月別アーカイブ: 2016年8月

時間と相対するということ

東急BUNKAMURAギャラリーで8月4日から14日まで友人の市村しげのが展覧会するのでレセプションにお邪魔した。市村しげの展「Time and Relativity-時間と相対」では彼の代表作のドット(点)を沢山描き込んだ作品や新作も展示されている。僕が彼と知り合ったのはかれこれ25年くらい前のニューヨークだ。当時のニューヨークはまだ今のように安全な街ではなくクラブカルチャーもまだ残っていたと思う。アートシーンもキースヘリングやバスキアなんかがスターになっ直後でアメリカのアート界がまだまだ輝いていた時代だったと記憶している。1997年、市村しげのは当時人気のアーティストだったスターンツインズが選考委員をするテキサスのアートコンペで入賞しアーティストとしてのキャリアをスタートさせた。その時に描いた作品は銀一色の絵画だが、それは絵というよりも幾何学模様のような不思議な作品だった。数えきれないほどのドット(点)を丹念に描き続けることによって生み出されるその作品はちょっと見たことのないインパクトを見るものに与える。そして彼はその修行か試練のような作風をずっと続けてきてるのだから感嘆する。一つづつのドット(点)は意味をなさないがそれが数えきれないほど沢山描かれ幾何学的な模様に配列されるとそこに美しい静寂の美が現れる。彼の作品にはそんな不思議なパワーがあるように思うが、それにしてもこの作風を貫き通すというのは相当な根性というか執念が必要だと思う。制作には時間だってかかるだろうし間違った配列や大きさのドット(点)を描いたら台無しになってしまうような繊細な作品には神経も使うはずである。展覧会のタイトルの「Time and Relativity-時間と相対」にはそういう作品が生まれるために作家がキャンバスに相対さなければならない時間という意味が込められているように感じた。IMG_1544 IMG_1546 IMG_1549 IMG_1558

「宇宙と芸術展」

7月30日から2017年1月9日まで六本木の森美術館で「宇宙と芸術展」が開催される。宇宙とは壮大なテーマだが、考えてみれば我々はいつも宇宙の中にいるのだし宇宙の一部なのである。遠い昔から人は夜空の星を見つめ、そこに広がる星空の美しさと不思議に魅了され続けてきた。今回の展示では曼荼羅から現代アートまで宇宙というキーワードで古今東西の様々が集められた。隕石、化石、ダ・ヴィンチやガレリオの天文学書、曼荼羅や竹取物語の絵巻、そして現代アーティストの作品。この展覧会では今まで生きてきた人々、そして今を生きる現代作家達がそれぞれ宇宙に迫る様を一堂に見れるのである。日本最古のSF小説といえる「竹取物語」の絵巻と今最も注目されるチームラボが同じ展覧会で見れるのだから実に面白い。日本の作家で注目なのは森万里子、杉本博司、そして空山基による等身大セクシーロボットも登場する。海外の作家も多く、トム・サックスのスペースシャトルやビョーン・ダーレムの大型インスタレーションは見応え十分だ。渋いところでは巨大なアンドレアス・グルスキーの写真やヴォルグガング・ティルマンスの撮りおろし作品も見逃せない。メディアアート集団チームラボの映像作品では衝撃的360度映像で無重力感を味わえるので実際に体験して欲しい。今年いっぱい続くこの「宇宙と芸術展」は我々の身近な宇宙について驚いたり感動したりしながら考えさせてくれる面白い企画展である。

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