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artwork ahead 2013.12.13

DAVID SALLE

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1980年代、ニューヨークのアートの世界にはユニークなペインターが続々登場した。ジャン・ミッシェル・バスキア、エリック・フィッシェル、ジュリアン・シュナーベル、フランチェスコ・クレメンテ…それぞれが独自に痛烈なイメージを描き出して次々と話題を提供した。ギャラリーもソノベンやリオ・キャステリといった老舗ギャラリーに加えて、メアリー・ブーンやガゴジアンといった若くて勢いのあるギャラリーが台頭して来た。そんな中で現れたアーティストの1人がデヴィッド・サーレだった。メアリー・ブーンギャラリーで彼の絵を最初に見た時、今まで見た事のないような独特な絵を見たような衝撃を受けたのを今でも覚えている。異質なイメージの融合、イメージの上にイメージを重ねる違和感など視覚的な刺激が巧妙に施されたそれらの絵画はペインター全盛期のアートの世界でも特に勢いがあり、輝いて見えた。写真をキャンバスに投影して描かれたようなリアルなイメージが様々な手法と共にひとつの画面で完結している。しかし、完結しているようでいるにもかかわらず、その絵が持つ不安定なイメージの世界ゆえに次の不安定な絵へと見る者を無理矢理に移行させざる得ないような不思議な感覚を抱かせる。もしかしたら描いていたサーレ自身が描いては不安定さを増して次を描かなくてはならない衝動に駆られて次々に作品を生み出して行った経緯が見る側に伝わったのかもしれない。いずれにせよ、サーレの絵は大きななにかの断片のように終わりのないイメージ世界を表現し続けるといった印象があった。その後、彼の絵は勢いを失い、しぼむように力をなくして弱い絵になってしまったが、少なくともピーク時の彼の絵には得体の知れない力が宿っていたと思う。きっと、彼の才能は彼にも意味が分からないようなイメージの不完全な断片を描けた事であり、彼自身がそこに意味を求め始めたとたんに面白みのない絵しか描けなくなってしまったのかもしれない。いずれにせよ、サーレはあの時代のニューヨークが生み出した希有なペインターの1人だと思う。