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蔡 俊行(第一回)どういうキッカケでアートを買うのか、なぜファッションみたいにアートは売れないのかなど。
my art collection 第1回 / 全3回 / 2015.11.06

蔡 俊行(第一回)どういうキッカケでアートを買うのか、なぜファッションみたいにアートは売れないのかなど。

ONE SIZE GALLERYディレクター,田辺良太が友人の「アートコレクション拝見!」をしながら気楽に語り合うという連載コーナー「my art collection」。第9回目の友人はウェッブマガジンhouyhnhnmの発行人で最近HOUYHNHNM Unpluggedという雑誌も発売した蔡俊行さん。アートとファッションの話やファッション業界や若者の消費傾向、そしてコレクションしているピーター・ビアードの作品との出会いなど多岐に渡る話を聞きました。

蔡さんがアートを買うタイミング

田辺:どうも今日は、ありがとうございます!

蔡:あ、どうも

田辺:えっと、蔡ちゃんは、まあ、今日紹介してくれるピーター・ビアードの作品を買ったりとか、マイケル・トンプソンの写真も買ったりして。。
アートを買う時ってあると思うんですけど。
まあ、そんなに頻繁ではなくても?どういう時に買うってなるんですか?

蔡:う~ん、特にその、なんて言うんだろう。。
まあ、タイミングで?

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田辺:タイミング?

蔡:良いものっていうか、縁があれば。
特にアートっていうのを意識してる訳じゃなくて、やっぱり、壁が寂しかったらなんかそこに置きたいな、みたいな。
そういう意識はあって、最近では水谷太郎の写真。

田辺:水谷太郎!?

蔡:それとアートディレクターの名前はちょっと忘れちゃったけど、2人が作った。で、あそこなんだっけな、新潮社の横にあるla kaguか、あそこで展覧会やってた。

田辺:あ、そうなの!

蔡:そう、で、そこで買って今はホワイトマウンテニーリングのお店にある。

田辺:あとで見に行ってみます。写真?

蔡:うん、写真とアートコラージュみたいな。
で、そのフレームをまた特別に作った、家具屋さんで。
なかなか面白かったから、それは衝動的に買った。
じゃあこれ買おうってことで。。

田辺:なんか、じゃあもう別に出会ってって感じで。。。

蔡:そう、出会ってって感じで。
で、今あそこにサイの絵もあるんだけど、

田辺:あ~本当だ。

蔡:あれは去年ポートランド行った時にちょっと向こうで知り合った日本人のアーティストがいて、ショウヘイ君っていうんだけど、彼はスターバックスかなんかに提案に行ったら全米中のスターバックスのアートになるとか言ってて。

田辺:へえ~凄いですね!

蔡:そう、だから結構凄いなと思って。
たまに日本に来てるんだけどたまに会って食事とかするんだけど。
で、ここに会議室作って壁に何もないの寂しいからちょっと1枚絵を描いてよっていって描いてもらったのがあれ。

田辺:なるほどね。壁にかけないんですか?

蔡:いや、かけようかと思ってるんだけど、どこにかけようかって考えてて。
そうそう、だからそういう感じで適当に買ってるかな。

田辺:今後も、なんか、タイミングが合えば?

蔡:そうだね。

田辺:でも、わりとなんかその、アート作品を買うというよりも、その時の気持ちだったり、ファッション的な、別に好きで買う訳ですよね。

蔡:そう!好きで買うから、だからアートという括りというよりは何て言うんだろう?インテリア?インテリアでもないんだけど、なんだろうね。

田辺:まあ、好きなものの一つとして。。

蔡:そう、好きなものとして。

アート、ライフスタイル、ファッションの関係性

田辺:ただ、なんかこの対談で毎回いろんな人と話して、大体こういう話になるんですけど、ファッション?例えば蔡ちゃんの場合はファッションを専門にやって来てて、日本だとやっぱりブランドものだとかに若い人も皆お金を使うじゃないですか。
でも、やっぱりアートってなかなか買ったって人はいない。
どうしてそこはすっぽり抜けてるんでしょうね?

蔡:うーん、だから、例えばアートじゃなくても、10万円の椅子は買わなくても10万円のジャケットはみんな買えるんだよね。

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田辺:うん、ねー!

蔡:で、それを年に1枚2枚とか、買えるんだけど、椅子とかは無頓着で5年とか10年とか、IKEAで買ったやつ使ったりとか平気でしてるっていう。

田辺:やっぱり、自分が身につけて外に出られるものにはお金を使う?

