髙島さんにとってアートとは何ですか?
田辺:今日は、ありがとうございます!
髙島:はい!
田辺:アートランダムという中でmy art collectionという対談をさせて頂いてまして、今回は記念すべき10回目に髙島さんとお話しをさせて頂くわけですが、質問がいくつかあります。まずは髙島さんにとってアートとは何ですか?
髙島:う~ん、まあインテリアの一部だよね。どうしても商売柄というか、壁を飾る、あるいは空間を飾るひとつの要素というか、そういう感じかな。まあ、そうはいっても例えば家具とかね照明器具だとかそういったものに比べてある種まあちょっと割高なところはある。まあ、高いものばかりじゃないけど。
田辺:そうですね。
髙島:そう、だからちょっとアクセサリー的な?インテリアの中でもアクセサリー的な感じのするものかな。
田辺:なるほど!まあ色んな種類ありますものね、例えばポストカード貼るだけでも良いですし。
髙島:うん、そうだね。
田辺:マイアミのアートバーゼルもお誘い頂いてもう8年?9年くらいになりますが。マイアミで見るものや個人的に見るものも含めてどんなアートがお好きですか?
髙島:う~ん、やっぱりね、なんか自分の好きなのはハッピーになれるとかカッコいいとか、そういうのになっちゃうかな。あんまりシュールなのは違うかな。
田辺:シュール過ぎるのは違う。
髙島:うん。
田辺:暗いとか、重いとか。
髙島:そうそう。
田辺:例えば自分の心に響いた時に買いたくなるとかそういうキッカケみたいなのってあるんですか?よくアートフェアでピッときてますよね。
髙島:あ~はいはい、なんだろうね、あれね。なんか、その時の気分で買ってるような気はするけど。
田辺:でも、心のどこかに触れるっていうのがないと。なかなか動かないですよね。
髙島:うん、若干、お金的に上がるんじゃないかな的なのもあるけど。笑
田辺:あ~ありますよね、アートフェアなんか特に!
髙島:はいはい。
田辺:Francfrancというのはインテリアを通して人の生活を豊かにするというブランドだと思うんですけど、生活の中でアートとはどうあるべきというか、役割のようなものはなんでしょうか?前にアートの本もインテリアの中にあると良いということで販売したりしてましたけど。どうあるべきなんですかね?
髙島:う~ん、単純にね、空間を埋める一部だって言っちゃうと他のものも一緒になっちゃうけど、自分にとってはアートってなんか最後のふりかけみたいなものかな。 例えばレストランにアートがポンとあって、絵とか彫刻でも良いんだけど、そういうのがあることによって最後にそのレストランが決まるみたいな。
田辺:う~ん。
髙島:そういう感じが凄くあるので、あまり最初からアートっていうよりも最後にそれで決まるっていう、そういう感じがするな。
田辺:しめみたいな。
髙島:うん。それが凄くあるな。
田辺:まずは生活空間があって諸々の家具だとか雰囲気があってそれを最後にピッとしめるというか。
髙島:昔あのニューヨークのレストランでさ、バスキアがあったじゃない?
田辺:あ~はいはい!
髙島:いっぱい絵があるんだけどポンっとバスキアがあったりして。ああいうのあるとあ!これ決めだな!って思うよね。
田辺:そうですね。なんか、海外行くとレストランでもアート多いですよね、例えばデミアン・ハーストとか?ああいうのがレストランの印象を決定的に決めますよね。
髙島:ロンドンのステーキ屋にあった牛のホルマリン漬けには参ったよな!笑
田辺:凄いですよね!ちょっとショッキングですよね。
髙島:そうそう!
田辺:海外だとそういう風にアートの使い方というか、そういうのを心得ている飲食店とかお部屋って多いなって思うんですけど、よく話すのは日本なんかも昔は床の間文化みたいのがあったのに最近はやはり床の間もないし、トイレの壁とか?まあ、玄関の下駄箱の上とかもあるかもしれないですけど、日本の文化の中にアートの居場所がなかなかないっていうのはどうなんでしょう?
髙島:ないね、決める!空間がないよね。
田辺:そうですよね。壁に釘打っちゃいけないとかね。
髙島:そうそう、それは感じるな、確かに。
田辺:かといってそういう空間を作ってまで楽しむ習慣があるのか?っていうのもあるかも知れないですね。
髙島:でもね、この間たまたま展示会で見つけたんだけど、キッチンのアートみたいのってあるなって思ったんだよね。
田辺:はい?
髙島:それはね、タイルアートなんだけど。
田辺:あ~はいはい。
髙島:それはまあ、別に鍋敷きにしたって良いんだけど、でも、キッチンにこういうの飾ってあったら良いなって。例えばフライパンと鍋の間にこういうのが飾ってあったら良いなって。キッチンツールがあってその隣にポンっとあったら良いなとか。 そういうのはありだな!ってこの間思ったんだよ。
田辺:なるほど!
髙島:そう、なんか、キッチンって皆アートを置かないよね、そんなに。
田辺:そうですよね。
髙島:花を置くぐらいはあるかもしれないけど、そういう意味でキッチンって色んなツールがあって、ありふれてるんだけど、なんかそこに一枚足すだけできっとキッチン空間が変わるなって思ったんだよね。
田辺:じゃあ、そういう風に新しい空間を作り出すとか?
髙島:そうそう!それはなんか楽しめるんじゃないかなって思ったね。
田辺:なんか、ウサギの形のしゃもじのラビットライススプーンが流行ったって、あれもまあアートじゃないですか。
髙島:あ~はいはい!そうね、はい。そういうことだね。
田辺:今まで何もなくて味気ない所にああいうのが入ってくるのはありってことですね。
髙島:うん、そうじゃないかなって思うね。
田辺:なるほど、まあ、海外によく行かれると思うんですけど、海外と日本のアートの色々な状況について髙島さんが気づく点って何かありますか?
髙島:海外はまず、アートフェアとかに日本人は少ないよね。だからアートに関する造詣っていうのは日本人は持ってる人はまだまだ少ないなって感じるよね。
田辺:そうですね、まあ、ブランドものにはお金使ったり旅行は行ってもみたいな感じですよね。
髙島:そうそう。それはちょっと悲しい感じがするな。
田辺:ちょっと淋しいですよね。
髙島:うん。

1956年福井県生まれ。大学卒業後、マルイチセーリング株式会社入社。1990年に株式会社バルスを設立後、96年にMBOし独立。
国内外で体得した感性と独自の視点により、2017年に25周年を迎えるFrancfrancを中心に、BALS TOKYO、 WTWなどを展開。趣味はトライアスロンとサーフィン。