月別アーカイブ: 2015年9月

SIDE CORE – TOKYO WALKMAN

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 六本木にあるhiromi yoshii galleryにて開催されているグループ展SIDE CORE -TOKYO WALKMANを見た。SIDE CORE はストリート感覚が表現の源泉にあるアート作品をキューレーションするキューレーター集団だ。そして、今回のテーマ、TOKYO WALKMANでは8人の気鋭作家を集めている。1979年に発売され全世界で大ヒットとなったSONYのWALKMANはポータブルメディアの先駆けとして我々の生活を変えるほどに衝撃的だった。今回の展覧会はそのWALKMANを展覧会のタイトルとしてポータブルメディアの都市空間における表現の拡張をテーマとしているという。8名のアーティストはそれぞれに個性的な作品を制作、展示している。入り口のすぐ横には仮設の階段があるがこれはEVERYDAY HOLIDAY SQUADというストリートアートユニットの作品だ。「自分達の居場所を新しく作る」というテーマで様々な試みをする彼らが東京の地下にある下水道内部に潜入した記録を映像や写真で見せている。会場の中央にひときわ目立っておかれた自転車のオブジェはNYで25年過ごしポストグラフィティー運動にも参加した後、今は東京を拠点に活動するMADSAKIの作品。NYでメッセンジャーをした経験のある彼はfixedという自転車を日本に紹介したが厳しい規制で取締にあった。そんな経験に対しての挑戦的な提案として今回はママチャリを改造してトールバイクを作って度肝を抜くのがこの作品の目的だ。その他にも1990年代のサンプリングミックスカルチャーを作品化するオーストラリア出身のMark Drewやフリークライマーとしての活動をアート作品化する菊地良太、ブレイクダンサーでもある小畑多丘、東京を代表するグラフィティーライターのTENGAone,SIDE COREのディレクターでもあり自身もアーティストの松下徹、ハッキングカルチャーに造詣の深いアーティストyang02など非常に多岐に渡って個性豊かな作家達がそれぞれに挑戦的、実験的な意欲作を展開している。1980年代前後から世界中で始まったストリートアートの感性は現在、そして未来へと都市の生活の中で様々な表現形態を見せながら進化して行く。TOKYO WALKMANはそんなカルチャーの流れを垣間みれる展覧会である。

渡辺いく子(第三回)コレクションを始めたキッカケやコレクションの作品の話。

池田衆作品との出会い

田辺:この絵との出会いは?

渡辺:あのね、凄く面白くって、3~4年前にツイッターにハマったムーブメントで、今はちょっとその人はやめてしまったんですけど、アートツアーっていうのがあったんですね。アート関係のツイッターをフォローしてて引っ掛かったんですけど。。
それは画廊とか小さいギャラリーを巡って行く?見も知らずの人が集まって、皆で画廊巡りをするんですよ!

田辺:へえ~

渡辺:で、ちょっとした簡単な説明とか、作者がいたりとか、色々な話を聞いて。
それがすっごく面白かったんですよ!

田辺:なるほど!

渡辺:その頃に牧ファインアーツは上野の方にあって、そこで出会ったのがこの作品で、もう一目惚れして、「私買うわ!」って言って、「本当に買うんですか?」って、「いや、買うから!」って言って。これがたぶん1枚目に買ったやつだと思う。

田辺:あーそうなんですか!

渡辺:これはでもね、彼の代表的な作品。

田辺:うん、素晴らしいですね!

渡辺:素晴らしいですよね!もうあまりの美しさに一目惚れをしてしまって、この人はお花のシリーズで美しいのが続くんですけど、その後はいろいろとランドスケープにいったりとか、あと、花火にいったりとか、いろいろ芸風はどんどん広がって行くんですけど、凄く奇麗じゃないですか!

田辺:奇麗ですね~

渡辺:で、これなんか家にあったらいいんじゃないかって思っちゃったんですよ!

田辺:なるほど!

渡辺:で、「買えますかって?」って。でもね、その時のアート巡りは本当に面白かったんですよ!

田辺:何カ所くらいのギャラリーを巡るんですか?

渡辺:5~6カ所?で、ちっちゃいじゃないですかギャラリーが!でも、あとはメインの大きいところも行ったりするんですけど、それに2回ぐらい参加して。本当にね、30代くらいとか40代くらいの女性とか男の人も皆1人で参加してて、見ず知らず同士でお昼食べて、帰りに一杯飲んで帰るみたいな?

田辺:へえ~

渡辺:素敵でしょ!?世の中にアート好きってこんなにいるんだな~って思って。もっと安いのもあってChim↑Pom(チムポム)のなんか、3万円くらいじゃないですか?だから皆買おうって思ったら買えちゃうんですよ!

