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ギャラリーのコレクション展

1996年にオープンしたという小山登美夫ギャラリーに最初に行ったのはもう20年近く前になると思う。村上隆、奈良美智といった世界に羽ばたいた作家もこのギャラリーでスタートした訳だが今でも沢山の将来有望な作家を育てている優れたギャラリーだ。その小山登美夫ギャラリーが今まで扱って来た様々な作家達の作品から選りすぐりのものをコレクション展として企画した。まるで色々なアートの詰め合わせ?と驚くほど見応えがあって面白い企画展だ。ダミアン・ハーストやリチャード・タトル、デヴィッド・リンチ、大宮エリー、佐藤翠、長井朋子、廣瀬智央、風能奈々などなど全18名の優れたアーティスト達の作品が集結した企画展が出来るのも小山登美夫ギャラリーならではだが中には岡本太郎まであってびっくりした。それにしてもオープン以来小山登美夫ギャラリーは本当に様々なアーティスト達を扱って来たのだなと感心してしまう。小山登美夫さんはどんな作家でも先入観なく公平にその作品が本物であるか否かにこだわってきた素晴らしい目利きだと思う。

桐島ローランド(第三回):これからはメディアアート?桐島さんの新しい表現へのチャレンジの話。

新しい表現へのチャレンジ

田辺:今先見の明のあるコレクターはメディアアート?

桐島:でしょ!

田辺:中国とか美術館バンバン作ってて、とにかく壁がいっぱいある。

桐島:はいはい!

田辺:絵で埋めるのは大変だから一番良いのはメディアアートを映す。って言うのがこれから主流になるって言う人もいるんだけど。やっぱり時代は変わって行きますよね、そうやって。

桐島:最近見た中で言うとビョークの3D展かな。あれ見た?

田辺:あ!見てない。

桐島:科学未来館でやってて。まあ正直がっかりだったんだけど。今うちもVRやっててヴァーチャルリアリティーいっぱい作ってて。これからアートをVRでやろうと思ってて。結構凄いと思うよ。

田辺:ふーん。

田辺良太

桐島:で、ビュークのはその最初ので世界で初めてやられててVRのアート展なんだけど、なんか、もう単純に普通の会議室?だって科学未来館でさ、ちゃんとしたインスタレーションやろうと思ったらそれなりの世界観作れるじゃん。例えば草間さんやる時は水玉模様の壁を作ってとかやるじゃん。ビューク展なんて普通の会議室みたいな部屋に入れられてVRのゴーグルが30個ぶら下がってて、それを各人が付けて3分間見てはい次の部屋って感じで、で、次の部屋も同じで単純に。それもVRゴーグルがアートみたいにぶら下がってたらまだ良いんだけど本当に普通の会議室に適当に折り畳み椅子にVRゴーグルが置いてあるだけとか。そういうところが日本は駄目だなと。

田辺:そうだね。

桐島:だってそのVRゴーグル一つでもなんかアート出来るじゃん。その世界観が重要じゃん。絶対的なパッケージとしての。だからキュレーションが日本って下手だと思う。

田辺:なるほどね。せっかくね、ビョークなのに。世界観がないっていう。

桐島:そう!全くない。それが凄い、やっぱ分かってないなって思った。

田辺:で、なんか、VRの話も出たので、最近こういう360度写真撮る3Dとか、まあ巷でもDMMなんかがコマーシャルやったりなんかして、なんというか、新しいメディアなのか、表現なのか、そういうのをやり始めた?前から新しいもの好きだったもんね。どうですか?感触としては?その辺のアートも作って行くってこと?

桐島:うん、もう凄いと思う。

田辺:凄い?

桐島:可能性は非常にある、ただ当たり前だけどこれも正直スピード勝負で。だって、結局テクノロジーだから、やっぱギミックなんですよ。

田辺:なるほどね

桐島:まあ、写真もギミックじゃないですか。もともとは筆で描いてたのが写真になってって。それのまさに行程の一つでVRはVRで面白いけど、いずれ当たり前になることだから。ただ当たり前になったとしても、可能性は非常にあると思う。

田辺:なるほどね。

桐島:やっぱり全く違うから、凄いよ!一度は体験した方が良い。

田辺:じゃあちょっとそれは是非。

桐島:はい、今度作品が出来たら。

田辺:是非是非!

