月別アーカイブ: 2016年9月

太中ゆうきの初個展「発端」

8月27日から10月1日まで太中ゆうきの初個展「発端」が開催されている。児玉画廊が定期的に開催するグループ展「ignore your perspective」の34回目、「空間の風景」で初紹介されて以来、今回初めて個展という形で彼の絵画世界を見ることが出来た。絵画という手法で若手作家が新たな試みを追求しているのを見るのは嬉しいことだ。太中ゆうきの絵は個展のタイトルにもあるように「発端」を大切に描かれて行くという。画家なら誰でもまず真っ白のキャンバスに向き合ってから絵を描き出すのだが太中ゆうきもそれは変わらない。そこからが彼独自の描き方なのだが、まず彼は絵の描き始めの「発端」として取るべき行動を一つ決めるのだそうだ。「とりあえず棒を描けば良い」といった具合に彼は「発端」としての行動コマンドを考えて始動する。制作するという行為を司る行動原理を元に「何を描くか」ではなく「どう描くか」を考えるのだ。こうして「発端」にあるコマンドをもとに思考を重ねつつ描き進める行為の蓄積が最終的に画面を埋めて行く。彼の絵には風景のようなイメージやパターンの連続のような絵もあるが全ては「発端」から生まれているのだ。最初からその絵があったのではなく「発端」のプロセスがこの絵を生み出したと考えつつ見ると非常に面白いことに気が付く。これは作家の制作姿勢としての「発端」から導き出された完成形の絵を鑑賞者が今度は逆に遡って謎解きするような不思議な感覚でもある。太中ゆうきの絵は、絵という表現手段の無限の可能性の「発端」を文字通り見せてくれるような興味深い作品である。IMG_1756IMG_1760IMG_1758IMG_1754

唯一無二の存在感で輝く陶磁器

六本木ヒルズ内のミュージアムショップ横にあるA/Dギャラリーに青木良太展を見に行った。彼は小山登美夫ギャラリーの作家であるが今回はA/Dギャラリーにて個展を開催した。ギャラリー内には彼の新作が並び隣にあるヒルズのミュージアムショップでは日常使いの磁器が販売されている。存在感が圧倒的なオブジェのような作品で知られる青木だが生活用磁器はアート作品とは違って美しい普段使いの食器になっている。このようにそれぞれ全く違う陶磁器を巧みに作る青木の制作への姿勢はアーティストであると同時に職人だ。色々な陶磁器を作る青木だがやはり最も注目すべきは不思議な形の存在感が圧倒的なオブジェの作品群だ。大小さまざまなこれらの作品は重力をものともしないような異様な姿で立ち並んでいる。色、形、質感で陶磁器の持つ魅力を最大限に発揮しつつも斬新な可能性を模索し続ける。海外からも高い評価を受けているという彼の制作活動には今後も大いに注目し続けたいと思う。展覧会は8月19日から9月11日まで開催中です。

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