田辺:ですよね~

渡辺:そうなんですよ、なので、まあピンキリの値段じゃないですか。私、その時は日本のアートシーン捨てたもんじゃないなあって思ったんですけど、なんか、その後色々あってそのツアーはなくなったんだか、私が拾えなくなっちゃったんですけど。

田辺:でも、まあ、そのツアーで出会った。

渡辺:出会ったんですよ~~

田辺:やっぱり、作品を見て素敵素敵っていうのも良いですけど、一番の評価は買うことですよね。

渡辺:そうなんですよ!今はいくらか知らないんですけど、その当時この作品が15万くらいだったんですよ、そしたらサンローランのバッグ1個くらいじゃないですか!

田辺:確かに!

渡辺:そんな風に、なんとなく、サンローランのバッグ1個分くらいでこれが買えるとしたら、バッグを年に2~3個買ってたのを1個減らせば毎年買えるんですよ!

田辺:でも、これはバッグと違って世界に1点しかないんですよね。

渡辺:そうなんですよね、まあ、サインは入ってないんですけど1点しかないんですよ。

田辺:いやいや、これはもう間違いなく。

渡辺:素晴らしいですよね!

田辺:これは切り絵?

池田衆のコレクション (渡辺いくこ)

渡辺:そうそう、それでそれをアクリルに圧迫してくっつけて。。で、写真も彼が撮ってるんですね。花の写真を撮ってるんですけど、更に彼の世界でもう一つの花が出来ちゃってるんですよ!

田辺:なるほど!そうですよね!二つ重なって、異なったものが融合してる?

渡辺:はい!重なってて異なったものが融合してるんです。

田辺:でもこれは裏がないってことは、自宅の白い壁にかけると日の角度で。。

渡辺:そうなんです!見え方が変わるんです。で、家は白い壁だったんでこれを買ったんですけど入ってくる光とか反射でまた違って見えるんですね。

田辺:なるほど!

渡辺:まあ、直射日光は入らないところにはしてるんですけど。

田辺:で、結局この作家さんの作品は今は5~6点は持ってる?

渡辺:あ、持ってますね。ちょっと大きいのもあるんですけど、たまに掛け軸のように掛け替えているんです。本当はこれをもっと白い壁の沢山ある無印の家に旦那の実家を建て替えようと、そうすると全面もうギャラリーみたいになって。。解放しちゃおうかな、お茶とか出して!笑

田辺:確かに!笑

渡辺:良くないですか?これ見れたら!で、彼はその後は大分長い間は裏の空いた作品を作っていたんですけど、やっぱりお家によってはダメということでこのランドスケープシリーズになってからは裏に白いの付けたんですね、だからこれは比較的最近、去年くらいの作品なんです。

田辺:でもこれも浮いてるから影が。。

渡辺:そうなんですよ、影が落ちてませんか?

田辺:ね、それがまた違う趣を与える。

渡辺:そう、どんどんね、この、カットするところが増えてるんですよ!

田辺:そうですね!

渡辺:最初よりは!

田辺:あ!こんなところ!凄いですね!

渡辺:凄いんですよ、本当に!これをね、買えるって、凄くないですか?

田辺:この作家が費やした努力と時間と。

渡辺:努力と時間というか、このセンスが1点もので手に入るって、オートクチュールで服作ってるようなもんですよね。

田辺:そうですね!

渡辺:なので、他の人が買わないならわたし買いま~す!って感じで。

田辺:いや、素晴らしいですね!

渡辺:なんか他の香港の人に負けたのもあるんですけどね。

田辺:でも、香港でも人気ってことはアジアでも有名?

渡辺:なんか、香港でも展示したらあっという間に売れたみたいですね。

田辺:今もこの方は個展とかやるんですか?

渡辺:個展までは。。。なんか、作るの大変らしくて。。。ちょっとその辺は牧さんに聞いてください。確か去年はニューヨークにも持って行ったのかな。どうなったのかな、その後ちょっとね、コンタクトが取れてなくて。牧さんに聞かないと、最近は画廊に行けてないんですけど、そろそろ買いあさりに行こうかなと。去年はね、森ビルの上のギャラリーあるじゃないですか?お金持ちの集まるところ。あの、ヒルズの上の方のアートギャラリー。

田辺:はいはい、ありますね!

渡辺:アートセンターのところの、レストランとかあって、そこでね、展示もあって作品を貸したりしたんですよ。

田辺:あ、そうなんですか!

渡辺:ほら、買い占めてるから!

