ARTRANDOM

artwork ahead 2014.03.16

谷口真人 Untitled

2014.3.1~3.29 @ NANZUKA

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谷口真人の新作展を見た。1982年生まれの作家は80年代90年代という時代に多感な時期を過ごしたに違いない。80~90年代といえば、日本でアニメ文化やサブカルチャーなる言葉が流行り始めた時代だ。彼の作品は実に不思議で、こういった形態の作品を今まで他に見たことがない。作品自体は絵の裏側が表に露出し、裏にある絵自体は鏡に映った姿でしか認識出来ないように作られている。そのイメージはアニメやアイドルに象徴されるような少女の姿だ。どことなくアニメのセル画を彷彿とさせるが、この作品は表に出ている絵の裏側と作品の奥の鏡に映った絵の裏側に存在する絵の表側の全てが一体となってひとつの作品として成立する。真正面から見るとぐちやっとした絵の具の固まりしか見ることは出来ないが、横に視点をずらして奥の鏡を見ると、そこに少女の姿が現れるといった仕掛けになっている。もちろんそれら全てを含めて作品なのだが、敢えて少女の姿が認識できる絵の部分を作品とするならこの作品は鏡で見ることしか出来ない絵の裏面にだけ存在しているのだ。それはどこか封印されたような趣があって、少女の絵とそれを映し出す鏡のわずかな隙間にのみ彼女が存在している儚さのようなものが感じられる。アジアでも評判がいい作品と聞いたがアニメ世代の作家がそのイメージをアートという文脈の中でからくり箱に納めて見せたような作品に共感を抱く人が多いのかもしれない。ひとつ物足りなかったのは展覧会のタイトルがUntitledだったことで、まあ、作家の意図があるのだとは思うのだが、タイトルなどがあった方が見る側には作家の展覧会への意図や作品に対するより具体的なイメージの先の広がりが共有出来ることもあるので、もしもタイトル的な物や名前などがあったならもっと思いが広がったのではないかと感じた。いずれにせよ、独特な方法と画法で表された作品からは、イメージとそれが存在することとはいったい何かといったような根源的な疑問への控えめなようでいて強い投げかけを感じた。