作成者別アーカイブ: whitewalladmin

ギャラリーのコレクション展

1996年にオープンしたという小山登美夫ギャラリーに最初に行ったのはもう20年近く前になると思う。村上隆、奈良美智といった世界に羽ばたいた作家もこのギャラリーでスタートした訳だが今でも沢山の将来有望な作家を育てている優れたギャラリーだ。その小山登美夫ギャラリーが今まで扱って来た様々な作家達の作品から選りすぐりのものをコレクション展として企画した。まるで色々なアートの詰め合わせ?と驚くほど見応えがあって面白い企画展だ。ダミアン・ハーストやリチャード・タトル、デヴィッド・リンチ、大宮エリー、佐藤翠、長井朋子、廣瀬智央、風能奈々などなど全18名の優れたアーティスト達の作品が集結した企画展が出来るのも小山登美夫ギャラリーならではだが中には岡本太郎まであってびっくりした。それにしてもオープン以来小山登美夫ギャラリーは本当に様々なアーティスト達を扱って来たのだなと感心してしまう。小山登美夫さんはどんな作家でも先入観なく公平にその作品が本物であるか否かにこだわってきた素晴らしい目利きだと思う。

桐島ローランド(第三回):これからはメディアアート?桐島さんの新しい表現へのチャレンジの話。

新しい表現へのチャレンジ

田辺:今先見の明のあるコレクターはメディアアート?

桐島:でしょ!

田辺:中国とか美術館バンバン作ってて、とにかく壁がいっぱいある。

桐島:はいはい!

田辺:絵で埋めるのは大変だから一番良いのはメディアアートを映す。って言うのがこれから主流になるって言う人もいるんだけど。やっぱり時代は変わって行きますよね、そうやって。

桐島:最近見た中で言うとビョークの3D展かな。あれ見た?

田辺:あ!見てない。

桐島:科学未来館でやってて。まあ正直がっかりだったんだけど。今うちもVRやっててヴァーチャルリアリティーいっぱい作ってて。これからアートをVRでやろうと思ってて。結構凄いと思うよ。

田辺:ふーん。

田辺良太

桐島:で、ビュークのはその最初ので世界で初めてやられててVRのアート展なんだけど、なんか、もう単純に普通の会議室?だって科学未来館でさ、ちゃんとしたインスタレーションやろうと思ったらそれなりの世界観作れるじゃん。例えば草間さんやる時は水玉模様の壁を作ってとかやるじゃん。ビューク展なんて普通の会議室みたいな部屋に入れられてVRのゴーグルが30個ぶら下がってて、それを各人が付けて3分間見てはい次の部屋って感じで、で、次の部屋も同じで単純に。それもVRゴーグルがアートみたいにぶら下がってたらまだ良いんだけど本当に普通の会議室に適当に折り畳み椅子にVRゴーグルが置いてあるだけとか。そういうところが日本は駄目だなと。

田辺:そうだね。

桐島:だってそのVRゴーグル一つでもなんかアート出来るじゃん。その世界観が重要じゃん。絶対的なパッケージとしての。だからキュレーションが日本って下手だと思う。

田辺:なるほどね。せっかくね、ビョークなのに。世界観がないっていう。

桐島:そう!全くない。それが凄い、やっぱ分かってないなって思った。

田辺:で、なんか、VRの話も出たので、最近こういう360度写真撮る3Dとか、まあ巷でもDMMなんかがコマーシャルやったりなんかして、なんというか、新しいメディアなのか、表現なのか、そういうのをやり始めた?前から新しいもの好きだったもんね。どうですか?感触としては?その辺のアートも作って行くってこと?

桐島:うん、もう凄いと思う。

田辺:凄い?

桐島:可能性は非常にある、ただ当たり前だけどこれも正直スピード勝負で。だって、結局テクノロジーだから、やっぱギミックなんですよ。

田辺:なるほどね

桐島:まあ、写真もギミックじゃないですか。もともとは筆で描いてたのが写真になってって。それのまさに行程の一つでVRはVRで面白いけど、いずれ当たり前になることだから。ただ当たり前になったとしても、可能性は非常にあると思う。

田辺:なるほどね。

桐島:やっぱり全く違うから、凄いよ!一度は体験した方が良い。

田辺:じゃあちょっとそれは是非。

桐島:はい、今度作品が出来たら。

田辺:是非是非!

桐島:裸の女の子が飛び回ってるの作るんだ。

田辺:え~ははは

桐島:ふふふ

田辺:大体そっち系の方にバーチャルリアリティーは行くんじゃないかって言われてますけど。。。

桐島:いやいや、完全にそうだよ。

田辺:あははは

桐島:あははは
完全にそうだよ、だってそれが一番面白いもん、たぶん。

田辺:でもなんか、ますます経験の領域が広がるというか、なんだろう。

桐島:というか、広げないと正直生き残れない時代ですよね。

田辺:うん、なるほどね。

桐島:やっぱりカメラマンだって今ムービー撮れて当たり前じゃないですか。

田辺:そうだね。

桐島:俺はもう10年くらい前からムービー回してるけど、今それが出来なかったら、ミュージックビデオとスチールも撮れて、監督も出来てっていうようなバリューがないと仕事なんてないから。

田辺:なるほどね。

桐島:次はこの3Dのステージ。確実に。だからニック・ナイトも3Dやってるって聞いて凄く安心したっていうよりも、まあ、俺そもそもニック・ナイトが好きなカメラマンだったからそういう意味では同じベクトルにいてくれて良かったな~みたいな。

田辺:そうだよね。

桐島:やっぱ彼もそこに気が付いてるんだって言う。
やっぱ確実に時代がそっちに行くから。ただ、やっぱこれはかなりの知識が必要で写真と比べたら100倍難しいって感じだけど。

田辺:なるほど、そうなんだ!

桐島:そう、だから自分1人じゃ出来ないから。だってまあ、ミケランジェロだって自分で全部彫刻を作ってなかった訳じゃないですか。だからそういう意味ではいろんな人に発注しなきゃ行けないから。アイデアってね、ただ今の時代ってまさにもうアイデアだよ、別にミケランジェロだって、最後の詰めは彼がやったかもしれないけど、優秀な弟子がいっぱいいて。

田辺:そうだよね。

桐島:まあ、昔からそれって議論されてたじゃないですか。本人が全部やらなきゃアートじゃないって訳じゃないから。

田辺:うんうん

桐島:やっぱり最初に計画したところ、満足いくところまで持って行くっていうのがアーティストだと思うから。

田辺:そうだね。工房制作なんて全部そうだし、最近では村上隆さんなんかもね。

桐島:まさにそうです!

田辺:この間のは自分もちょっと筆入れたとか言ってるけど。

桐島:はい。

田辺:だいたい、芸大生募集してやっちゃったりとかね。するけど、まあそのプロデュース力というか、アイデアが勝負ですもんね。

桐島:そうなんです!だから3Dも正直自分でゼロから出来るかっていったら出来ないけど、まああるところまでやって最後の詰めみたいなところは自分でやるから。まあ同じような感覚なんだろうけど。だけどやっぱり凄い難しいですよ。

田辺:なるほど。なんか、僕らが20歳とか、若い頃はパーソナルコンピューターもそんなになくて、まだアナログな時代で、そこからパソコンが来て、で、それにともなったいろんなテクノロジーが来て、写真でいえばデジタルになって、プリントが出力になってって、凄い激しい時代だった。

桐島:激しかったよ!キツかったよ本当。

田辺:ね、で、これからまた今度3Dとかそういう方に。。

桐島:行きますよ!

田辺:バーチャルリアリティーとかを体験するっていう方に行くってことですよね。

桐島:そうですね。だから本当に非常に辛いっすよ!

田辺:ははは!でも好きじゃないの?新しいの。

桐島:そうだけど、やっぱ、さすが48になって新しいことやるのは。。辛いっすよ。

田辺:まだまだ

桐島:だから羨ましいよ、俺たちの上の世代は、写真だけでキャリアを終えることが出来たから。

田辺:そうだね!

桐島:まあ、十分稼げた訳じゃん。だって俺なんか一番良い年の頃にデジタルになって、で、今度ムービーが撮れるようになって、もう常に勉強しないといけなくて。。

田辺:うん、新しいものをね。

桐島:ちょっとでもゆっくりしてると、油断してると仕事がなくなっちゃうから。非常に大変でしたよ。

田辺:なるほどね。

桐島:ただ、今回はそのまた3歩先に行ったから、まあ、しばらく誰も追いつけないだろうなていうのもあるし、そう簡単ではないんでね。

田辺:じゃあ、今はこれと向き合ってこれでの表現を追求すると。

桐島:そう、やっと仕組みがちゃんと出来るようになったから。こっからじゃあこれをどうやってアートに出来るのかっていうのを研究してて。

田辺:なるほどね。

桐島:でも正直言って、スキャンして3Dでゴーグルで見るだけでも「おおっ」って思えちゃうから。

田辺:うん、そうみたいね。

桐島:そう、だからそれをもっと深いところに、だってやっぱりコンセプトが重要だから、じゃあ、それが何なのかなっていう、何が出来るかなっていう意味ではいろんな可能性があると思う。ただ、難しいのが、まさにユーチューブのある時代に、単純にユーチューブで見るアートに終っちゃうのか、それか本当に美術館に足を運ばせるものに出来るかっていう、その差ですよね。

田辺:そうだね。
だからさっきのビョークの話じゃないけど、やっぱり美術館できちっと、トータルな後としてプレゼンテーションもしなければならないってことですね。

桐島:そうです、本当にそう。

桐島さんのアートコレクション

田辺:で、まあ今日ご紹介頂く作品は、先ほど見たんですけど、義理のお兄さんの作品。

桐島:そう、アナログ時代の傑作ですよね!

田辺:傑作!なんかギャラリーもやってらっしゃるし。

桐島:はい。

田辺:モノとしての写真の存在感とか美しさっていうのが実感出来る作品だって思うんですけど。

桐島:はい。

田辺:それはそれで良いもんですよね、こう、じっくり見てっていう。

桐島:まあ、あれは本当に彼が、彼のプロセスももちろん知ってるから。

田辺:なるほど。

桐島:あれは「QUINAULT」キーノルトっていう彼の要するに森のシリーズ。ポートランドの山奥にある。普通の人が行けないところにもう何ヶ月も彼はそこに行って凄い苦労して撮って。それも彼のあのプリント法っていうのは、あのプリントはあの1枚でもうないから、あの色合いはもう絶対に出せないんですよ。

田辺:なるほどね!

桐島:だからあれはまだデジタルでもあそこまでディープなトーンっていうのは出せないし、だからアナログ時代の一番綺麗な森の写真なんじゃないかなって。

田辺:なるほどね。

桐島:最高峰のね。

田辺:やっぱりそのアナログの突き詰められるところの最高に突き詰めた作品って感じ?

桐島:そうですそうです。だからそういった意味ではあれは色が本当に綺麗なんで、色が超深いんで、だから今のデジタルのプリントっていうのは基本的にデジタルだからアナログのプリントの色が出せないんですよ。実は。

田辺:なるほど!

桐島:全然幅が広いんでアナログの方が、だから音楽もよく言うじゃないですか、実はLPの方がCDより音が多いって。まあ、実際そうなんですよ、ただ、もちろんノイズは乗っちゃうけど、とはいえ、レンジでいえばアナログの方がはるかに幅が広いんで。デジタルって言うのはそれを間引いて良いところだけ取って音楽にしてる訳です。
別に写真も、今のカメラっていうのは12ビットとか16ビットで写真が撮れるとはいえフィルムで表現出来る色のレンジのほんの10パーセントくらいだから。だからそういう意味ではフィルムで撮った方がまだ90パーセント余分にある訳ですからね、色情報が。

田辺:なるほどね。

桐島:だからそういう意味では凄いですよ。ただそれがもちろんこれでデジタルが進化したらどっかで追い抜いちゃうだろうし。

田辺:その頃には人工知能かなんかに支配されてる世の中になっちゃってるかもしれないね。

桐島:いや~本当、あっという間ですよ。今そこら辺も、カメラメーカの顧問もやってるから、今だいたい写真のテクノロジーに関してはどこに行き着くかって言うのは分かってるんだけど。もう写真なんて取らない時代になると思う。勝手に撮れちゃってるって時代になって。

田辺:う~ん、なるほどね。

桐島:それで勝手にコンピューターが選んでくれるって時代。そして素晴らしい写真をコンピューターが見つけてくれるって感じですよね。

田辺:どうなんだろうね、そんな世の中。

桐島:いや、そうなっちゃうんですよ。
だから実はどうして90年代の写真とかがこんな高値になっているのかっていうと、車でもなんでもそうだけど、もうそっちに行くことはないんですよ。

田辺:なるほどね。

桐島:もう確実に全てがデジタルになって。実はアートっていうのは実は20世紀で終ったんじゃないかなって俺は思う。これからはコンピューターの方が人間より良いアートを作れる時代になっちゃう。

田辺:なるほどね~

桐島:だって、今まで人間が行って思っていた写真の全部のデーターベース、写真とかアートのがネットに出てる訳じゃない。殆どのものが、それをコンピューターが選ぶ時代になってしまうんじゃないかと思う。

田辺:なるほど、なんか恐ろしい時代になって行きますね~
話は尽きないけどこの辺りで、今日はありがとうございました!

桐島:ありがとうございました!

第一回はこちら!

第二回はこちら!

反射する思い出

 

24日まで白金の児玉画廊にて糸川ゆりえの展覧会「ストーム」が開催中だ。彼女の作品は以前にも見てとても良いなと思ったが今回も素晴らしい才能を見せている。まだ20代ということで今後が更に楽しみな作家だ。彼女の制作スタイルは旅先やふと思い立った時につけるメモから始まる。その時に思い描いたことやストーリーなどをもう一度思い起こし作品にして行くのである。そういえば絵に漂う雰囲気からはどこか夢心地というか、ぼんやりとした記憶のシーンの断片を切り取ったような印象を受ける。絵の方は銀や透明色の絵の具を塗り重ねたりすることで独特の透明感と輝く感じを醸し出している。反射なのか光っているのか定かではない曖昧な輝きがとても魅力的でうす塗りの繰り返された画面は深く浸透した色とテクスチャーと形で出来上がっている。人物、星座、ボート、家などが水辺や山の風景と重なり一種独特な情景を生み出しているのだ。絵の才能は恵まれるか否かだと持っているが彼女は恵まれた才能を有していると思う。海外からの問い合わせも多くコレクターもいるというのも納得出来る作品である。

IMG_4457IMG_4458IMG_4460IMG_4465

桐島ローランド(第二回):ブランドとしてのアート好きな日本人。では日本のアートはどうしたら変わるのか?変われるのか。そして、デジタル時代の到来について。

抽象的になるアートのコンセプト

桐島:日本のアートは悲しいよね、なんか相変わらずチープな感じで、美大生もいつもながらああいう貧乏臭いイメージがあるし。

田辺:こんだけね、経済大国なのに。世界で活躍しているアーティストが余りにも少ないし。

桐島:そうそう。
だから結局日本の企業も一時は会社が投資の目的でアートを買っていたくらいで、でも本当に好きで買っていたかって言うとそうでもないし、ブランドが好きじゃん、結局。だからあんな印象派に何十億もかけたりとかさ、してたけど、なんかやっぱりもったいないことに日本には良いパトロンがいないですよね。

田辺:そうだね。

桐島:自分の目を信じて、こいつを育ててやろうってくらいの人は本当に少ない。俺も何人か知ってるけど本当にその何人かしかいないって感じ。大林組の大林さんなんかもそうだけど、彼の場合は若いアーティストのパトロンになってやろうって意識があるけど、そういう人って本当少なくって。

田辺:狭いサークルで回っているってだけって感じだよね。

桐島:そうそう、凄い狭い。そう。

田辺:そうだよね。

桐島:まあ、小柳さんなんかもそうかもしれないし。でもブランドが好きだよね、相変わらず。最近話題になったほら、何だっけオンラインブランドの。。

田辺:あーZOZOのこと?

桐島:そうそう、バスキア買ったじゃん。

田辺:まあ60億くらいで買ったやつね。

桐島:まあ、本人が好きで買ったんなら良いけどさ。

田辺:まあ、相当にせり上げられて買わされたと思うよ。

桐島:あれはちょっとどうかな。申し訳ないけど。

田辺:まあ、俺は思うけど日本でそういうアートを買える力のある人も結局、じゃあ若手で誰を買おうかっていうのが分かんないと思うんだよね。だからそういう部分も整理されなきゃいけないんだけど、やっぱり日本の美術関係者っていうのがさっき言ったように狭い中で回ってるから一般的にならない?だからお金持ってる人はいっぱいいると思うんだけど違うことにお金使ってる。

桐島:まあ、確かに分からないよね。俺もだって、自分が良いと思ってもね。昔良太が描いてくれた絵とか俺は好きだったし。

田辺:おお、ありがとう。

桐島:あれを家に飾ってたし、別にそれで良いじゃん。だって、じゃあ良太がスーパースターになってくれたらそれはそれで嬉しいけど、そうでなかろうが別に自分が良いと思って飾ればそれでいいわけで、自分の写真もそういうもんだと思うし、誰かが飾ってくれたら嬉しいし。別に俺のネームバリューとか関係ないじゃん。

田辺:うんうん。

桐島:だけど、ブランドが先に走っちゃってるっていうのがある。まあ日本はブランドが好きなんですよ。

田辺:そうだね。

桐島:そういう国民性でそれはしょうがないと思う。別にそれは否定しないし、職人が好きだっていうのも否定しないし、俺もテクニカルなものは嫌いじゃないから。やっぱりこれはちゃんと綺麗に描けてるなとか、ちゃんとしたバックボーンがあるなとか、ベーシックがちゃんと出来てるっていうのがそういうのが嫌いじゃないから。

田辺:うんうん。

桐島:ただ、やっぱり時代の流れはそういう絵を描く人だけがアーティストな訳じゃないから、写真家もアーティストだし、映像作家もアーティストだし、題材がアートだからどっちかというと。だから基本的にはコンセプト。ただそのコンセプトが今凄く抽象的になってて解釈の仕方も自由になった。でも分からない人には分からない。とはいえアートってトレンドがあるからある程度の。印象派だって一つのトレンドだった訳じゃないですか。ポストモダンがあって、そういう時代があって今はそのトレンドの幅があまりにも広くなり過ぎちゃって今はもう何がなんだか分からなくなってきてると思うんですよ。

田辺:うん、そうだね。

桐島:だからそういう意味じゃ非常に難しいと思う。別に俺たちみたいにアートの歴史が分かってた人間からしても、じゃあ次のバスキアはこの人だって言い切れないだろうし。

田辺:そうだね。

桐島:あれもだから運だよね。たまたま。

田辺:そうだね。まあ時代的に最後かなって思うのは最近デジタルが主流になってきて、いろんなところでいろんな人が発信をする?っていうと、アーティストの発信と一般の発信が何が違うのかっていいうのも曖昧になってきているし。

桐島:そう!

田辺:ますます線を引くのが難しくなってきているのかな。

桐島:そう、だからもう結局やったもん勝ちと話題になったもん勝ちって時代になってきてる。確かになってる。

田辺:それはあるね。

桐島:でもしょうがないと思う、それはもう。だからキックスターターみたいのもあればユーチューブみたいのもあって、アーティストが自分を発信する場はいくらでもあるから、昔みたいな言い訳ももう出来ないよね。だから、ギャラリーのオーナーに認められないと俺はブレイク出来ないってことでもないし、そういう意味では誰にでもチャンスはある。世界中の誰にでも世界的なアーティストになれる可能性がない訳じゃないから。

田辺:自分のメディアで発信出来るんだものね。

桐島:そう。そういう意味では、例えばミュージシャンでもいえることじゃないかな。映像作家でもなんでもいえることだけど、正直言い分けが出来にくい環境にはなってる。

田辺:なるほどね。なんか、さっき言っていた今はなんでもありっていうのがあるんだけど、俺はコンセプチャルアートが主流になって以降、なんでもアートになり得るってことになっちゃったけど、やっぱり心に響くっていうのが大事かな。説明されて分かるとか、コンセプトを理解しないと分からないとかじゃなくてやっぱパッと見てパッと感じるのが必要かな。

桐島:そうなんだよね。

田辺:そこが大事かなって思っていて、それはまあ俺がそうなだけでそうでないアートを否定している訳ではないんだけど、分かるんだけど、心に響くかが一つの境界線みたいな?どうですか?

桐島:いや、全くその通りだと思いますよ。だからパーソナルなものだと思うんですよ。万人受けするアートなんてあったらおかしいと思うんですよ。

田辺:うんうん。

桐島:だって人それぞれ、だからそこはしょうがないじゃん。皆さん各自の領域がある訳だから。ようするにそこをくすぐるものかそうじゃないのかによって良いものか悪いものかになる訳だから。もちろんマスに受け入れられたもので素晴らしいものもいっぱいあると思うし。ただ、やっぱり20世紀になってから基本的にはもうコンセプチャルだから。そういうものは何と言うか難しいですよね。

田辺:そうなんだよね、だから専門家のため?ART FOR ART SAKEって良くいうじゃないですか。

桐島:そうそう!

田辺:だからなんかアートのためのアートになっちゃってて、人を寄せ付けないみたいな。

桐島:今のチャイニーズアートなんてまさにそればっかだよね。もうなんか、鼻につくものの方がどっちかっていうと多いよね。なんか、狙い過ぎ!みたいな。

田辺:そうだよね。

桐島:だけどやっぱりやそれは人それぞれだと思う。俺からしたらくどいって思うものがある人にとってはちょうどいいっていう。

写真は終った?

田辺:写真も最近凄い値段が上がっちゃってもうある意味写真というモノの価値?だってはっきり言ったらデジタルデータがあれば何万枚でも作れちゃう訳だけど、プリントの良さだとか、そういうモノとしての写真の良さに人が価値を見出して行くっていう感じなのかなって思うんだけど。

桐島:もう俺は写真は終ったと思う。

田辺:あ~

桐島:ようするに、たぶん90年代までで、もうデジタルの写真になってからはアートじゃないと思う。

田辺:うん、なるほどね。

桐島:もちろん今あの写真あるじゃん、あのでかくて細かい人がいっぱい写ってるようなやつ。

田辺:ああ、アンドレアス・グルスキーね。

桐島:そうそう、グルスキーなんか俺全然良いと思わないし。あれだってCG加工してるじゃん。写真じゃないから。

田辺:そうだよね。

桐島:やっぱり、ナン・ゴールディンとかシンディー・シャーマンとか、あそこら辺が最後の写真であそこら変だよね、異常に値段が上がってるのは。

田辺:そうだね。

桐島:だからもう、例えば森山大道の新宿なんてもうああいう人もいないじゃん。今の新宿に行っても。今新宿行って写真撮っても写真じゃないんですよ。スナップなんですよ。

田辺:なるほどね。

桐島:そう、だからアートにならないんですよ。だからある意味リチャード・プリンスがそこで捻ってインスタの誰が撮ったか分からないのをアートにしちゃってるけど。

田辺:しちゃったね。

桐島:もうそういう時代だと思うんですよね。もう、なんか結局ブランドとしてのアートっていうかな、ブランドだよね。だから写真も同じでたぶん90年代くらいまでのものは作品として価値が上がると思うけどそれ以降のものってもう写真じゃないんだもん。

田辺:そうだよね。

桐島:だから難しいと思いますよ。だから俺も写真は本当に終ったな~って思う。メディアとしては。そりゃあもうみんな言ってますよね。あのニック・ナイトも最近そういうこと言ってたけど。

田辺:あ~そうだよね。

桐島:そうそう、だから本当に彼の言ってる通りだし。あとなんか時代がそういう意味では面白さがないって言ったら変だけど、まあ、これからまた面白くなる可能性もあるし。でも戦争の写真とかドキュメントな写真でさえなんかアートフィッシャルに見えてきちゃう。だって今なんてナショナル・ジオグラフィーで撮ってる人とかでも自分でデジタル加工してる訳だから。もう写真じゃないんですよ、だって、アングル変えれちゃうんだもん。

田辺:そうだよね。

桐島:ここの手が邪魔だからちょっと消しちゃえとかさ。そういうのをドキュメントな写真のフォトジャーナリストが平気でやっちゃう時代だから。

田辺:リタッチとかしちゃったりね。

桐島:そうなんですよ、もうだからそういう意味ではその写真っていう昔撮れた偶然の瞬間というか、もちろんデジタルでも偶然は撮れるんだけど、もう信憑性がなくなったし、それだけじゃなくて、昔の人間ってやっぱり背景が面白かった訳じゃない。

田辺:うんうん。

桐島:やっぱり70年代の新宿はもうない訳だから。

田辺:ないね~

桐島:そう、だからあの時そんな狙いでも何でもなく撮ってたと思うんですよ。今ゴールデン街に行って写真撮ったらそれって狙ってるじゃん、なんか。

田辺:そうだね。リアルじゃないよね。

桐島:見せ物にしようとしてるだけなんだもん。

田辺:なるほどね

桐島:アヴェドンとかはもちろんアメリカンウェストって言うのがあれは見世物小屋だってクレームもあるけどでもあれは70年代のアメリカのドキュメントでもある訳じゃん。

田辺:そうだね。

桐島:そういう意味ではあれを越すものはないと思うし。

田辺:それじゃあ、アートとして存在していた写真っていうのはもうノスタルジックな中にある?

桐島:写真はそうだよね、今アヴェドンと全く同じことやって世界のフリークを売店で撮ってさ、どんなに綺麗にプリントしても別にって感じになっちゃうと思う。

田辺:なるほどね。

桐島:やっぱりもう時代が時代なんだよね。そう思わない?なんか。だって今はフェイスブックとかでいくらでも凄い写真あるじゃん!

田辺:ある!

桐島:もう本当に凄いよね、毎日のように誰かがタイムラインに凄い作品をアップするんだけどパッと見てあ、凄い!で終っちゃうのよ。

田辺:そうだね。

桐島:昔だったら苦労して写真見て、写真集とか買ってそれが宝になるじゃない。だから宝って本当になくなってきたなって思う。ただ、本当はあるんですよ、いくらでも、いくらでもあるんだけどその形がまた様々で。インスタレーションにしたって壁に飾れるようなものじゃなくなってるし。

第三回に続きます!

第一回はこちら!

第三回はこちら!

桐島ローランド(第一回):海外と日本のアートに対する考え方の違いなどの話や日本のアートはどうしたら変わるのか?変われるのかなどの話。

海外と日本のアートに対する考え方の違い

田辺:今日はどうも、よろしくお願いします!
久しぶりですよね!

桐島:そうですね!

田辺:あの、今回はお友達と会って、その方の持ってるアートを見ながら色々とお話しをしましょうという企画なんです。

桐島:はい。

田辺:まず、このトピックが多いんですけど、僕もローリーもニューヨークにいて、日本に帰ってきてしばらく経って、まあ、アートには興味があると思うんですけど、まず、海外と日本のアートに対する発信する側の違い?まあ、海外だとギャラリーが沢山あってミュージアムも身近にあって。。

桐島:うん、そうだね~

田辺:そういう違いとかってどう思います?

桐島:まず、敷居が低いよね!
確実にいえることは。

田辺:海外の方がね?

桐島:海外はとにかく敷居が低くて、ギャラリーなんかも基本的にはただで入れるし、あと一般の人が別にそんなにアートに詳しくなかったとしてもそういうところに入って、買う時もあるからね。

田辺:そうですよね。

桐島:そう!全く知らない作家でも自分が良いと思ったら買ってくれる。そういうパトロン的な存在がマスにいるって感じ。日本だと特殊な人しかアートって買わないと思うし。

田辺:そうだね。

桐島:見に行くのも本当に好きで見に行ってる人だらけで、海外はもっとカジュアルにアートに触れてるんじゃないかなって。また本物が町中にあるっていったら変だけど、パリとか、オランダとか、そういうところに行けばもうアートが街中にありますよね。イタリアのフィレンッエなんか特にそうだけど。だからやっぱりそういう環境で当たり前に育ってる人達が羨ましいな~って思う。日本だとやっぱり隠されてるから全てが。

田辺:なるほどね。

桐島:隠されてるしやっぱり、例えば有名な画家の個展が日本で行われると長蛇の列で、一つの作品も見れて5秒?みたいな?向こうって平日の午前に美術館行ったら独り占め出来ますからね。

田辺:そうだね~

桐島:まあ、最近はそうでもないみたいだけど、俺たちが学生の時なんてメトロポリタン行ったらガラガラだったじゃん?

田辺:うんうん。スケッチしてる人がいたりね。

桐島:そうそう!まあ、さすがに今はメトロポリタンも人だらけみたいだけど。。

田辺:よく海外だと子供が、ほら課外授業で!いわゆる鑑賞教育っていうの?そういう育つところからアートが身近ってのもあると思うけど。。

桐島:そうだね、やっぱり枠にはめないところとか、皆が自分の目を信じる力を持ってるから。まあ、そういう教育してるじゃないですか。

田辺:そうだね~

桐島:だから子供もそうだけど、自分が好き嫌いっていうのは自分で決めるから。やはり日本って一つの枠に固めようとするじゃないですか?何が良くて何が悪いのかっていうのをすぐにほら、数値的にとか論理的に決めつけたがるところがあるけど、アートなんて実際そんなのないから。

田辺:そうだよね。学校なんかでも絵に点数付けたりとか、まあ日本人があんだけ英語勉強してても英語喋れないのと同じで美術っていうのも一つの点数の対象になってて楽しみを教えないっていうかね。

桐島:そう、だからデッサンもリアルに描くんじゃなくてその人のスタイルを貫かせるっていうのが本来の教育の仕方だと思うし。まあ写真も同じですよ。日本の教育法は。最近やっと良いところも出てきてるけどやはり10年以上遅れてますよね。

田辺:技術にばかりこだわるとか?

桐島:いや、それはまだありますよ、だからアートでもテクニカルなものを好む?日本人はそもそも職人が好きだから。それはそれで僕は悪いことじゃないと思うんですよ。テクニカルも必要というかピカソだってテクニックはある訳だから。

田辺:うんうん。

桐島:抽象的なものを描くようになったけど。結果としては。基礎がちゃんとできてるから。それと落書きとは全く違う訳だから。

田辺:そうだね。

桐島:それは絶対にあるし、ただ、日本はその基礎っていうものにこだわり過ぎてるところがどこかあるんじゃないかって。

田辺:なんか、こう日本人って不安になっちゃうっていうか、なんか、自由にやっていいって言われるとなにも出来なくなっちゃうみたいな?

桐島:はいはい、縛られるのが好きなんですよ。

田辺:アートなんて一番自由であるべきものなのに。人がいいっていったものを買うとか。皆が駄目っていったものは自分が気に入っててもそう言えないとか。そういう気質みたいなのもあるのかもしれないですね。

桐島:まあ、アートって凄いパーソナルなものだから好みだって違って当たり前だし。この作品、こんなのゴミだって思うものが他の人の宝であって、良いんですよそういうものだと思うから。そしてたまたまそういう意味でゴミだったのも後になってアートになって行く時もあるし、でも、まあ、今のアートの在り方っていうのもどっか問題はあるなと俺は思う。別にそれはもう日本だけじゃなくて世界的にアートっていうものがとってもコマーシャルになっちやって。

田辺:そうだね。

桐島:なんか、ある意味自由になり過ぎちゃったところがあって。なんかなんでもありになってるよね、一般の人もそうだし。ただ疑心暗鬼になっても仕方ないけど。でもアートってとにかくこれなんか気になるっていうことで良いと思うから。そういうものじゃないですか?それで別に癒される必要もないと思うし。人それぞれだから、体験っていうのは。

田辺:じゃあ、そういう色々な理由があって日本と海外の差ってある?

桐島:うん、絶対にありますよ!まあ、日本はもともとそういうものを否定したがるっていうか、なんか数値化出来ないものを見下すことがあるからアーティストに対するリスペクトが基本的にないな~っていう、そういうクリエーティビティーに対する尊敬がなくて、お医者さんですとか、弁護士ですとかっていうと尊敬されるけど、自分が写真家だっていうと水商売じゃんっていう、そこの差はずいぶんある。

田辺:そうだね、画家っていうと貧乏だみたいなね。

桐島:そうそうそう!

田辺:そういうイメージだったり、偏見があるよね。

桐島:そうそう。
だからそういう意味では中国の方が全然上ですよ。

田辺:そうだよね。

桐島:中国はアーティストに対するリスペクトは非常にあるから。

田辺:そうだね。

桐島:だから今チャイニーズアートの方が日本より全然元気だし、マーケットも凄いことになってるし。

田辺:そうだよね。

桐島:日本のアートは悲しいよね、なんか相変わらずチープな感じで、美大生もいつもながらああいう貧乏臭いイメージがあるし。

田辺:こんだけね、経済大国なのに。世界で活躍しているアーティストが余りにも少ないし。

桐島:そうそう。
だから結局日本の企業も一時は会社が投資の目的でアートを買っていたくらいで、でも本当に好きで買っていたかっていうとそうでもないし、ブランドが好きじゃん、結局。だからあんな印象派に何十億もかけたりとかさ、してたけど、なんかやっぱりもったいないことに日本には良いパトロンがいないですよね。

田辺:そうだね。

桐島:自分の目を信じて、こいつを育ててやろうってくらいの人は本当に少ない。俺も何人か知ってるけど本当にその何人しかいないって感じ。大林組の大林さんなんかもそうだけど、彼の場合は若いアーティストのパトロンになってやろうって意識があるけど、そういう人って本当少なくって。

田辺:狭いサークルで回っているってだけって感じだよね。

桐島:そうそう、凄い狭い。そう。

田辺:そうだよね。

桐島:まあ、小柳さんなんかもそうかもしれないし。でもブランドが好きだよね、相変わらず。最近話題になったほら、何だっけオンラインブランドの。。

田辺:あーZOZOのこと?

