月別アーカイブ: 2018年5月

カラー・シャドウ

六本木にあるペロタン東京にてダニエル・アーシャムによる新作個展「カラー・シャドウ」が開催されている。ペロタン東京での初個展となるこの展覧会は渋谷のNANZUKAにおいてもペロタン東京の個展を補完する形での展覧会「アーキテクチャー・アノマリーズ」が同時開催されている。「Fictional Archeology・フィクションとしての考古学」というコンセプトでの一連の作品を発展させた形の今回の展覧会でも火山灰や水晶など様々な素材を作品として来たアーシャム独自の「滅びゆく遺産としての現代文化」が象徴的に作品化されているがダニエル・アーシャム初のブロンズ作品も今回お披露目された。ギャラリー内を彼の作品でいっぱいにして作り上げた展示は面白くてアートフェアなどで単体の作品を見るのとは違ってダイナミックな世界観が感じられた。ダニエル・アーシャムはポップカルチャーを継承しつつ新しい表現を作品化する作家として注目すべき作家だ。

Dawn Chorus

神宮前にあるGallery38にて5月17日から7月7日までロマーン・カディロンの個展「Dawn Chorus」が開催されている。一見写真展かと思ったらなんと全て手で描いた精密な写実画だと聞いて驚いた。しかし、確かにそれは写真にしてはどこか温かみがあるというか機械的な感じがしない。だがかなり近づいて見ても炭で描かれたドローイングであるとは思えない不思議なリアリティーがあるし信じがたいような写実の技術だと言える。フランス出身の作家は日々アトリエで主題を分析し尽くしそのあらゆる多様性を抽出したいという欲求をドローイングという形で表現するのだという。それにしてもここまでの完璧な写実をするのは大変な作業だと想像できるしもはや描くという行為が瞑想のような域に達しないとここまでのドローイングは描けないと思う。静寂の中に佇むドローイングにはなんとも言えないような唯一無二の迫力ある展覧会だ。

 

中国の若手作家

MAHO KUBOTA GALLERYにて中国の若手作家レン・ミンガンの個展が6月9日まで開催中だ。中国では「ポスト80’S」世代と呼ばれるこの作家の世代のアーティスト達は前の世代のアーティスト達に目立った社会状況を直接反映するようなアプローチが少なくなったという。それに変わって「ポスト80’S」世代の特徴は彼らが10代を過ごした中国社会の文化や経済の変化をポジティブに捉えた上で伝統にとらわれない自由でパーソナルな表現だ。キャンバスに紙を貼って色彩した後にカッターで切り込みを入れてイメージを描くというレン・ミンガンの表現手法は試行錯誤して作り上げた独特のもので繊細かつ大胆な印象を受ける。中国では作品を欲しい人のウェイティングリストができるほどの人気作家だというが作品が放つシンプルだが唯一無二のパワーと独特な魅力を感じるとそれも不思議ではない。