ARTRANDOM

artwork ahead 2015.06.19

ディエゴ・シン ”Yes No Thank You”

2015,6,10~6.29 @ 8/ ART GALLERY / TOMIO KOYAMA GALLERY

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アルゼンチン出身の作家、ディエゴ・シンの展覧会をヒカリエにある小山登美夫ギャラリーにて見た。作品は抽象的な絵画と一見グロテスクな感じがする立体作品1点で構成されていた。絵画はデニム生地のテクスチャーを周到にカンバスに描いたのか、実際にデニム生地を使ったのか、どちらなのか分からない不思議なベースの質感の上に青や赤などの鮮やかな色が自由奔放に着色された抽象画である。デニムの生地の質感はしわがよっていたり裂けていたりといった味のある風合いで、色は時にそれをなぞるように、またそれを引き立たせるように塗られている。なんとも見たことのない不思議な絵であるが展覧会のタイトルである”Yes No Thank You”を見て絵から感じる矛盾のような感覚が腑に落ちた気がした。抽象画は具象的な表現とは違い感性や感覚を可視化させる。人はものを見た時に自然にそれがなにであるかをまず認識しようとする。しかし、抽象的で意味を持たない色彩や形を見た時に人はその認識するという感覚から解放され気持ちのままに見たものを感じることが出来る。抽象画が素晴らしいと思うのはそういった点だがディエゴ・シンの絵にもそういった抽象画の持つ独特の力を感じた。そして”Yes No Thank You”という矛盾する言葉の展覧会タイトルからも分かるようにその絵はなぜか見るものを欺きなんとも不思議な心持ちにする。立体作品も同じで一見すると見たことのある彫像のようだがそれを構成する素材は全てそれが何であるのかを見分けられるのを拒むような偏屈な存在感だけで成立している。普段の生活では記号的で意味を持っていて見分けのつくものに囲まれがちだが抽象画を見ているとそこから気持ちが切り離されていつもとは違う感性が奮い起こされるようで心地がいい。全てに意味があって全てに意味などない、そんな矛盾が混在する強いメッセージがこれらの作品から感じられた。