桐島:そうそう、バスキア買ったじゃん。

田辺:まあ60億くらいで買ったやつね。

桐島:まあ、本人が好きで買ったんなら良いけどさ。

田辺:まあ、相当にせり上げられて買わされたと思うよ。

桐島:あれはちょっとどうかな。申し訳ないけど。

田辺:まあ、俺は思うけど日本でそういうアートを買える力のある人も結局、じゃあ若手で誰を買おうかっていうのが分かんないと思うんだよね。だからそういう部分も整理されなきゃいけないんだけど、やっぱり日本の美術関係者っていうのがさっき言ったように狭い中で回ってるから一般的にならない?だからお金持ってる人はいっぱいいると思うんだけど違うことにお金使ってる。

桐島:まあ、確かに分からないよね。俺もだって、自分が良いと思ってもね。昔良太が描いてくれた絵とか俺は好きだったし。

田辺:おお、ありがとう。

桐島:あれを家に飾ってたし、別にそれで良いじゃん。だって、じゃあ良太がスーパースターになってくれたらそれはそれで嬉しいけど、そうでなかろうが別に自分が良いと思って飾ればそれでいいわけで、自分の写真もそういうもんだと思うし、誰かが飾ってくれたら嬉しいし。別に俺のネームバリューとか関係ないじゃん。

田辺:うんうん。

桐島:だけど、ブランドが先に走っちゃってるっていうのがある。まあ日本はブランドが好きなんですよ。

田辺:そうだね。

桐島:そういう国民性でそれはしょうがないと思う。別にそれは否定しないし、職人が好きだっていうのも否定しないし、俺もテクニカルなものは嫌いじゃないから。やっぱりこれはちゃんと奇麗に描けてるなとか、ちゃんとしたバックボーンがあるなとか、ベーシックがちゃんと出来てるっていうのがそういうのが嫌いじゃないから。

田辺:うんうん。

アートのトレンド

桐島:ただ、やっぱり時代の流れはそういう絵を描く人だけがアーティストな訳じゃないから、写真家もアーティストだし、映像作家もアーティストだし、題材がアートだからどっちかというと。だから基本的にはコンセプト。ただそのコンセプトが今凄く抽象的になっててどう解釈するのも自由になったっていう意味では、でも分からない人には分からない。とはいえアートってトレンドがあるからある程度の。やはりそれは印象派だって一つのトレンドだった訳じゃないですか。ポストモダンがあって、そういう時代があって今はそのトレンドの幅があまりにも広くなり過ぎちゃって今はもう何がなんだか分からなくなってきてると思うんですよ。

田辺:うん、そうだね。

桐島:だからそういう意味じゃ非常に難しいと思う。別に俺たちみたいにアートの歴史が分かってた人間からしても、じゃあ次のバスキアはこの人だって言い切れないだろうし。

田辺:そうだね。

桐島:あれもだから運だよね。たまたま。

田辺:そうだね。まあ時代的に最後かなって思うのは最近デジタルが主流になってきて、いろんなところでいろんな人が発信をする?っていうと、アーティストの発信と一般の発信が何が違うのかっていいうのも曖昧になってきているし。

桐島:そう!

田辺:ますます線を引くのが難しくなってきているのかな。

桐島:そう、だからもう結局やったもん勝ちと話題になったもん勝ちって時代になってきてる。確かになってる。

田辺:それはあるね。

桐島:でもしょうがないと思う、それはもう。だからキックスターターみたいのもあればユーチューブみたいのもあって、アーティストが自分を発信する場はいくらでもあるから、昔みたいな言い訳ももう出来ないよね。だから、ギャラリーのオーナーに認められないと俺はブレイク出来ないってことでもないし、そういう意味では誰にでもチャンスはある。世界中の誰にでも世界的なアーティストになれる可能性がない訳じゃないから。

田辺:自分のメディアで発信出来るんだものね。

桐島:そう、だからそういう意味では、例えばミュージシャンでもいえることじゃないかな。映像作家でもなんでもいえることだけど、正直言い分けが出来にくい環境にはなってる。

田辺:なるほどね。なんか、さっき言っていた今はなんでもありっていうのがあるんだけど、俺はコンセプチャルアートが主流になって以降、なんでもアートになり得るってことになっちゃったけど、やっぱり心に響くっていうのが大事かな。説明されて分かるとか、コンセプトを理解しないと分からないとかじゃなくてやっぱパッと見てパッと感じるのが必要かな。

桐島:そうなんだよね。

田辺:そこが大事かなって思っていて、それはまあ俺がそうなだけでそうでないアートを否定している訳ではないんだけど、分かるんだけど、心に響くかが一つの境界線みたいな?どうですか?

桐島:いや、全くその通りだと思いますよ。だからパーソナルなものだと思うんですよ。万人受けするアートなんてあったらおかしいと思うんですよ。

田辺:うんうん。

桐島:だって人それぞれ、だからそこはしょうがないじゃん、皆さん各自の領域がある訳だから、ようするにそこをくすぐるものかそうじゃないのかによって良いものか悪いものかになる訳だから。もちろんマスに受け入れられたもので素晴らしいものもいっぱいあると思うし。ただ、やっぱり20世紀になってから基本的にはもうコンセプチャルだから。そういうものは何というか難しいですよね。

田辺:そうなんだよね、だから専門家のため?ART FOR ART SAKEって良くいうじゃないですか。

桐島:そうそう!

田辺:だからなんかアートのためのアートになっちゃってて、人を寄せ付けないみたいな。

桐島:今のチャイニーズアートなんてまさにそればっかだよね。もうなんか、鼻につくものの方がどっちかっていうと多いよね。なんか、狙い過ぎ!みたいな。

田辺:そうだよね。

桐島:だけどやっぱりそれは人それぞれだと思う。俺からしたらくどいって思うものが、ある人にとってはちょうどいいっていう。

第二回に続きます!

第二回はこちら!

第三回はこちら!

太中ゆうきの初個展「発端」

8月27日から10月1日まで太中ゆうきの初個展「発端」が開催されている。児玉画廊が定期的に開催するグループ展「ignore your perspective」の34回目、「空間の風景」で初紹介されて以来、今回初めて個展という形で彼の絵画世界を見ることが出来た。絵画という手法で若手作家が新たな試みを追求しているのを見るのは嬉しいことだ。太中ゆうきの絵は個展のタイトルにもあるように「発端」を大切に描かれて行くという。画家なら誰でもまず真っ白のキャンバスに向き合ってから絵を描き出すのだが太中ゆうきもそれは変わらない。そこからが彼独自の描き方なのだが、まず彼は絵の描き始めの「発端」として取るべき行動を一つ決めるのだそうだ。「とりあえず棒を描けば良い」といった具合に彼は「発端」としての行動コマンドを考えて始動する。制作するという行為を司る行動原理を元に「何を描くか」ではなく「どう描くか」を考えるのだ。こうして「発端」にあるコマンドをもとに思考を重ねつつ描き進める行為の蓄積が最終的に画面を埋めて行く。彼の絵には風景のようなイメージやパターンの連続のような絵もあるが全ては「発端」から生まれているのだ。最初からその絵があったのではなく「発端」のプロセスがこの絵を生み出したと考えつつ見ると非常に面白いことに気が付く。これは作家の制作姿勢としての「発端」から導き出された完成形の絵を鑑賞者が今度は逆に遡って謎解きするような不思議な感覚でもある。太中ゆうきの絵は、絵という表現手段の無限の可能性の「発端」を文字通り見せてくれるような興味深い作品である。IMG_1756IMG_1760IMG_1758IMG_1754

唯一無二の存在感で輝く陶磁器

六本木ヒルズ内のミュージアムショップ横にあるA/Dギャラリーに青木良太展を見に行った。彼は小山登美夫ギャラリーの作家であるが今回はA/Dギャラリーにて個展を開催した。ギャラリー内には彼の新作が並び隣にあるヒルズのミュージアムショップでは日常使いの磁器が販売されている。存在感が圧倒的なオブジェのような作品で知られる青木だが生活用磁器はアート作品とは違って美しい普段使いの食器になっている。このようにそれぞれ全く違う陶磁器を巧みに作る青木の制作への姿勢はアーティストであると同時に職人だ。色々な陶磁器を作る青木だがやはり最も注目すべきは不思議な形の存在感が圧倒的なオブジェの作品群だ。大小さまざまなこれらの作品は重力をものともしないような異様な姿で立ち並んでいる。色、形、質感で陶磁器の持つ魅力を最大限に発揮しつつも斬新な可能性を模索し続ける。海外からも高い評価を受けているという彼の制作活動には今後も大いに注目し続けたいと思う。展覧会は8月19日から9月11日まで開催中です。

IMG_1677IMG_1681IMG_1689

時間と相対するということ

東急BUNKAMURAギャラリーで8月4日から14日まで友人の市村しげのが展覧会するのでレセプションにお邪魔した。市村しげの展「Time and Relativity-時間と相対」では彼の代表作のドット(点)を沢山描き込んだ作品や新作も展示されている。僕が彼と知り合ったのはかれこれ25年くらい前のニューヨークだ。当時のニューヨークはまだ今のように安全な街ではなくクラブカルチャーもまだ残っていたと思う。アートシーンもキースヘリングやバスキアなんかがスターになっ直後でアメリカのアート界がまだまだ輝いていた時代だったと記憶している。1997年、市村しげのは当時人気のアーティストだったスターンツインズが選考委員をするテキサスのアートコンペで入賞しアーティストとしてのキャリアをスタートさせた。その時に描いた作品は銀一色の絵画だが、それは絵というよりも幾何学模様のような不思議な作品だった。数えきれないほどのドット(点)を丹念に描き続けることによって生み出されるその作品はちょっと見たことのないインパクトを見るものに与える。そして彼はその修行か試練のような作風をずっと続けてきてるのだから感嘆する。一つづつのドット(点)は意味をなさないがそれが数えきれないほど沢山描かれ幾何学的な模様に配列されるとそこに美しい静寂の美が現れる。彼の作品にはそんな不思議なパワーがあるように思うが、それにしてもこの作風を貫き通すというのは相当な根性というか執念が必要だと思う。制作には時間だってかかるだろうし間違った配列や大きさのドット(点)を描いたら台無しになってしまうような繊細な作品には神経も使うはずである。展覧会のタイトルの「Time and Relativity-時間と相対」にはそういう作品が生まれるために作家がキャンバスに相対さなければならない時間という意味が込められているように感じた。IMG_1544 IMG_1546 IMG_1549 IMG_1558

「宇宙と芸術展」

7月30日から2017年1月9日まで六本木の森美術館で「宇宙と芸術展」が開催される。宇宙とは壮大なテーマだが、考えてみれば我々はいつも宇宙の中にいるのだし宇宙の一部なのである。遠い昔から人は夜空の星を見つめ、そこに広がる星空の美しさと不思議に魅了され続けてきた。今回の展示では曼荼羅から現代アートまで宇宙というキーワードで古今東西の様々が集められた。隕石、化石、ダ・ヴィンチやガレリオの天文学書、曼荼羅や竹取物語の絵巻、そして現代アーティストの作品。この展覧会では今まで生きてきた人々、そして今を生きる現代作家達がそれぞれ宇宙に迫る様を一堂に見れるのである。日本最古のSF小説といえる「竹取物語」の絵巻と今最も注目されるチームラボが同じ展覧会で見れるのだから実に面白い。日本の作家で注目なのは森万里子、杉本博司、そして空山基による等身大セクシーロボットも登場する。海外の作家も多く、トム・サックスのスペースシャトルやビョーン・ダーレムの大型インスタレーションは見応え十分だ。渋いところでは巨大なアンドレアス・グルスキーの写真やヴォルグガング・ティルマンスの撮りおろし作品も見逃せない。メディアアート集団チームラボの映像作品では衝撃的360度映像で無重力感を味わえるので実際に体験して欲しい。今年いっぱい続くこの「宇宙と芸術展」は我々の身近な宇宙について驚いたり感動したりしながら考えさせてくれる面白い企画展である。

IMG_1429 IMG_1432 IMG_1436 IMG_1455

横山拓也「運動とテクネー」展

7月20日から8月8日まで8/ART GALLERY/TOMIO KOYAMA GALLERYにて横山拓也「運動とテクネー」展が開催中だ。陶芸作品展というべきかオブジェ作品展というべきか。大皿や茶碗もあるが使うよりもむしろ見て楽しむべきオブジェ達という感じがする。大きな白い壷のような作品がギャラリーの奥に並んでいてその姿は圧巻だ。よく見ると壷の上部にわずかなアナが空いているからやはり壷なのだろうか、しかし、壷として機能するようには作られていない。焼物の既成概念に囚われていない自由奔放な作品表現が陶芸作品では納まりきれない広がりをそれぞれの作品に与えているようだ。また壷の白い磁器の表面の質感も独特で白の中にもグレーが混じっていたり様々な表情を見せている。茶碗のような作品にしてももちろん茶碗として茶の湯に使えるとは思うがそのいくつかは極限まで湾曲させて作られているので茶碗というよりもオブジェという方がしっくりくる気がする。異なった形や大きさのこれらの陶器の作品はまるで作られたというよりもそうなるべくしてなったような力強い姿で迫って来る。展覧会のタイトルに使われている「テクネー」とは「テクノロジー」の語源となるギリシャ語だそうで人間が自然の中に心理を発見し開示する技術を指すのだという。粘土に少しづつ変化を加えながら素材の持つ運動を連鎖させて形を見出す技術がこの作家の制作姿勢であるという意味が込められているのか。素材との共同作業で既にある形に辿り着く作業とでもいうのだろうか、そういった必然性の持つ説得力のような力を感じる作品である。静かなギャラリーで存在感十分な陶芸作品と対峙しながら色々と考えたり、または心を無にしてただ眺めるというのも面白いのではないかと思う。

IMG_1389 IMG_1397 IMG_1403 IMG_1405

網膜で感じる「絵でしか表せない世界」

7月9日から8月6日まで白金のARATANIURANOギャラリーにて坂本夏子の展覧会「画家の網膜」が開催されている。デジタルを駆使したメディアアートなど様々な表現方法が現れる昨今だが自分は手で描かれた絵が好きだ。キャンバスなどに丹念に描かれた絵が一つの存在として好きなのである。そんな絵が好きな自分にとってこの展覧会、「画家の網膜」にはとても心惹かれた。坂本夏子さんは一貫して「絵でしか表せない世界」を描きたいと唱え続けて来たそうだ。絵画という世界でしか存在しない世界、絵という手法でしか表現出来ない作家が心で見た独自の世界。そんな風景を「絵でしか表せない世界」として描こうとしているのだろうか。この展覧会に寄せた作家のメモを読んでみるとその意図が分かって来る気がする。「わたしにとって絵とは、すでにあるイメージを表出するためのものではなく、未だ無い空間にふれるための方法なのです。」作品は日頃ノートに描くドローイングやメモ、落書きなどから生まれるそうだ。作家はそれらをキャンバスに向かって描くことで絵の世界と結びつけ描き進めながら絆を深めて行くのだ。例えばどんなに写実的な絵であってもそれは絵にであって現実ではない、作家の見た世界なのだ。この展覧会を見ながらそんな基本的なことに気づかされ改めて見たものを表現するという行為の不思議さを感じた。

IMG_1246 IMG_1247 IMG_1248 IMG_1249

 

ignore your perspective 34 「風景の空間」

ignore your perspective 34 !

いつものものの見方を無視してみて見る?

児玉画廊にて8月12日までignore your perspective 34 「風景の空間」展が開催されている。これはシリーズ化されたグループ展で今回が34回目となる。個人的にはignore your perspectiveというタイトルが格好いいと思うがどう訳すべきなのか?perspectiveは物の見方や遠近法なんかも意味する。ignoreは無視するという意味だ。あなたの見方を無視する?つまりいつものものの見方を無視して見ろ!みたいな感じか。このグループ展、毎回掲げられる作品の制作テーマも面白いが参加する作家が毎回違うのも面白い。それぞれの作家がテーマに沿った制作作品を展示するのだが同じテーマでもこんなに違った作品になるのだといつも感心しつつ見てしまう。絵で表現する作家もいればオブジェで表現する作家、立体造形物で表現する作家など、表現の無限の可能性を垣間みれる。今回のグループ展のテーマは「風景の空間」だというがもちろんいわゆる風景や情景ではないそうだ。参加作家の1人の「風景の作家とそうでない作家がいる」という発言に端を発してこのテーマが掲げられたというが作品を作る制作上のベクトルが一本に収束している作家とそうでない作家がいるのだそうだ。一つの作品で何か沢山のことを言おうとしている、または結果として言えてしまっているような作家を「風景」の作家と定義する。ちょっと難しいけどようするに一つの作品で一つのことを語る作家と多くを同時に語る作家という2タイプいるというような意味か?そんなテーマ設定の裏話など読みつつ展示された作品を見て行くとなんとなくそれぞれに違った作品なのだがその作品には見る側に様々な感じ方や見方を与えるような制作意図があるように思えて来た。特に抽象的な作品は本当に見る人によって受け取るものは様々なのだと思う。いろんなアートがあっていろんな感じ方があるから面白いんだなあと思いつつ次回のグループ展のテーマにも期待したい!

IMG_1224 IMG_1228 IMG_1232 IMG_1234

弁当箱にカラフルなウンチ!?会田誠の新作。

8月20日までMizuma Art Galleryにて会田誠の新作展が開催されている。何かと話題を提供する天才、会田誠だが、今回は抽象的な作品と聞き面白そうなのでオープニングに行った。「ランチボックス・ペインティング」シリーズと題された作品はコンビニやスーパーなどで売っている弁当の箱にカラフルな発砲ウレタンでウンチのような造形物が乗っかった奇妙な作品だ。こんな作品を大真面目に作って発表する人は会田誠しかいないだろうと思わず唸ってしまう。作家のステートメントシートが会場にあったので読むとこれがまた面白かった。遡ると2001年の横浜トリエンナーレの搬入作業で出された弁当を食べ終わって空き箱を見た時に限定された四角い枠や仕切りと配置などに絵画のアナロジー感じたこと。発砲ウレタンという材料をふんだんに垂れ流し状態で使うのは「もったいない精神」へのアンチテーゼがあること。また、絵の具に使ったターナーのアクリル・ガッシュは下の色を完全に隠蔽する「塗り絵」に適している点と日本の伝統色やパステル色、メタリックなど「趣味的」「邪道」な色が揃っている点などだとのこと。着想が面白過ぎて思わず笑ってしまったがもちろん本人はいたって真面目に考えてのことなのだろう。俗にいうタブーを打ち破るアートを作り続けて来た会田誠だが、今回もかなり衝撃的な作品を作ってしまった。ここまで来るとゴミもアートも区別はない訳だが実際にマルセル・デュシャンが便器を作品として発表した時点でアートの行き先は最終的にはこうなって来るということなのだろう。それにしてもどう見ても弁当箱に色々なカラフルなウンチが盛られている作品はアートのどの文脈に寄って語られるのか?これこそマージナル・アート(限界芸術)というものなのかもしれない。

IMG_1128IMG_1132IMG_1136IMG_1135 

“FAR FROM HOME” by Ly

西麻布にあるCALM&PUNK GALLERYにてアーティストLyによる展覧会”FAR FROM HOME”が6月26日まで開催中されている。“SHIT”“HATE”などの怒りのエネルギー満載のLyの作品は白と黒、そしてグレーの世界で構成される。そこに現れる黒いモンスターやスケボーカルチャー、グラフィティカルチャー。アメリカのサバーバンなストリートカルチャーの見事な描写は日本人とは思えないオーラを放つ。東京以外にも彼女の作品はパリやロスアンゼルスでも人気だというがこの独特の白黒の世界は世界中の若者の心の中にある孤独感や疎外感、怒りなどと共鳴する魅力があるのかもしれない。会場は壁一面がキャンバスと化し、中央には木製の巨大モンスターのオブジェが陣取っている。LyのオリジナルTシャツやペイントセットなども販売していて面白い。また、6月25日26日には巨大モンスターオブジェの解体ショーもあるとのこと。面白い趣向である。IMG_0876 IMG_0879 IMG_0880 IMG_0886 IMG_0888 IMG_0890

和田真由子個展「隣人」

7月2日まで白金の児玉画廊で和田真由子「隣人」展が開催中だ。彼女の作品はグループ展で見たことはあるが今回は個展なので数多くの作品を一度に見ることが出来た。淡く儚い影のようなイメージはキャンバスではなくビニールシートの上に鉛筆などで描かれている。そしてそのビニールシートはキャンバスの木枠のストレッチャーの様な装置の上にだらりと垂れかけられる。壁面に設置された木枠の上に平然と垂れかけられたビニールのイメージは透けているのでレイヤーとなって立体的にイメージを見せてくれる。また、照明を受ける垂れたビニールのしわはイメージに独特の表情を与えているようにも思う。彼女は頭に浮かんだもののイメージを記憶を頼りに描くのだという。そうすることによりそのイメージは具現化され見るものに伝わる。イメージにボディーを与えると語るその手法は頭の中に存在する図像を可視化させるという作業。個々が勝手に頭の中で描いている馬や植物、犬などのイメージは様々である。彼女は作品を通して彼女にとってのそれらを表現しボディーを与えるのだ。ビニールに近づいて見ると表面には筆で塗られた質感が見て取れるがこれは透明の塗料で作られた独特のテクスチャーである。そこに描かれる淡いイメージ、垂れ下がったビニールの儚さ、重なり合うイメージの放つ偶然性にも似た面白さ。隣人と題されたこの作品は誰の頭の中にも図像としてだけ存在するもの達に小さな命を与えたような不思議な佇まいの作品だと思う。

IMG_0770 IMG_0771 IMG_0772 IMG_0773 IMG_0774 IMG_0775

白く透き通る魅力!クー・ポンチャン写真展「白磁」

渋谷ヒカリエにある8/ART GALLERY/Tomio Koyama Galleryにて写真展を見た。

5月16日まで開催中のクー・ポンチャン写真展「白磁」は美しい白磁の写真展。

世界的に評価の高い韓国の写真家クー・ポンチャンは母国の宝を丁寧に写真に収めている。

日本民藝館の協力を得て柳宗悦が蒐集した白磁のコレクションを撮影したのだそうだ。

かつて白磁は王朝貴族に愛用されたが近代には庶民にも愛された韓国を代表する陶器だ。

飾り気がなく素朴で美しい白磁は柳宗悦始め欧米などのコレクターに蒐集された。

その結果、今となってはその多くは海外でしか見ることが出来なくなってしまったのだそうだ。

その経緯を知ったクー・ポンチャンは世界中を飛び回りコレクターの許可を得て白磁の写真を撮っている。

白く透き通るきめ細かいその美しさを静寂な写真の中にとどめようと丁寧に撮影された写真は素直に美しい。

プリントはプラチナプリントで非常に繊細な白磁の表面の滑らかさまで明確に再現しているようだ。

まるでそこに白磁そのものがあるような存在感が見事な写真作品となっている。

IMG_0317 IMG_0321IMG_0321

髙島郁夫(第二回):今後、フランフランでのビジネス的に、または個人的に考えているアートとの関わり方。

日常の暮らしの中でのちょっとしたアイデアとか楽しさ

田辺:今後ですが、ビジネス的にでも個人的にでも良いんですがアートとの関わり?といいますか、まずはビジネス的なら今おっしゃったようにキッチンとか新しい空間にアートを入れて行くみたいな?

髙島:うん、そうだね。やっぱりフランフランが持っている役割って、本当に世界中を知り尽くした人達っていうよりは、日常の暮らしの中でのちょっとしたアイデアとか楽しさとか、そういうのを提供しているブランドだから、そういう下地になるようなそれこそ何千万とか何億っていうアートに行くまでの過程の中でちょっとした手助けをするヒントみたいなね、そういうものを与えられるブランドでありたいっていつも思うな。

株式会社BALS 髙島郁夫氏、田辺良太

田辺:なるほど。

髙島:だからちょっとしたポストカードでも写真でも、飾りようによってはアートになるし、そんな楽しみ方はどんどん提供して行きたいなとは思ってます。

田辺:なるほど、個人的にはどうですか?アートとの関わりっていうのは?

髙島:個人的にはね、まあ、家族も、娘が結婚したりとかしてね、これからどんどん家族の人数も減って行くステージになるからそんな中で自分も色んなものを減らしたりしてるんだけど、例えば洋服も減らして行くとか、車も台数減らして行くとか。
そんな中で今までの人生で色々集めてきたアートも整理したいなって思ってて。

田辺:なるほど。

髙島:そう、だから出来ればもしも10枚あるならばそれを一度全部売って1枚に集約したいなみたいな。そんなような気分ですね、今は。

田辺:楽しみですよね、それも。

髙島:そうだね。

田辺:そんな中で今お持ちのものを整理したとして将来的に欲しいって思うようなアートは?なにかありますか?

髙島:う~ん、欲しいと思うものね。。
なんか、自分としては個人的にはやはり写真が一番好きかな。

田辺:なるほど!

髙島:だから、ハッピーにになれる写真とか自然を捉えた写真とか、あとは多少セクシーなものがあるとか、そういうのに興味が湧いちゃうんだよね。

田辺:やっぱりちょっとインパクトがあるとか?

髙島:う~ん、そうだね。

髙島さんお気に入りのアート

田辺:なるほど、分かりました。え~この対談の最後にはお持ちのアートを一点ご紹介頂くんですけどこの部屋が既にアートで溢れてるんでなんなんですけど。笑
どうしますか?どれにしましょうか?

髙島:あ、そうか、それをやんなきゃならないんだっけ。

田辺:はい、一つご紹介頂いて、それの写真を撮りますので。

髙島:あ、そうなの。どれにしようかな。

田辺:青木克世さんとか凄い売れましたよね。

髙島:売れたのかな?

田辺:売れてますよ~~もう何百万とかするんじゃないですか?

髙島:へぇ~そうなの。あ、でもじゃあ、あれにしようかな、ケーススタディーハウスにしようかな。

田辺:あ、いいですよ。

髙島:ここにあるんだけど。

Julius Shulman "The Stahl House (Case Study House #22)"

田辺:あ、良いですね~
では、写真ということで、ケーススタディーハウスの写真ですね。

髙島:うん、あと、あれも好きだよウィリアム・クライン。

田辺:あ~ウィリアム・クライン!
はいはい、買いましたよね。

髙島:あれも好きだよ。

田辺:ウィリアム・クラインも人気ありますよね、アートフェアとかで。
このケーススタディーハウスは誰が撮ってるんですかね?

髙島:ジュリアス・シューマンとかっていう人かな。

田辺:ジュリアス・シューマン?
じゃあちょっと調べてみます。
良い写真ですね、歴史的な一枚です。

髙島:いいよね。

田辺:はい!では、今日はありがとうございました。

髙島:はい、ありがとう!

髙島郁夫さん第一回はこちら

髙島郁夫(第一回):あなたにとってアートとは?どんなアートが好きですか?生活の中でのアートについてなど。

髙島さんにとってアートとは何ですか?

田辺:今日は、ありがとうございます!

髙島:はい!

田辺:アートランダムという中でmy art collectionという対談をさせて頂いてまして、今回は記念すべき10回目に髙島さんとお話しをさせて頂くわけですが、質問がいくつかあります。まずは髙島さんにとってアートとは何ですか?

髙島:う~ん、まあインテリアの一部だよね。どうしても商売柄というか、壁を飾る、あるいは空間を飾るひとつの要素というか、そういう感じかな。まあ、そうはいっても例えば家具とかね照明器具だとかそういったものに比べてある種まあちょっと割高なところはある。まあ、高いものばかりじゃないけど。

田辺:そうですね。

髙島:そう、だからちょっとアクセサリー的な?インテリアの中でもアクセサリー的な感じのするものかな。

株式会社BALS 髙島郁夫氏

田辺:なるほど!まあ色んな種類ありますものね、例えばポストカード貼るだけでも良いですし。

髙島:うん、そうだね。

田辺:マイアミのアートバーゼルもお誘い頂いてもう8年?9年くらいになりますが。マイアミで見るものや個人的に見るものも含めてどんなアートがお好きですか?

髙島:う~ん、やっぱりね、なんか自分の好きなのはハッピーになれるとかカッコいいとか、そういうのになっちゃうかな。あんまりシュールなのは違うかな。

田辺:シュール過ぎるのは違う。

髙島:うん。

田辺:暗いとか、重いとか。

髙島:そうそう。

株式会社BALS 髙島郁夫氏

田辺:例えば自分の心に響いた時に買いたくなるとかそういうキッカケみたいなのってあるんですか?よくアートフェアでピッときてますよね。

髙島:あ~はいはい、なんだろうね、あれね。なんか、その時の気分で買ってるような気はするけど。

田辺:でも、心のどこかに触れるっていうのがないと。なかなか動かないですよね。

髙島:うん、若干、お金的に上がるんじゃないかな的なのもあるけど。笑

田辺:あ~ありますよね、アートフェアなんか特に!

髙島:はいはい。

田辺:Francfrancというのはインテリアを通して人の生活を豊かにするというブランドだと思うんですけど、生活の中でアートとはどうあるべきというか、役割のようなものはなんでしょうか?前にアートの本もインテリアの中にあると良いということで販売したりしてましたけど。どうあるべきなんですかね?

髙島:う~ん、単純にね、空間を埋める一部だって言っちゃうと他のものも一緒になっちゃうけど、自分にとってはアートってなんか最後のふりかけみたいなものかな。 例えばレストランにアートがポンとあって、絵とか彫刻でも良いんだけど、そういうのがあることによって最後にそのレストランが決まるみたいな。

田辺:う~ん。

髙島:そういう感じが凄くあるので、あまり最初からアートっていうよりも最後にそれで決まるっていう、そういう感じがするな。

田辺:しめみたいな。

髙島:うん。それが凄くあるな。

田辺:まずは生活空間があって諸々の家具だとか雰囲気があってそれを最後にピッとしめるというか。

髙島:昔あのニューヨークのレストランでさ、バスキアがあったじゃない?

田辺:あ~はいはい!

髙島:いっぱい絵があるんだけどポンっとバスキアがあったりして。ああいうのあるとあ!これ決めだな!って思うよね。

田辺:そうですね。なんか、海外行くとレストランでもアート多いですよね、例えばデミアン・ハーストとか?ああいうのがレストランの印象を決定的に決めますよね。

髙島:ロンドンのステーキ屋にあった牛のホルマリン漬けには参ったよな!笑

田辺:凄いですよね!ちょっとショッキングですよね。

髙島:そうそう!

田辺:海外だとそういう風にアートの使い方というか、そういうのを心得ている飲食店とかお部屋って多いなって思うんですけど、よく話すのは日本なんかも昔は床の間文化みたいのがあったのに最近はやはり床の間もないし、トイレの壁とか?まあ、玄関の下駄箱の上とかもあるかもしれないですけど、日本の文化の中にアートの居場所がなかなかないっていうのはどうなんでしょう?

髙島:ないね、決める!空間がないよね。

田辺:そうですよね。壁に釘打っちゃいけないとかね。

髙島:そうそう、それは感じるな、確かに。

田辺:かといってそういう空間を作ってまで楽しむ習慣があるのか?っていうのもあるかも知れないですね。

髙島:でもね、この間たまたま展示会で見つけたんだけど、キッチンのアートみたいのってあるなって思ったんだよね。

田辺:はい?

髙島:それはね、タイルアートなんだけど。

田辺:あ~はいはい。

髙島:それはまあ、別に鍋敷きにしたって良いんだけど、でも、キッチンにこういうの飾ってあったら良いなって。例えばフライパンと鍋の間にこういうのが飾ってあったら良いなって。キッチンツールがあってその隣にポンっとあったら良いなとか。 そういうのはありだな!ってこの間思ったんだよ。

田辺:なるほど!

髙島:そう、なんか、キッチンって皆アートを置かないよね、そんなに。

田辺:そうですよね。

髙島:花を置くぐらいはあるかもしれないけど、そういう意味でキッチンって色んなツールがあって、ありふれてるんだけど、なんかそこに一枚足すだけできっとキッチン空間が変わるなって思ったんだよね。

田辺:じゃあ、そういう風に新しい空間を作り出すとか?

髙島:そうそう!それはなんか楽しめるんじゃないかなって思ったね。

田辺:なんか、ウサギの形のしゃもじのラビットライススプーンが流行ったって、あれもまあアートじゃないですか。

髙島:あ~はいはい!そうね、はい。そういうことだね。

田辺:今まで何もなくて味気ない所にああいうのが入ってくるのはありってことですね。

髙島:うん、そうじゃないかなって思うね。

田辺:なるほど、まあ、海外によく行かれると思うんですけど、海外と日本のアートの色々な状況について髙島さんが気づく点って何かありますか?