田辺:はいはい!コレクターですもんね。

渡辺:そうそう、買えよ~みんな~凄い良いぞ~みたいな。笑

田辺:うん、素晴らしいですね~

渡辺:素晴らしいですよね~もっと持ってこいっていうならトランクルームからいくらでも持って来ますよ!笑

田辺:いえいえ、大変だからそれは良いですよ~もう、今回はこれで十分ですけど。。

渡辺:でも、見れば見るほど素晴らしくないですか?こういうところの残し方とかが!

田辺:なるほど、ここは残してるんですね?

渡辺:そう、そこは残してるんです。これよりも大きい隅田川シリーズっていう恐ろしいやつがあったんですけど、それはさすがに持って来れなかったので。。

田辺:それも持ってるんですか?

渡辺:はい、だから5点か6点くらい持ってるんです。

田辺:マジですか!

渡辺:はい。家かえって数えてみます!

田辺:分かりました、今日はありがとうございました!

渡辺:はい、ありがとうございました!

渡辺いく子さん第1回はこちら

渡辺いく子さん第2回はこちら

山本桂輔「むかしむかしむかし」

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渋谷ヒカリエで開催されている山本桂輔の個展「むかしむかしむかし」を見た。山本桂輔に関しては今までオブジェ的な作品しか見ていなかったのでこの展覧会では絵画作品も見れてとても興味深かった。彼のオブジェ的な作品は既存の見捨てられた物を拾って来てそれを再利用して作られることが多い。古い道具類の一部を削って人の形にしたり異なった道具と玩具をくっつけて新たな人の形のオブジェにする。こうして新しく命を吹き込められたオブジェ達は独特の存在感でたたずみこちらに向かって何かを訴えるかのような雰囲気を醸し出す。それまではただの見捨てられた道具や物だったのに人の形にすることで特異な存在感を持った作品として生まれ変わるのだ。絵画に関しては彼の想像のままに小鳥、草花、キノコ、妖精などのモチーフが溢れるファンタジーの世界が描かれているのだが色の塗り重ねや色彩感覚の鋭さには独自の才能を感じた。もともと彫刻をやっていたのだが、素材が重かったり削らなければならないなど物理的な制約が多い彫刻と比べて絵画の方は物理的な制約無しに自由に制作出来るのが違うように思うとアーティストトークで語っていたのが印象的だった。絵画に彫刻、オブジェに陶芸作品と幅広い創作手段を持つこの作家にはこれからも更なる活躍が期待出来そうだ。

絵画を抱きしめて Part2「絵画に包まれて」

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銀座の資生堂ギャラリーにて開催されている「絵画を抱きしめて」というグループショーを見た。女性アーティスト3人によるこの展覧会はPart1とPart2の2回の開催で展示内容が変わる。Part2は「絵画に包まれて」というタイトルで今回の写真はPart2の「絵画に包まれて」の展示からだ。Part1の「絵画を抱きしめて」も素晴らしい展示だったが今回のPart2「絵画に包まれて」もそれに劣らず素晴らしかった。メディアアートなど近年様々な表現手法が登場しているアートの世界において、今回の展覧会の趣向はあえて「絵画」という伝統的な表現手法を選んだ現代の女性作家を3人選んでいるのが面白い。阿部未奈子、佐藤翠、流麻二果の3人はそれぞれに絵画という枠組みの中で、しかしそれを制約とはせずにむしろ絵画の新たな可能性を示すような意欲的な作品を発表している。自由奔放に絵画的表現を突き詰めながら新しい絵画の在り方を模索する姿勢。これからもさらに楽しみな作家達であると思う。阿部未奈子はデジタル撮影した風景などのイメージを加工して歪ませそれをマスキングテープで絵画作品に再構築する。作品は巨大だが、ディテールが細かくて気の遠くなるような作業に違いないが、その結果は美しくて今まで見たこともないような斬新な作品になっている。佐藤翠は以前に伊勢丹の展示を頼んだこともある作家だが、彼女はクローゼットやハイヒール、アクセサリーなどの女性の身の回りのファッション系のモチーフを抽象的な作品に仕上げる気鋭の作家だ。今回は鏡面に描くという試みで作品の手前の床に光が反射する様や作品を飾る棚を鏡面にしている為に作品が棚に移り込むなど面白い展示となっている。流麻二果は今回初めて作品を見たが大胆な色使いと圧倒的な存在感の作品を描く作家でとても好きなタイプの作家だ。絵画という存在をキャンバスに留まらせずに縦横無尽に会場に散りばめるようなコンセプトは圧巻で、見るものにため息をつかせるほどに美しい。三人三様、しかしそれぞれが潜在的な絵画の持つパワーを思う存分に発揮した展覧会だと思う。