蔡:まあ、そういうことなんだろうね、余裕がないんじゃないかな、やっぱ。
かといって、じゃあ余裕がある人がそういう家具とかアート買うかっていったらそうでもないし。。。特に家具はまだ意識はあるかもしれないけど、やっぱアートっていうとちょっと敷居が高いんじゃないかな?

田辺:うんうん。

蔡:その、どこで買えばいいのか分かんないとか、なんか、売ってない。。っていうか。。服は服屋さんいっぱいあるけど、家具屋もいっぱいあるけど、アート屋さんってないっていうか、街に。
まあ、ギャラリーもあるのかもしれないけど。

田辺:わかんないよね。

蔡:まず入んない、敷居が高いし。
わりとこう、ギャラリーの人って冷たいっていうか、あんま相手してくんないし。

田辺:まあ、言い寄っては来ないよね。

蔡:言い寄ってこない。
こちらお似合いですよ!とか来ないから。笑

田辺:そうだよね。

蔡:だからそういうのがあると、もう少しこう意識も高まるんじゃないかなと。

田辺:なんか、いわゆるファインアートのギャラリーって数も海外に比べたら少ないし、まあ、日本というか東京とかでも圧倒的に少ないし、まあ、一部のアート好きの人達の中だけで回ってるみたいな、それが一般の人には全然下りてこないというか、そういう状況ですよねきっと。。

蔡:そうだね。

田辺:でも海外とか行くとわりと皆なんか好きなアートを買うっていうのが洋服まではいかないにしても、飾る意識とか高いですよね。

蔡:そこはその、文化民度の違いっていうか、やっぱ日本でアートに興味あるとかインテリアに興味ある人っていうのはイコールライフスタイル全般に興味あるっていうか、まあ、その中にはファッションも含まれていると思うんだけど、海外の人達っていうのは別にファッションに興味なくてもアートに興味あるって人達もいるじゃない。

田辺:うん、いるね。

蔡:ああいうのはたぶん日本にはないっていうか、なくはないと思うんだけど、棟方志功とか買う人達はそうなのかもしれないけど。。笑

田辺:あはは

蔡:だからちゃんとファインアートとかそういう方向に来てる保守的な金持ちっていうのはあんまりいないんじゃないかな。
その、ファション興味なくてもアート興味ある人っていうのは。。

田辺:なるほどね。なんか、あの最近だとさっき言ったla kaguもそうだけど、ファッションのお店に雑貨が入って来たり書籍が入って来たりちょっとしたアートみたいのが入って来たりって、もうライフスタイル型のお店になって来たじゃないですか。
ああいう道っていうのは唯一ある?

蔡:あの、とっつき易いからいいのか~なとは思うけど。
まあ流行ではあるよね、ライフスタイルショップは、今服自体が売れなくなって来たから、昔ほどには。
だからお客さんを呼ぶ為には色々工夫しているから、あくまでビジネスであってアートの庇護者になろうとかっていうつもりではないよね。
だからそこに対してその本気でいいキュレターを置くとかというよりはとにかく話題の人と繋がって集めれば良いっていうようなイベント性の方が先走ってる感じ。

田辺:なるほどね。

蔡:だから、それによってアートが凄く認知度が高まるかとか皆が興味持つかっていうのはちょっと疑問かな~って思う。
ああいうライフスタイルストアに関しては。

田辺:カフェ入れるみたいな?

蔡:そうそうそう。

田辺:等しい?

蔡:飲食やったりとか、それに関してはもう、東京都心に人が集まらなくなって来ている、買い物客が。

田辺:らしいですね。

蔡:だから皆その都心に来るまでのターミナル駅に駅ビルが出来て、都心に来ても同じような店、全部、どこも同じような店だから。
わざわざ東京に来る人がいなくなって、で、原宿とか青山とかにインディビジュアルで頑張ってるお店とかもあって、まあ、そういう所には人は来るんだろうけど。もう団塊ジュニアが40くらいになっちゃったから、若い子達が減ってるからちょっとね、昔みたいには。。
昔みたいなその、行列して買うとか。
そういうパワーはなくなってるよね。

田辺:なるほどね。

蔡俊行さん第2回はこちら

蔡俊行さん第3回はこちら

蔡 俊行
蔡 俊行

1962年生まれ。雑誌「ポパイ」のフリー編集者を経て、94年にスタイリスト事務所兼編集プロダクションを設立。現在に至る。ファッションブランドのブランディングやマーケティングのお手伝いを生業とし、自社でweb雑誌「フイナム」 (www.houyhnhnm.jp)を発行中。