髙島:海外はまず、アートフェアとかに日本人は少ないよね。だからアートに関する造詣っていうのは日本人は持ってる人はまだまだ少ないなって感じるよね。

田辺:そうですね、まあ、ブランドものにはお金使ったり旅行は行ってもみたいな感じですよね。

髙島:そうそう。それはちょっと悲しい感じがするな。

田辺:ちょっと淋しいですよね。

髙島:うん。

髙島郁夫さん第二回はこちら

トレースされた世界「東京尾行」

原美術館にてハラドキュメンツ10「東京尾行」を見た。次代を担う若手作家を紹介するというこの企画展、今回の作家は佐藤雅晴だが彼の作り出す映像作品は文字通り次代を担う新しい表現力を持った作品だと感じた。彼は実写映像をトレースという手法でなぞりながら写し取ることで実写映像とそっくりのアニメーションを作り出す。作品は全てがこのトレースされたアニメーションのものもあれば一部だけがアニメーション化されたのもある。一見するとどこがアニメでどこが実写なのか分からないほど緻密だが、彼はこのイメージを全てペンツールというソフトを使って丹念に、膨大な時間と労力をかけて作るのである。よく見ると実写とアニメの境界は揺れながら絶妙に行き来して見える。今まで見たことのないようなこの作品画面の面白さは実際に見ないと分からない。「トレースとは尾行である」というコンセプトによって完全にアニメ化された世界と実写場面にアニメを混ぜ合わせた世界。そこに展開される様々な東京の風景はどこか異様だが同時に不思議なリアリティーのようなものがあり見ていると少々怖くなってくる。それにしてもなんとも個性的で面白い作品を作る作家で今後の活躍がとても楽しみだ。

IMG_9167IMG_9168

工藤麻紀子展

IMG_8977 IMG_8978 IMG_8976IMG_8975 IMG_8974IMG_8979 2月6日から3月5日まで北参道に移転したTOMIO KOYAMA GALLERYにて工藤麻紀子展が開催されている。 工藤さんの作品はいつもどこか懐かしい子供の頃を追憶するような独特の雰囲気を持っている。 草花や動物と子供、この取り合わせが彼女がいつも一貫して好むモチーフである。 子供はまるで漫画のような姿なのに対して回りに描かれる植物のある風景や動物達は非常に写実的に描き込まれる。 見た感じはなんというか、皆が子供の頃に描いた夏休みの思い出の絵をずっと描き続けて来た大人が描いた絵のようだ。 全体の色彩や子供の姿は淡く切なく感じるけれど、近くで見ると全体的な模写力や表現力は素晴らしく感心する。 透けた感じに描かれる漫画的なタッチの子供と逆に丁寧に描き込まれた植物や動物のいる背景が同じ画面に共存する。 このアンバランスな要素がお互いにうまく作用し合って彼女独特の世界を作り出しているようだ。 好きな世界を丹念に描き通す彼女の作風は記憶の中のイメージが現れ続く限りとめどなく溢れ出てくるのだろう。 今回はメインの壁面いっぱいに広がるかなり大きな作品もあり見応えのある展覧会となっている。

今津景展「Repatriation」

今津1 今津2 今津3

白金のYAMAMOTO GENDAIギャラリーで今津景の新作展覧会を見る。 去年この作家の展覧会を同ギャラリーにて初めて見た時には衝撃を覚えた。 今まで見たこともないような圧倒的なイメージの斬新で迫力ある作品である。 「Repatriation」(帰還)という意味のこの展覧会では今までで最大級サイズの新作も展示されていて圧巻の展示内容となっている。 ここに描かれているイメージソースはギリシャのアクロポリスミュージアムの展示作品とインターネット上に公開されている未返還、もしくは略奪や破壊を受けた美術品だという。 それらをデジタル処理してキャンバスに描き出すという独特な技法がこのコンピューター処理的なイメージの特異な雰囲気を作り出しているのだ。 それにしても、イメージの混沌が溢れ狂うというか、渦巻くような迫力の画面は驚愕である。 美術品は混ざり合い、お互いに交錯してひとつの大きなうねりを作リ出す。 ブラシストロークで引き伸されたようなイメージはそれ自体も歪められている。 いったいどこから描き始めてどこで終るのか、眼を凝らしてみても分からない。 色彩も鮮やかだが画面の光沢もどこか異質な絵画を見ている気持ちにさせる。 いずれにせよ、今後の活動にも大いに注目の気鋭な作家だと思う。

安藤正子 作品集刊行記念展 “Songbook”

IMG_8837 IMG_8842 IMG_8841 IMG_8840

画家、安藤正子の新作展が作品集の刊行記念として開催されている。 小山登美夫ギャラリーで2004年に初個展してから今回でなんと3回目。 2004年から3回しか個展がないなんて信じがたいが、彼女の絵を見るとその理由が分かる。 とにかく、丹念に塗り描き込まれた油絵の具の表面は驚くほどにツルツルになっている。 その色はまるでキャンバスから浮かび上がったかのように深く、線は鮮やかに躍動する。 数年前に原美術館で彼女の展覧会を見たときもしばらくキャンバスの前から離れられなかった。 遠くで見ると絵の全体の揺るぎない存在感とそこから密かに漂う不思議な力強さを感じる。 そして近くに寄って目を凝らすと絵の中に吸い込まれるような気持ちになるほどに滑らか。 彼女は幼い子供と中部地方に暮らし、年に数点のペースで作品を制作し続けているという。 こんなに丹念に制作された油絵はなかなか見られないが母の強さみたいな力が生み出すのか。 そう、まさに描くというよりも生み出すという表現の方が似合う素晴らしい絵である。 作品集もとても丁寧に作られているが、過去の作品は本の中で改めて見ても感動するほど美しい。

蔡 俊行(第三回)長く持てば確実に価値が上がる現代アートの投資物件としての価値などについて。

ピータービァード作品との出会い

田辺:アートの話に戻るけど、例えば奈良さんの作品を10年前に買っていたら今もう何十倍みたいな?

蔡:うん、凄いだろうね。

田辺:まあ、投資というといやらしいんですけど、そういう側面も世界基準のアートにはあって、そういうアピールっていうのをもっとしたらどうにかなるんですかね?

蔡:さっきの話に戻るけど、皆がアートを買う買わないっていうのは、これって有名な人なのかしら?値上がりするのかしら?っていうのがどこかであると思う。

田辺:うん、そうだね。

蔡:そう、だから値上がりするんだったら買ってもいいけどその買い時が分からないっていうのもあると思う。
俺にもそういうのちょっとあるし。
だからその投資的な側面っていうのはアートにとって大事だよね、中国人なんかはきっとそれでガンガン行ってるんだろうから。

田辺:いやもう、リターンは凄いと思う。

蔡:でしょ!だから昔マーチンローレンスギャラリーだったか、ソーホーにあった。
もうずいぶん前の話だけど。

田辺:はいはい。

蔡:まあ、ね、ふらっと入ってバスキアの絵が、なんかデリのバッグみたいなのにくしゃくしゃって描いてて、5万ドルくらいだったかな、当時。

田辺:うんうん。

蔡:買っときゃ良かった。。。笑

田辺:そういうの僕もいっぱいあります!笑
アート界のタラレバは本当に凄いからね。

蔡:あと、キースヘリングが日本に来た時にトゥールズバーで会って、知り合いがオーガナイズしてて、で、皆のTシャツに描いてくれてたの。

田辺:えぇ!描いてくれたの!いや~そんなの大変なもんですよ今や。

蔡:もうどこに行ったか分かんないけど!笑

田辺:もったいないな~
アートフェア行くとキールヘリングの描いた壁とか剥がして売ってますからね。

蔡:なるほどね。

田辺:でも、確かにそうですよね、日本だとアートを買うキッカケというか、どうやって買うかとかそういう知識ってないですよね。それを得られる場が少ないっていうのがアートを買うのが少ない要因にあるのかもしれない。

蔡:だから、ピータービァードを買ったっていうのは、やっぱその前からこの人の活躍とか活動とか知ってたし、エンドオブザゲームっていう本を買ってから知って、色々と活動を読んで。
で、いわゆるメリルストリープとロバートレッドフォードのアウトオブアフリカとかがこの人に心酔してる人の書いた話とかっていう背景が分かって。
で、なんとなくその時にたまたまロサンゼルスのクラインなんとかっていうギャラリーだったかな?そこで買ったりして。

田辺:いくつ持ってるんですか?ピータービアード?

蔡:えーっと、5枚くらい。

田辺:へぇ~凄いな。

蔡:最初、だからそのロサンゼルスのラブレアだったかな?にあるギャラリー、なんとかクライン。。ファフェーだ!ファフェークラインっていうギャラリーにたまたまユニクロのロケハンで先乗りしてコーディネーターの人と時間が余ったからどっかで時間潰そうよってことで、そういえばここにギャラリーあるわっていうんで。
写真のギャラリーだったんだよ。
あ、その前に写真の話をしてて、ブルースウェーバーのプリント欲しいななんて話をしてたの。
で、ブルースウェーバーあるから行ってみようって行ったらピータービアードだったの、全部。
たまたまその時が。

田辺:なるほど!

蔡:で、もうガツンっと来て。

田辺:もう、出会いですよね。

蔡:そう!そこで衝動的に何枚か買って。

田辺:お~

蔡:で、持って帰ったんだけど。
で~その次のロケがニューヨークだったの。
たぶん良太とはニューヨークで会ったと思うけど。
ハンプトンでロケした時。
その時に、ブルームにあるギャラリーでピータービアードの回顧展をやってたの、ずっと。

田辺:へえ~、そうでしたっけ。

蔡:そう!タイム&ナウっていう。
これはその時に買ったんだけど。
で、その時に、その時には買わなかったのか、で、次にニューヨーク行った時に、なんかしょっちゅうニューヨークに行ってたから、既に知っててまた行って、なんか欲しいな~なんて。
大体の値段感は分かっていたから。
ギャラリーの人にこれちょっと欲しいみたいな話をして、で、最初はこんな感じの麒麟の写真はなかったんだけど他に麒麟の写真があっておれ麒麟が欲しいいんだって話したら、今ちょうどピーターが来てるから頼んであげるよって言ってくれてピータービアード本人が写真にいろいろ加工してくれるからってなって、で、なんにも加工されてないプリントだけ持って来てこれでいいか?ってなって。

田辺:うんうん。

蔡さんお気に入りの作品

ピータービァード

蔡:で、描いてくれて後日送って来てくれたのがこれ。
だからこれが一番気に入ってるの。

田辺:素晴らしいね~これは貴重ですよね。

蔡:これはね、別に値段が上がるとかなんとか興味がこれに関してはないんだけど。
これで6000ドルだったからね。

田辺:何年前?

蔡:え~っと、これは何年前だったかな。。。

田辺:10年くらい前?

蔡:いやいや20年くらい前、20年は経ってないか。。でも15年とか以上は前。

田辺:すっごい価値上がってると思うよ!

蔡:たぶん、倍にはなってると思う。

田辺:いや、倍どころじゃないでしょ!ピータービアード!

蔡:あ、そう!本当!

田辺:うん!
うゎ~凄いな!
まあ、じゃあ、そんなような出会いがあって、ピータービアードとは、その中のひとつということですね。

蔡:そうそう!そうなんだよ。

田辺:なんか、サイの写真もあったら良かったのに!

蔡:サイね、うん、でもこれは彼のケニヤの牧場かな、猪の、その写真。

田辺:なるほど!
分かりました、じゃあ今後もいい出会いがあればアートは買うと!?

蔡:まあ、そうだね。
でも写真が多いかな。

田辺:写真ね!
あ、そうだ、マイケルトンプソンも買って頂いて。

蔡:なんか、細々した物はたまに買ってる。

田辺:なんか、買ってるの?
アーヴィンペンとか?

蔡:いや、アーヴィンペンはないけどブルースウェーバーは持ってる。

田辺:あ、そう!それ凄いね!
分かりました、まあ、話は尽きないですけどこの辺りで。

蔡:はい

田辺:ありがとうございました!

蔡:いえ、とんでもない!

蔡俊行さん第1回はこちら

蔡俊行さん第2回はこちら

蔡 俊行(第二回)今まで手がけて来たWEBメディアのフイナムや今年刊行した雑誌のアンプラグドの話など。

フイナムの10年

田辺:そもそも、雑誌の仕事してる時に知り合って、で、WEBに時代は流れていって。
でも最近フイナムはアンプラグドっていう雑誌に立ち返って。
その辺のお話しを聞きたいんですけど。

蔡:あの、もう本当に何て言うんだろう、生き抜き?
生き抜く為にやってる仕事みたいな?
もう、サバイブする為にやってるような仕事だから、とにかくなにかこうしなくちゃいけないってことで、制作会社でね、編集プロダクションで、マガジンハウス出て、独立して、会社作って。
でまあ、最初にやった大きなお客さんがユニクロだったんだけど。
まあ年間の売り上げは凄い、もうそこの売り上げが殆どみたいな。

田辺:うんうん。

蔡:まあ、他の仕事もぽろぽろやってたんだけど、とにかく凄い。

田辺:ユニクロが出て来た時だね。

蔡:そう!凄い大きい金額。
97年かなんかで原宿のオープニング前か。

田辺:はいはい

蔡:だからそのフリースブームと原宿のオープンとWEBの立ち上げとか全部我々がお手伝いしたのね。
で、そこから急に代理店とかが来て、じゃあ我々はここで契約終わりですって急に言われて、もういきなり翌月から仕事ないっていうか。
まあ、仕事は色々あったんだけど、食っていける分はあったんだけど、凄いでかい金額ではない。

田辺:なんかやんなきゃと?

蔡:やっぱ受託仕事って限界あるなって、やっぱ自分達から何か発信してそこでビジネスやっていかないといけないなってことで、スタイリスト事務所もあったからスタイリストの子達と話しして、フリーペーパーみたいなことやろうかって話して。で、フリーペーパーやろうって話だったんだけど、置く場所と流通費考えるとちょっとハードルが高過ぎた。

田辺:なるほどね。

蔡:で、時はちょうどインターネットだったから、じゃあちょっとWEBでやってみるかって始めたのがフイナム。

田辺:なるほどね。もう何年?ですか。

蔡:去年で10年、今11年目に入ってるから。
アンプラグド始めたのは、フイナムがちょうど10年経ったから。
フイナムのビジネスも軌道に乗って来たから。
まあ、7年ちょっとくらい大変だったんだけど。

田辺:うんうん

蔡:8年目くらいから軌道に乗って来て、もう今はちゃんとビジネスで成り立ってる。で、10年、やっぱこういうのって飽きられるサイクルも早いし。
まあ、10年やってたらもう結構飽きてる人もいるかもしれないし、何か新しいことやらなきゃいけないなってことで、何かやろうってずっと考えてた。
そんな時にたまたま出版社の知り合いがいて、飲みの席で会ったか、なんかの用で会った時に話したらじゃあ雑誌出しましょうか?みたいな話になって、そこからはもうとんとんとんっと。

田辺:なるほど!でも予想よりも反応は良かったって?

蔡:お陰さまで5万刷ってほぼ完売を。。。

田辺:おぉ!今の時代に凄いですよね!
やっぱそのフイナムっていう読者がいたから。

蔡:読者がいたからね。

田辺:読者がいたからっていうのもあるけど、それでもやっぱり目新しい雑誌にまだ人がお金を払うっていうことは凄いですよね。

蔡:ただ、ビギナーズラックと言うか、1回目だからっていうのもあるかも知れないから、次は9月24日に出るからね、そこがどこまで受け入れられるかっていうのが本当に実力っていうか。

田辺:はいはい、なるほどね!

蔡:最初にね、あの本出して当然赤字で良いやってことでやったんだけどお陰さまで出広してくださるクライアントさんも多くて、まあ、なんとか黒字になって我々も出版社側も両方ハッピー。

田辺:じゃあもう、ウィンウィンで!

蔡:ウィンウィンで!
ウィンウィンまでいってない、ドロードローで!笑

田辺:でもね、やっぱりいい結果が出るって嬉しいですよね。

蔡:まあ、本当に嬉しかった。
でもまあ、引続き2号目の製作中なんだけどね、来月の。

ファッションのこれから

蔡俊行-2 今まで手がけて来たWEBメディアのフイナムや今年刊行した雑誌のアンプラグドの話など。

田辺:先ほどからの若者が都心へ来ないっていう話なんかを聞いて、ずっとファッションというものを通してメディアを作って、フイナムから今度アンプラグドも加わって、若者の動向っていうか、まあ、僕らの若い頃は物に凄く執着してたりとか、それはファションもそうだし、アートもまあ、今よりは興味あるみたいな。
今その、どういう所に行こうとしてるんですかね、ファストファッションもなんとなくちょっと終って。

蔡:う~ん、なんだろう?
正直ね、分かんないかな、まあ、息子とか見てるとやっぱファッション好きだし、で、物にも執着してるから、やっぱ、人によるかな。

田辺:うん、人によるのかもね。

蔡:うん、うちに入って来る若いスタッフ達も別にファッション大好きだし。
で、買いたいんだけど給料が安いから買えないっていうだけで、そういう辛さはあると思うんだけど、欲求はあるんだよね、だから熱の低い若者が物を買わないっていうのをあまり目の当たりにはしてない。

田辺:なるほどね!じゃあ、欲しい物への欲求はやっぱりあると。
なんかその中国が今凄いじゃないですか、今年、香港バーゼルに行って来たんですけど、なんかもう、国の後ろ盾もあるとは思うんだけど、活気があるっていうか、その、良くも悪くも。
ガンガン来てるみたいな、で、アートも凄く買ってて日本にも爆買いしに来てて、もしかしたら日本の時代はもう終ってアジアに移って西洋の社会もそちらに行ってしまってっていう大きな流れがあって、僕らは島国にいると分かんないけど、世界的には取り残されていってるのかなって。

蔡:いうーん、まあ、仕方ないよね。
もう取り残されてるのは事実だから。
だって、オートショーだっけ?自動車のショー、でかいやつ、2年に1回やるような、あれなんか日本は縮小で中国はでかいのやってるし。

田辺:うん、そうですよね。

蔡:だからそのバーゼルもそうだし、もうしょうがないよね、消費人口が向こうの方が圧倒的に大きい訳だから、マーケットがでかい訳だから。
そっちに必然的に、水が高い所から低い所に流れるように行っちゃう。
そりゃもう、だから日本はもう成熟社会だから、もの売れないし。

田辺:その割にはなんかね、国立競技場みたいな、未だにああいうバブルなことしてるしね。

蔡:そうね、やっぱその森さん、元首相だっけ?たった2500億っていう言葉が出るくらいだから、やっぱもう昭和の時代の発想なんだよね。
その、持続可能とかサステイナブルみたいな言葉は全く知らない。

田辺:知らないでしょうね、まあ、経済発展ね。

蔡:経済最優先で、ただ、そういう発想から、何て言うんだろう、ファストファションなんかがダメになりつつあるのもそういう意識の高まりもあるのかな?なんて思う。

田辺:なるほどね、なんか、ギャップが凄い業績が悪いとか、記事を読みました。
僕らの頃なんかだったらね、ギャップなんて向かうところ敵なしだったのに。
そういうファションの分布図も勢力図も大きく変わって来てますもんね。

蔡:変わってるね、アバクロももう全然ダメでしょ。

田辺:アバクロもダメみたいだね。

蔡:ユニクロはまあ、いいけど最近ちょっと売り上げ落ちたとか、まあ、大したことはないと思うけど。

蔡俊行さん第1回はこちら

蔡俊行さん第3回はこちら

蔡 俊行(第一回)どういうキッカケでアートを買うのか、なぜファッションみたいにアートは売れないのかなど。

蔡さんがアートを買うタイミング

田辺:どうも今日は、ありがとうございます!

蔡:あ、どうも

田辺:えっと、蔡ちゃんは、まあ、今日紹介してくれるピーター・ビアードの作品を買ったりとか、マイケル・トンプソンの写真も買ったりして。。
アートを買う時ってあると思うんですけど。
まあ、そんなに頻繁ではなくても?どういう時に買うってなるんですか?

蔡:う~ん、特にその、なんて言うんだろう。。
まあ、タイミングで?

insert02

田辺:タイミング?

蔡:良いものっていうか、縁があれば。
特にアートっていうのを意識してる訳じゃなくて、やっぱり、壁が寂しかったらなんかそこに置きたいな、みたいな。
そういう意識はあって、最近では水谷太郎の写真。

田辺:水谷太郎!?

蔡:それとアートディレクターの名前はちょっと忘れちゃったけど、2人が作った。で、あそこなんだっけな、新潮社の横にあるla kaguか、あそこで展覧会やってた。

田辺:あ、そうなの!

蔡:そう、で、そこで買って今はホワイトマウンテニーリングのお店にある。

田辺:あとで見に行ってみます。写真?

蔡:うん、写真とアートコラージュみたいな。
で、そのフレームをまた特別に作った、家具屋さんで。
なかなか面白かったから、それは衝動的に買った。
じゃあこれ買おうってことで。。

田辺:なんか、じゃあもう別に出会ってって感じで。。。

蔡:そう、出会ってって感じで。
で、今あそこにサイの絵もあるんだけど、

田辺:あ~本当だ。

蔡:あれは去年ポートランド行った時にちょっと向こうで知り合った日本人のアーティストがいて、ショウヘイ君っていうんだけど、彼はスターバックスかなんかに提案に行ったら全米中のスターバックスのアートになるとか言ってて。

田辺:へえ~凄いですね!

蔡:そう、だから結構凄いなと思って。
たまに日本に来てるんだけどたまに会って食事とかするんだけど。
で、ここに会議室作って壁に何もないの寂しいからちょっと1枚絵を描いてよっていって描いてもらったのがあれ。

田辺:なるほどね。壁にかけないんですか?

蔡:いや、かけようかと思ってるんだけど、どこにかけようかって考えてて。
そうそう、だからそういう感じで適当に買ってるかな。

田辺:今後も、なんか、タイミングが合えば?

蔡:そうだね。

田辺:でも、わりとなんかその、アート作品を買うというよりも、その時の気持ちだったり、ファッション的な、別に好きで買う訳ですよね。

蔡:そう!好きで買うから、だからアートという括りというよりは何て言うんだろう?インテリア?インテリアでもないんだけど、なんだろうね。

田辺:まあ、好きなものの一つとして。。

蔡:そう、好きなものとして。

アート、ライフスタイル、ファッションの関係性

田辺:ただ、なんかこの対談で毎回いろんな人と話して、大体こういう話になるんですけど、ファッション?例えば蔡ちゃんの場合はファッションを専門にやって来てて、日本だとやっぱりブランドものだとかに若い人も皆お金を使うじゃないですか。
でも、やっぱりアートってなかなか買ったって人はいない。
どうしてそこはすっぽり抜けてるんでしょうね?

蔡:うーん、だから、例えばアートじゃなくても、10万円の椅子は買わなくても10万円のジャケットはみんな買えるんだよね。

insert03

田辺:うん、ねー!

蔡:で、それを年に1枚2枚とか、買えるんだけど、椅子とかは無頓着で5年とか10年とか、IKEAで買ったやつ使ったりとか平気でしてるっていう。

田辺:やっぱり、自分が身につけて外に出られるものにはお金を使う?

蔡:まあ、そういうことなんだろうね、余裕がないんじゃないかな、やっぱ。
かといって、じゃあ余裕がある人がそういう家具とかアート買うかっていったらそうでもないし。。。特に家具はまだ意識はあるかもしれないけど、やっぱアートっていうとちょっと敷居が高いんじゃないかな?

田辺:うんうん。

蔡:その、どこで買えばいいのか分かんないとか、なんか、売ってない。。っていうか。。服は服屋さんいっぱいあるけど、家具屋もいっぱいあるけど、アート屋さんってないっていうか、街に。
まあ、ギャラリーもあるのかもしれないけど。

田辺:わかんないよね。

蔡:まず入んない、敷居が高いし。
わりとこう、ギャラリーの人って冷たいっていうか、あんま相手してくんないし。

田辺:まあ、言い寄っては来ないよね。

蔡:言い寄ってこない。
こちらお似合いですよ!とか来ないから。笑

田辺:そうだよね。

蔡:だからそういうのがあると、もう少しこう意識も高まるんじゃないかなと。

田辺:なんか、いわゆるファインアートのギャラリーって数も海外に比べたら少ないし、まあ、日本というか東京とかでも圧倒的に少ないし、まあ、一部のアート好きの人達の中だけで回ってるみたいな、それが一般の人には全然下りてこないというか、そういう状況ですよねきっと。。

蔡:そうだね。

田辺:でも海外とか行くとわりと皆なんか好きなアートを買うっていうのが洋服まではいかないにしても、飾る意識とか高いですよね。

蔡:そこはその、文化民度の違いっていうか、やっぱ日本でアートに興味あるとかインテリアに興味ある人っていうのはイコールライフスタイル全般に興味あるっていうか、まあ、その中にはファッションも含まれていると思うんだけど、海外の人達っていうのは別にファッションに興味なくてもアートに興味あるって人達もいるじゃない。

田辺:うん、いるね。

蔡:ああいうのはたぶん日本にはないっていうか、なくはないと思うんだけど、棟方志功とか買う人達はそうなのかもしれないけど。。笑

田辺:あはは

蔡:だからちゃんとファインアートとかそういう方向に来てる保守的な金持ちっていうのはあんまりいないんじゃないかな。
その、ファション興味なくてもアート興味ある人っていうのは。。

田辺:なるほどね。なんか、あの最近だとさっき言ったla kaguもそうだけど、ファッションのお店に雑貨が入って来たり書籍が入って来たりちょっとしたアートみたいのが入って来たりって、もうライフスタイル型のお店になって来たじゃないですか。
ああいう道っていうのは唯一ある?

蔡:あの、とっつき易いからいいのか~なとは思うけど。
まあ流行ではあるよね、ライフスタイルショップは、今服自体が売れなくなって来たから、昔ほどには。
だからお客さんを呼ぶ為には色々工夫しているから、あくまでビジネスであってアートの庇護者になろうとかっていうつもりではないよね。
だからそこに対してその本気でいいキュレターを置くとかというよりはとにかく話題の人と繋がって集めれば良いっていうようなイベント性の方が先走ってる感じ。

田辺:なるほどね。

蔡:だから、それによってアートが凄く認知度が高まるかとか皆が興味持つかっていうのはちょっと疑問かな~って思う。
ああいうライフスタイルストアに関しては。

田辺:カフェ入れるみたいな?

蔡:そうそうそう。

田辺:等しい?

蔡:飲食やったりとか、それに関してはもう、東京都心に人が集まらなくなって来ている、買い物客が。

田辺:らしいですね。

蔡:だから皆その都心に来るまでのターミナル駅に駅ビルが出来て、都心に来ても同じような店、全部、どこも同じような店だから。
わざわざ東京に来る人がいなくなって、で、原宿とか青山とかにインディビジュアルで頑張ってるお店とかもあって、まあ、そういう所には人は来るんだろうけど。もう団塊ジュニアが40くらいになっちゃったから、若い子達が減ってるからちょっとね、昔みたいには。。
昔みたいなその、行列して買うとか。
そういうパワーはなくなってるよね。

田辺:なるほどね。

蔡俊行さん第2回はこちら

蔡俊行さん第3回はこちら

淺井裕介「絵はどこから来るんだろう?」

IMG_7322 IMG_7324 IMG_7326 IMG_7328 IMG_7329 IMG_7331 IMG_7333 IMG_7334

白金のアラタニウラノギャラリーで淺井裕介の個展「絵はどこから来るんだろう?」を見た。ギャラリー中の壁面を使った展示は大胆であるが壁面や床など会場全体を作品のキャンバスに見立てて制作される彼独自の作風はすっかり定着した表現方法となった。以前に伊勢丹の2階の展示にも参加して頂いたがその時も絵は飾られた額におとなしくは納まらず、後の柱や壁面にまるで生きた触手のように伸びまくり壁面中に彼の絵が浸透してしまったような大胆な展示を繰り広げてくれた。当然だが彼自身が壁面の絵をその場で描く訳で伊勢丹の時も額を飾ってから回りの絵を描き始めて徹夜で完成させてくれた。今回のアラタニウラノの展示もキーとなる絵や立体作品を壁に配置し、それの回りを取り囲むように彼の不思議な絵の世界が展開するという有様だった。魔法の国にでも住んでいるような不思議な動物や草花、小人のような人や妖精のような存在など彼の描き出すイメージには際限がない。毎回のことだが、まさにこの展覧会のタイトル通り「これらの絵はいったいどこから来るのだろう?」と不思議になってしまうほどに圧倒的なイメージの量なのである。今回は黒い背景に白いチョークのような物でドローイングしているがカラーのセンスも独特だ。溢れ出るイメージ、溢れ出る色、彼の才能は独特であり作り上げるその世界は誰もが圧倒されるような淺井裕介ワールドである。これからもこちらの想定を覆すような精力的な展示を更に繰り広げてくれるに違いなくとても楽しみな作家である。

大野智史 “Beautiful Dreaming.”

02 03 04 05 06 07

大野智史 の個展”Beautiful Dreaming.”を見た。彼はとても好きな画家で数年前に伊勢丹のリニューアルの際に売り場に展示する最初のアーティストにも選ばせて頂いた。その時は壁面のサイズに合わせてプリズム模様の横長の大作を描き下ろしてくださった。ギャラリーの白い壁の世界ではないコマーシャルな空間での展示をとても新鮮に感じてくださったようで伊勢丹での展示がその後の絵の表現にも変化を与える機会になったと聞いてとても嬉しく思っている。彼の作品はダイナミックに美しく具象的であると同時に抽象的だ。作品はキャンバスに描くという絵画技法で表現されるのだがそのイメージはデジタルな世界の物の見え方をも彷彿とさせる。驚くほどに細かいプリズムのイメージは美しさを放つ巨大な色彩の宝石の様に存在する。そして、ひとつのキャンバスにその細かなプリズム、具象的に描かれた植物とダイナミックな抽象表現が混ざり合う時、色彩と形と勢いのカオスの中で見たこともないような独特な絵画表現が展開する。抽象表現のパワーと冷静な写術表現が見事に融合して驚くほどの相乗効果で新たな絵画世界を作るのである。非常に感情的に描かれている一方でその表現テクニックは冷静で優れているのだ。ただ投げやりに乱暴ではないのだが計算され過ぎてもいない。ストロークの勢いやパワーを保ちつつ表現の限界に挑む絵画は圧巻である。彼の今後にも更に期待するとともにこの独自の絵画世界を貫いて欲しい。

SIDE CORE – TOKYO WALKMAN

IMG_7156 IMG_7162 IMG_7161 IMG_7160 IMG_7159 IMG_7157

 六本木にあるhiromi yoshii galleryにて開催されているグループ展SIDE CORE -TOKYO WALKMANを見た。SIDE CORE はストリート感覚が表現の源泉にあるアート作品をキューレーションするキューレーター集団だ。そして、今回のテーマ、TOKYO WALKMANでは8人の気鋭作家を集めている。1979年に発売され全世界で大ヒットとなったSONYのWALKMANはポータブルメディアの先駆けとして我々の生活を変えるほどに衝撃的だった。今回の展覧会はそのWALKMANを展覧会のタイトルとしてポータブルメディアの都市空間における表現の拡張をテーマとしているという。8名のアーティストはそれぞれに個性的な作品を制作、展示している。入り口のすぐ横には仮設の階段があるがこれはEVERYDAY HOLIDAY SQUADというストリートアートユニットの作品だ。「自分達の居場所を新しく作る」というテーマで様々な試みをする彼らが東京の地下にある下水道内部に潜入した記録を映像や写真で見せている。会場の中央にひときわ目立っておかれた自転車のオブジェはNYで25年過ごしポストグラフィティー運動にも参加した後、今は東京を拠点に活動するMADSAKIの作品。NYでメッセンジャーをした経験のある彼はfixedという自転車を日本に紹介したが厳しい規制で取締にあった。そんな経験に対しての挑戦的な提案として今回はママチャリを改造してトールバイクを作って度肝を抜くのがこの作品の目的だ。その他にも1990年代のサンプリングミックスカルチャーを作品化するオーストラリア出身のMark Drewやフリークライマーとしての活動をアート作品化する菊地良太、ブレイクダンサーでもある小畑多丘、東京を代表するグラフィティーライターのTENGAone,SIDE COREのディレクターでもあり自身もアーティストの松下徹、ハッキングカルチャーに造詣の深いアーティストyang02など非常に多岐に渡って個性豊かな作家達がそれぞれに挑戦的、実験的な意欲作を展開している。1980年代前後から世界中で始まったストリートアートの感性は現在、そして未来へと都市の生活の中で様々な表現形態を見せながら進化して行く。TOKYO WALKMANはそんなカルチャーの流れを垣間みれる展覧会である。

渡辺いく子(第三回)コレクションを始めたキッカケやコレクションの作品の話。

池田衆作品との出会い

田辺:この絵との出会いは?

渡辺:あのね、凄く面白くって、3~4年前にツイッターにハマったムーブメントで、今はちょっとその人はやめてしまったんですけど、アートツアーっていうのがあったんですね。アート関係のツイッターをフォローしてて引っ掛かったんですけど。。
それは画廊とか小さいギャラリーを巡って行く?見も知らずの人が集まって、皆で画廊巡りをするんですよ!

田辺:へえ~

渡辺:で、ちょっとした簡単な説明とか、作者がいたりとか、色々な話を聞いて。
それがすっごく面白かったんですよ!

田辺:なるほど!

渡辺:その頃に牧ファインアーツは上野の方にあって、そこで出会ったのがこの作品で、もう一目惚れして、「私買うわ!」って言って、「本当に買うんですか?」って、「いや、買うから!」って言って。これがたぶん1枚目に買ったやつだと思う。

田辺:あーそうなんですか!

渡辺:これはでもね、彼の代表的な作品。

田辺:うん、素晴らしいですね!

渡辺:素晴らしいですよね!もうあまりの美しさに一目惚れをしてしまって、この人はお花のシリーズで美しいのが続くんですけど、その後はいろいろとランドスケープにいったりとか、あと、花火にいったりとか、いろいろ芸風はどんどん広がって行くんですけど、凄く奇麗じゃないですか!

田辺:奇麗ですね~

渡辺:で、これなんか家にあったらいいんじゃないかって思っちゃったんですよ!

田辺:なるほど!

渡辺:で、「買えますかって?」って。でもね、その時のアート巡りは本当に面白かったんですよ!

田辺:何カ所くらいのギャラリーを巡るんですか?

渡辺:5~6カ所?で、ちっちゃいじゃないですかギャラリーが!でも、あとはメインの大きいところも行ったりするんですけど、それに2回ぐらい参加して。本当にね、30代くらいとか40代くらいの女性とか男の人も皆1人で参加してて、見ず知らず同士でお昼食べて、帰りに一杯飲んで帰るみたいな?

田辺:へえ~

渡辺:素敵でしょ!?世の中にアート好きってこんなにいるんだな~って思って。もっと安いのもあってChim↑Pom(チムポム)のなんか、3万円くらいじゃないですか?だから皆買おうって思ったら買えちゃうんですよ!

田辺:ですよね~

渡辺:そうなんですよ、なので、まあピンキリの値段じゃないですか。私、その時は日本のアートシーン捨てたもんじゃないなあって思ったんですけど、なんか、その後色々あってそのツアーはなくなったんだか、私が拾えなくなっちゃったんですけど。

田辺:でも、まあ、そのツアーで出会った。

渡辺:出会ったんですよ~~

田辺:やっぱり、作品を見て素敵素敵っていうのも良いですけど、一番の評価は買うことですよね。

渡辺:そうなんですよ!今はいくらか知らないんですけど、その当時この作品が15万くらいだったんですよ、そしたらサンローランのバッグ1個くらいじゃないですか!

田辺:確かに!

渡辺:そんな風に、なんとなく、サンローランのバッグ1個分くらいでこれが買えるとしたら、バッグを年に2~3個買ってたのを1個減らせば毎年買えるんですよ!

田辺:でも、これはバッグと違って世界に1点しかないんですよね。

渡辺:そうなんですよね、まあ、サインは入ってないんですけど1点しかないんですよ。

田辺:いやいや、これはもう間違いなく。

渡辺:素晴らしいですよね!

田辺:これは切り絵?

池田衆のコレクション (渡辺いくこ)

渡辺:そうそう、それでそれをアクリルに圧迫してくっつけて。。で、写真も彼が撮ってるんですね。花の写真を撮ってるんですけど、更に彼の世界でもう一つの花が出来ちゃってるんですよ!

田辺:なるほど!そうですよね!二つ重なって、異なったものが融合してる?

渡辺:はい!重なってて異なったものが融合してるんです。

田辺:でもこれは裏がないってことは、自宅の白い壁にかけると日の角度で。。

渡辺:そうなんです!見え方が変わるんです。で、家は白い壁だったんでこれを買ったんですけど入ってくる光とか反射でまた違って見えるんですね。

田辺:なるほど!

