月別アーカイブ: 2015年10月

淺井裕介「絵はどこから来るんだろう?」

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白金のアラタニウラノギャラリーで淺井裕介の個展「絵はどこから来るんだろう?」を見た。ギャラリー中の壁面を使った展示は大胆であるが壁面や床など会場全体を作品のキャンバスに見立てて制作される彼独自の作風はすっかり定着した表現方法となった。以前に伊勢丹の2階の展示にも参加して頂いたがその時も絵は飾られた額におとなしくは納まらず、後の柱や壁面にまるで生きた触手のように伸びまくり壁面中に彼の絵が浸透してしまったような大胆な展示を繰り広げてくれた。当然だが彼自身が壁面の絵をその場で描く訳で伊勢丹の時も額を飾ってから回りの絵を描き始めて徹夜で完成させてくれた。今回のアラタニウラノの展示もキーとなる絵や立体作品を壁に配置し、それの回りを取り囲むように彼の不思議な絵の世界が展開するという有様だった。魔法の国にでも住んでいるような不思議な動物や草花、小人のような人や妖精のような存在など彼の描き出すイメージには際限がない。毎回のことだが、まさにこの展覧会のタイトル通り「これらの絵はいったいどこから来るのだろう?」と不思議になってしまうほどに圧倒的なイメージの量なのである。今回は黒い背景に白いチョークのような物でドローイングしているがカラーのセンスも独特だ。溢れ出るイメージ、溢れ出る色、彼の才能は独特であり作り上げるその世界は誰もが圧倒されるような淺井裕介ワールドである。これからもこちらの想定を覆すような精力的な展示を更に繰り広げてくれるに違いなくとても楽しみな作家である。

大野智史 “Beautiful Dreaming.”

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大野智史 の個展”Beautiful Dreaming.”を見た。彼はとても好きな画家で数年前に伊勢丹のリニューアルの際に売り場に展示する最初のアーティストにも選ばせて頂いた。その時は壁面のサイズに合わせてプリズム模様の横長の大作を描き下ろしてくださった。ギャラリーの白い壁の世界ではないコマーシャルな空間での展示をとても新鮮に感じてくださったようで伊勢丹での展示がその後の絵の表現にも変化を与える機会になったと聞いてとても嬉しく思っている。彼の作品はダイナミックに美しく具象的であると同時に抽象的だ。作品はキャンバスに描くという絵画技法で表現されるのだがそのイメージはデジタルな世界の物の見え方をも彷彿とさせる。驚くほどに細かいプリズムのイメージは美しさを放つ巨大な色彩の宝石の様に存在する。そして、ひとつのキャンバスにその細かなプリズム、具象的に描かれた植物とダイナミックな抽象表現が混ざり合う時、色彩と形と勢いのカオスの中で見たこともないような独特な絵画表現が展開する。抽象表現のパワーと冷静な写術表現が見事に融合して驚くほどの相乗効果で新たな絵画世界を作るのである。非常に感情的に描かれている一方でその表現テクニックは冷静で優れているのだ。ただ投げやりに乱暴ではないのだが計算され過ぎてもいない。ストロークの勢いやパワーを保ちつつ表現の限界に挑む絵画は圧巻である。彼の今後にも更に期待するとともにこの独自の絵画世界を貫いて欲しい。