品を完成させる。竹村文宏も以前から注目している作家のひとりだが彼はアクリル絵の具を立体的に盛り上げて小さな針金細工のようなオブジェを絵画の上に展開する作家だが、今回はその手法とは異なるが同じ考え方のルーツを持ったような絵画作品を出展していてこれは絞り出したアクリル絵の具をその後サンドペーパーで表面を削りイメージを浮き上がらせて作るオブジェのような絵画となっている。それぞれの作家が挑んだモノの流用、イメージの引用、そしてその次となる作品達。今回も実に見応えのある作品群だった。