渡辺:まあ、直射日光は入らないところにはしてるんですけど。

田辺:で、結局この作家さんの作品は今は5~6点は持ってる?

渡辺:あ、持ってますね。ちょっと大きいのもあるんですけど、たまに掛け軸のように掛け替えているんです。本当はこれをもっと白い壁の沢山ある無印の家に旦那の実家を建て替えようと、そうすると全面もうギャラリーみたいになって。。解放しちゃおうかな、お茶とか出して!笑

田辺:確かに!笑

渡辺:良くないですか?これ見れたら!で、彼はその後は大分長い間は裏の空いた作品を作っていたんですけど、やっぱりお家によってはダメということでこのランドスケープシリーズになってからは裏に白いの付けたんですね、だからこれは比較的最近、去年くらいの作品なんです。

田辺:でもこれも浮いてるから影が。。

渡辺:そうなんですよ、影が落ちてませんか?

田辺:ね、それがまた違う趣を与える。

渡辺:そう、どんどんね、この、カットするところが増えてるんですよ!

田辺:そうですね!

渡辺:最初よりは!

田辺:あ!こんなところ!凄いですね!

渡辺:凄いんですよ、本当に!これをね、買えるって、凄くないですか?

田辺:この作家が費やした努力と時間と。

渡辺:努力と時間というか、このセンスが1点もので手に入るって、オートクチュールで服作ってるようなもんですよね。

田辺:そうですね!

渡辺:なので、他の人が買わないならわたし買いま~す!って感じで。

田辺:いや、素晴らしいですね!

渡辺:なんか他の香港の人に負けたのもあるんですけどね。

田辺:でも、香港でも人気ってことはアジアでも有名?

渡辺:なんか、香港でも展示したらあっという間に売れたみたいですね。

田辺:今もこの方は個展とかやるんですか?

渡辺:個展までは。。。なんか、作るの大変らしくて。。。ちょっとその辺は牧さんに聞いてください。確か去年はニューヨークにも持って行ったのかな。どうなったのかな、その後ちょっとね、コンタクトが取れてなくて。牧さんに聞かないと、最近は画廊に行けてないんですけど、そろそろ買いあさりに行こうかなと。去年はね、森ビルの上のギャラリーあるじゃないですか?お金持ちの集まるところ。あの、ヒルズの上の方のアートギャラリー。

田辺:はいはい、ありますね!

渡辺:アートセンターのところの、レストランとかあって、そこでね、展示もあって作品を貸したりしたんですよ。

田辺:あ、そうなんですか!

渡辺:ほら、買い占めてるから!

田辺:はいはい!コレクターですもんね。

渡辺:そうそう、買えよ~みんな~凄い良いぞ~みたいな。笑

田辺:うん、素晴らしいですね~

渡辺:素晴らしいですよね~もっと持ってこいっていうならトランクルームからいくらでも持って来ますよ!笑

田辺:いえいえ、大変だからそれは良いですよ~もう、今回はこれで十分ですけど。。

渡辺:でも、見れば見るほど素晴らしくないですか?こういうところの残し方とかが!

田辺:なるほど、ここは残してるんですね?

渡辺:そう、そこは残してるんです。これよりも大きい隅田川シリーズっていう恐ろしいやつがあったんですけど、それはさすがに持って来れなかったので。。

田辺:それも持ってるんですか?

渡辺:はい、だから5点か6点くらい持ってるんです。

田辺:マジですか!

渡辺:はい。家かえって数えてみます!

田辺:分かりました、今日はありがとうございました!

渡辺:はい、ありがとうございました!

渡辺いく子さん第1回はこちら

渡辺いく子さん第2回はこちら

山本桂輔「むかしむかしむかし」

IMG_7104 IMG_7106 IMG_7107 IMG_7108 IMG_7109 IMG_7110 IMG_7111 IMG_7112 IMG_7113 IMG_7114

渋谷ヒカリエで開催されている山本桂輔の個展「むかしむかしむかし」を見た。山本桂輔に関しては今までオブジェ的な作品しか見ていなかったのでこの展覧会では絵画作品も見れてとても興味深かった。彼のオブジェ的な作品は既存の見捨てられた物を拾って来てそれを再利用して作られることが多い。古い道具類の一部を削って人の形にしたり異なった道具と玩具をくっつけて新たな人の形のオブジェにする。こうして新しく命を吹き込められたオブジェ達は独特の存在感でたたずみこちらに向かって何かを訴えるかのような雰囲気を醸し出す。それまではただの見捨てられた道具や物だったのに人の形にすることで特異な存在感を持った作品として生まれ変わるのだ。絵画に関しては彼の想像のままに小鳥、草花、キノコ、妖精などのモチーフが溢れるファンタジーの世界が描かれているのだが色の塗り重ねや色彩感覚の鋭さには独自の才能を感じた。もともと彫刻をやっていたのだが、素材が重かったり削らなければならないなど物理的な制約が多い彫刻と比べて絵画の方は物理的な制約無しに自由に制作出来るのが違うように思うとアーティストトークで語っていたのが印象的だった。絵画に彫刻、オブジェに陶芸作品と幅広い創作手段を持つこの作家にはこれからも更なる活躍が期待出来そうだ。

絵画を抱きしめて Part2「絵画に包まれて」

IMG_7034 IMG_7035 IMG_7036 IMG_7037 IMG_7038 IMG_7039 IMG_7042 IMG_7043 IMG_7044 IMG_7045 IMG_7046 IMG_7047

銀座の資生堂ギャラリーにて開催されている「絵画を抱きしめて」というグループショーを見た。女性アーティスト3人によるこの展覧会はPart1とPart2の2回の開催で展示内容が変わる。Part2は「絵画に包まれて」というタイトルで今回の写真はPart2の「絵画に包まれて」の展示からだ。Part1の「絵画を抱きしめて」も素晴らしい展示だったが今回のPart2「絵画に包まれて」もそれに劣らず素晴らしかった。メディアアートなど近年様々な表現手法が登場しているアートの世界において、今回の展覧会の趣向はあえて「絵画」という伝統的な表現手法を選んだ現代の女性作家を3人選んでいるのが面白い。阿部未奈子、佐藤翠、流麻二果の3人はそれぞれに絵画という枠組みの中で、しかしそれを制約とはせずにむしろ絵画の新たな可能性を示すような意欲的な作品を発表している。自由奔放に絵画的表現を突き詰めながら新しい絵画の在り方を模索する姿勢。これからもさらに楽しみな作家達であると思う。阿部未奈子はデジタル撮影した風景などのイメージを加工して歪ませそれをマスキングテープで絵画作品に再構築する。作品は巨大だが、ディテールが細かくて気の遠くなるような作業に違いないが、その結果は美しくて今まで見たこともないような斬新な作品になっている。佐藤翠は以前に伊勢丹の展示を頼んだこともある作家だが、彼女はクローゼットやハイヒール、アクセサリーなどの女性の身の回りのファッション系のモチーフを抽象的な作品に仕上げる気鋭の作家だ。今回は鏡面に描くという試みで作品の手前の床に光が反射する様や作品を飾る棚を鏡面にしている為に作品が棚に移り込むなど面白い展示となっている。流麻二果は今回初めて作品を見たが大胆な色使いと圧倒的な存在感の作品を描く作家でとても好きなタイプの作家だ。絵画という存在をキャンバスに留まらせずに縦横無尽に会場に散りばめるようなコンセプトは圧巻で、見るものにため息をつかせるほどに美しい。三人三様、しかしそれぞれが潜在的な絵画の持つパワーを思う存分に発揮した展覧会だと思う。

長井朋子「真夏の毛むくじゃらハウス」

IMG_6581 IMG_6583 IMG_6586 IMG_6590 IMG_6593 IMG_6595 IMG_6598 IMG_6599

渋谷ヒカリエ8階にある小山登美夫ギャラリーで長井朋子さんの個展が開催された。「真夏の毛むくじゃらハウス」と題されたこの展覧会では、彼女独自の世界観を作品にしたペインティングやオブジェの集積、インスタレーションがギャラリー内を埋め尽くした。彼女の作品に登場する幼い少女は森やお部屋の中に猫や馬など様々な動物に囲まれて暮らしている。幼い頃の記憶の断片なのか、永遠に失われた時間への渇望なのか。見る人に様々な思いを連想させる作品群は彼女独自の世界をかたくなに守りつつも絶えず少しづつ変化し続けているように感じる。絵画の他にも縫いぐるみやオブジェ、家具など彼女の作品世界を形作る物は様々だ。だが、その全ては彼女によって魔法をかけられたように同じ不思議な世界の物としてそこに再構築される。作品の制作へのアプローチも下描きなどはせずにアクリルから油彩、水彩、色鉛筆、パステルなどその絵に合う方法で描いて行くのだという。描く度合いも様々で描き込む場所とそうでない場所がありそれはまるで彼女の心のリズムが表されているかのようだ。彼女の絵は決して幼稚な絵などではなく、自由な心をそのままにその自分の心に真摯に問いかけながらひとつひとつを緻密に表現した彼女ならではの独自な表現世界となっている。

ignore your perspective 31 「絵画を作る方法」

IMG_6664 IMG_6663 IMG_6662  IMG_6660 IMG_6659 IMG_6658 IMG_6657 IMG_6656 IMG_6655 IMG_6654 IMG_6653 IMG_6652

白金の児玉画廊にてignore your perspective 31を見る。今回のグループ展の参加作家は杉本圭助、関口正浩、益永梢子、和田真由子、の4人。「絵画を作る方法」と題されたこの展覧会ではそれぞれの作家が絵画や立体作品で独創的な表現を見せている。杉本圭助は幾重にも塗り重ねた絵の具の層を後に彫刻刀などの刃物で彫り込んで作品を作り上げる。下の層に眠っていた色の異なった層がむき出しになることでイメージが形成される仕組みだ。関口正浩は塗り広げて乾燥させた絵の具の塗面をわざと剥がし、再びキャンバスに張り付けることによって色の膜が新たな絵画作品として生まれるという作品だ。益永梢子の作品はキャンバス生地の裏表に線や色彩を自由に描き進み最終的に絵画的な作品が導き出されるような作用を実験するかのような作品だ。今回はその最終的な展示方法として壁の釘に作品が吊るされるのだが作品を壁に停める為に釘を打つのではなく、打たれた釘の間隔によって作品の吊るされ方が変化するような不思議な展示方法を用いている。和田真由子はイメージにボディーを与えることを作品制作と考え独自の解釈で作品を作り上げる。頭の中でイメージされた建物、煉瓦作りで窓がある建物だがあくまでイメージしたままを作品として現実に再構築して行く試行錯誤的な試みをしている。それぞれの作家が示してみせる絵画という作品を作り上げる様々な方法。アプローチは違えども作品というフィジカルな存在がイメージされてから生まれるまでに何が作品制作に作用してそれぞれの作品を築き上げて行くのかという過程と結果を見ることが出来るのは大変に興味深かった。

渡辺いく子(第二回)欧米人とは異なる日本人独特の気質や文化などについての話。

良い意味で偏る

田辺:好きなものは誰が何と言おうと突き進むみたいな事をおっしゃってましたけど。

渡辺:はい!

田辺:今回お出しになった本にも日本人の性格というか、そういうのが随所に書いてあったんですけど、例えば欧米と、まあ、単純に欧米との違いと言っちゃうのもなんですけど、自分で判断するとか、ブランドに走っちゃうとか、いく子さんはまず、自分に何が似合うのか?好きか?

渡辺:そう、好きか!

田辺:そう、それを考えずに人がいいっていうものに走るみたいな話がありましたよね。

渡辺:そう、流行ってるからそれを着なきゃいけないんじゃないかとか、それは洋服でも美術でもそうですけど、今これが来てるからこれを着なきゃみたいな、でも、お洒落からいったらそれはもう終ってるんですよね。過去なんですよね。

田辺:なるほど!

渡辺:で、勘で行ったものはさっき言ったみたいに誰がけなそうが誰が認めまいが自分が好きだったら良い。だって、海外のコレクターの映画あったじゃないですか!あのおじいさんとおばあさんの!あれもそうじゃないですか!全然売れてないゴミみたいな現代美術をああいう人達が買い支えるから良いんじゃないですか、洋服だって流行ってるものばかり買ってたら詰まんないじゃないですか。

田辺:そうですよね。

渡辺:音楽でも何でもそうなんですけど。でも、分かんない人は別にそれでも良いと思うんですね。ただ、お洒落を自覚する人とか嫌な言い方ですけど、まあ、グローバルで言ったらそういう姿じゃないんじゃないかなって。私は高校の時からギャルソン着てたんですけど、そんなのもう本当におかしい人ですよ。ギャルソンとビビアンを着てる。1970年代の高校生、文化学院にそういうので行ってたんですけど、おかしいですよ、その後に50sに狂ってLA古着にハマっちゃったんですけど、それは当時の流れと違ったんですけど今来てるじゃないですか。

田辺:来てますね!

渡辺:なので、ファッションにしても美術にしてもやっぱり好きなもの?だってもし流行ってるからって買ったらそれが流行らなくなったら嫌い?っていうか、それに自分の価値はない訳じゃないですか。

田辺:自分で気に入っているっていう。

渡辺:そう、気に入ってるっていう軸があれば良いじゃないですか。

田辺:いつまでたっても良いですけどね、人の評価ではなく。

渡辺:人の評価ばっかり気にしてたら。。まあ、それはそれでそういう生き方もあるかも知れないですけど、ちょっと私は。まあ、良い意味で偏ってるってことが良いと思ってて、偏ってる事はいけないって教育を受けがちじゃないですか、でも、偏って良いと思いませんか?例えばビュッフェに行ってもトマトが好きならトマトだけ取って来ても良いし。海外の人のビュッフェってそうじゃないですか、同じ物ばかり取って、でも、日本って端から順番に取っていくじゃないですか、だから混むんだと思うんです。あんなのトマトならトマトのとこだけいけば混まないんですよ。

田辺:確かに!

池田衆のコレクション

池田衆のコレクション (渡辺いくこ)

渡辺:でしょ!だから美術も、私は池田衆さんの作品が好きだし、そしたらやっぱりコレクションっていうか、好きな作品があったらそれを買いたいし。。で、なんか知らないけど集まっちゃた。

田辺:でも、それが最終的には一番の幸せ?

渡辺:うん、幸せですよ、でも実際家には掛けれる白い壁面が一面しかないので掛変えなきゃいけないんです、で、トランクルームに入っててちょうど今掛け変えようかなと思って。

田辺:それはシーズンの変わり目とか?

渡辺:というか、気持ちで。

田辺:あーなるほど。

渡辺:はい。全部は掛けられないので。

田辺:そうですよね。

渡辺:で、居間を片付けるともう一面できるから、そこにも掛けようかなと。

田辺:でも、日本の床の間文化とかね。

渡辺:あ、そうです!そうです!掛け軸!そうですよ!

田辺:なんか、季節でね。

渡辺:季節で!そうそう!掛け軸的な絵の掛け方ですね、私は。

田辺:良いですね!
でも、日本のマンションだと釘打っちゃいけないだとか。。。

渡辺:打っちゃいました!笑

田辺:ははは!

渡辺:あ、でも、今は色んなのがあるじゃないですか!

田辺:あ、跡が残らないやつとか?

渡辺:そう、跡が残らないやつとか、強力な接着剤とか。。だからちょっと工夫出来ると思いますよ。家の父が実は美術が好きで、養清堂画廊っていうのが銀座にあったんですけど、そこの美術印刷を実家がやっていたんですね、だから小さい頃から画廊に出入りしてて、小さい頃から無理矢理に現代美術を見せられていたんですね。あと、父が展覧会が好きで色々連れて行かれたんですよ。訳も分かんない頃から。だからブランドで見るっていうよりは父の好きなものを見せられていたのでその中で自分が好きなものはやっぱり良いなって思う訓練が出来てたのかもしれないですね。

田辺:よく言われるのが日本の美術は鑑賞教育じゃないみたいな。

渡辺:うん、本当にそうですよね、歴史とかっていうよりも鑑賞して、興味を持ったらそれについて調べて行けば良い訳じゃないですか。

田辺:よく海外の美術館に行くと子供がね。

渡辺:そう!だからあれとか負けた!って思いません?

田辺:ははは

渡辺:だから、例えばね、美術だけじゃなくて、私アナスイとか前にインタビューした事あるんですけど、彼女とかはやはり小さい頃から色んなものを見てるから今のショーとかに反映される訳じゃないですか。やっぱり、それが色なのか形なのか、よくいるじゃないですか、床に座って先生の話聞いてるみたいな、それもこれどう思う?みたいな感想じゃないですか、鑑賞と感想ですよね。でも、日本だとこれは何年に描かれた絵で誰々の弟子でみたいな、そんなの超どうでも良いって感じですよね!ほら、あの、ブルースリーが言ってたDon’t think feelってやつ。あれですよね。

田辺:確かに!

渡辺:でも、それは美術もファッションもそうだと思って、自分が凄く良いと思えばそれに対して熱心になって例えばお金を使う?それがアーティストとかデザイナーを支える事でもあるし。流されているんではない。そうそう、美術教育そこ違いますよね。鑑賞教育ですよね。

田辺:鑑賞教育が基本。

渡辺:あの子供達、私最初に見た時にやられたと思いましたよ。

田辺:そうですよね。だから日本ももっとそうなってくれれば良いと思うけどやっぱり点数う付けたがるっていうか、皆一律で。。。

渡辺:もう、あとは個々ですね、親ですね。

田辺:そうですね。

渡辺:小さい頃から連れて行かれたら、それで分かんない人は分かんないで良いじゃないですか、その人はもっと他に音楽とかに感ずるものがあるかもしれないし。

田辺:そうですよね。

渡辺:はい。

田辺:なんか先週香港のバーゼルっていうのに行って。

渡辺:あ、はいはいバーゼルやってましたね。

田辺:始めてだったんですけど、やはり中国の人が多くて、もうなんか作品と記念写真!みたいなノリだったんですけど、それはそれでうざったいんですけど、でもなんかのびのびと普通にやってるみたいな、日本だと腫れ物に触るみたいになっちゃうけどああいう親近感っていうか、自由さが良いなって、日本人は遠慮しちゃう。

渡辺:だって、LAの現代美術のコレクターなんて殆どそうじゃないですか、家の壁の色に合うわとか、凄い大きいのとか買って、でも、それで良いんじゃないですか、そうやって買い支える人がいるからアーティストも次が作れるし。

田辺:日本だとアート界ってお金が回ってない。

渡辺:あー回ってないですよ!

田辺:そうすると若い才能ある作家とかも評価が低くて。

渡辺:そう、継続しづらいですよね。

田辺:だからアートでお金を稼ぐってことが、アーティストにとってはそれが仕事な訳だからお金が儲かればより良い環境でもっと作品が作れるとか相乗効果があるじゃないですか、そういうのがね、まあ村上さんみたいに海外に出てければね。

渡辺:そう!出てければね、奈良さんとかね、出て行っちゃえば良いけどね。

田辺:でも、大部分のアーティストって出て行けない性格というか。。

渡辺:出て行けないよね。それってファッションもそうですよね、若い人で面白い人がいたら買って買い支えるってことですよね。

田辺:買い支えるね。

渡辺:よく、あ、このブランド好きだったのに潰れちゃったって言って一枚も買ってない人いるじゃないですか!笑

田辺:ははは、買えよ!と。

渡辺:買えよ!ですよ。それは町の定食屋もそうじゃないですか!あ、締めちゃった!みたいな。でもこの頃行ってなかったなあ~。。だから潰れたんだよ!みたいな。
アートもファッションも定食屋もまったく一緒じゃないですか。

田辺:確かに!なんか、本の中に高級なバッグ持って地下鉄乗ってる女性の話があって面白かったんですけど。。。

渡辺:でも、あれは武装だからね。。

田辺:あーそうですよね。

渡辺:そう、盾だし、武器だからね。。。あ!でも、日本のアートの買い方ってそうじゃないですか、私ウォーホル持ってるのよ!とか、さっきのマチスで、マチス持ってるのよとか、武装じゃないですか!ウォーホルある素敵なお家みたいな!笑

田辺:そういう人もいますね。

渡辺:いますよね!

田辺:それはそれで良いと思うんですよ。

渡辺:まあ、お金出してるから良いんですけど。

田辺:ただ、日本だと家に行くって習慣が海外ほどないから自慢出来ないから持って歩けるバッグの方が手っ取り早い。

渡辺:そうですね!すぐに見せられるもんね。それはあるかもしれませんね。

田辺:伊勢丹でアート展示する仕事してるんですけど、ファッションの売り場で、でも、売れた事ないんですよ。ファッションを買いに来る場だからか1万円以上とかだとまず売れないんです。

渡辺:でも、3万くらいだったら買いますよね、普通は。

田辺:買わないですよ、でもアーティストは作品売れる以外に収入源ない訳だから作品が売れなきゃ他に行ってしまうしかない?商業デザインとか?

渡辺:でもウォーホルとかも最初は商業だったじゃないですか、それでアートに行った。でも、それって面白くてファッションもそうで、例えばラルフ・ローレンなんかね、最初はネクタイ売り場だったんですよね。幅広いネクタイでラルフ・ローレンは当てたし、あと、アルマーニもミラノの百貨店「ラ・リナシェンテ」のバイヤーとかだったんですよね。だから行く人は、誰かが認めれば、こいつ面白いじゃないかとかいってネクタイ一本からでも行くんですよね、シャネルだって帽子屋さんじゃないですか!

田辺:確かにね!

渡辺:そう、だから最初はそうかもしれないけど、その後行けるかどうかで、でも、日本は行けるのかっていう。。。。

田辺:そうですよね。。

渡辺:はい。

田辺:でもね、世界の経済水準的に第3位か何位か分かんないですけど、高いのに文化はね。。。

渡辺:文化に対するなんだっけ、GDP?は低いですよね。。
私も現代美術に関しては素人じゃないですか、まあ、美術手帖はずっと読んでますけど。。。ある意味、ファッションに対しても素人なんですよ、私は。

田辺:あ~でもそれは良い事ですね。

渡辺:はい。いわゆるブランド好きではない。。ブランドは好きですけど皆のようなミーハー好きではないし、私オタクなんで、さっきみたいに、聞かれればなんでも、歴史とかでもなんでも紐付けて語れますけど、今の日本のファッションってそんな事は誰も求めてなくて、私と同じ事をもしも英語で外人が言ったら凄いお金になると思うんですけど、世界中で!?でも私はまあ、素人で良いのかなと。ファションも美術も。素人なりの意見?結局は本も素人目線で書いたから今回もお陰さまで売れている?なんですね。

田辺:分かり易いですよね。
でも、クロウトにはしたくない。

渡辺:なんとなくクリスタルにしようと思えばいくらでも出来ますけどね、固有名詞をバンバン出してね。でも、それはクロウトや身内受けで終ってしまうので、美術なんかに関しても同じかな。

田辺:今日話されたようにまず本当に自分の好きなものを知るというか見つけるみたいな話ですね。

渡辺:うん、ただ、それが全ての人に出来るかっていったら。。海外の人って割と小さい時から好きか嫌いかって言う訓練をされてるじゃないですか。だから、例えばね、レストランとかでオーダーするのでも肉の焼き方からサイドはポテトにするのかどうかまでもう決まってるじゃないですか、で、あの人達コーヒーしか飲まない人達はコーヒーしか一生飲まないんですけど、日本人って迷うじゃないですか。あれはなんで迷うのか私は分からない。だけど、そういう気質なんですよ、きっと。小さい時から。うちはもうすぐに決めないと置いて行かれたりもらえなかったりしたので、だったらもう面倒くさいからずっとコーラで良いですみたいな、私はじゃあ紅茶ですみたいに決めさせられたんですけど、毎回毎回、たとえば飛行機でもそうでしょ?お飲物何にします?って考えるってあり得ないじゃないですか!

田辺:分かってることですよね。

渡辺:そう!あ、だったら水とコーヒー!とかってすぐに注文しますよね。でも、それを迷うのがファッションもアートも日本人気質だと思うんですよ。決めるっていう訓練が出来てない。だから外国とか行くと長い列になっちゃうし、もどかしいって思われちゃう。何が好きか分からないって。

田辺:そこが奥ゆかしさとか美徳なのか分からないですけど。。遠慮するとか。

渡辺:あとね、チョイスが今は多過ぎる!江戸時代なんかそんなチョイスがなかったから、そんなに選べなかった。だってあたし達の小さい頃だって毎日同じもの食べてましたよね!だから今私それに戻ろうかと思って。ファッションもそうなんですよ。それで良いじゃないですか。別に、好きなものをずっと食べてれば良いじゃないですか。偏ったって、偏ってますよ、どうせ、みたいな。

田辺:そうですね、迷ったまま色々持つよりもまずは捨てなさいと。

渡辺:そうなんですよ!だから、今まででついちゃった迷いの部分は持っている必要はないっていうことですね。

田辺:なるほど、分かりました!じゃあ絵の説明を最後に。

渡辺:あ、はい!

渡辺いく子さん第1回はこちら

渡辺いく子さん第3回はこちら

第3回に続きます!

ignore your perspective 30 「CHAIN REACTION」

IMG_6004       IMG_6018 IMG_6014 IMG_6011 IMG_6010 IMG_6008 IMG_6006 IMG_6005

白金の児玉画廊にてignore your perspective 30 を見た。長く続くこのグループ展は毎回楽しみだが今回のタイトルは「CHAIN REACTION」。様々に違った表現をするアーティストの作品を一つのギャラリー空間に同時に展開することで起こる視覚体験の連鎖とでも思えば良いのだろうか。大谷透、中川トラヲ、中村奈緒子、益永梢子の4名の作家はそれぞれ大胆で個性的な作品を展開する。大谷透は既存の洋服の生地を切る為に使う型紙をキャンバス代わりにそこに既にある線や記号を塗りつぶしたり新しい記号に変えたりして作品を作り上げる。中川トラヲは好きな作家だが、彼の色彩と形への独特な感性は見るものを不思議な感覚に誘う。彼もまた気の木目や偶然的にキャンバスについた絵の具などから抽象的な絵画を展開する。その抽象的な色や形の展開は終ることなく延々と続けられるように思われるので展示作品は常に展開の途中のような緊迫感を漂わせる。中村奈緒子の作品はその都度様々な素材や方法で表現されるが共通するのは彼女にとっての作品とは気の遠くなるような数や量の仕事を要する制作過程そのものであるということか。今回はまるで作品ではないようなベニヤやシートのインスタレーションに近くで見ると驚くほどの細かい描き込みが見えるか見えないくらいの濃さで描かれていたりするのだった。益永梢子は今回が初展示の作家だそうである。彼女は色や形、無意識的にできた跡やひずみなどを発展させ、最終的に絵画作品に昇華させる。描くということ自体が持つ魅力やしなやかな線や色、形の面白さなどを作品を通して表現する。1人の作家の作品をじっくりと見れる個展も好きだがグループ展も大好きである。それは一度に何人もの作家の作品が見れるというお得感もあるかもしれないが、むしろそれぞれの作家が持つ異なった感性が同じテーマの中でぶつかり合い同時に共鳴し合う様を見るのが楽しいからなのだ。

渡辺いく子(第一回)ファッションとアートの関係性の話や、コレクションを始めたキッカケなどの話

ファッションとアートの関係

田辺:今日はどうも、よろしくお願いします!

渡辺:あ、はい。よろしくお願いします。

田辺:なんか、いく子さんとはもうずいぶん長いんですけど、ニューヨークで。。

渡辺:あ、そうですよ、最初に会ったのニューヨークですもんね!

田辺:誰も、ここには他に日本人なんかいないだろうなみたいなクラブに。。。

渡辺:クラブとかパーティーに絶対にいるの!一人でも!笑

田辺:そうそう!

渡辺:1人でも!単品でもいくという。。。

田辺:そう!さっと現れるという。。

渡辺:はい!

田辺:今回は本を出されたレセプションにお招きいただき、そこでちょっとお声をかけさせて頂いたんですけど。

渡辺:はい、ありがとうございます!

田辺:いえいえ、まず、本業はファッションのスタイリストで、本もそういう感じの本をお出しになられてるんですけど、最近、アートの世界とファッションの世界が近づいて来たりして、まあ、川久保さんみたいな?

渡辺:はいはい!作品、みたいな?

田辺:アートとファッションの関係って?

渡辺:あとマルジェラもそうですよね!

田辺:そうですね、あとアレクサンダー・マックィーンがメトロポリタン美術館でで回顧展やったりとか。。。その辺でご自身が持ってる感想とか?どういう事なんでしょうね、アートとファッションって?

渡辺:どういう事なんでしょうかね、えーっと、やっぱり、まず1970年くらいからウォーホルが出て来て、美術と商業美術?ちなみにわたし、それを卒論にしたんですけど、誰にも受けなかったんですけど。。。笑

田辺:卒論に書いたんですか!笑

渡辺:そう!卒論にしたの。ポップアートっていうか、商業美術と美術っていうのが始まって、で、川久保さんとかも出て来て、ファッションっていうのも、普通に着れるウェアラブルなカジュアルなものの他に、これって舞台衣装じゃないの?みたいな、それは72年のデヴィッド・ボウイの山本寛斎なんかもそうですよね。

田辺:うんうん。

渡辺:そう、だからそれがステージ上だけのものだったのがだんだん下りて来て、だから例えばアーティストの恰好とかでも。それで、いわゆるそういうファッションの方も装飾的なものを一般の人も着るようになった。昔だったら貴族の人達が着ていたものがロンドンポップぐらいから、ツェッペリンとかそういう貴族の恰好していたじゃない?

田辺:あ~はいはい。

渡辺:うん、で、そこぐらいから始まって、装飾過多なものを普通に着ちゃうっていうムーブメントもあって、で、その後にウォーホルとかキース・ヘリングとかグラフィティー的なものとかシルクスクリーン的なものが出て来て、私もシルクスクリーン取ってたんですけど学校で、で、写真もやってたんですけど、それってそのままTシャツとかに刷れて。。。

田辺:そうですよね!

渡辺:はい、そうすると、それがたまたまTシャツに刷ったものはウェアラブルでファッションになるし、キャンバスにプリントしたらアートになる!ってことでだんだん融合して来ちゃった。

田辺:なるほどね!

渡辺:その二つですね、商業的なものから来たアートと、それから川久保さんとかそのうちトム・ブラウンとかに行く造形的なもの?フォルム的なもののアートと、その両方からファッションとアート、美術っていうのは融合して行ったんじゃないかと私は思うんですけど。

田辺:そうですよね、川久保さん作り出すデザインって衝撃的だった。

渡辺:衝撃的でしたよね!そこには現代アートに通ずる考え方があって、やっぱり現代アートっていうのはきれいとかっていうよりもノイズが入る?どこか引っ掛かるのが現代アートじゃないですか、だから川久保さんのファッションっていうのは現代アートだと思って、アンチテーゼとか、何か定義しますよね?そのものを人が見る事によってなんか心に引っ掛かる。なんか、変だな?おかしいな?ビザールっていうか、ちょっと気持ちが悪いなっていうのでも何でも良いと思うんですけど、そこから、じゃあなんでそうなんだろう?って考えさせる。っていう点では川久保さんの作品はまさに現代アートだと思います。

田辺:そうですよね。出て来た時も衝撃的でしたけど、今も第一線で挑戦し続けているというか。。。

渡辺:はい、で、更に恐ろしいことには、彼女の服はそれをやってらっしゃる時には分からないんですけど、その時はこれ着れないでしょ、絶対にあり得ないでしょって思えても形を変えて若い子達がインスパイアーされ3年後5年後にはそれが街のものになってしまうところが凄いんですよね。

田辺:そうですよね、ただの好き勝手なアート作品ではなくて商業製品としても成り立っている。

渡辺:で、ウォーホルとかもそうですよね、最初これはいたずら書きなんじゃないかとか。。最初に1975年かなんかに日本橋三越で第一回の回顧展やった時に毎日行ってたんですけど、その頃はもうガラガラで誰にも相手にされず、でもこの間六本木ヒルズでやったら毎日満杯で、そんなに皆ウォーホル好きだったんかい?みたいな。だから、時代?その時は分からなくてもちょっと先の時軸を行っている?川久保さんのファッションとかもそういうところありますよね。

田辺:ありますよね。ファッションって繰り返すっていいますけど、川久保さんとウォーホルに共通してる何かがありますね。

渡辺:そう、時代の先を行って流れを超えちゃったみたいなところがありませんか。

田辺:ウォーホル展もかなり彼の活動を多岐に渡って紹介していて若い人も見に来てましたよね。

渡辺:見に来てましたよ!

田辺:若い人なんてウォーホル知らない?

渡辺:知らないですよね!はい。

田辺:新鮮だった?

渡辺:パナソニックとかのコマーシャルも知らないし。

田辺:知らないですよね!笑

渡辺:特に亡くなってから結構経ってるからユニクロのTシャツでしか知らないかもしれない。

田辺:そうですよね。

渡辺:はい。

田辺:だから、そういう人達が見たっていうのは貴重ですよね。

渡辺:貴重ですよね、その三越と今の間に何回かやっているんですけど、清澄の現代美術館でもやりましたよね?

田辺:あーそうなんですか!

渡辺:その時もね、そんなに人はいなかった。

田辺:じゃあこの前の森アーツは凄い?

渡辺:この前はちょっと異常でしたよね。まあ、なので、一番先端のファッションと現代美術っていうのは凄く似ている。でも、美術っていつもそうで、出た時はアバンギャルドっていわれる?例えばスーラーの点描画とかゴッホでもそうですよね!最初は何これ?みたいな。

田辺:1枚しか売れなかった。

渡辺:そう、それも親戚だか弟が買い支えたっていう。それが今じゃ億単位で素晴らしいって。だからちょっと時軸とずれて先を出しちゃうんじゃないですかね。

田辺:ファッションでも。天才とよばれる人は?

渡辺:ファッションでもアートでも!天才という人は。そこが美術というものとファッションというものがリンクする。。。特に今の時代はそれが凄くリンクしている。あ、でも浮世絵なんかもそうじゃないですか!今あの大田美術館で浮世絵展やってて、江戸時代の町娘とか遊女がオシャレの先端を行ってたんじゃないの?みたいのだけを集めた企画展をやっているんですけど、それもそうじゃないですか。

田辺:そうですね~

渡辺:浮世絵だって当時は町のブロマイドみたいなものですよね?それが今やアートになっていて。

田辺:あ、先に海外で評価されちゃってね。

渡辺:はいはい。で、そこからまたゴッホとかに行ってるんですよね、構図とか影響与えたりして。

田辺:大胆な構図ね。

渡辺:はい。

コレクションのきっかけはマチス?