桐島:裸の女の子が飛び回ってるの作るんだ。

田辺:え~ははは

桐島:ふふふ

田辺:大体そっち系の方にバーチャルリアリティーは行くんじゃないかって言われてますけど。。。

桐島:いやいや、完全にそうだよ。

田辺:あははは

桐島:あははは
完全にそうだよ、だってそれが一番面白いもん、たぶん。

田辺:でもなんか、ますます経験の領域が広がるというか、なんだろう。

桐島:というか、広げないと正直生き残れない時代ですよね。

田辺:うん、なるほどね。

桐島:やっぱりカメラマンだって今ムービー撮れて当たり前じゃないですか。

田辺:そうだね。

桐島:俺はもう10年くらい前からムービー回してるけど、今それが出来なかったら、ミュージックビデオとスチールも撮れて、監督も出来てっていうようなバリューがないと仕事なんてないから。

田辺:なるほどね。

桐島:次はこの3Dのステージ。確実に。だからニック・ナイトも3Dやってるって聞いて凄く安心したっていうよりも、まあ、俺そもそもニック・ナイトが好きなカメラマンだったからそういう意味では同じベクトルにいてくれて良かったな~みたいな。

田辺:そうだよね。

桐島:やっぱ彼もそこに気が付いてるんだって言う。
やっぱ確実に時代がそっちに行くから。ただ、やっぱこれはかなりの知識が必要で写真と比べたら100倍難しいって感じだけど。

田辺:なるほど、そうなんだ!

桐島:そう、だから自分1人じゃ出来ないから。だってまあ、ミケランジェロだって自分で全部彫刻を作ってなかった訳じゃないですか。だからそういう意味ではいろんな人に発注しなきゃ行けないから。アイデアってね、ただ今の時代ってまさにもうアイデアだよ、別にミケランジェロだって、最後の詰めは彼がやったかもしれないけど、優秀な弟子がいっぱいいて。

田辺:そうだよね。

桐島:まあ、昔からそれって議論されてたじゃないですか。本人が全部やらなきゃアートじゃないって訳じゃないから。

田辺:うんうん

桐島:やっぱり最初に計画したところ、満足いくところまで持って行くっていうのがアーティストだと思うから。

田辺:そうだね。工房制作なんて全部そうだし、最近では村上隆さんなんかもね。

桐島:まさにそうです!

田辺:この間のは自分もちょっと筆入れたとか言ってるけど。

桐島:はい。

田辺:だいたい、芸大生募集してやっちゃったりとかね。するけど、まあそのプロデュース力というか、アイデアが勝負ですもんね。

桐島:そうなんです!だから3Dも正直自分でゼロから出来るかっていったら出来ないけど、まああるところまでやって最後の詰めみたいなところは自分でやるから。まあ同じような感覚なんだろうけど。だけどやっぱり凄い難しいですよ。

田辺:なるほど。なんか、僕らが20歳とか、若い頃はパーソナルコンピューターもそんなになくて、まだアナログな時代で、そこからパソコンが来て、で、それにともなったいろんなテクノロジーが来て、写真でいえばデジタルになって、プリントが出力になってって、凄い激しい時代だった。

桐島:激しかったよ!キツかったよ本当。

田辺:ね、で、これからまた今度3Dとかそういう方に。。

桐島:行きますよ!

田辺:バーチャルリアリティーとかを体験するっていう方に行くってことですよね。

桐島:そうですね。だから本当に非常に辛いっすよ!

田辺:ははは!でも好きじゃないの?新しいの。

桐島:そうだけど、やっぱ、さすが48になって新しいことやるのは。。辛いっすよ。

田辺:まだまだ

桐島:だから羨ましいよ、俺たちの上の世代は、写真だけでキャリアを終えることが出来たから。

田辺:そうだね!

桐島:まあ、十分稼げた訳じゃん。だって俺なんか一番良い年の頃にデジタルになって、で、今度ムービーが撮れるようになって、もう常に勉強しないといけなくて。。

田辺:うん、新しいものをね。

桐島:ちょっとでもゆっくりしてると、油断してると仕事がなくなっちゃうから。非常に大変でしたよ。

田辺:なるほどね。

桐島:ただ、今回はそのまた3歩先に行ったから、まあ、しばらく誰も追いつけないだろうなていうのもあるし、そう簡単ではないんでね。

田辺:じゃあ、今はこれと向き合ってこれでの表現を追求すると。

桐島:そう、やっと仕組みがちゃんと出来るようになったから。こっからじゃあこれをどうやってアートに出来るのかっていうのを研究してて。

田辺:なるほどね。

桐島:でも正直言って、スキャンして3Dでゴーグルで見るだけでも「おおっ」って思えちゃうから。

田辺:うん、そうみたいね。

桐島:そう、だからそれをもっと深いところに、だってやっぱりコンセプトが重要だから、じゃあ、それが何なのかなっていう、何が出来るかなっていう意味ではいろんな可能性があると思う。ただ、難しいのが、まさにユーチューブのある時代に、単純にユーチューブで見るアートに終っちゃうのか、それか本当に美術館に足を運ばせるものに出来るかっていう、その差ですよね。

