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artwork ahead 2014.10.26

風能奈々「地下の湿度と紙の手ざわり」

2014.10.22~11.17 @ 8/ART GALLERY/TOMIO KOYAMA GALLERY

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とにかく執拗に作品に描き込む作家がいる。点描画で有名な印象派のスーラーなんかもそうだが、それは忍耐と気力を伴う作業である。しかし、その表現手段こそがその作家にとって最も有効な表現なのだろうが、それにしても情熱というか、執念は見ていて凄いものがある。別に簡素に描かれた作品に情熱や執念がないと言っている訳ではないが、余りにも緻密に描かれる作品を作る作家には物理的に大変なんだろうなと思わず敬意を表したくなる。風能奈々もまさにそんな作家で彼女の作品は信じがたい程に緻密だ。制作している時は水中に潜って地下に下りて行くような感覚があるとは作家自身の言葉だがなるほど、息を止めて真っ暗な地下へと潜るような作業を経て彼女の作品は姿を現すのだろう。人物、動植物、文字などの象徴的なモチーフが散りばめられた彼女の作品世界は深い闇の中で彼女が描き出す不思議な世界である。絵の具を繰り返し塗り重ねた画面には独特の風合いとテクスチャーが生まれ、そこに描かれたモチーフは封印される。今回は今まで馴染みのある絵画作品に加えて新たに木炭を使ったドローイングも発表されていてとても興味深かった。絵画作品では下描きや描き直しをしないそうだが木炭を使って描く時は描いては消す作業を繰り返し完成までに作品の姿は変化し続けるのだそうだ。木炭は日本の美術教育の基本である石膏デッサンの技法でもあるがこうした形でドローイング作品に木炭を使うというのは面白い試みである。作品はどれも夢の中の出来事やシーンの様でもあり彼女の心の中に存在する世界の模写のような気配が漂う。独特な表現手法と表現世界を持つ作家として今後の活躍にも更に期待したい。