渡辺いくこ ikuko-watanabe

田辺:もうファッションではめちゃめちゃ洋服もお買いになって、ファッションを好きだと思うんですけど、アートも同じ軸というか。。

渡辺:そうですね。。というか、割とひねくれ者なのでたまたま好きだと思ったものは人が気にしようがしまいが買うよ!っていう。。。笑
マチスもリトグラフ持ってるんですけどね、サイン入りのね。でも、普通だったら切り絵みたいなきれいなの買うんでしょうけど、それなんか線画でのっぺらぼうで。。。それはね、どうして買ったかっていうとニース?カンヌ?あっちの方にマチス美術館があるじゃないですか。

田辺:あーありますね!

渡辺:そう、で、私凄くマチスが好きで見に行ったんです。私好きだとそこまで見に行っちゃうんですね。笑
クリムトとか好きだからってウィーンも行ったし。。。
その時にマチスの美術館ってステンドグラスとかあって、色だけのステンドグラスだけど、そこの壁に描いてあったシリーズで、実際にそこには枢機卿の石版画シリーズがあったのだけど、それをたまたま青山かなんかのギャラリーで見かけて買っちゃったんですよ。

田辺:そうなんですか!

渡辺:そう、それはバブルの時に買っちゃったんです!笑

田辺:素晴らしいですね。凄い価値が上がってると思います。

渡辺:上がってるんですかね?

田辺:下がる事はないです!

渡辺:ないですかね。でも、刷り数が多いからリトグラフだし。

田辺:そりゃあもう、サインが入ってれば大変なものです。

渡辺:入ってるんですよ!

第2回に続きます!

米原康正(第2回)独特な日本のカルチャーと日本人気質について

アート = ファッション?

田辺:日本ではアートがファッションになっちゃったのかな。

米原:ファッションになってるの。 だからそこの部分が日常から離れて行くってとこだったりして、俺からすると別にアートってなくてもいいもんだと思うんだけど、「あればなんか良いじゃん!」って物だと思うんだよ。もしくはそれがあった瞬間に「俺ってすげーな」っていう、意味もなく感動するとか意味もなく怖いとかっていう、そういう意味のないって部分の人の気持ちに伝えるものっていうのがアートだと思ったりするんだけど。

田辺:なるほど。

米原:それがやっぱり日本だとお洒落っていう枠だったりさっきも言った通りイメージ?あ、こういうのがお洒落かも!こういうのが高いからお金持ってるように見えるかもとか。なんか、その純粋な感動っていうのではない、なんだかの部分でしかアートをずっと語ってこなかった。

田辺:確かに!そう思う。 なんか、海外って、もちろん人に自慢するっていうのもあるかも知れないけど、自分自分の為に買う。アートが必要な自分がいて、例えば自分が見て癒されるとか、誰が良いって言ったとかではなくてっていうのがあるじゃないですか。だから好きなポストカードなんかを机にばーっと貼ってる人もいれば、お金貯めて自分の好きな絵を買う人もいれば、流行とかファッションじゃなくて、根本的な動機みたいのがちょっと違う。

米原:そうなのよ、だから「これ良いでしょ?」って言った時に俺はこのアートを良いと思ってるんだけど、普通の人は「いいでしょ?」って言った時に「お洒落でしょ?」とか、「お金持ってるっぽく見えるでしょ?」とか、違う意味があるような気がしてて。だから他の人の部屋とか行くとさ、なんでこのアートとこのアートを一緒に買ってんですか?みたいな、アートの横の繋がりみたいのがないとかさ。なんでこの本とこの本が一緒なんだろうとかさ、俺はもうここにある本とか説明しろっていえば言えるのよ。

田辺:繋がりがね。

米原:繋がりが。でも、日本って結構ばらばらの部屋だったりとか統一性がないのよ。

田辺:人の意見に惑わされている?

米原:自分の意志で物を集めてないっていう、アートだけじゃなくて、じゃあソファ選ぶとか冷蔵庫選ぶってところから全部なんか入ってるような気がして。

田辺:個性を尊重するっていう欧米の文化、その最たるものがアートであるみたいな。でも日本ってどっちかっていうと個性を出すといけないんじゃないかみたいな。だから多くの人が良いというものを良しとしようみたいな。根底に違うものが流れているというか。

米原:流れてる流れてる。

田辺:ねえ、そんな気がしますよね。

文化系 vs 体育会系

米原:だからニコラっていうローティーンのファッション誌があるんだけど、11歳から14歳くらいまでのファッション誌で、もう17年間ある雑誌で、20万部くらい売れてる。

田辺:凄い売れてるね!

米原:その手のファッション誌のヴォーグみたいなもんだけど(笑)、そこで創刊号から「おしゃべりクラブ」っていう読者ページやってて、で、ずっと真面目に答えるから真面目な手紙が来るのね、で、そこで昔から今もずっとあるのは自分の意見を言うとか、私は将来こうなりたいですとか、自分の意見を持ってる子はいじめられるの。

米原康正

田辺:あ~なるほどね。

米原:だから日本で、特に地方に行けば行くほどキャラが濃い子っていうのはいじめられるから。だからキャラ濃くてもいじめられないのはヤンキーか、強いか、それともとことん人を相手にしないオタクになって行くしかなくて、だから今の日本ってヤンキーかオタクしか文化が創れないのよ。あとはもうどっちにも属さない、その時の勢力に流れるだけだから。

田辺:あーなるほどね。

米原:今は文科系が強いからさ、皆が青文字系みたいな文科系になって来てるじゃん。あれも今度は体育会系が強くなるとさ、ギャルみたいな体育会系が強くなる。

田辺:そうですね、僕らが中学校くらいの時は体育会系だったもんね、結構ね。

米原:そうそうそう。

田辺:暴走族とかいっぱいいたし。

米原:でも、70年代とかってさ、自殺が流行った頃とか超文科系だったよね。

田辺:そうだよね。だから、繰り返してんだよね。

米原:そうそう。それも極端過ぎる。今のギャル達って文化系世の中だから居場所がない。ギャル関係で仕事してた人達がなんかもう仕事ができないくらいの勢いになるじゃない。全員文科系で「きゃりーちゃーん!」みたいなノリでないと今の日本では格好よくないみたいな、「秋葉原だー!」みたいな。

田辺:そっちの色に染まってないとみたいな。

米原:そう。俺なんかもう見ての通り前々からどっちも好きだからさ、どっちっていわれても別にこっちやっててもギャルの方も俺やってんのよ未だに。

田辺:ぶれなくね。

米原:はは、ぶれなく。で、そん中で好きなタイプはあるんだけど。

田辺:うん、時代によってね。

米原:でもなんか、さっきも言ったけど日本はイメージでクリエーターも動くから、体育会系が流行ってる時は体育会系の写真を撮るけどさ、いきなりこっち来ちゃうとさ、じゃあ、こっちが良い、こっち忘れてこっち来ちゃうみたいな、そういった部分がこうちゃんとした物を作んない事になってる気がする。

田辺:なんか、独自のカルチャーなのかどうか分からないけど集団でそっちに行きますよね。

米原:うん、行く。

田辺:ね!海外が良いって言ってる訳じゃないけどやっぱりこうまず自分を持つっていうかそういうのが基本にあるじゃない、だから日本ってわりとある意味商売しかけ易いっていうか、もう今だったら文科系やればある程度バーって行っちゃうみたいな。

米原:そうだね。

田辺:凄く単純な民族なのかね?

米原:ね、だから海外が、俺も別に海外が良い日本が悪いって思ってる訳じゃないけど、人と違う事をするっていう事が価値観じゃない。同じであるってことは絶対にもう欧米だったら人と同じだったら「えー!」って話しになる訳じゃん。俺それってアジア的な感じがして。

田辺:アジアかもね!

米原:仏教なのかなって気もする。

田辺:あー仏教ね。

米原:なんかこう、皆が同じような時間に起きて、豊かな国で育ったから。こうお祭りみたいな感じ。

田辺:そうですね、まあまあ、限られた中で言うのもなんですけど、日本って宗教観も含めて凄い特殊じゃないですか、クリスマスお祝いして除夜の鐘聞いて初詣に行くっていう短い間に3つの宗教またぐじゃないけど、欧米の人だと、「そんなのいったい何を信じてんだ?」って話しになるじゃない。で、じゃあ信じてるって意識もあんまりないし、なんか、習慣のイベントみたいな、海外だったら皆宗教持ってさ、まあ、今イスラム国でもめてるけど、命がけでやってるけど日本ってそういう感覚は薄いよね、それも含めて不思議な人種だなーって気がしますけどね。

米原:だから逆にそれを意識してやれれば、意識して自分達はそういう国境みたいな部分もなくてさ、ていうか、外国は好きなんだけど、むこうだと海外の文化を取り入れるっていう時にかなり抵抗感があったり、それは自分達に合わないだろうとかあるんだろうけど、日本人ってスルって、平気で簡単に馴染んじゃう。

田辺:そうだね、うまく取り入れて。

米原:そうだよ、で、実は日本の海外文化っていうか、海外好きな人達ってもう外国以上に恰好いいと思うよ。スタイリストとかって外国好きばっかりなんだけどさ、外人よかスタイリング凄いもん。

田辺:うんうん。

米原:でもそれを自分達はそういう風にして外国好きでこういうスタイリングしてんだってとこを意識してさ、やればもっと世界で活躍出来ると思うんだけど。

田辺:うん、逆にね。

米原:それがやっぱり、海外が恰好いいからこういう風にしてるって意識だとそれはやっぱりあくまで海外に負けるじゃない。

田辺:うん、限界がある。

米原:意識の変え方だけで日本ってなんていうかな、凄い強いものを持てると思うんだけどね。もったいないって思うんだよね。

田辺:なるほどね。

米原さんのコレクション

田辺:あの、ここらで今回紹介の作品を見ましょうか。

米原:はい。

米原康正さんのコレクション:フューチュラ

田辺:コレクションはフューチュラ。

米原:フューチュラです。

田辺:もうフューチュラといえばね、グラフィティーアート界のカリスマですよね。

米原:カリスマですね。

田辺:で、親交があって、日本に来た時にこれをもらったの?

米原:そう、97年にフューチュラが来日した時にアテンドっていうか、遊び連れてってよみたいになって。ちょうど俺が「egg」作ってたから新宿のコギャルばっかしのクラブに連れてったのよ。

田辺:コギャルクラブ?

米原:コギャルクラブ!笑 そしたらもう「イェーイ!」みたいなのりになって、こりゃあスゲーみたいな話しになった。ちょうどその頃に俺が持って来るエロい物を仲間と皆で見るっていうのやってて、で、こういうの盗んで来たりとか、こういうプラモデルいっぱい買ったりとかしてたのよ。で、その話しをフューチュラにしたところ突然これに描き出して、なにやってんだろうなって思ったら、すんげえ一生懸命やってて、で、これヨネの為だって言って、どうしたの?って言ったらこのディックが付いてる宇宙人はこれしかないって。

田辺:あー凄いね!じゃあこれはもうプライスレスですね。

米原:ははは!プライスレス!

田辺:なるほどなるほど

米原:というね、97年に描いてもらったやつだね。

米原康正さんのコレクション:フューチュラ

田辺:まあ、このイメージは鮮烈だったよね。分かりました、実にヨネらしいコレクションだと思います。ところで、最近もDJイベントしたり個展したり編集したり、若い子の中で活動してますが今後もそういう感じ?

米原:そうだね、俺基本的に現場にいるっていうのを続けて行きたかったりするから。常に今何が起きてるかとか。起きてる場所が好きなのよ。

田辺:うん、そうだね。

米原:うん、だからなんか歳とってさっきの日本の権威じゃないんだけど、それは良いよ悪いよっていう立場になるんじゃなく、常に面白いものをこれ面白いじゃんって発信して行くような場所に身を置きたくて。それで、気が付くとアイドルに巻き込まれてるっていう。笑

田辺:なるほどね、でもまあ相変わらずな感じですね。まあ、ずっとそこにいるでしょ。きっとね。

米原:うんうん。

田辺:決して何かこう遠く離れたきれいな部屋から物事を判断するとかじゃなくて、現場の最先端で皆とドンチャン騒ぎながら肌で感じるっていうタイプだよね。

米原:うん、でも儲かんないんだけどね、それが。笑

田辺:あ、でもお金じゃ買えないものがありますよ!この作品もそうだけど。

米原:まあ、そうなんだけどさ。家の奥さんによく言われるんだけど、もうちょっと我慢してくれればって。もうちょっとって。笑

田辺:でもそこがいいところなんだよ!笑 というわけで、そろそろこの辺で、今日は長々とありがとうございました!

米原:はい、ありがとうございましたー

米原康正(第1回)「コレクションやクリエーティブな仕事について。」はこちら!

米原康正(第1回)コレクションやクリエーティブな仕事について。

昭和の部屋

田辺:今日はよろしくお願いします!

米原:よろしくお願いします!

田辺:部屋いっぱいに色々あるけど、これはなに?もう何十年にもわたるコレクション?

米原康正 昭和の部屋

米原:そう!というか、90年代からのもあれば高校生の時からのものもあるから。。。

田辺:うんうん。

米原:だから40年以上にわたるコレクション?

田辺:40年以上にわたるコレクションかあ!

米原:うん、本とかはほとんど初版じゃないかな。でもまあ初版にこだわるのって俺たちみたいな世代だけなんだよね。笑

田辺:うん、確かに!

米原:もう今の子達に初版とか言っても「関係ねー」って、話しだもんね。

田辺:うんうん。ま、あとフィギアとかね。。

米原:そうそう、だから「昭和の部屋」って呼ばれてんの。

田辺:「昭和の部屋」?あ、なるほどね。

米原:そう、今の子達って、物持たないじゃん。

田辺:そうだよね~

米原:みんなパソコンの中に入れちゃうから。。

田辺:そうだよね、物欲がないよね。

米原:ないない、だからこの部屋とかくると怖いとか言われるもの。

田辺:あ~、でもちょっとした店よりも物があるんじゃないかぐらいあるものね。
凄いっすね、まあ、地震が来たらちょっと。。。

米原:うんもうここに埋もれて死ぬっていうのが最終的にはね、ドーンって落ちて来て最後は本に埋もれて死ぬっていうのが。。

田辺:確かに!笑
でも、ここはじゃあ物を置く場所であったり、アイデアを考えたり?

米原:そうそう、こういう資料って大切で、今はなんでもサンプリングでしかなかったりするじゃない。そしたらその原型知ってる方が強いかなって思って。

田辺:うんうん、なるほどね。

米原:あ!あの時にこういうのあったなとか、調べようと思えば調べられるし。

田辺:コレクションするのって場所も必要だし大変だけど本物に触れるって大事な事ですよね。

米原:そうそう。

米原さんのスタンス

米原さんのスタンス

田辺:確かヨネとはスペースフォースでエキシビションとかやってた頃からの付き合いで、でも、始めの頃からチェキとかポラとかで作品作るっていうスタンスはもう決めていて。。。

米原:うん、決めてた決めてた!

田辺:自分はアーティストとしての一面と、編集者っていう一面がある感じ?

米原:うんそうだね、でも基本的にどっちもお客がいるってことは一緒だったりするんだけど。編集者の場合は本当に客の立場に立ち、客をどう喜ばせるかみたいな部分で編集してて、アーティストの場合は自分の作る物をどう客に見せるかって。

田辺:なるほどね、あと自分をどう喜ばせるかとか?

米原:うんうん、そうだね。自分も客になるみたいな、あとなんていうかな俺、自分だけを喜ばせるっていう事にあんまり興味なくって。。

田辺:あ~わりと考えてるんだ。

米原:常に客がいるって状況を考えてるのよ。

田辺:なるほどね。

米原:だから、それがなんていうかな、「egg」とか作った時も当時の女子高生の客っていうか、そういう子達が好きなものから何か作ればファインアートに近いだろうなって思ってやってたんだけど、誰もそれを気付かず、認めてもらえず。。笑

田辺:サービス精神が旺盛なのかもね?

米原:うん、まあ、人を喜ばせたいっていうのが凄いあるからね。。

田辺:なんか、アーティストとして女性なんかいっぱい撮るじゃない?そうすると、おだてて撮るとか、喜ばせるとか、良いもの引き出す為にノリを作って行くとか?やっぱそういうのが根底にあるのかな?

米原:そうだね、でもおだてるっていうか、基本的には根本にあるものが、なんていうかな、分かるっていうか、俺、大体人が分かる、人が分かるって言い方も変だけど、この子はなんでこうなのかとか大体分かるのよ。その人が何を考えてるかみたいな事が。。

田辺:ふーん、なるほど。

米原:分かり過ぎて俺、小さい頃からそれが嫌で、凄く。だから、世界全体の流れとか、そういうの。とんでも話しみたいになって来るけど、ちゃっちゃい頃から自民党は二つに分かれるってずっと俺思ってたし。。。

田辺:へえ~

米原:なんかこう、そういう流れを続けて行けばこうなるみたいな部分とか、この人がこういう生き方してけばこうなって行くとか、大体分かるの。だからほら俺凄いいつもさ売れてる人のそばにいるみたいにさ、言われたりするんだけど、それって売れてるからいた訳じゃなくて、売れる前からいたりする訳だよ。

田辺:そうだよね~早くから着目するよね~

米原:それって、さっきも言ったけどこいつには客が絶対につくなとか、今みんな知らないけど、この辺が良いんだよみたいなのが分かるから、その辺をこう、詰めて行くと大体の世の中の流れみたいなのが分かったりして。

田辺:なるほどね、じゃあピンと来るみたいな、そういうのがあるんだ。

米原:うん、だから、それをあんまり考えて人と接してると、最初からこの人は無しとか、基本的にはそうなっちゃうから、極力そういう考え方はもうしないようと思ってたりするんだけど。。。男子にはそういう考え方使わないようにしてるのよ、かなり生活面に支障きたしたりするから、で、女の子の場合とかはやっぱり、それを逆に仕事にして女子のなんていうかな、可愛い子といつも一緒にいるって部分で使って行こうってなって、だから女子もまだ初めって頃から関わってるみたいな。

田辺:そうだよね。結構そのヨネが取り上げた子が有名になっちゃうっていうのがよくあるじゃない?そういうのはなんとなく見える?まあ、見えるというかなんかこう感じるものでもあるんだろうね。写真家にとっては大事な資質ですよね?

米原:そうそう、アーティストってそういうの大切だと思うんだ、例えばウォーホルだって新しいものが出たらその新しいものをどう使って行けば良いか分かってるというか、あの人って一流のプロモーターだと思うのよ。

田辺:確かに!そうだね。その辺の嗅覚は凄いよね。

米原:常に新しい技術が出るとそれを作品として使って行こうっていう。俺本当にそれ悔しくて、それで先を越されてるのが!

田辺:わはは!
まあ、ウォーホルはね、20世紀の生んだ、メディアの時代の生んだ最高のアーティストですよ。

米原:個人広告代理店としては凄い人だと思うんだよね。

田辺:確かにね!

日本のアートの現状

田辺:このブログは「アートを少しでも身近に」って思いでやってるんですけど、アートってあまり売れないじゃないですかその作品自体は。でも、日本も何かっていうとアートアートっていうけど、実際問題ファインアートでいったらマーケットがないとか、色んな事情があると思うんですけど、どうですか?日本のアートの現状なんていうのは?

米原:う~ん、僕自体がまず日本の権威みたいなものが好きじゃないっていうのが最初にあって、権威っていっても、海外の権威と日本の権威ってなんか違う感じがしてて、だから日本のなんかその、そこがないと始まらないとか、勉強もしてないくせに威張ったりしてるって状況だったりするっていうのが嫌で。

田辺:そうだね、なんか封建的な。。

米原:そうそうそう!

田辺:村社会っていうかさ。

米原:そこを凄く感じてて。だからそこん中で認められてもしょうがないかなみたいな。凄く前から、さっきの自民党の話しじゃないけど、ここに関わってもあんまり世界と縁がないのかなっていうのがあり。。。

田辺:そうだよね、そういうのから常にフリーで、で、ヨネは中国なんかでは凄く受けてる訳じゃない?だからやっぱり、関係ない!って感じですよね。

米原:だからまだ俺がこういう事やろうって思ってた30代40代の頃って海外に対してどうやってやろうっていうのが凄い大変だったから、だからなんて言うか、どうしてそんなに簡単にパクれる?みたいな、海外からもう勘弁してくれよってくらいにパクられたし。今だったら違って来るけど、1990年代から2000年なんてポケベルだから、今だったら考えたのをすぐにメディアに出せるっていうのがあるから。。。

田辺:今は個人がメディアとして発信出来る、そしてそれが拡散するっていう時代じゃないですか、その中にどっぷり浸かってるっていう、でも世代的にはポケベルっていう。。

米原:そうなのよ、だから俺あと20年遅く生まれてたら違ってただろうな~みたいな。笑

田辺:まあ、でも逆にこの部屋じゃないけど、今の若者世代?さっき言ったみたいに物に執着しないとか、僕らの頃って物の憧れとか海外の憧れみたいのが凄くあったけど、今は皆海外に行った事もないのに知ってる気になってるとか、パソコンに取り込んだらそれで所有した気になってるとか、リアルとバーチャルがごっちゃになってるというか、それって不思議な感覚ですよね?

米原:だからパソコンを使い出して思ったのが、物を集めてるとこんな凄く乱暴に積まれてるように思うけどどこに何を入れてるみたいのは実は俺はちゃんと把握してて、日本の写真集はこことか、あるんだけど、パソコンだとフォルダ作ってぽこっと入れてて、「あれ?あれどこ行ったんだっけ?」みたいな事とかある。

田辺:逆にね!

米原:なんか、久々に開けて見ると、「あ!ここにこんなのあった!」みたいな。。
パソコンの責任になっちゃってなんにも後作業が出来てないみたいのが多かったりするから。だから、こういう風に現物で持つことが大切なのかなって思った。

田辺:なるほどね、だから使い方ですよね、パソコンだけになっちゃうとね。。

米原:だからそれを考えると、アートとか美術品とかって物としてあるものが本当に大切になってくるんじゃないかって気がする。

田辺:うん、なんか日本ってアートを見るけど、じゃあ10万円のバッグは買うけど、10万円のアートは買うかっていうとまったく買わないじゃないですか、それって日常生活に海外なんかはアート飾ってるじゃないですか、そういうのあんまり習慣がないっていうか、なくなっちゃった?元々はあったんだろうけど、そういうのってなんか理由があるんですかね?日本の場合は。。。

米原:うーん、だからなんていうのかな、俺よく言うんだけど日本ってその、自分たちに対しての現実感みたいなものが凄く薄かったと思うのよ、ずっと。それは何かっていうと、やっぱ恰好いいって物が海外のものだったりっていう要はその、あくまでイメージとしての格好よさみたいなのを追っかけて来ていて、じゃあ、アートみたいなものもこれが恰好いいみたいな、自分の意見じゃなくイメージとしての格好よさみたいなものを、でさ、「あ、これ恰好いいですね!」みたいな話しで。。でも、自分の中での格好よさじゃなくて、イメージの中での格好よさって時間が変わったり時代が変わったりすると忘れちゃったりするじゃない。

田辺:イメージは変わりますよね、時代とともに。

米原:ゴッホのヒマワリがいいって50何億使ったりとかさ、それって自分達が良いって思ったんじゃなくてヒマワリがいいってまわりが思ってる部分に払うみたいなことが昔バブルの頃にあった。日本のお洒落系の雑誌とかがお洒落って枠でしかアートを語れなくなってるとか、それと一緒だと俺は思うんだ。お洒落じゃなくても良いじゃないアートは。でも、今や日本ではお洒落でしかアートは語られない。洋服以外のメディアでアートが出てくるとかもないし、それはイメージにおいてお洒落ってことでしかアートを語れない。

田辺:なるほどね。

米原康正(第2回)「独特な日本のカルチャーと日本人気質について」はこちら!

ジュリアン・オピー 「StreetPortraits」

IMG_2412 IMG_2419 IMG_2421 IMG_2422 IMG_2424 IMG_2425 IMG_2426 IMG_2429 IMG_2443 IMG_2444

谷中のSCAI THE BATHHOUSEギャラリーにてジュリアン・オピーの展覧会を見た。「Street Portraits」と題された展覧会はその名の通り、道行く人達や人物のポートレイトが主役だ。ギャラリーの中央に建つ黒い電光掲示板のオブジェは装置になっていて白いライトで表現されたオピー独特の人物フィギュアがその中を右から左、左から右へと次々に横切って行く。見る側は一瞬のチャンスでそれが男性なのか女性なのか、会社員か走る人なのかなどを認識する。ポートレイトもオピーのトレードマークともいえる簡略化された線と色で平坦に表現されているのだがその簡略化の加減が実に絶妙である。シンプルになってはいるのにその人物の内面を失う事なく作品に封じ込めたような、それは一目見ればオピーの作品と分かる彼が独自に獲得したスタイルだ。今回はキャンバス上にシールのように色を貼って描かれた作品と巨大なプラスチックのカラーパネルを組み合わせて作られた作品の2タイプがあるがどちらも非常に丁寧に作られていて近くで見ても遠くで見ても非常に魅力的である。彼が出現してもう10年以上にはなると思うがこの彼独自のスタイルには飽きがこない。それは彼が興味を持って取り上げる作品の描く対象がいつもハッとさせてくれるような奇抜なものに最初は思えるが実は見の回りに溢れている非常に普通なモチーフばかりだからなのかもしれない。

ORBIT Hiro Sugiyama

IMG_2350 IMG_2356 IMG_2357 IMG_2358 IMG_2359 IMG_2360 IMG_2364 IMG_2365

六本木のhiromiyoshiiギャラリーにてヒロ杉山氏の展覧会を見た。グラフィックデザイナーとして、またビデオ映像を駆使するVJとしても活躍するヒロ杉山氏だが、アーティストとしての作品はこのhiromiyoshiiギャラリーで発表している。前回はスプレーペイントを使った抽象画だったが、今回は一転、絵の具を使った抽象画に挑んでいる。主に銀色の絵の具で,数点は黒い絵の具で描かれているのだが、描くというよりは刻むという感じの印象だ。自由な線はキャンバスいっぱいを縦横無尽に走り回るかと思えば沢山の小さな円でキャンバスを埋め尽くす。花を連想させるような形もあったり中央から外へ波紋状にのびる線もある。様々な線が銀色のキャンバスの上で自由に動き回り跡を残した、そんな感じの絵だ。銀色の絵の具は厚めに塗ってあるのでまるでアルミかなにかの金属に見える。その上を金属がまだ熱く固まり切らないうちに瞬時にスクラッチで跡を付けたような感じがした。前回はスプレーだったが今回は銀の絵の具に線を刻むという方法で独自の抽象画を描いているわけだが表現方法は違っても根底にある表現したいイメージは同じである。今回は銀色なのでキャンバスの前に立つと自分も含めてうっすらと銀の表面にこちらの色や影が映り込むのも面白い。きっとこの絵を買った人はそれを飾る場所によって絵の雰囲気が変わる事に気が付くだろう。そういう狙いもあって銀の絵の具を使ったのかもしれない。抽象画は具体的に何かを描いているのではないので見る人によって絵から受ける印象は様々に異なったものになる。そして、これら銀のシリーズは飾る場所によっても更に印象の違った絵になるところが特に面白いといえる。

風能奈々「地下の湿度と紙の手ざわり」

IMG_2230 IMG_2232 IMG_2233 IMG_2238 IMG_2240 IMG_2243 IMG_2244 IMG_2245
とにかく執拗に作品に描き込む作家がいる。点描画で有名な印象派のスーラーなんかもそうだが、それは忍耐と気力を伴う作業である。しかし、その表現手段こそがその作家にとって最も有効な表現なのだろうが、それにしても情熱というか、執念は見ていて凄いものがある。別に簡素に描かれた作品に情熱や執念がないと言っている訳ではないが、余りにも緻密に描かれる作品を作る作家には物理的に大変なんだろうなと思わず敬意を表したくなる。風能奈々もまさにそんな作家で彼女の作品は信じがたい程に緻密だ。制作している時は水中に潜って地下に下りて行くような感覚があるとは作家自身の言葉だがなるほど、息を止めて真っ暗な地下へと潜るような作業を経て彼女の作品は姿を現すのだろう。人物、動植物、文字などの象徴的なモチーフが散りばめられた彼女の作品世界は深い闇の中で彼女が描き出す不思議な世界である。絵の具を繰り返し塗り重ねた画面には独特の風合いとテクスチャーが生まれ、そこに描かれたモチーフは封印される。今回は今まで馴染みのある絵画作品に加えて新たに木炭を使ったドローイングも発表されていてとても興味深かった。絵画作品では下描きや描き直しをしないそうだが木炭を使って描く時は描いては消す作業を繰り返し完成までに作品の姿は変化し続けるのだそうだ。木炭は日本の美術教育の基本である石膏デッサンの技法でもあるがこうした形でドローイング作品に木炭を使うというのは面白い試みである。作品はどれも夢の中の出来事やシーンの様でもあり彼女の心の中に存在する世界の模写のような気配が漂う。独特な表現手法と表現世界を持つ作家として今後の活躍にも更に期待したい。

坂本夏子 「坂本夏子の世界展」

IMG_2102     IMG_2101IMG_2097 IMG_2096 IMG_2095 IMG_2094

アラタニウラノギャラリーにて「坂本夏子の世界展」を見た。ペインティングやドローイングの展示は全て色使いが美しく、筆の塗り重ねのひとつひとつが膨大なイメージへと変化し作品として生まれる様も素晴らしい。草むらや花、森、お花畑のようなイメージもあれば幾何学的なコンポジションに女性が描かれた作品もあった。勝手な想像だがその女性は作家自身で彼女を取り巻く幾何学的な模様は彼女の内面を表しているような気がした。そう考えながらその他の彼女の作品を眺めているとそれは単なる花や草むらなどの具象的な模写ではなく、全てが彼女の内面を表現した抽象画なのかもしれないと思えた。展覧会のタイトル通り、それは「坂本夏子の世界」なのであって現実の世界ではなくむしろ彼女の心の中か彼女が見る夢の世界を描いているのではないか。幾重にも重ねられた色が美しく融合し、なんとも言いがたい美しいハーモニーを奏でる感覚は印象派の巨匠であるモネを思わせる。しかし、ハーモニーの感覚はモネの様であってもそこから感じるのは決してモネではなくて、非常に現代的である。現代の女性が独特の感受性で描いたペインティングという雰囲気がするのだった。ギャラリーで手渡されたパンフレットには彼女の作品の制作の行程を段階的に写して収めた記録写真が載っていた。全体を黄色に塗ったキャンバスにまるで自然の草が生えるように草花を描き足して作品を完成させて行く行程は非常に興味深かった。具象と抽象の狭間を行き来しながらイメージが最終的に出来上がって行く様は完成品だけを見るよりも彼女の作品への挑み方ような物を垣間みさせてくれた。作家本人もいらしたので作品の前で彼女の写真を撮らせて頂いたが、カラフルな作品とは異なり黒一色のドレスの小柄な女性で彼女のどこからこれほどパワフルなイメージが沸き上がるのかと思ってしまうほどのコントラストだった。そんな彼女から、自分の内面を絵で描く、絵で表現するという単純であるようでいて実は非常に難しい行為を淡々と行える落ち着きのような貫禄を感じた。

小西紀行 「人間の行動」

うらの8 うらの7 うらの6 うらの4 うらの2 うらの1

白金のギャラリーコンプレックスにあるアラタニウラノギャラリーにて小西紀行の「人間の行動」展を見た。キャンバスに様々な人物が描かれているがその色や筆使いにイギリスの画家、フランシス・ベーコンの影響を感じた。ベーコンはピカソに次いで大好きな作家だがまさか彼の影響をこういった形で受けて独自の作品を描く事が出来る作家がいるとは大変驚いた。なぜならベーコンの作風は非常に個性的で容易く会得したりましてや真似の出来るような世界ではないと思っていたからだ。もちろん彼はベーコンのモノマネをしている訳ではない。ひょっとしたらベーコンを知らないかもしれない。まあ、絵を描く物だったらベーコンを知らない訳はないだろう。しかし、こういった形でベーコンをどこか彷彿とさせるがそれの真似とは明らかに違う自分の絵画を描いているというのが凄いと感じた。彼の場合は様々な対象を考察的に狂気的に描いたベーコンとは違い今回見る限りではモチーフは人物に限定されている。展覧会のタイトルにもあるようにそれは「人間の行動」というテーマで描かれた人物画のシリーズといえる。ベーコンと違う点はそういった限定的なテーマ性、また考察の方向性がベーコンとは違う方向と深みにある事、そして狂気の質も違うように思われる点だ。絵には自ずと作家の内面が現れるが、ベーコンの場合は「狂っている」と言ってしまうと簡単だがそれを絵画の上で冷ややかに狂気的に表した点にあってそれは誰にも真似出来ないだろう。ゴッホの狂気は彼にしか描けなかったのと同じである。そして、小西紀行の場合は少なくとも絵を見て感じたのは一見すると狂気的に描かれているようだが受ける印象にはどこか温かさがあるという点だ。しかし、乾いたキャンバスの上に最小限に乾いた状態の絵の具を筆でこすりつけるような感じで描く筆致やどこか考察的な筆運びなどディティールにはやはりベーコンを思わせるものがある。ただ、彼がもしもベーコンの影響を受けていたにしても注目すべきは彼がそれらを自分のモノとして独自の表現に完全に取り込んでしまっているところで、だから作品に偽物っぽさはまるでない。今後も彼の作品を注目して見て行きたいと思うのはどんな経緯であれこういった独創的な作風と表現方法を備えた作家がこの先にどのような作品を作って行くのか楽しみだからである。

野口強 コレクションを始めたキッカケなどの話

初めて買った写真

田辺:お忙しい中どうも!

野口:はい。

田辺:今回はmy art collectionっていうコーナーでして、コレクションの話から、まあ、色々と他の話もするというコーナーです。 まず、聞きたかったのは写真をコレクションし始めたキッカケ?

野口:もともとは、写真集。。

田辺:うんうん。

野口:で、ほら、アシスタントの頃って写真集買うのも高いじゃない。でもまあ、立ち読みとか、六本木遊びに行った帰りにブックセンター行ったりとか。。神保町行ったりとか。コツコツ写真集は買いながらも、でも、写真見てると、ちょっと、プリント見たいなあってなるじゃない。で、ギャラリー行ってみたりしたりして、で、ちょっと余裕が出来て、じゃあ本物。。。写真集が偽物って訳じゃないけど、プリントを買ってみたいなって思った。

田辺:なるほどね。 写真集は、ファッション?写真とか?