田辺:そうだね。
だからさっきのビョークの話じゃないけど、やっぱり美術館できちっと、トータルな後としてプレゼンテーションもしなければならないってことですね。

桐島:そうです、本当にそう。

桐島さんのアートコレクション

田辺:で、まあ今日ご紹介頂く作品は、先ほど見たんですけど、義理のお兄さんの作品。

桐島:そう、アナログ時代の傑作ですよね!

田辺:傑作!なんかギャラリーもやってらっしゃるし。

桐島:はい。

田辺:モノとしての写真の存在感とか美しさっていうのが実感出来る作品だって思うんですけど。

桐島:はい。

田辺:それはそれで良いもんですよね、こう、じっくり見てっていう。

桐島:まあ、あれは本当に彼が、彼のプロセスももちろん知ってるから。

田辺:なるほど。

桐島:あれは「QUINAULT」キーノルトっていう彼の要するに森のシリーズ。ポートランドの山奥にある。普通の人が行けないところにもう何ヶ月も彼はそこに行って凄い苦労して撮って。それも彼のあのプリント法っていうのは、あのプリントはあの1枚でもうないから、あの色合いはもう絶対に出せないんですよ。

田辺:なるほどね!

桐島:だからあれはまだデジタルでもあそこまでディープなトーンっていうのは出せないし、だからアナログ時代の一番綺麗な森の写真なんじゃないかなって。

田辺:なるほどね。

桐島:最高峰のね。

田辺:やっぱりそのアナログの突き詰められるところの最高に突き詰めた作品って感じ?

桐島:そうですそうです。だからそういった意味ではあれは色が本当に綺麗なんで、色が超深いんで、だから今のデジタルのプリントっていうのは基本的にデジタルだからアナログのプリントの色が出せないんですよ。実は。

田辺:なるほど!

桐島:全然幅が広いんでアナログの方が、だから音楽もよく言うじゃないですか、実はLPの方がCDより音が多いって。まあ、実際そうなんですよ、ただ、もちろんノイズは乗っちゃうけど、とはいえ、レンジでいえばアナログの方がはるかに幅が広いんで。デジタルって言うのはそれを間引いて良いところだけ取って音楽にしてる訳です。
別に写真も、今のカメラっていうのは12ビットとか16ビットで写真が撮れるとはいえフィルムで表現出来る色のレンジのほんの10パーセントくらいだから。だからそういう意味ではフィルムで撮った方がまだ90パーセント余分にある訳ですからね、色情報が。

田辺:なるほどね。

桐島:だからそういう意味では凄いですよ。ただそれがもちろんこれでデジタルが進化したらどっかで追い抜いちゃうだろうし。

田辺:その頃には人工知能かなんかに支配されてる世の中になっちゃってるかもしれないね。

桐島:いや~本当、あっという間ですよ。今そこら辺も、カメラメーカの顧問もやってるから、今だいたい写真のテクノロジーに関してはどこに行き着くかって言うのは分かってるんだけど。もう写真なんて取らない時代になると思う。勝手に撮れちゃってるって時代になって。

田辺:う~ん、なるほどね。

桐島:それで勝手にコンピューターが選んでくれるって時代。そして素晴らしい写真をコンピューターが見つけてくれるって感じですよね。

田辺:どうなんだろうね、そんな世の中。

桐島:いや、そうなっちゃうんですよ。
だから実はどうして90年代の写真とかがこんな高値になっているのかっていうと、車でもなんでもそうだけど、もうそっちに行くことはないんですよ。

田辺:なるほどね。

桐島:もう確実に全てがデジタルになって。実はアートっていうのは実は20世紀で終ったんじゃないかなって俺は思う。これからはコンピューターの方が人間より良いアートを作れる時代になっちゃう。

田辺:なるほどね~

桐島:だって、今まで人間が行って思っていた写真の全部のデーターベース、写真とかアートのがネットに出てる訳じゃない。殆どのものが、それをコンピューターが選ぶ時代になってしまうんじゃないかと思う。

田辺:なるほど、なんか恐ろしい時代になって行きますね~
話は尽きないけどこの辺りで、今日はありがとうございました!

桐島:ありがとうございました!

第一回はこちら!

第二回はこちら!