野口:いや、もうばらばら。

田辺:ばらばら、でも、写真が好き?

野口:そうだね。

田辺:写真集を買ってた頃に特に印象的なのは?

野口:最初の頃は、やっぱりちょっとファッション系が多かったのかな、なんか。 アヴェドンとか、それこそブルース・ウェーバーとかペンとか、それ系が多かったかな。

田辺:ブルース・ウェーバーのリオとか?

野口:うん。

田辺:あの頃のは凄いですよね。

野口:そう。で、リオの中でも「あ~この写真欲しいな」って思ったらブルース・ウェーバーが撮ってなかったりするんだよね。

田辺:え、本当に!

野口:そう!ドーベルマンがバーってジャンプしてる写真が欲しかったんだけど、ギャラリーの人に聞いたら、チコっていうブラジル人が撮ってた。

田辺:マジに!

野口:そう。

田辺:え、あれ全部ブルース・ウェーバーじゃないんだ!

野口:それが欲しいって言ったんだけど、どこにいるか分かんないって言われて。笑

田辺:凄いね!笑

野口:そう、ニューヨークのギャラリーでそう言われたの覚えてる。

田辺:それ、ニューヨークのなんていうギャラリー?

野口:あ~、なんだっけ。えーっと、ロバート。。ロバートなんとかギャラリー。

田辺:あー

野口:ロバート・ミラーだったかな??

田辺:ロバート・ミラー、分かりました。で、最初に余裕が出来て買った写真は何?覚えてます?

野口:最初買ったのは。。なんだっけな、一番最初に買ったのは、ペンかな、ブルース・ウェーバーかな。。

田辺:ブルース・ウェーバー!それはどこで?

野口:ニューヨークで。それは、リオの中の観客だけ撮ってるやつがあるの。

田辺:へえ~

野口:群衆をうわぁ~っていう。

田辺:へえ~それを。。。男と女のみたいなそういうのじゃなくて?

野口:じゃなくて。あと、サーフギャング。

田辺:あ~サーフギャング。

野口:そう、その2枚かな。

田辺:それは当時でも結構高かったの?

野口:いや、まあ、高いよ。

田辺:あ~今だったら大変なことになるね。

野口:ブルース・ウェーバーそんなに高くないもん。

田辺:そうなんだ。でも、まあ、なかなか出回ってないかもしれないですね、どうなんだろう?

野口:どうなんだろう、でもどうしてもやっぱりさ、日本でも前にやったみたいに犬とか、あっち系の方が皆好きでしょ。

田辺:あ~そうだよね、あの、ゴールデン・リトリーバー的な。。

野口:そうそう。本当はねチェット・ベーカーでトランペット持って、寝てるやつで上に手書きで書いてるやつとか欲しかったんだよ。

田辺:あ~いいっすね。

野口:あれはもう、自分の分しかやってないって。

田辺:やってないんだ。結構ブルース・ウェーバーは手書きで写真に色々な文字とか書いた人ですよね。あれもまたセンス良くって。

野口:そうそう。

田辺:その後にアヴェドンとかペンとかっていう大御所的な人を?

野口:そうだね。

田辺:この間、ダイアン・アーバスの話もしましたけど、やっぱりそういう有名な大御所の写真っていうのには惹かれますか?

野口:もう、やっぱり見てたものだからそれはもちろん惹かれるんだけど、でもパリフォトとか行って、なんかドイツ人の無名な人の写真とかも買ったりするけど。

田辺:なるほどね。じゃあ、もう有名無名関わらず?

野口:ジャケ買いみたいなもんだね。

田辺:ジャケ買いね。

野口:そうそう。

田辺:その、写真を買いたい時って「買いたい!」って何かがあるの? こういうのにピンと来たら買うとか。その、ジャケ買いっていうの?

野口:う~ん、でもスティール・ライフが多いかな、あんまり人物ものは買わないかな。

田辺:なるほど。

野口:モデルとかでいわゆるファッションフォトみたいなのは買わないかな。

田辺:へぇ~結構意外な感じ。

野口:あとはウォーホールとかはありだけど。

田辺:あれはでも、存在自体が面白いからね。 誰が一番好きとかってある?

野口:誰が一番好き!?一番はないよね、なんか、それぞれ。

ラリー・クラーク

noguchi tsuyoshi artpiece - LARRY CLARK

田辺:それぞれにいい。 今日のコレクションの逸品として出すラリー・クラークとかはいつ頃から知って?

野口:えーっと、タルサとか見たの何年前だろう?20年は経つよね。

田辺:そうだよね。やっぱりちょっと衝撃的な?

野口:うん。で、まあ、そうやって見てて、こういう人達と死ぬまでに一回仕事してみたいなとかって思う訳じゃない。

田辺:うん、思いますよね。

野口:まあ、願えば叶うみたいなもんで。。

田辺:うん、叶うよね。

野口:そうそうそう。

田辺:俺もあれ見ましたけど、凄い良かった。

野口:なんか、やっぱりどんどん写真家って、今度はじゃあこの人と仕事してみたいとかっていう風に徐々にもっともっとってなるよね。ペンが生きてたら物撮りとかやってもらいたかったな~みたいな!笑

田辺:そうだね~それは贅沢!笑

野口:そうそう!笑 で、じゃあそうやって写真買ったりするとギャラリーの人が紹介してくれて繋げてくれて撮影出来るようになったりとかっていうこともあるし。

田辺:それがキッカケで広がったりするっていうことだね。

野口:そう。

田辺:じゃあ、パリフォトで買った無名なフォトグラファーももしかしたらね? 将来的に繋がるかもしれない。

野口:そうそう。

田辺:じゃあ、仕事と関係性はあるって言ったらある。

野口:そうだね、だからテリーとかもそうだし。

田辺:あ~テリー・リチャードソン! ラリー・クラークさんはどうだったですか?実際に仕事してみて?

野口:いや~大変でしたよ。笑

田辺:大変だった!?

野口:大変ですよ!笑 先生ですから。。やっぱ、商業カメラマンじゃないしね。

田辺:うんうん。

野口:作家でしょ、ある意味。やっぱ好きにさせなきゃいけないっていうか。。

田辺:あんまりあーだこーだいうと。。

野口:ただ、こういうこととこういうものは欲しいってもちろん言うけど。それだけちゃんと伝えておけば、やってくれる、みたいな。

田辺:なるほど!

野口:まあ、日々勉強ですよ!笑

田辺:あ~あはは!笑 でも、そういう人と仕事すると色々と感じる?

野口:感じるでしょ、それぞれ皆違うしね。

田辺:テリー・リチャードソンはまた違う?

野口:テリー・リチャードソンはまた違う。

田辺:なるほどね。

野口:そう。

田辺:写真を実際に写真集じゃなくオリジナルを買ってみて、その~魅力っていうか、結構白黒が多い?カラーも買いますか?

野口:カラーも買ったりはする。買うけど、ああいうペンの昔のやつとかニュートンの昔のとか。。

田辺:何が魅力?

野口:ん?

田辺:写真の魅力っていうか。。

野口:なんだろうな。。酒飲めるよね、これだけで!こう、眺めながら!笑

田辺:なるほどね!笑

野口:そうそう、もう、マスターベーションですね!笑

田辺:ははは!

野口:そう!笑

田辺:でもね~男の時間。。。

野口:独りよがりですから、ただの。笑

田辺:でも、ペンなんか本当に凄い!このなんていうかな、いろんな見え方が出来ちゃう、深いですよね!こんな写真撮れるんだっていう。やっぱり眺めちゃうねこれだけ。酒飲みながら。。

野口:デジタルとはやっぱ違うからね。

田辺:そうだね~。やっぱりじゃあプリントにこだわる?

野口:うん、基本は。

田辺:基本は?

野口:うん、でも、まあ、ファッションに関しては別にデジタルでも良いんじゃないかな。

田辺:でもスティールライフとかはやっぱりプリントの方がきれいですよね。 風景とかは?

野口:風景はね~あ!あるよ、道。ハリー・キャラハン。

田辺:はいはい、ハリー・キャラハン!

野口:道だけ撮ってるんだけど。。

田辺:お~それもサイン本だ!

野口:どこだっけ、あ、これ。

田辺:あ~いいね~

野口:難しいのよ、初版じゃないと!とかさ、色々あるじゃない。

田辺:あ~なるほどね。

野口:ほら、これとか。

田辺:あ~かっこいいっすね~

野口:これとかは買ったりしてる。

田辺:あ~買ったりしてる! 結構じゃあ、もう古いものから新しいものまで。。

野口:デジタルとか高いのが分かんないんだよね、どうなの?って。まあ、時代だからね。。

田辺:でも、試されてないから分かんないっちゃ分かんない、100年もつのかどうかとか?

野口:データあるしさ。。

田辺:うん、データあるし。。

野口:こういうのも欲しいんだよね。。

田辺:いいっすね~~

野口:これプリント、本当に超きれいだと思うよ!

田辺:きれいだろうね、きっと。。 まあ、写真集はやっぱり印刷物なので、やっぱ本物の存在感っていうのは本物しか持ってないものなんですよね、きっと。。

野口:そうだね~

田辺:じゃあ、プリントっていうか、写真の存在感みたいのが好きなのかもしれないね。。本物のもつ。。

野口:うん。まあ、やっぱ次はプリントってなんじゃない?

田辺:なりますよね~ でも、本ももう凄い数だもんね~

野口:これもあるし、家にもあるんだよね~だからこっちに全部移したいんだけど、そしたらまた棚増やさなきゃいけない。。

田辺:床抜けんじゃないかっていう、ここはコンクリートだから大丈夫か。。

野口:ここはまあ大丈夫。

田辺:あの~写真はどこで一番買いますか?海外?

野口:ニューヨークか、パリか、ロンドン。

田辺:じゃあ、それは仕事で行ったときとか?

野口:そうそう。

田辺:買ったりとか。。

野口:で、行く頃になるとギャラリーから営業メールが来るから。。恐ろしいんだよ!

田辺:分かる!でも、それ凄いですよね、ギャラリーの。。

野口:凄いのは、分割でも良いとかって言うからね!笑

田辺:ははは!

野口:そう!おまえそんなに欲しいなら分割でも良いからどうだって!笑

田辺:いや、でもそれが商売ですからね。特に海外のギャラリーは凄いですよね、一回買ったらね。。

野口:だってさ、ものだけ先に送って来てさ、金は後からで良いからとか。。笑

田辺:ははは

野口:本当にいいの?それで?みたいな。笑

田辺:なるほど。うん。分かりました、ではこんな感じで、今日はありがとうございました!

野口:いえ、どうも!

長井朋子 飴色の光と落ち栗色の絨毯

長井10 長井8 長井9 長井7 長井6 長井5 長井4   長井1

小山登美夫ギャラリーの作家である長井朋子さんが六本木ヒルズのミュージアムショップに併設されたA/Dギャラリーにて個展を開催した。彼女は人気作家で毎回作品も売れると聞くが、昨年に伊勢丹の2階で展示をした時に普段は絵など売れる事があまりない百貨店の婦人服売り場にも関わらず100万円くらい作品が売れたのでびっくりしたのを覚えている。彼女の作品には子供時代から脈々と彼女の中に生き続けている夢の世界のようなファンタジー溢れるテーマとモチーフが満載だ。縫いぐるみのクマやウサギ、ユニコーンや子馬などと主人公の少女が戯れているような個性溢れる作品は独特の緻密さでしっかりと丹念に描き込まれる。その夢の世界はファンタジーであるがどこか残酷さのような雰囲気も裏側に備えた魅力を持つ。少女が不意に縫いぐるみを投げ捨ててはまた抱き上げるような予想出来ない衝動を感じさせる。また丹念に描き込まれた作品には回りを忘れ一心不乱にただ描く事にだけに没頭する子供のような無垢な情熱も感じる。しかし、ご本人は確実に絵の描き方を心得た大人であるから描き込みにはきちんと計算されたメリハリがある。自分の描きたい世界を客観的にも見ているから描き込みをする時、しない時、意図的に描き込み過ぎてしまいたい時など様々な衝動を程よく制御しながら絵のバランスを崩さないように、しかし、絵が放つ個性的なパワーを最大限に生かすように作品化するのだ。見る側が彼女の描く絵にハマる理由にはこうした高度な表現技術があるのだと思うが観るものはそれには気が付かずにとにかく好きでたまらなくなって買うというところまで自然に持って行かれてしまうのではないだろうかと思う。彼女は今後も様々なテーマで同じ世界をひたすら繰り返し描き続けて行くような気がするが今回はまさに栗色の絨毯の魅力が引き立った作品群でとても素敵だった。次回はどういったテーマで彼女の世界を見せてくれるのかとても楽しみだ。

芦田尚美「ポケットダイビング」

芦田10 芦田11 芦田14 芦田7  芦田1 芦田

渋谷ヒカリエにある小山登美夫ギャラリーにて陶芸作家の芦田尚美さんの展覧会を見た。京都在住の作家さんだが展覧会の為にご自身も展覧会場にいらっしゃっていたので少しお話しをしたがとても優しい感じの温和な人柄が伺える方だった。作品の方もその人柄を表すかのように淡く優しい色使いで繊細な陶芸作品だ。彼女の陶磁器は伝統的な技法によって制作されているので普通使いの器としても使い易そうではあるが、なんといっても様々なテーマの元に制作されるアート作品としての陶磁器作品が魅力的である。淡い色はどこか西洋的な印象を受ける色合いでテーマもジーンズや白熊、海外の便箋、海外の食料品のパッケージやチューインガムなど様々である。また、木の葉のような自然のモチーフや、ねじれたような形のさまざまな花瓶もその形と奇抜な色使いが作品群に一層のインパクトを与えている。陶磁器は誰でも毎日使う日用品であるが、同時に作家が作った作品でもあるのだという事実を彼女の展覧会を見て今更ながらに実感した。これらの作品は壁に飾るも良し、置物として愛でるもよし、毎日の食卓や特別な食事会に使うのも良しと様々な楽しみ方が出来るアートと言えるのではないだろうか。

ignore your perspective 27 油画考#2「アンチ抒情の絵画考」

児玉14 児玉13 児玉12 児玉11 児玉10 児玉9 児玉8 児玉7 児玉5 児玉6 児玉3 児玉1 児玉 4児玉 2
白金の児玉画廊でまた僕の好きな恒例のグループ展が開催された。ignore your perspective 27ではペインターに「油画考」と題して特に絵画を掘り下げる試みの作品を集めた展覧会となっている。参加した作家は大久保 薫、梶原航平、坂川 守、髙石 晃、土屋裕央、中川トラヲの6名だ。一見すると何かを物語るかのように見えながらそうした抒情性とは距離を置く作品を製作するという視点で作家を選んだのだという。いつもながら見応えのあるグループ展だが特に絵画作品が好きな自分にとっては今回の展覧会は非常に興味深かった。作品自体もとても面白い作品が多くて良かったが、なんといってもほとんどの作家がまだ若い点が個人的には注目だった。日本の将来を担う若手が精力的に面白い作品を制作しているというのはワクワクするし、将来的には日本はもちろん世界に向けて作品を発表して行ってもらいたい。肉体をモチーフとした絵画を制作する大久保 薫は制作にはモデルを使わず雑誌やネットで拾った画像を元に制作するといういかにも今の世代的な制作方法をとっている。梶原航平は軽快な筆運びで瞬間的に掴んだイメージをキャンバスに投げつけるように描き印す。ボディービルダーのモチーフから皮膚や肉といった質感を描く絵画から始まり欠陥や神経、人形や玩具など様々なモチーフの質感を描いて来た坂川 守は独特で生々しい印象の作品を作り上げる。髙石 晃は2013年に個展もしているが不思議な夢の世界の風景のような作品を描くが実は最初に無造作にキャンバス上に描いた曲線から全てのイメージを展開するといった非常に記号的、考察的なプロセスで絵画を描く。今回初の展示となった土屋裕央は主に生死観をテーマに作品を制作する。意識が失われる瞬間、神話や天地創造など非常に感情的な場面を描くにもかかわらず彼のアプローチは感情的でも感傷的でもなくあくまで生死の境を見定める手段として絵画を使うといった感覚に溢れている。中川トラヲは以前に個展もやった僕がとても好きな作家のひとりで彼の溢れるような線と色と形の世界は全くもって魅力的だ。あくまで自由に、感情の赴くままに描きまくる彼のエネルギーは純粋で潔くて見ていて気持ちがいい。ギャラリー内に展示された様々な作品は作家が様々な方法で絵画を制作した過程の積み重なった結果としてのイメージでありそれは最終的な姿でもあればプロセスの延長にある姿でもある。そこに何をどう読み取るかは観るもの次第なのかもしれない。

三宅信太郎 The cards in the air !

三宅10 三宅9 三宅8 三宅7 三宅6 三宅5 三宅3 三宅4 三宅2 三宅1
小山登美夫ギャラリーの作家である三宅信太郎の新作展が六本木ヒルズのA/Dギャラリーにて開催された。つい先頃には渋谷ヒカリエにある小山登美夫ギャラリーでも展覧会を開催したばかりだが今回も本人がギャラリー内にてライブドローイングをするという趣向は変わらず実に精力的な作家活動だと思う。三宅信太郎というアーティストは以前から独特な世界を持っていてそれは確固たるスタイルのように普遍的である。子供の描いたドローイングのような不思議な世界には必ずアーモンド形の横長の顔のキャラクター達が登場する。絵の描き出す世界やテーマは毎回のように変わってもこの登場キャラクターはいつも同じでしたがってどんな物語であろうと彼のおとぎ話はこれらのキャラクターの世界として完結する。いったい彼の頭の中はどうなっているのかなあといつも感嘆しながらその作品と作風を楽しませてもらう希有な作家だ。そして、この世界とキャラクター達の物語は彼の中から泉のごとくわき上がるのだろうか、ライブドローイングをする彼を見ているとなんのためらいも躊躇もなくすらすらと下書きなど無しでどんどん描き進むのである。描く本人は毎回そのテーマの中の人物のようなコスチュームに身を包み、完全にキャラクターになり切って描いているというのも特徴的だ。今回の展示作品のテーマはトランプのカードや中世の肖像画にあるようで大小さまざまな作品が会場の壁を埋めていた。色々な形の古い感じの額縁に入った肖像画のシリーズは大半が売れていて作家の人気振りが伺えた。彼はきっとこれからも様々なおとぎ話のような世界を彼のキャラクターが生きている様で描き続けるのだろう。

ignore your perspective 26 モノの流用、イメージの引用、その次 After Appropriation

 

児玉13 児玉12 児玉11 児玉10 児玉8 児玉7 児玉6 児玉5 児玉2 児玉1 児玉 4 児玉 3

白金の児玉画廊で恒例のように企画されているグループ展ignore your perspective。26回目を迎える今回も意欲的な企画展だった。モノの流用、イメージの引用、その次「After Appropriation」と題されたこの展覧会には大谷透、大槻英世、國政聡志、竹村文宏の4名の作家が作品を展示した。モノの流用、イメージの引用は美術においてダダ、ネオ・ダダ、シミュレーショニズムなどを経て重要な思考と表現方法となっている。今回の展覧会ではそれぞれの作家がこの思考と表現方法を継承しつつも次の新たなる流れに向けた作品を制作している。大谷透はロゴマークやスタンプなどの規格されたアイコンに自らの落書きや色彩を加えて新たな絵画的表現の世界を作り上げている。大槻英世は以前にも注目した作家だがマスキングテープで貼り合わせたような繊細な作品を作るのだがマスキングテープはよく観察すると描かれた絵であるという驚くべきディティールのコラージュ的作品を作り出す。國政聡志ゴムバンドや洗濯バサミといった日常的に別の用途で使われる為に生まれた物を巧みに組み合わせて全く新しく奇抜なオブジェ的作品を完成させる。竹村文宏も以前から注目している作家のひとりだが彼はアクリル絵の具を立体的に盛り上げて小さな針金細工のようなオブジェを絵画の上に展開する作家だが、今回はその手法とは異なるが同じ考え方のルーツを持ったような絵画作品を出展していてこれは絞り出したアクリル絵の具をその後サンドペーパーで表面を削りイメージを浮き上がらせて作るオブジェのような絵画となっている。それぞれの作家が挑んだモノの流用、イメージの引用、そしてその次となる作品達。今回も実に見応えのある作品群だった。

中園孔二展

中園18 中園17 中園15 中園13 中園12 中園11 中園10 中園9 中園8 中園7 中園6 中園5 中園4 中園3 中園2 中園1
2013年に清澄の小山登美夫ギャラリーでデビューした中園孔二は1989年生まれという若さである。手前味噌だが前回の展覧会では思わず小さなペインティングを買ってしまったのだが、彼には類い希な才能を感じる。そしてこの若さである。将来が本当に楽しみな作家の登場だと思っているのだがそういう応援の意味も込めて小さい作品ながら買わせて頂いた。彼の絵は独特で、描き方、描かれる物も今まで見たことないような不思議な世界でなんとも味わい深い。絵に動きがあったり人のような生物のような摩訶不思議なイメージが描かれていたりする。色彩感覚、表現力、イメージの構成力、見るものをはっとさせるような驚くべき偶然性を狙ったような絵の描き方など個人的にかなり好きな画家である。表現手段がいくつかあるのでまだどれかに定まっていないような部分もあるが、そんなことは問題ではない。彼には溢れ出る創作パワーがあるのだろうと思うし、今は思う存分に好きなように好きなだけ描いて描きまくるべきだと思う。才能というのは学校で学ぶ物ではない、絵の才能も同じで最終的には持っているかいないかなのだ。それは絵を上手く描けることとかいうのではない、見るものの心に響くような絵が描けるか否かだけなのだと思う。そして、彼は才能を持っていると感じる。そういった期待感を胸に今回の2回目の展覧会に出むいたが期待した通りの見事な出来映えの新作が沢山並んでいた。彼にはこのまま彼の世界を迷うことなく描き続けて行って欲しいし、その進化をまた見るのがとても楽しみな作家である。

デヴィッド・リンチ David Lynch

D1 D2 D3 D4 D5 D6  dl_140626_011 dl_140626_014 dl_140626_018

映画監督として有名なデヴィッド・リンチは映画だけではなく絵画や写真、アニメーションや立体作品など実に多彩な才能のマルチアーティストだ。映画監督としては1977年のイレイザー・ヘッドでデビューをして以来、衝撃的な映画だったエレファント.マンやブルー.ベルベット、ワイルド・アット・ハートなど独特な世界観の作品を作って来たが、近年流行の海外ドラマシリーズの先駆け的だったテレビドラマのツイン・ピークスは世界的に大ヒットした。彼のアート作品も映画と同じく独特の世界を持っている。それはどこか暗くて謎めいていて人間の内面をむき出しにしたような生々しい雰囲気の作品である。まるで映画のワンシーンのような絵もあれば記憶の彼方に置き去りにされた情念のような絵もある。夢か悪夢なのか、もしくは予知夢なのか。見れば見るほど絵の秘める謎めいた暗示的な要因に引き込まれる不思議な魅力の絵である。今回の展示では木版とリソグラフ、そして写真も数点展示されたがそれらは全てモノクロで異次元の世界を表現しているかのようだ。非常に難解な癖のある人間というか、彼にしか表現出来ない確固たる世界、彼にしか見えない世界があるような、そんな気がする。彼の映画も相当に個性的だがアート作品はそれがもっと濃縮されたように思える。元々画家を志していたというのできっと絵画での表現が彼にとって最も自分の表したい何かをさらけ出せる手段なのかもしれない。見るものによっては嫌いな絵かもしれないが、それは好きと同じくらい大切な感情の起伏であり、すぐれたアートが持つ力なのだと思う。

drawing now

 D9 D8 D7 D6 D5 D3 D2 D1

今から約10年ほど前、村上隆や奈良美智などの日本人アーティストが欧米のアート界に出現してしばらく経ったころにMOMAのキュレーションで出版されたdrawing nowというこの本では、当時注目されていたアーティスト達の作品をoneからeightまでのプロポジションと呼ばれるチャプターで紹介している。ドローイングやペインティングなどの作品群をその作品の背景に感じられる特性で分類して紹介するという編集の視点が実に興味深いので購入した。チャプターは科学、装飾、建築、幸福、知能、文化、サブカルチャー、ファッションの8項目。それらのチャプターではそれぞれ3人の作家の作品を紹介している。たとえば装飾ではローラオウエンス、サブカルチャーではバリーマッギーに奈良美智、村上隆、そしてファッションではエリザベスペイトン、ジョンカーリンなどが紹介されている。80年代のNYを中心に起こったペインティングブームの後、次のアート界の流れを受け継ぐ新進気鋭のアーティスト達の作品はどれも個性的であり今見てもどこか時代が後押ししているような気迫に満ちている。その後、現在に至るまでにこれらの作家は更に活躍して今もその多くがアート界をリードするような存在でいるのだが、今見るとこの本に納められている作品にはほのかに懐かしささえ感じる。アート界の新陳代謝は激しく、10年前などあっという間に昔のことのようになってしまう。しかし、20年30年前までを振り返った時、そのアーティストがアートの年表にきっちりと載るような本物の作家だったのか、あるいは時代が作り上げた幻だったのか分かる、そんな気がするのだ。流行だっただけなのか、確固としたアートの文脈で語られるような存在なのか、その歴史的な判断はその時代ではなく後世になってはっきりとするものなのだろう。

森田恭通(第2回)海外のアートの話

ヨーロッパのアートとギャラリー

田辺:あの~海外によく行かれるじゃないですか。
どうですか、海外でのアートの存在感というか。。。

森田:そうですね。。えーっと、圧倒的なスケールのものもあれば、気軽に街にギャラリーが普通にいっぱいあって。。日本よりやっぱり多いですよね。
で、パリもそうだけどロンドンがやっぱり面白いギャラリーが多くて、ギャラリーかどうかも分からないようなギャラリーもありますからね!

田辺:なるほどね~

森田:だから凄くそれが良いのと、あと王道ですけどサーチギャラリーはやっぱり無料で開放してるところが良いですね!
で、結構入れ替えもあるので必ず時間が取れたらサーチ行ったり、あとはサーペンターギャラリー!

田辺:はい、サーペンター!

森田:サーペンター、サーチは時間が取れたら見たいですよね。
やっぱりこうロンドンは特に凄い上流階級とパンクの世界の両極があるじゃないですか。

田辺:面白いですよね~

森田:そう、で、上流階級を、えーっと、なんでしょうね、風刺?する、例えばバンクシーみたいのがいたりとか。。。

田辺:はいはい、セックスピストルズじゃないですけどね。。

森田:で、そうかと思えば凄く緻密なアーティストとしてデミアン・ハーストみたいのもいたりして。。もう、マネージメントも全部出来てしまうみたいな。プロダクションも作っちゃう。で、物も作る。で、自分で企画もする。。。そういう人もいますね。

田辺:はいはい。

森田:だからそういう土壌がロンドンは凄くあるような気がします。

田辺:刺激的な。。。

森田:ベルリン行って面白かったですけどね。

田辺:面白かったですか?

森田:うん、ベルリンもやっぱりギャラリーも結構多くて、それこそ本当にギャラリーかどうか分からないのもいっぱいあったし、
あと、アーティストビザが気軽に取れる街みたいで。。。

田辺:あーそうみたいですね。

森田:だから街中にアートが色んなところにいっぱいあるような、普通に落書きもレベル高かったりするしね。。

田辺:あーなるほど!

森田:で、ベルリンは音楽もファッションもアートももの凄いパワー感じましたね。。。

田辺:なんか、日本のアーティストもベルリンに留学してる人多くて、本当にそのビザのことらしいです。

森田:そう、取り易いですね。だから、受け入れ態勢があるんですよ。
だからああいうところ行くと本当に良いなと思いますね。
アートが身近ですよね、あと写真もドイツは盛んなんで。。。
ニュートン美術館なんかもう感動しますよ!

田辺:あ、そうですか!?

森田:ヘルムト・ニュートン!感動!あの大判が見れるなんてもう最高の幸せですよね~

田辺:あーそうですか、凄いですね~

森田:家が再現されているんです。書斎が!

田辺:へぇ~

森田:それが凄くて、あ~こういう家に住んでたんだ~って。

田辺:どんな感じなんですか?

森田:なんかね、本当に無造作、なんか、デスクワークがあってARAKIさんの写真が置いてあったりとか、本当に私物が全部、彼が興味ある物が置いてあって、結構ポップなデザインでしたね。

田辺:へぇ~まあ、センス抜群ですからね~

森田:そうです、いや~でも本当に良かった~

田辺:もう亡くなって。。。

森田:亡くなってますね。。

田辺:そんなでもないのにもうミュージアム出来ちゃうんですね~

森田:あれ!僕も持ってるでかい奴。。。

田辺:でかい奴ね!!

森田:あれね~日本版はね、A4の紙がパラッと入っててなに書いてあるかなって思うと、えーっと、足に落とすと危険です!って!笑

田辺:ははは~

森田:ちゃんと持って見てくださいって!笑

田辺:ははは、そこまで~!

森田:でも、見るの本当気合いいりますもん。怪我しますよ!

田辺:そうですよね~

森田:よいしょって見ないとめくれないとか。。。
あれは本当。。。

田辺:あれはタッシェン?

森田:タッシェン、タッシェン!
タッシェンもドイツですね。

田辺:そうですね~

森田:だからドイツってそういう土壌がちゃんとあるんですよね。
あとは。。こないだ時間取れたんでロスはいろいろ回ったんですよ。

田辺:はいはい。

森田:そしたらもう昔そういうのなかったエリアもギャラリーとかどんどん増えて来てて。
で、そのエリアってあんまり良くないエリアだったのがだんだん良くなって来てて。。。

田辺:はぁ~なるほど!

森田:いや~すっごい増えてましたよ。

田辺:ニューヨークもね、NEW MUSEUMが出来て、ロウワーイーストにレストランとかギャラリーとか出来たりしてますよね。
そういうアートの拠点を中心に盛り上がるって海外ありますよね~

森田:だから、日本も大分盛り上がって来たんだろうけど、なんだろう、えーっとまだ、なんっていうんですかね、目指してる途中なんでしょうね。

田辺:なんかその、アート好きの若者とかはギャラリーとか行くんですけど、一般の人はなかなか。。。

森田:行かないですね。。。向こうはもう親子連れでね、もうちっちゃい頃からアートに触れてますからね。。。

田辺:そうですよね~

森田:そのお母さんとお父さんもやっぱり同じようにされて来てるから。。。やっぱり、その、親の影響って大きいじゃないですか。

田辺:そうですよね~なんかアートに対するリスペクトみたいのってヨーロッパは凄いですよね~

森田:凄いです!

田辺:日本だと絵描きとかっていうとなんか道楽者なんじゃないかみたいな。。笑
そういうね、イメージみたいのが。。

森田:だから海外のお客さんとか多いから会話する時にアートの話するともの凄い盛り上がりますよ!

田辺:そうでしょうね~

森田:話のキッカケとしてはアートはもう最高ですね。

田辺:なんか、この対談で前にヒロ杉山さんと話してて、ヒロさんも海外の展示会とか行くらしいんですけど、もうお年寄りから子供までいっぱい来てて、おじいちゃんとかが話しかけてきて、「君はなんでこの絵を描いたんだ」とか、そういうことを聞かれるんですって、買ってってくれたりもするんですって。

森田:なるほどね。

田辺:やっぱ海外って、人を家に呼んで新しい絵が飾ってあったら「これいつ買ったの?」って聞かれて、これはこういう作家でああでこうでって会話のキッカケになるじゃないですか。
で、その人の人となりが分かったりとか、そういう楽しみって日本でももっと皆が持ってくれても良いかなって。
人は呼ばないですかね?

森田:呼ばないですね~

田辺:なんか、10万円のバッグは買うけど10万円のアートは買わない。。。

森田:買わないですね~

田辺:それがもう少し浸透してくれると。。。

森田:なんかね、良いバッグとか良いジャケットとの出会いってあるじゃないですか。

田辺:はいはいはい

森田:もう、僕のために生まれて来たようなバッグってあるじゃないですか!笑

田辺:信じ込んじゃう!?

森田:うん、信じ込んじゃう!笑
それと一緒でアートも出会いやと思うんです。

田辺:あーそれはそうだ。

森田さんのコレクション

森田:マイアミバーゼル行った時なんかも何万点ってくらい見てるじゃないですか!

田辺:見てますね~

森田:でも、そんな中で結局1個買うか2個買うかじゃないですか。
それはやっぱり出会いなんでしょうね。

田辺:そうですね~きっと。
本当にマイアミは一言で言うとその出会いを求めてるって感じですよね、毎回。
毎回出会う同じ絵もありますしね~

森田:で、行くと、去年買ったギャラリーが待ち構えている!笑

田辺:そうですね~笑

森田:待ち構えてるんですよ!笑
今年はね~~みたいに!笑

田辺:手ぐすね引いて!笑

森田:手ぐすね引いて!笑

田辺:そうなんですよ~買うとね~ギャラリーからこの人は買う人って二重丸になる。

森田:ね~本当に!
今回これ買ったんですよ。

yasumichi-morita-collection

田辺:お~

森田:名前なのか芸名なのか分からない人なんです、この人は。

田辺:へぇ~この人、この作品に付いて最後にちょっと話したいんですけど、これももちろん僕も見てなんか「あ~森田さん好きそうだな~」って。笑

森田:ははは~笑

田辺:そしたら案の定買っちゃった!笑

森田:あははは~笑

田辺:これ、選べるんですか?

森田:選べるんですよ!いろいろあって。。

田辺:あ~!で、ドンペリとルブタンとシャネルと。
そうですよね、当然!

森田:これ家の奥さんに注入すると当分もの買わなくなる!笑

田辺:あーそういう役目もあるんですね!笑

森田:点滴ですからね!

田辺:そうですよね、ブランドの点滴っていうのがおかしいですよね~

森田:他にも色々あるんですよ、ロレックスもあったし、車のブランドもあった。
で、好きな奴3つ選んで。。。でもこれ、増やして行けるから面白いよね!
で、ゴールド使ってるし、ちゃんと。。

田辺:本当ですね~

森田:点滴。。でも、これはウィットに富んだ物が好きっていうのの究極で。。

田辺:ほんとうですよ~ブランドカルチャーを皮肉ってる!

森田:皮肉ってる。
そうそう、シャネルの関係者の方にこのシャネルの掛かってる奴見せたら爆笑してました、「いいね~!」って、爆笑してました。笑

田辺:まあでも、ケイト・モスじゃないですけれど、こういったアイコンにされるってことがね、凄い。

森田:そうですね~

田辺:ウォーホルのキャンベルじゃないですけど、アイコンになるべき物ってことですから。。。

森田:だから変なアートだとたぶん怒っちゃうけど。。

田辺:中途半端だとね~でも、ここまでやったら面白いですよね~

森田:ねえ~

田辺:いや~このオブジェは凄い!
そして選んだのがドンペリとルブタンとシャネルてところが。。。

森田:日々の生活に必ずあるもの!笑

今日は靴はルブタンだしジャケットシャネルだし、今日の夜はドンペリ飲むでしょうから!笑

田辺:ははは~毎日どっかで!笑
なるほど~もうこれは即買いでしたか?

森田:即買いでした!

田辺:結構したんですか?まあまあ?

森田:まあまあでしたね~

田辺:でも、これはもう値段じゃない。
それこそ先ほどのもう森田さんの為に生まれて来たような。。

森田:
そうですね~

田辺:いや~今日は楽しいお話と素敵なコレクションをどうもありがとうございました。

森田:ありがとうございました!!

「森田恭通(第1回)インテリアとアートの話」はこちら!

ignore your perspective 25 「JUST THE WAY IT IS」

児玉1 児玉12 児玉11 児玉10 児玉9 児玉7 児玉8 児玉6 児玉5 児玉4 児玉3 児玉2
白金の児玉画廊にて恒例の企画展ignore your perspectiveが開催された。今回はignore your perspective 25 「JUST THE WAY IT IS」と題して5名の作家の作品を展示している。ギャラリーに入るとすぐに足下に石が雑然とあり、その石にはリンゴやトマトがめり込んだようになっている。更に進むとギャラリー内右手には岩や山のコラージュ写真が壁面いっぱいにあり、手前には岩と鮮やかな丸い色の組合わさった巨大なオブジェが置かれている。ギャラリー内には他にも立体作品や絵が趣向を凝らして展示されている。それぞれ異なった作家の作品は意図的に絶妙な位置関係で配置されている感じだ。個々の作品から受ける印象も楽しめると共に異なった作品同士の共存が生み出す関係性の緊張感も楽しめる。それにしても毎回のことだがこの企画展は実に挑戦的である。作家達にテーマを与えつつもその結果として生まれる異質な作品の連動性を一緒に展示することでギャラリー全体が発する気合いのような何かが感じられる。テーマとなっている「JUST THE WAY IT IS」には「結局その程度のもの」という醒めた視点があるが、作家達があるがままの作品をむき出しで見せる大胆さと勇気を感じられる企画展となっているように思う。

ジャオ・シュエビン展

ジャオ11 ジャオ10 ジャオ9 ジャオ8 ジャオ7 ジャオ6 ジャオ5 ジャオ4 ジャオ2 ジャオ1
渋谷ヒカリエのTOMIO KOYAMA GALLERYにて中国人アーティスト、ジャオ・シュエビンの展覧会を見る。北京生まれで上海を拠点に制作活動を行っている作家は海外での生活も長くフランス語と中国語を話すと聞いた。今回の個展の絵はニューヨークのセントラルパークに嵐が襲ったその後の風景だという。荒れた林や枯れ葉など公園の敷地の風景を丹念に描いた作品は青がかったグレーなどの色調で描かれ、細密なディティールまで丁寧に描かれているがその模写力は圧巻といえる。なんでも同じ濃さの色の油彩を塗り重ねることによって色の強弱を出しているとか。1回だけ塗った部分は薄いグレーで、塗り重ねることにより色が濃く、深くなって絵柄を形成して行く描き方なのだそうでその考察的ともいえる表現方法は非常に興味深い。よく見ると無数の小さい丸で構成される絵もあったりして彼の制作への独自のアプローチや絵画を完成させるまでのプロセスの大切さを重んじているところには、ただの模写ではないもっとコンセプチュアルな制作意志のようなものを感じる。しかしながらどういった制作過程だとしても結果としての絵は美しく、遠くで見ると力強くて近寄ってみると非常に繊細という絶妙の出来映えになっている。大きなキャンバスの作品も良いが特に小さい作品では彼の卓越した模写力を堪能出来ると思う。色の濃淡で奥行きや深みを出すといえば水墨画が有名だが中国人という作家の背景がどこかで繋がっているのではないか。

小西真奈 「Reflection」

小西12 小西11 小西10 小西9 小西8 小西7 小西6 小西5 小西4 小西3 小西2 小西1
小西真奈さんの展覧会を見た。直球の油絵という感じでそれが逆にとても新鮮だった。描くのは彼女の回りの風景と自分の子供などだ。特に色彩が美しく絵の構図は穏やかながらどこかはっとするような斬新さを秘めている。絵から受ける印象は正統な絵画の流れを受け継いでいるとでも表現したらいいのか、どこか古典的であるが同時にとても新しい。油絵の具の独特な描き方を完全に自分のものとし、その技を使って対象を丁寧に観察し、愛情を持って描いているのが画面から伝わってくるような絵である。ほとんどの風景には愛する息子さんが登場するが、作家である母親の我が子への愛情をいっぱいに込めて描いているからこんなに癒される絵になっているのだろうか。見ていてとても幸せな気持ちになる。油絵の歴史は古く今でも多くの作家が油絵の具で絵を描くが、近年はアクリルといったウォーターベースの扱い易い画材が広く使われるようになってきたのも事実である。そんな時にこういった美しい油絵の作品を見られるのは嬉しい。森や林、草花や木々、水の反射など、近くで見ると絶妙の筆使いと色の重ね方で豊富な表現力を駆使して描かれている。個展には収まり切れなかった小さい作品もギャラリーの裏手で見せていただいたが小さい作品もとても繊細で美しかった。ゆっくり、じっくり、まるで愛情を重ねるように丹念に描かれた作品はどれも素晴らしく、この作家を今後も見続けて行きたいと思った。

ignore your perspective 24

写真8 写真7 写真6 写真5 写真4 写真3 写真2 写真1

児玉画廊にてシリーズとなっているグループ展、ignore your perspectiveが開催された。ignore your perspective24となる今回のテーマは油画考#1「コンセプト、イメージ、画材のコンジャンクション」となっている。大槻英世、清水信幸、杉本圭介、関口正宏浩、森下明音の5名の作家による絵画という手法でのそれぞれ異なった作品が展開された。大槻英世は今回始めての展示とのことだが一見するとマスキングテープで壁にとめられたただのうす紙のようだが実はテープの部分はアクリル絵の具で描かれているというトリックのような作品だ。繊細で儚い感じのする作品であった。清水信幸の作品はカラフルな絵の具の固まりがゴツゴツとキャンバスの上でひしめき合っている立体ともとれる作品。前から見たり横から見たりすると作品の印象が変わって見えて面白い。杉本圭介は平面、立体、パフォーマンスなど多岐に渡る活動をしている作家とのことだが、塗り重ねられたキャンバスに彫刻刀でグリッドを彫り込むという非常にシンプルだが深みのある作品を制作している。絵の具が乾燥するにしたがって予期せぬ細かなひび割れの線が現れるのが面白い。関口正宏浩の作品は絵の具を塗るのではなくまるで絵の具をガラスで挟んで抽象画を製作している感じだが、額の中でガラスにしわつきながら挟まれた色彩と形が偶然的で独特な味わいを出している。森下明音は絵画を「記憶している感覚を可視化する行為」と認識しているそうだがどことなく夢の中の一コマのようなイメージとはっとするような美しい色彩が魅力的な作品でとても気に入った。毎回のように繰り返しているが同じテーマで数人の作家が異なったアプローチで作品を作り出すというこのグループ展の趣向はいつも面白く、今後も楽しみな限りである。

森田恭通(第1回)インテリアとアートの話

インテリアに於けるアート

田辺:今日はありがとうございます。

森田:はい、よろしくお願いします。

田辺:このコーナーはゲストの方それぞれにアートコレクションをお持ちいただき拝見しながらいろんなお話しを伺っていくコーナーで、今までフミヤとか本木とかにも出てもらって来たんですけど、今回は森田さんなのでインテリアとアートというお話しを気楽に出来たら良いかなと思っていて。。。

森田:はい、はい、はい。

田辺:あの~インテリアに於けるアートの役割っていうんですか?
そういうのは森田さんはどういう風にお考えですか?

森田:うん、あの~僕自身はそのインテリアの仕事をさせて戴く時に、最初からアートありきで入らないことが多いんですけど、でも昔はそうだったんですけど、なぜか最近は、なぜかって言うのもおかしいんですけど、アーティストの友人が増えたこともあって、彼らの作品ありきでやるプロジェクトもあったりして、で、最新だと大阪に作ったバーがあるんだけど、それはもう完全にアートメインで作ったバーで、で、メルビン・スクロスキーって写真家、1960年代にハーパースバザーとかでガンガンやってて、で、今もまだご健在ですけど。

田辺:え、もう一度。なんて名前ですか?

森田:メルビン・スクロスキー。

田辺:メルビン・スクロスキー!?

森田:そうそう、で、彼の写真を使ったり。で、よく仕事でやる奴にシュナーベル・エフェクツっているんですよ。笑

田辺:ははは

森田:日本人なんですけど、その、表の本の絵とか。。。

田辺:はい、はい、はい、はい。
あ、なるほどね、ヴィジョネアのなんだろうなって思ってました。

森田:あれは、彼が僕のアトリエに来て、僕と、あと、ギャップの藤本さんと、もうひとり誰かのお家に行って、それぞれの書棚を撮って「その人の頭の中」ってタイトルで作品にして、で、僕のとこにはヴィジョネアがあったのであれを並べて撮った。

田辺:で、それをシルクにおこして!

森田:シルクにおこして。。。

田辺:シュナーベル・エフェクツ!?

森田:シュナーベル・エフェクツ!笑

田辺:ははは!おかしいっすね!?爆笑

森田:おかしいでしょ!?
だけど、なんでシュナーベル・エフェクツなんだって?
そしたら、ジュリアン・シュナーベルが好きなんですって!

田辺:あー!

森田:他になんかあったんじゃないかなって。
まあ、僕らは面倒くさいから佐竹!って呼んでるんですけど!

田辺:わははは!爆笑
ですよね~長いもの!

森田:ジュリアン・シュナーベルって、長いし、知ってるし。
有名過ぎるその人!笑
怒られるよ!?みたいな。
まあだから、そういうの、佐竹君とか、あとこないだ、その店のトイレの中にもアートが必要だって。
トイレってひとりになる空間だから。。

田辺:はいはい。

森田:だからその時こうぱっと、雰囲気に醒めない程度になにかウイットに富んだことがやりたいと思って。
で、こないだあのいっぱいメールで送った中に凄いアーティストの手に入った奴があるって言ってやったら実はうちの猫の描いたアートだったっていう。。

田辺:え~ははは!爆笑
あれはなに?猫に?

森田:猫にiPadで、そういうゲームがあって。。

田辺:あ~iPadで!?

森田:そう、iPadでそういうゲームがあって、ネズミがね、画面に出るのを猫が手でこうパンパンってやったら、ああいう絵になる。

田辺:あ~ああなるんだ!

森田:で、やっと手に入った、これ本当に手に入らないからって言って、で、それを言って工事中に僕は海外に行っちゃったんで、それから1ヶ月位して僕もやっとそのオーナーに会って、本当に凄いアートをありがとうございますって言われて。。あれ?言ってなかったっけ?って、言って。。笑

田辺:ばらしたの!?

森田:ばらしたの!

田辺:どうでしたリアクションは?

森田:いやもう感動しましたね!
逆に本物のアートをその店内にいっぱい入れているから誰も疑わないんですって!

田辺:なるほどね~

森田:で、その~アートの概念ってなんだろうって思って、猫がやったものでもアートだし、まあ、有名なデミアンみたいなああいうのもアートだし、まあ、ゴッホもアートだろうし。

田辺:幅広いですよね~

森田:だから、アートの定義ってインテリアの中ではその、有名無名関係無しにその雰囲気をより盛り上げてくれるもの!

田辺:うんうん、なるほどね。

森田:が、まあ、アートなのかなと。

田辺:なるほどね。

森田:その、何もない空間っていうのも、それ自体がひとつのアートかもしれないけど、でもその、アートありきでやるプロジェクトっていうのは、まあ、1967もそうだけど、なんかこう、まわりの友人達も面白い人達もいるし、いろんな世界中の知り合いのアーティストにここでだったらちょっと協力してよ~って雰囲気ですよね。そういうプロジェクトが増えて来ましたよね。

田辺:そうすると、シンプルな引き算の美もありますけど足し算というか、アートを入れることによってその場所の個性もより出て来たり。。。なんか、こう上がる?空間になるっていうのが商業なんかだと多いってことですね。

森田:そう、上がる!
だからたぶん同じこときっと感じてらっしゃると思うけど、この10年くらいでアートに対する一般の人達の、エンドユーザーっていうとおかしいけど、一般の人のアートに対する認識はだいぶボトムアップして来た。

田辺:なるほどね。

森田:そういう気がしますね。

田辺:そうですよね。

森田:インテリアもそうなんですよ、インテリアも家にはお金かけないとか、家には手が回らないって言ってた人も逆に若い子なんか車は買えないんで家具は良いの買いますとかね、なんか、お金の使い方も変わって来たのかなって。

田辺:なるほどね~

森田:だから若い子達もアートをやっぱり買ってたりするじゃないですか。

田辺:はいはい。

森田:それはだから投資って意味じゃなくて。
自分の気分が家で盛り上がるっていうのが、その~ひとつのね。。。

森田さんの好きなアート

田辺:じゃあ、自宅にも森田さんはアートをいっぱい飾ってらっしゃると思うんですが、お家でのアートってのはまた商業とは違うってことですか?

森田:違うこともありますよねー。

田辺:でも、森田さんの賛美眼っていうか、見てると、もちろんその派手なものとかありますけど、色っぽいもの好きですよね。

森田:やっぱりそれはもう、多いですね。
だからマイアミで一緒に見ても買う奴はやっぱりそっち系になる。。

田辺:そうですよね!

森田:別に裸が好きな訳じゃなくて、アートが好きなんです!って、何度も言うんですけど。
でも、どっちにしてもそういう色気っていうのがやっぱり、良いよね!

田辺:そうですよね。

森田:こないだマーク・ラグランジェルの大判のやつも。。この人の。。

田辺:お~

森田:この人の写真をこないだ大判で買ったんですけど。。

田辺:へえ~素晴らしいですね。。

森田:この人は全部もう。。

田辺:ファッションなんですか?

森田:うん、ファッションが多いよね、でも、全部脱いでんのこの人のは、ね!

田辺:マーク?

森田:マーク・ラグランジェル。

田辺:あ、凄い!

森田:これなんかファッション。。。だからもともと僕はインテリアに入る前はファッションが好きで、ファッション雑誌が教科書みたいなものだったんで、インテリアを考える時に。。。だからこういった写真が多いですよね、どうしても。。。

田辺:そうですよね、よく買いますよね、こういう感じの作品。。。

森田:この人なんかもよく買いますよね。。

田辺:へぇ~グイド・アルジェンティーニ!?
良いですね~この写真も凄く。。
こういうのはどういう風に探すんですか?

森田:あのね~探すっていうか基本的に出会うのはアートフェア行ったり。。

田辺:あ、アートフェアね。。

森田:アートフェアいったり、例えばファッション誌のカメラマンとかだったりするんで、あとカルロは、ピンナップガールの作品を僕使うんですが、彼なんかはロンドンのカフェに飾ってあったのを見て。。。

田辺:見て!?

森田:見て、で、連絡して、で、直接連絡取るようになった。

田辺:それ、なんていう人ですか?
カルロ?

森田:カルロ・ピェンナーリ。その、彼もファッションフォトグラファーなんですけど、アートとして現代のモデルをピンナップガールにしたりとか。

田辺:なるほど、へぇ~。
1967にありますよね!?
1967はなんとなく部屋ごとに色々あって。。。

森田:そうそう!一番最近だと、これはサーチギャラリーで買ったの。

田辺:あー、ロンドンの!?
誰なんですか?

森田:マーク・クヮン。

田辺:マーク・クヮン。
面白いですよね、これ。

森田:これねえ~ケイト・モスがヨガしてるやつなんですけど。。

田辺:アートフェアとか行くとチャック・クロスとかのケイト・モスなんかもよくありますけど、あれは変な話、肖像権とか大丈夫なんですかね?

森田:いや、どうしてんだろうなって思って。。。

田辺:前にマイケル・トンプソンがセレブ撮ってるのは1枚あげるって言ってましたけどね。

森田:あ、1枚あげるってことね。。。

田辺:うん、それぞれなんだろうけど。。。まあ、いろんな人がセレブを撮るんで。。でも、ケイト・モスくらいになるとそこでガアガア言わないのかもしれないですけど、アートにされるってことがちょっとこう。。。

森田:なんか、もの凄い巨大な彫刻が出来てたんですよね、これの。

田辺:なんか、見たことあるような気がする。。。

森田:3メートルか4メートルくらいの!

田辺:マジですか!?

森田:あの、ベニスの美術館の前に両腕のないもの凄いでかい銅像があるんですよ。
同じ人なんです。

田辺:あ!そうですか。
3メートル、これだ。それは迫力あるなあ。
なんかKAWSがこの間、木の奴作って。。。

森田:あれ、凄いね!

田辺:あれも写真で見たけど凄いことしますね。

森田:そもそものスケールが凄いよね!

田辺:そうですよね、僕も前からアーティスト達の方々と話をしていて、日本のアートっていうのが世界基準に乗って行かないじゃないですか。

森田:そうですね。

田辺:だからやっぱり世界基準に乗りたければアーティストが飛び出して行かなきゃいけないみたいな。。村上さんや奈良さんみたいに。

森田:うんうん。

田辺:で、ニューヨークとかだと俺はアーティストになって金儲けしてやるみたいなことを平然と皆言うでしょ。

森田:うんうん。

田辺:で、さっきのジュリアン・シュナーベルなんてもうすっごいお金持ちになっちゃって。。で、結局そうするとよりスケールの大きい作品が作れるっていう。
そういう流れっていうか、決してアートがきれいごとじゃなくビジネスとして?やっぱり、売れて、それが作家に還元されるっていう流れがもっとうまく出来ると作家が育つんだろうなって思うんですけどね。

森田:そうですね。
でも、あと税制の問題もありますよね。

田辺:あーそうですね。

森田:出たがらないです。
色んなことがこうつつかれるんじゃないかって。

田辺:そうですよね~

森田:ちゃんと買っててもそう思われちゃう。

田辺:税務署から連絡来たら怖いみたいな。

森田:なんだろう、アートが生活の一部になってなかったから、調べる人達も生活の一部じゃないでしょってなってしまう。
だから、海外とかだともう生活の一部じゃないですかアートは。

田辺:そうですね、完全に。

森田:だから日本は生活の一部にまだまだなり切れなかったんじゃないですか。

田辺:なるほどね。

森田:お殿様しかやっちゃいけない物だったんじゃないですか。

田辺:なるほどね、そうですよね。
でも、やっぱりその戦後、戦前?例えばその床の間があって掛け軸みたいな日本独特の文化もあったじゃないですか、それがだんだん今のお家とかはアート飾るところもなかったり、持ち家でなければ壁に釘打っちゃいけないっていう、こう、やりにくい状況が多いですよね。

森田:そう、で、住宅やる時にアートないなって思ってふっと困って、僕がよくやるのはテーブルを、あの、天板をガラスの天板にしてこう入れ替えれるようにしてあげるといつも好きな絵を見ながらいられる。

田辺:あーはいはい、なるほどね。

森田さんとコラボレーションするアーティスト

森田:僕も家でやってるんですけど、ちょうどこう90センチ角くらいのテーブルだとガラス乗せるとそれがそのままアートになっちゃう。

田辺:ギャラリーになっちゃう!

森田:ギャラリーになっちゃう。

田辺:このテーブルなんかも?

森田:これ倉科さんです。

田辺:あ、倉科さん!さすがですねぇ!

森田:あ、これは違って壁が倉科さんだった。
倉科さん、壁が空いてるんですけどって電話したんです。笑

森田さんオフィスにある倉科さんのアート

田辺:ははは、でも、素敵なハート形の?グローブ(地球儀)ですか。
でも、倉科さんも本当に職人ですよね。

森田:そうそう、倉科さんなんか特に僕のインテリアとアートの関わりが深い人ですよね。
フランフランも含めてそうでしたけど、やっぱり、あの人は本当のアーティスト魂持ってはる人なんで、だから、僕らもお頼みする時はちゃんとリスペクトしながらプロジェクトも選んでやらないと失礼にあたるかなと思うんですけど、こないだ倉科さんも一緒にやったんですよ、大阪!

田辺:あ、そうなんですか!

森田:個室2部屋を、今回は倉科さん相当悩んでたんですけど。。いつもじゃない感じお願いしますって言ったんですよ!

田辺:あ!そのアバウトさは。。。

森田:ははは、で、考えて。。考えて。。。で、最終的にいくつか上がったんですけど、う~んって言って、で、倉科さんあの、モザイクやってみませんかって言ったんですよ。

田辺:うんうんうん。

森田:モザイクで、モザイクで例えば誰もが知ってるようなニューヨークの景色とか、自由の女神とかあとは、フランスのパリのエッフェル塔とか、どう見てもださいアングルをですね、それを格好よく出来ませんか?って。

田辺:なるほど。

森田:で、やったら相当、それ奇麗に上がって来たんですけど、でも、さすが倉科さんだなって思ったのが、そこによーく目を凝らすと右の方にはたぶんモザイクで出来た僕が写り込んで来たりとか、モザイクって眼を凝らすと見えてくるんですね。

田辺:へぇ~

森田:で、色んなトリックをそこに入れてるんですよ。

田辺:なるほど!

森田:死にかけましたっていってましたけど!笑

田辺:それはその~1枚1枚スプレーで?

森田:スプレーで!

田辺:凄いですね~

森田:いや、凄いの出来ましたよ。

田辺:それはお互いに課題を出し合ってみたいな。。

森田:そうそう。新しい感じ。

田辺:あーなるほどね。

森田:だから出来たんですね。
倉科さんが昔よく言ってたのは倉科さんは2次元のものが多いのでなんとか3次元になれませんかねってことをよくやってましたね。

田辺:倉科さんも色んな物にね、3次元の物にもスプレーペイントしますけど。。本当に良くああいう緻密な作業やれんなあってくらいに凄いですよね。

森田:えー倉科さんは本当に良いですね、一緒にやってても。
あとは、佐竹君とか、、インテリアとアートっていうのはさっきも言ったけど上がるテンションっていうのもあるんですけど、逆にこう、そのプロジェクト自体を盛り上げるとか動かすくらいのパワーもあるじゃないですか?だから本当にフランフランの時なんか、あれは青山の旗艦店っていってもただの倉庫ですからね。

田辺:そうですよね~

森田:倉庫を木目を描いてもらっただけであれだけ凄い物になったから。。

田辺:そうですよね、あの木目のビルって皆言いましたもんね~

森田:でも、人によってはあのゼブラのビルなんて人も!笑

田辺:アバウトだな~笑
よく見て欲しい!!

森田:え、ゼブラ?笑

田辺:でも、あれもったいなかったですよね、でも、それが良いところでもあるのかな。。。

森田:うん、まあ、その儚さもそのひとつですよね。。

田辺:なんかあの下見的なこと、マイアミでヘリコプターで行った時にね、なんか、倉庫みたいなアイデアが。。。

森田:そう、あれマイアミで見たんですよ。

田辺:ですよね~ちょうど。。だからもう5年くらい前かもしれないですね。。。

森田:でも、何回くらい?4回くらい行きましたっけ?

田辺:いや~4~5回行ってますね。

森田:ねえ~痛風なのに行ったりね~

田辺:ははは、その話はやめましょう!
足ひきずりながら。。。なんて。。
今はもう大丈夫ですから。

森田:ははは、そうですか、そして薬局に消えて行ったみたいな。。。

この続き:「森田恭通(第2回)海外のアートの話」はこちら!

AMERICA ANDY WARHOL

AW10 AW9 AW8 AW7 AW6 AW5 AW4 AW3 AW2 AW1

アンディー・ウォーホルによる写真と文章の本「AMERICA」を買ったのはまだNYに住んでいた頃だったからもう20年以上も以前のことだ。ウォーホルといえば誰でも知っている有名なポップアートを代表するアーティストである。つい最近まで六本木ヒルズで展覧会も開催されていたので多くの若者も20年以上前に他界したこのこの類い希な才能を持ったアーティストの片鱗を改めて知ることが出来たのではないだろうか。ウォーホルというアーティストはAMERICAが大好きだったのだと思う。UNITED STATES OF AMERICAというよりもAMERICAという漠然とした括りで捉えられる人々やカルチャーを愛していたのだ。ハリウッドセレブ、ロックミュージシャン、コカコーラ、キャンベルスープ、リッチもプアーも全てを含んだAMERICA的なものが大好きだったのだと思う。そして、それはそのまま彼の創作意欲に直結していて彼の崇拝するAMERICAを表現する作品を山のように作り上げたのだ。ウォーホルはシルクの作品に留まらず様々な手法のアートで表現を試みた。ムービーや写真なども彼の重要な表現手段だった。特に彼には収集癖的な気質もあり日々の生活で出会った人や行った場所を写真などで記録することを怠らなかった。六本木ヒルズで開催された展覧会でもこうした写真やタイムカプセルと称した彼の蒐集物の展示がありとても興味深かった。AMERICAに納められているのはそんなウォーホルが撮った写真の数々だが、毎日の生活を生涯写真で記録し続けた彼はこの本に収まり切らない数の写真を撮っていたに違いない。このAMERICAでは特に彼がこだわったいくつかのテーマで写真を編集して掲載している。そして、写真のボリュームと同じかそれ以上なのが彼の手記でそれは読んでいてとても面白い。彼の独特な物事への考え方が非常によく分かるし、繊細で頭脳明晰なアーティストの一面が理解出来る。ウォーホルはイラストレーター時代の作品を見れば明らかに素晴らしい腕前のアーティストであったが、その後、彼のファインアーティストとしての活躍はこの独自の明晰な考え方によって成り立ったのだという事実をAMERICAの写真を見ながら手記を読むと分かってくるのだ。また、AMERICAにはニューヨークにいた頃にクラブで見かけたダウンタウンのセレブリティーやその時代を代表するセレブ達が多数写真に収められていてそれらの人は見ていて懐かしい気持ちにさせてくれる。AMERICAを愛し、時代を愛したウォーホルは沢山の作品と記録された記憶を残した作家だった。

TODAY IS ALREADY TOMORROW

IMG_0328 IMG_0329 IMG_0330 IMG_0331 IMG_0332 IMG_0333 IMG_0334   IMG_0341

ギャラリーターゲットにてスティーブン・パワーズの展覧会を見る。
彼はグラフィック・ライターESPOとして活躍後に看板屋を立ち上げ、街にアートを広める「LOVE LETTER TO…」シリーズを世界中で展開しているそうだ。実際に彼のウェッブサイトを見るとニューヨークなどで壁面や看板を独特な絵で埋め尽くしている風景の写真が沢山見られるが、その数の多さやひとつひとつの作品の大きさは圧倒的だ。2000年にパルコギャラリーでバリー・マッギー、トッド・ジェームスといったグラフィティーアートのムーブメントを牽引した作家と共に3人でグループ展を開催して以来の展覧会となる。作品はどれもとても緻密に描かれていてオリジナル作品はアルミプレートに看板などに使うエナメル絵の具で細かく正確にイメージやグラフィックが描き込まれている。エディションもあり、額に入っている作品が大体エディションとなっているようだが値段が数万円と非常に手頃でこれなら普段アートにお金を出さないような人でも気に入って手を出せるような金額になっている。絵のインスピレーションは一昔前のアメリカの雑誌広告のイメージや看板のイメージから来ているようでそれらを彼なりに咀嚼して独自のグラフィカルでアーティスティックな作品へと昇華している。人生に対するユーモアやあらゆるものへのLOVEが感じられるとてもハッピーな絵である。様々に使われた色のセンス、グラフィカルな配置の面白さ、タイポグラフィーの楽しさなどグラフィティーアートから彼なりに一歩踏み込んだ世界観を作り出している完成度の高い作品だ。

LY ART SHOW

IMG_0347 IMG_0348 IMG_0349 IMG_0350 IMG_0351 IMG_0352 IMG_0354 IMG_0355

昨年伊勢丹の2階で展示をお願いしたアーティストのLYさんの個展が原宿で開催された。白と黒に少々のグレーを使ったモノクロな配色の作品はニューヨークのストリートアートのような魅力を持っている。実際、最初に彼女の個展をギャラリーターゲットで見た時にはニューヨークのアーティストかと思った。しかし、日本人でしかも女性作家と聞いてちょっと意外で驚いたのを覚えている。彼女の作品にはスケートボードとスケートボーダーのライフスタイルが色濃く関係していて彼女自身もスケートボーダーだ。今回はなかったがスケートボードにアートを描いた作品もある。そして、ちょっとユニークなキャラクターも彼女の作品には必ず登場するが、黒いネンドの固まりみたいなキャラクターは座り込んでいたりふさぎ込んでいたり。思わず吹き出してしまいそうなほどに面白い存在感を持っている。今回はなんとDIK(ディック君)?という頭がディックなキャラクターが登場、プリントとして販売されていた。それにしても彼女の絵は強烈に独自な世界を持っている。白と黒で描かれている時点でかなりインパクトがあるのだが、その風景は大体がアメリカのサバービア(郊外)の風景のような寂しい雰囲気でスケボーをやる為のレールやバンク、プールなどがぽつりぽつりと点在している。その中でうずくまって座るキャラクター達にはどことなく哀愁が漂う。見ていると最初は切なくなるような、でも、もっとよく見るとなんだか心が和み始め癒されるような。独特な世界観は一度見たら忘れない強さを秘めている。

Agnieszka Brzezanska アグニェシカ・ブシェシァニスカ

IMG_0276

IMG_0277

IMG_0278

IMG_0279

IMG_0280

IMG_0281

IMG_0282

IMG_0283

IMG_0284

IMG_0285

IMG_0286

IMG_0287

IMG_0288

IMG_0289

NANZUKAギャラリーにてポーランド人アーティスト、アグニェシカ・ブシェシァニスカの展覧会を見た。ポーランドとワルシャワの美術アカデミーを卒業 した後に日本の東京芸術大学に留学した経験のある作家だ。女性作家がよくテーマにする身体性が彼女にとっても重要なキーワードだという。そして近年の主な 関心は意味の代替機能と平行現実に注がれているそうである。一見すると離れていそうな分野や領域に属するものの間に存在する共通点を見出すことに彼女の創 作活動の意図があるのだという。例えば宇宙と細菌などまったく異なったように存在しているものから発想したり何かを解読しようとする作業が彼女の作品なの かもしれない。作品自体も板絵とガラス絵、写真といった異なる表現手法をひとつに重ねることにより完成している。悲惨な場面の写真の上に幾何学的な色や形 が重なったり、抽象的な線が描かれたり。その絵を見て何を感じるかは見る人それぞれだが見る側に何らかの解読作業的な行為を自然にさせてしまうような力の ある作品である。難解なようでもあり、見たまま、感じるままで良いと思えたり。コンセプチュアルに捉えることも出来ればアブストラクトな作品として見るこ とも出来る。そんな不思議な存在感を秘めた作品だと思う。彼女が作品に込めた様々な思いは作品上でひとつに重なり、融合して、それを見るものに不可解だが興味深い何かを感じさせてしまうのだ。

田口 まき(第2回)「今注目するアーティストやネットという新しいアーティストとの出会いの場。」

今注目するアーティストやネットという新しいアーティストとの出会いの場。

田辺:今注目しているアーティストっていますか?東京で。

田口:アーティストっていうか、そうだなあ、アーティストというか、気になっている人はいます。

田辺:人?

田口:今まさに、えーっと、宣伝になっちゃうけど、1月30日にあるファッションブランドやってる女の子の本を作ったんだけど。

田辺:ふぅーん!

田口:その子とかは最近注目していた女の子です、半年くらい気になってた子で。。

田辺:本が出たんですか?

田口:今日持ってくれば良かった~~

田辺:なんていう本なの?

田口:それは植野有砂ちゃんっていうFIG&VIPERっていうブランドのデザイナー。

田辺:FIG&VIPER?

田口:っていうブランドのディレクターの女の子で、何が面白いかっていうと、それは今自分が興味ある領域の話しになっちゃうんだけど、インスタグラムで特に注目が集まってる女の子なんだけど、もちろんブランドも凄くカッコいいし、みんな知ってると思うんだけど、特にそのインスタグラムの使い方が面白いなと思ってて。

田辺:じゃあ何?なんか写真かなんかアップしたりするの?

田口:そうそうそう!
撮ってアップして。。

田辺:フォロアーが凄い?

田口:そう、凄い!フォロアーが国内だけではなく海外からも多分たくさんフォローされていると思う。ハリウッドスターとか女優とかモデルじゃないけど今11万人とかいるんだよ、凄いよね!?

田辺:お~凄いね~

田口:海外からも!たぶん半分くらい海外からも支持されてて、何が面白そうって、世界中にあの、そういう子達が今いて、今までは、原宿とか渋谷っていうのが、その場所にエリア性があって、そこに色んな面白い子達が集まって来てカルチャーとかムーブメントが生まれたりそれを題材にしたファッションがあったりそれをまた題材にしたいろんなものがあったりしたと思うんだけど、今ってそこから新しいものが出てくるっていうよりもその、既存のイメージを楽しむ、ということでしかなくなっていると思うんです。

田辺:個人が発信する?

田口:そういうストリート感のあるものっていうのが今ウェブ、ネット上に移ってると思ってて。
で、インスタグラムは世界中広がっているし、特に言語がいらなくて、ビジュアルとイイネだけでコミュニケーション取れるから、世界中の人が使っていて。。。

田辺:海外の方がやっぱインスタグラムは勢いあるよね。
この前も外人の人とその話ししてたけどもっとこれから延びて行くんだろうね。
フェースブックもうウザイみたいな?

田口:フェースブックはまた世代が違うんだと思います。
30歳以上だとフェースブックが多いけど今の10代とか20代くらいは皆インスタグラムなの。

田辺:う~ん、なるほどね。

田口:ファッションとかも、例えばロンドンとかニューヨークとか、パリとか、そういうのじゃなくて、例えば今気になっている子は、イスラエルの子。

田辺:ふ~ん

田口:そのイスラエルの子はカメラマンで、自分の友達のラッパーの子をずっと撮ってる。
凄いお洒落で、東京のブランドとかもたぶんネットで買ってるし。
あと、これは友達に教えてもらって気になったアカウントは、ジンバブエのティーンエイジャーのアカウントとか?

田辺:ジンバブエ?

田口:本当に僻地の、なんかジャングルみたいなところで、なんか、ナイキとか履いて。。

田辺:アフリカっぽいね。

田口:なんかそういう子達のなんか、感度の良い子とか、センスの良い子とか、なにかを探している子達ってたぶんお互い会った事はないけど、コミュニケーションも取れるし、友達を100人作るつもりで友達が10万人できる時代の子達だから。。。

田辺:確かに!

田口:そう!凄くそこには、期待感みたいなのがあって、なんかそこから出てくる、アートって言っちゃうとまたちょっともう一段階な感じなんだけど。。なんていうのかな、文脈がないとアートに昇華して行かないと思うんだけど、そのアートの源になってくるような。。

田辺:種ができるみたいな?

田口:そう!そういう面白さみたいなものがそこにある。。。

田辺:見ているとやっぱりワクワクしますよね、そういうのは。
世界がどんどん狭くなっているというか。。同時多発的にコミュニケーションとってイメージ見せ合って刺激し合うみたいな。
今までにないことだからね。

田口:うん。

田辺:なんか、ウォホールの話になっちゃうけど、ウォホールがもしまだ生きていたら?何をするんだろうな?とか思って、なんか、やっぱりインスタグラムとか?

田口:でも、ウォホールの言葉で世の中で誰でもが15分だけ有名人になれる?

田辺:うんうん。

田口:っていう未来は来るって言った、まさにそれは今来ていると思うし、うん。

田辺:15ミニッツフェーマスってやつだね。
でも、だからね、亡くなっちゃったので推測してもしようがないのかもしれないけど、やっぱ、ああいう人だったらたぶん凄く敏感に、もちろんPCだってあの頃はまあ、なかったんだから。そんなのどうだろうな?なんて思うけど、まあ、今次のウォホールが?もしかしたら出てくるかもしれないし。その人はどういうような新しい価値観を?アートに持たせるのか?っていう。ちょっと楽しみですよね。

えーっと、話尽きないんですけど、ここでちょっと作品を!結構アーティストの友達が沢山いて作品とか例えば交換したり買ったりとか、そういう事はするんですか?

田口:うんうんうん、します!

田口まきさんのアートコレクション

アート:浅井祐介

田辺:これ?

田口:これでも、女の子の作品じゃないの。

田辺:あ!そうなんだ!

田口:ないんだけど、凄い気に入ってて。

田辺:うん、凄い可愛いね。へえー

田口:この絵、本当はこの子の相方の男の子がいるんですよ。

田辺:うん、なんていう作家さんですか?

田口:これは浅井祐介さんっていう男の人なんですけど。
アラタニウラノというギャラリーに所属されているアーティストさんです。

田辺:あ!アラタニウラノギャラリー。そうなんだ。
いくつぐらいの人なの?

田口:あたしとたぶん同い年くらい

田辺:あーそうなんだ。
これはどういうキッカケで? 買ったんっすか?

田口:これは買いました。

田辺:あ、本当!
気に入って?

田口:気に入って。

田辺:アラタニウラノで個展やった時に買ったとか?

田口:個展。。なんの時に買ったのかな、展示で購入しました。

田辺:なんか、他の作品も見てみたいですね、この人の。

田口:めちゃくちゃ凄くて好きです、壁画とかも。
これは今の話とは全然別になっちやうんだけど、あたしが実家が絵本屋さんやってて。。

田辺:あ、そうなの?

田口:うん、もともと父が絵本の出版社で働いていました。

田辺:あ、そうなんっすか。

田口:だから、絵本みたいな世界観が好きなんです。

田辺:そうだね、なんかそう思ったね。
ちょっとこう絵本に出て来そうな、なんていうかな童話みたいな感じがするよね。
ふーん、なんかマーカーとか色々使ってるんですね。
これは家に飾ってるの?

田口:飾ってます。

田辺:あ、そうなんだ。
わかりました、貴重な物をありがとうございました。
今後は、なんか、予定ありますか?今年はどういう感じで?

田口:今年はさっき言っていたそのインスタグラムだったり、SNS上から出てくる新しい何か?みたいなものを少しテーマとして追いかけていくようなお仕事がしたいです。

田辺:じゃあ、結構一日の内にそういうのチェックしたりするの?
時間を取っている?

田口:自然な範囲で。。うん。

田辺:特に、こう、探すぞ!なんていってやるとか、そういうのではない。

田口:今のところは。。

田辺:なるほど。

田口:気になってる人が何人かいるんですよ。

田辺:あ~じゃあ、ちょっと写真撮りたいとか?

田口:うん、写真も撮りたいし、話してみたいし、直接会うのはもちろんだし、そういうところから何が出てくるかっていうのが凄く興味があるし。

田辺:これから益々面白そうなんですけど、なにかまた一緒にお仕事出来たらと思います。

田口:はい。

田辺:では、そんなところで、今日はありがとうございました!

田口:ありがとうございました!

田口 まきさん第一回「写真を撮り始めたキッカケや好きなアーティストの話」はこちら!

フライド幽霊とボイルド空想

IMG_0106 IMG_0107 IMG_0108 IMG_0109 IMG_0111 IMG_0112 IMG_0113 IMG_0114 IMG_0115 IMG_0117 IMG_0118 IMG_0119 IMG_0120 IMG_0121

清澄にあるシュウゴアーツにて金氏徹平の最新個展を見る。人気のある作家なので高額な物も含めて既にいくつかの作品は売れていた。マンガの背景エフェクト の絵みたいな平面作品がギャラリーの壁いっぱいに沢山展示してあるほか、様々な形と手法で作り上げられたオブジェ、木の板に描かれた絵を複雑にくり抜き再 構築したような彫刻作品など多彩な作品がギャラリーのいたるところに展開されていた。白いセメントのような液体で満たされた色とりどりのプラスチックケー スやバケツが重厚なオブジェ作品になっていたり、フィギュアなどにも白い液体がドロッとかけられてオブジェ化している。日常的な物が非日常的な物に変化させられてアート作品として息吹を吹き込まれる。そんな不思議な感じがする作品だ。不確かさが興味の対象とのことだが、確かに得体の知れないなにかという印象の作品達である。9月にはシンガポール滞在期間中に製作した80点にも及ぶ作品の展示もあるそうだが、多産な制作活動には創作への意欲やアーティストとしてのエネルギーの強さを感じる。今後、世界中で注目される作家になる予感をさせる展覧会だった。

アートフェア東京2014

IMG_9738 IMG_9739 IMG_9740 IMG_9742 IMG_9743 IMG_9744 IMG_9745 IMG_9746 IMG_9748 IMG_9749 IMG_9750 IMG_9751 IMG_9752 IMG_9753 IMG_9754 IMG_9755 IMG_9756 IMG_9757 IMG_9758 IMG_9759 IMG_9760 IMG_9761

3月7日からの3日間の週末に東京国際フォーラムにてアートフェア東京2014が開催された。このアートフェア東京には毎年行っているが年々規模が大きくなっているような気がする。今年は三越や西武などの百貨店もブース出展していて出展者が幅広くなっていたのも興味深い。日本を中心に、アジアやその他の国から出展された様々なギャラリーブースで会場は埋め尽くされているが、海外のアートフェアに比べると正直言って規模はまだまだ小さい感じがする。でも、列が出来るほど来場者もあるらしく認知度は確実にアップして来ているようだ。いわゆる骨董屋さんからギャラリーまで、見て回ると色々な美術を商売にしている人が沢山いるのだと分かり改めて驚かされる。骨董品などはなんでも鑑定団ではないけどそういった目で見てしまったりして楽しいが、本物の美術品や骨董品が見れる機会としては貴重なのかもしれない。アートも様々な種類のギャラリーなどが出展しているが、ミズマアートギャラリーや大田ファインアーツ、小山登夫、ヒロミヨシイ、山本現代、児玉画廊、アラタニウラノ、ナンズカなどなど現代アートを扱うギャラリーのほとんどが出展している。普段はそれぞれのギャラリーに行かなくてはならないのだがこうして一堂に揃っていると見易いし出展ブースが決して広くはないのでアートをすぐ近くで見ることが出来るのも魅力だ。今年は六本木アートナイトや横浜トリエンナーレなどアートの祭典が幾つかあるので楽しみだが、こうした「実際にアートを見る機会」が増えることは素晴らしいと思うし、出来るだけ長く続けて欲しいと願うのみである。

ignore your perspective 23 Analysis of Empathy

IMG_9949 IMG_9950 IMG_9953 IMG_9954 IMG_9955 IMG_9956 IMG_9957 IMG_9959 IMG_9960 IMG_9961 IMG_9962 IMG_9963 IMG_9964 IMG_9966

ignore your perspective 23
Analysis of Empathy

 松嶋由香利/盛井咲良

児玉画廊でシリーズ化されて開催されているグループ展、「ignore your perspective」が今回もまた開催された。「ignore your perspective 23」と題された今回の展覧会は松嶋由香利と盛井咲良という2人の女性作家の作品展だ。松嶋由香利さんは以前に個展も見たことがある画家でカラフルかつポップともいえるような画面構成が印象的で、いつも何かが散りばめられていたり、色の組み合わせを変化させて画面を作るような独特のスタイルがある。一方の盛井咲良さんは初めて見たのだが色とりどりで形の違う沢山のプラスチックチップのような物を使って不思議なオブジェを作っている。絵と組み合わさった作品だったり大きなインスタレーション装置のような作品も印象的だ。最近の傾向なのか女性作家の意欲的な作品を以前よりも目にする機会が増えた気がする。海外ではルイス・ブルジョアに代表されるように女性の性を意識した作家が昔から多くいるが日本にも女性作家といえば草間彌生!というだけじゃなく、こうした若い女性作家が増えて来ているというのはとても喜ばしいことだと思う。女性作家の方が身体的な感覚を表現に取り入れる場合が多いと思うのだが、この2人の作家もどこかそういったなにか女性独特の感受性に基づいた身体的要因が制作の源に横たわっているような気がしてならない。ともあれ、こういった新しい試みのグループ展は興味深いし、今後も児玉画廊の「ignore your perspective」はとても楽しみだ。

LICHTENSTEIN

LICHTEN LICHTEN1 LICHTEN3 LICHTEN5 LICHTEN11 LICHTEN27 LICHTEN29 LICHTEN30

20代の頃、戦闘機が空中で撃破される瞬間の一コマを描いたロイ・リキテンシュタインによる絵のポスターを部屋に飾っていた。今考えるとおかしいが、ポスターをわざわざ額に入れて飾っていたのだ。でも、それを見るたびにポップアートな雰囲気に浸れるし、なんだか部屋全体が急にモダンでお洒落な感じになったような気がして凄く気に入っていた。その後、ポスターは引っ越した時にでも処分してしまったのかもう手元にないが、あの頃のウキウキした気分だけは今も心の片隅に残っている。ポップアートの作家は数しれずいて、巨匠といわれる作家も多い。ウォーホルやジャスパー・ジョーンズ、ラウシェンバーグ、ローゼンクエストなど、全ての作家が偉大な足跡を残してアメリカンポップアートの一時代を築いた。そんな中でも僕はリキテンシュタインが大好きでこの本も20代の時に購入した記憶がある。アメリカンコミックの一コマをキャンバスに描きつつ、コミックの持つ均一なドットの並びやシャープな線を独自の表現方法として取り入れ、それを貫き、唯一無二のアートの表現として昇華させていった偉大な作家だと思う。アメリカンコミックから影響を受けた大胆でシャープな線やフラットな表現手法はリキテンシュタインのトレードマーク的な描き方となったが、彼はアメリカンコミック的な題材から様々な他の題材へと描く対象を変えては次々に彼独特の世界観で表現して行った。風景も描いたし抽象画や他の巨匠達の絵も彼のタッチで描き、新たな作品として作り上げた。ドットは印刷されたように正確に並び、線はあくまでシャープにはっきりと描かれ、点や線、または色が混ざり合ったりしているような曖昧な部分はない。でも、画面はとても豊かで様々な工夫によって実に見応えある絵として成立している。昔ニューヨークに住んでいた頃、リキテンシュタインのアトリエがソーホーに近いノーホーのラファイエットストリートにあったのだが、ロフトビルの1階入り口のボタンの脇にLICHTENSTEINという文字があってその前を通る度にちょっとドキドキしながら近寄ってみては「このビルの中であれらの絵は描かれているんだろうなあ」なんて思ったのを覚えている。まるで職人のように忠実に真面目に自分の選んだ表現手法で様々な絵を描いた偉大な作家はきっとそのロフトビルのアトリエでコツコツと日々偉大なアートを描いていたに違いない。

谷口真人 Untitled

IMG_9841 IMG_9843 IMG_9845 IMG_9847 IMG_9849 IMG_9850

谷口真人の新作展を見た。1982年生まれの作家は80年代90年代という時代に多感な時期を過ごしたに違いない。80~90年代といえば、日本でアニメ文化やサブカルチャーなる言葉が流行り始めた時代だ。彼の作品は実に不思議で、こういった形態の作品を今まで他に見たことがない。作品自体は絵の裏側が表に露出し、裏にある絵自体は鏡に映った姿でしか認識出来ないように作られている。そのイメージはアニメやアイドルに象徴されるような少女の姿だ。どことなくアニメのセル画を彷彿とさせるが、この作品は表に出ている絵の裏側と作品の奥の鏡に映った絵の裏側に存在する絵の表側の全てが一体となってひとつの作品として成立する。真正面から見るとぐちやっとした絵の具の固まりしか見ることは出来ないが、横に視点をずらして奥の鏡を見ると、そこに少女の姿が現れるといった仕掛けになっている。もちろんそれら全てを含めて作品なのだが、敢えて少女の姿が認識できる絵の部分を作品とするならこの作品は鏡で見ることしか出来ない絵の裏面にだけ存在しているのだ。それはどこか封印されたような趣があって、少女の絵とそれを映し出す鏡のわずかな隙間にのみ彼女が存在している儚さのようなものが感じられる。アジアでも評判がいい作品と聞いたがアニメ世代の作家がそのイメージをアートという文脈の中でからくり箱に納めて見せたような作品に共感を抱く人が多いのかもしれない。ひとつ物足りなかったのは展覧会のタイトルがUntitledだったことで、まあ、作家の意図があるのだとは思うのだが、タイトルなどがあった方が見る側には作家の展覧会への意図や作品に対するより具体的なイメージの先の広がりが共有出来ることもあるので、もしもタイトル的な物や名前などがあったならもっと思いが広がったのではないかと感じた。いずれにせよ、独特な方法と画法で表された作品からは、イメージとそれが存在することとはいったい何かといったような根源的な疑問への控えめなようでいて強い投げかけを感じた。

エレクトリカルパレードで満足したことは一度もない Chim ↑Pom/篠山紀信Leslie Kee,他

IMG_9879 IMG_9881 IMG_9882 IMG_9883 IMG_9885 IMG_9886 IMG_9888 IMG_9889 IMG_9891 IMG_9892 IMG_9895 IMG_9896
渋谷駅構内にある岡本太郎の壁画に原発事故の絵を足して話題になりメディアにも度々登場することが多くなったアーティスト集団Chim↑Pom。彼らは非常識で過激な表現や反逆的なアーティスト活動を続けて来た。そのChim↑Pomの唯一の女性メンバーでありChim↑Pomといったら彼女という感じになっているのがエリイだが、そのエリイがつい先頃めでたく結婚をした。お相手はアーティストなどではなく新宿のホスト だというのにも少々驚いたが結婚をデモと化して新宿の街を練り歩くパフォーマンス?を行ったのにはもっと驚かされた。いつも奇想天外な発想と独自の表現世 界を貫いて来た作家だけに自らの人生もサプライズの連続だ。警官隊が先導する中、エリーと旦那様、そして彼女達の友人知人がプラカードを掲げて新宿の街を闊歩し、街中で熱い抱擁とキスを見せつけてくれた。その様子を記録するのは篠山紀信氏とレスリーキーというから記録係も豪華な顔ぶれだった。hiromi yoshii roppongiギャラリーではデモ直後にその記録を公表する展示を行ったが、今回それに続いて「エレクトリカルパレードで満足したことは一度もない」と題した展示を行った。エリイの1st写真集出版記念イベントも開催されたこの展示ではギャラリー2階にはデモの様子やデモに使ったプラカードなどを織り交ぜたインスタレーション、ギャラリー1階は壁を破壊してくり抜いた展示や壁一面を埋め尽くすような展示が繰り広げられた。いつものことだが、Chim ↑Pomらしい過激な表現方法とその独自な世界観は見るものの意表をつき驚かせる。しかし、写真作品やその他の作品の一つ一つは非常に洗練されたテクニックと表現方法で制作されていてアーティストとしてのChim↑Pomの制作作品のクオリティーの高さや完成度は素晴らしかった。これからも様々な方法で我々を驚かせ続けてくれるであろうChim↑Pomに今後も更に注目したい。

CHINA DIARY

HOKNYHOKNY21

HOKNY1HOKNY4HOKNY5HOKNY7HOKNY6HOKNY19

誰でもいいから好きな画家になれるとしたらどの画家になりたい?なんて考えてみる。やっぱりピカソ?でも、女性問題で大変そうだ。ゴッホは気が狂ってしまう。ウォホールはSTUDIO54とかファクトリーとかとにかく楽しそう!でも、社交界に疲れしてしまうかも?そう考えるとアーティストって皆それぞれに激しく過激な人生を送る宿命なのかもしれない。そんな中、なんとなく丁度良いチョイスかもしれないなんて思わせる何かがデビッド・ホックニーにはある気がする。温和な感じ?感じたままを素直に絵に表現して淡々と暮らしているような雰囲気?全て勝手な想像だけど、とにかくホックニーの絵を見ていると和むし平和な気持ちになれるのだ。そんなホックニーが中国を訪れた際に描いたドローイングや水彩画を集めた画集が「チャイナダイアリー」である。画像では紹介していないが本には様々な文章の他に沢山の写真も掲載されている。そして、それらと共にホックニーの見たチャイナの風景や出会った人々がまるで旅行日記のように紹介されている。中国の水墨画に影響されたような薄い濃淡の水彩画はしかしながら凄くカラフルでホックニーらしい色合い。人々を細部まで細かく描写したスケッチやドローイングも彼らしい豊かな線の表現で見ていてとても楽しい。なんというか、イギリス人独特のお洒落のセンスを感じるし、アーティストとして感じたままを素直な色や線で表現するという簡単そうでいて難しい事もなんなくこなしてしまうような凄さを感じる。最初の個展で作品を完売させたという伝説を持つ画家、デビッド・ホックニー。このチャイナダイアリーはもしも彼みたいに見た物を素直に、そして鋭く絵によって表現することが自由自在に出来たらきっと旅行するのも楽しいんだろうなあと思いながら眺めて和んだ気分に浸れる画集なのである。

田口 まき(第1回)「写真を撮り始めたキッカケや好きなアーティストの話」

写真を撮り始めたキッカケ

田辺:すみません今日は!

田口:いえ。

田辺:一応その、アートランダムというのを始めまして。。
アートのコレクションを一品持って来てもらって、いろいろアートの話しをするってことなんですけど。
まきちゃんとはもう10年くらいですかね。

田口:10年。。最初がいつだったかな~って感じですけど。

田辺:でも、あのスペースフォースのときもお互いを知らなかったけど同じ場所にいたわけで。 (SPACE FORCEは田辺がディレクターを務めた中目黒にあったギャラリー)

田口:あーそれを思うと軽く10年くらいかも。

田辺:あれ面白かったですよね。

田口:ふふふ。

田辺:そもそもさ、写真を撮るじゃないですか。 で、ご自身もアーティストでコマーシャルな写真も撮るし、アーティスティックな写真も撮ったりするんですか?

田口:うーん、なんか今は作家活動を凄くしているかっていうと、個展をやって作品を売ってっていう活動は今はやっていないです。

田辺:じゃあ、コマーシャルな仕事が多いってこと? で、そもそも、そういう前の事をあんまり聞いて来なかったんだけど、写真家を目指してたの?

田口:うん。

田辺:どういうキッカケで写真を撮り始めたの?

田口:写真を撮り始めたのはもっと高校生くらいの時です。もともとアートも好きだし、あと映画とか演劇。ファッションとか好きで、まあ、洋服も好きで、そんな中である雑誌で、90年代の終わりくらいなんですけど、たぶんちゃんと調べないと分かんないですけどパルコの広告とかを撮っていたエレインコンスタンティンっていうフォトグラファーがいて、その人の写真が凄く好きになって、そこから写真を、、家にあったEOS Kissで友達撮ってみたいな感じで。。

田辺:エリーン・コンスタンティン?

田口:エレインコンスタンティン、ファッションのフォトグラファーです。 ニック・ナイトのアシスタントからファッション撮影されてた方です。

田辺:あ~分かるかもしれないけど、調べてみようかな。女性?

田口:たぶん。

田辺:じゃあ、そういう憧れがあって友達とか撮って、それがどんどん進化して行ったというか。 で、アートへの興味っていうのは学生の頃からあったんですか?

田口:身近にもアーティストの子が多かったし。

好きなアーティスト

田口 まき Maki Taguchi

田辺:本当にまきちゃんはネットワークが凄く広くて、ご自身も写真を撮るけど、アーティストのコネクションを広げて企画をしたりしてるじゃないですか、シブカル祭とか。一緒にやった事もあるし、そういうなんていうかな、臭覚っていうか、自然と知り合いになっちゃうの?どこかそういう場所、展覧会に行って話しするとか?どういう風に広がって行くの?

田口:まわりの子の紹介とかから広がったり、自然に増えていきました。美術やファッションや建築とか、いろんなジャンルの学生の友達と遊ぶのが楽しかったです。

田辺:芸大とか美大系とか専門学校とか行ったの?

田口:写真の学校。

田辺:あ~写真の専門学校! じゃあ周りにアーティストが多かった訳だ。

田口:うんうん、お友達の友達とか、そういうのもあるし、自然にって感じでした。

田辺:結構若いアーティストの人も知ってるし、ファインアート的な人も知ってたりとか幅広いと思うんですけど、なんというかな、どういうアートがお好き?じゃあまず好きなアーティスト、若手でもファインアートの人でも誰でも良いんですけど、どういう人が好きですか?知られてる人でまず、じゃあ、有名な人?ウォホールみたいな人でも良いけど。

田口:ウォホールももちろん好き。

田辺:なんか、あんまり知られてないけど私は凄く好きな作家とかいるの?

田口:凄い知られてないけど、知られてるピピロッティ・リストとかあ。

田辺:ピピロッティ・リスト?

田口:ピピロッティ・リスト。
やっぱり今自分が仕事してる子たちも本人も凄くアイコニックだったり、ポップで、表現もその人の世界観を持ってるみたいな人は凄い好きです。 作家性とかコンセプトとかそういうのももちろん共感とかもあるけど、私コンセプトの面白さ=好き、ではないかな。コンセプチャルなものに興味がない訳じゃなくて、面白いなって気付きがあったり、社会的な事だったり歴史的な事だったりと受け取るメッセージで視野が広がったりする事もあるからそういう意味で面白いなって思うけど好きか嫌いかで言うと、世界観のあるものでポップなものが結構好き。

田辺:じゃあアーティストさん自身が独特の世界を持っていてそれがそのアーティスト自身にも、作品にも出ているみたいな人が結構好きってこと?女流の作家さんも結構知り合い多いし好きですよね?

田口:うん。

田辺:それはなんか敢えて女流作家を自分的には追ってるとか?別に自然にそうなっちゃうの?

田口:うんうんうん。

田辺:あとなんか以前その映画をやりたいとか言ってたよね、その~フィルム的なこと?ドキュメンタリーみたいな?

田口:あ~わははは

田辺:その時もアイデアが面白いなって思って、流しっぱなしで撮るみたいな。 沢山のアーティスティックな子を集めて撮るみたいな、そういうのってまきちゃんぽいなって凄く思うんだけど。 やっぱそういうのは好きなんだね。

田口:うんうんうんうん!

田辺:なるほど。 で、東京のアートの現状っていうか、まあ、よくご存知だと思うんですけど、いろんな視点から語れると思うんですけど、まあその、いわゆる小山登美夫ギャラリーとかああいうギャラリーはそれなりに頑張ってるけど、やっぱり世界基準的な、オークションもないし、とかっていうその非常に弱いじゃないですか。 で、一方その若手の子とかシブカル祭に出る子とかパルコ的な今まさにアーティストとして狼煙を上げてる若い子みたいのが活躍する場とか、そういうのって、どうですか、十分?パリとかも行ったりしてるじゃない、どうなの世界において日本って?まきちゃん的には。

田口:すごく面白いものを持ってると思います、でも、それが、カワイイカルチャーとかクールジャパンって言った瞬間に、そこには実態がない感じがします。クールジャパンっていう輪郭自体には意味はなくて、その中に一人の作家さんがいたり、1個の作品があったりするっていうだけなんじゃないかなって個人的には思います。良く言われているようなそういう東京の若者のカルチャーってイケテますよね?とかよくそういう事言われたりするんだけど、、個人的には全体感っていうよりも、その中で誰々っていう子が凄いとか、そこで起きてるこんな話しが面白いとかっていう、より具体的な事にもっとフォーカスして行ければ面白いなと思います。

田辺:例えばその、伊勢丹なんかの仕事でも手伝ってもらって一緒にやったけど、じゃあ具体的にどんなことをやって行ったら良いとかって感じてます?じゃあフィルムを作るとか、アーティストたちに発表のチャンスをあげるとか大事だと思うけど例えばそれを僕らみたいな企画する側が発信するような事をもっとやって行くべきとかって思う?

田口:うんうんうん、思いますね。さっきの話に戻るけど、ウォホールとかファクトリーとかも超昔から憧れあるし、あんななんかイケテル若い作家とかモデルとかが集まって超楽しそう!みたいな。

田辺:そうだよね。

田口:あたしもあんな時代にあそこにいたら絶対遊びに行きたいなー、まあ、東京だったら天井桟敷に行きたいとは思わないけど。。。

田辺:あはは。

田口:それはなんかイメージがポップじゃない感じだからかな~。ファクトリーとかは凄い憧れる。 話飛んじゃうけどウォホールとは逆で、例えばヨーゼフ・ボイスみたいなコンセプチャルな人の中でも凄く共感する考え方とかってあって、なんか、その、作品を作品化するだけで表現しない、例えばウォーホールだってそうだと思うし、フレームに入った作品だけを作品としなかったからああいう風な事だったと思うし。 自分がやるべき事としてピンと来たのはアートが好きだけれど1個のピースを自分が作家として作るというよりも、もちろんそれも素敵だし憧れもあるしそれはやらないって訳じゃないけど、それだけじゃない、もっと自由でポップな考え方が出来ればいいなーって思っています。

田辺:うんうん、なんか、もっとムーブメントを起こすとか?

田口:うん、自分で起こすというよりは、既にあるもにのフォーカスしたり、そこで何か自分がそこに何かを加えたり、何かをする事によってあり方が変わって行ったりっていう事も、アートマーケットというかアートビジネスみたいなことろからは離れてしまうのかもしれないけど、そこに同じような面白さとか発見は作れるかなあと思っていて。

田辺:やっぱり、その、価値観に違う光をあてるっていうか、そういうパワーがアートってあるじゃないですか。

田口:うんうんうん。

田辺:だから例えば絵をコレクションするっていうのも、ある意味そのアーティストの価値観の現れである作品っていうのに共感したらそれを部屋に飾ったりとか見に行くとかっていう事で自分が刺激を受ける。 だからそういう刺激的なのが好きなんだねきっと。

田口:うん、そうですね。 あと、単純に被写体とかも若い世代の子とかを今は凄く追っかけていて、自分が何を感じるかとか、見た事もない事とか凄くそういう新鮮なもの?ピュアなものみたいのに個人的には惹かれる。もちろん洗練されていて美しいいものとかは素晴らしいと思うけど、なんでこんなものがどこから出て来たんだ?みたいなものに自分は凄く惹かれて。。

田辺:なるほどね。

田口:仕事的にも、だから写真をやって行くカメラマンとしてはそういう子達を撮りたいし。 で、自分が関わる仕事も「なんだこの人なに考えてるんだ?」みたいな、こんな自分が知らない事が始まってる世代の子達がいるんだなっていうとこに自分は刺激をもらう。

田辺:なるほどね。

田口 まき(第2回)「今注目するアーティストやネットという新しいアーティストとの出会いの場。」はこちら!

 

PHARMAKON’90

IMG_9631 IMG_9665 IMG_9664 IMG_9662 IMG_9661 IMG_9660 IMG_9658 IMG_9654 IMG_9651 IMG_9648 IMG_9644 IMG_9641  IMG_9636 IMG_9633

1990年に幕張メッセでPHARMAKON’90という大規模な現代アートの展覧会があった。これはその時のカタログだ。こんな贅沢な展覧会はきっとバブルの時代だったから実現可能だったんじゃないかと思いながら久々にページをめくり中身を見てみる。1990年といえばもう24年前のこと、カタログを見ながらこんな作家の作品があったのか、などと改めて驚く。正直なところこの展覧会を見に行った記憶はかなり曖昧だ。きっと凄いアートばかりずらっと並んでいたので逆にどれに決定的な衝撃を受ける事もなく脳が軽い麻痺状態にでもなっていたのかもしれない。今となっては印象としてはこの展覧会を見た気がしないのだが現にこうしてカタログがあるしなんとなく幕張に見に行ったような気がするのみだ。出展品だが、沢山の作家の作品があるので全ては紹介出来ないものの、いわゆるポップアートの巨匠達、アンディー・ウォーホル、ジェームズ・ローゼンクエスト、ジャスパー・ジョーンズ、ロイ・リキテンシュタイン、ロバート・ラウシェンバーグエドワード・ルシュカなどの作品が全て揃っている。60年代から70年代、80年代を経てアメリカのニューヨークがアートの中心地になった時代だ。そして、80年代に頭角を現した作家達も沢山出展している。ジュリアン・シュナーベル、ロス・ブレックナー、リチァード・セラ、キース・ヘリング、ジャン・ミッシェル・バスキア、ケニー・シャーフ、ドナルド・バチュラー、フランチェスコ・クレメンテ、ジェフ・クーンズなどなど。ヨーロッパ勢ではマーティン・キッペンバーガーやシグマー・ポルケ、サンドロ・キーア、エンゾ・クッキなどなど。日本の作家も草間彌生や大竹伸朗などが展示されていたようだ。今となっては全員が巨匠というレベルの作家ばかり。もうこんな規模の展覧会は実現しないのだろうな。

The Artist In His Studio by Alexander Liberman

IMG_9592 IMG_9590 IMG_9588 IMG_9587 IMG_9583 IMG_9581 IMG_9580 IMG_9579IMG_9576IMG_9578

アーティスト達のスタジオにフォーカスした写真集「The Artist In His Studio」を書店で見た時に、すぐに購入したいと思った。その本には、印象派の父といわれるセザンヌのスタジオ(アトリエ)から始まり、マチス、ピカソ、シャガール、レジェ、ブランクーシ、ドゥビュッフェ、アルプ、ミロ、ブラック、ルオー、コルビジェまで、歴史に名を残したアーティスト達の姿とそのスタジオ風景の写真が紹介されている。それぞれのアーティストが独特のスタイルのインテリアでスタジオを装飾しているが、作家の世界観の現れであるスタジオの風景は作品とは違った意味でとても興味深いし、なんとなく、どんなところであれらの名作は生まれたのかというのを覗きたい好奇心が凄くくすぐられたのだった。セザンヌだけが本人の写真はなく、主が不在のスタジオ(アトリエ)風景といった感じだが、絵の真髄を究めようと努力したストイックな創作活動をしていたのだろうと想像させるようなスタジオだ。マチスのスタジオは彫刻やオブジェなどもあって、まるで彼の絵に出てくるような雰囲気だが、実際彼はよく自分のスタジオを絵に描いている。ピカソのスタジオは生涯を通してエネルギッシュに創作活動をした作家らしく、おびただしい数のカンバスやオブジェなどの作品で埋め尽くされている。そこに暮らし、毎日大量の作品制作をして家が作品でいっぱいになったらもっと大きなところに引っ越すというようなピカソの大胆な生き方が想像出来る。ブラックのスタジオは彼の絵のように少し暗い色調というか、どこか落ち着いた雰囲気。ブランクーシのスタジオはどちらかというと彫刻の制作工房のようで生活というよりももう作品だらけだ。アーティスト達の作品ももちろん感動的だったり素敵だったりするけれど、彼らがそれを生み出したスタジオも同じくらいに興味深くて素晴らしい。なによりも作家のセンスと好みみたいなものが垣間みられるからとても面白いのだった。

川島秀明展「come out」

IMG_9534 IMG_9535 IMG_9536 IMG_9537 IMG_9538 IMG_9539 IMG_9540 IMG_9541 IMG_9542  IMG_9544 IMG_9545 IMG_9546 IMG_9547 IMG_9549 IMG_9550 IMG_9551

渋谷ヒカリエ8階にある小山登美夫ギャラリーにて、川島秀明の個展を見る。2003年の小山登美夫ギャラリーでの初個展以来、一貫して人物像を描いて来た 作家だ。なんでも彼は95年から2年間、比叡山延暦寺で修行をしたそうである。その経験が彼の絵になんらかの影響を与えているのは確かであるように思う。 人物のみを描き続ける悟りにも近い潔さのような気迫が絵から感じられる。彼はこれらのさまざまな女性の肖像を自画像と呼んで来たそうだが自己の内面にある 何かを象徴する姿をこうした女性の像に吹き込んで絵にしているのだろうか。たいていの場合、無地の背景に大きな目と丸い顔の少女が浮かび上がるように描か れる。妖艶な美しさとでもいうか、独特の雰囲気を放つそれらの肖像は一度見たら忘れない印象的な顔立ちだ。簡素に描かれているようでいて、近くで見ると絵の具を幾度も塗り重ねているのがよく分かるが、それだからこそこれらの絵はシンプルながら深みのある風合いになっているのだと思う。展覧会のタイトル「come out」とは「出る」という意味の他に「何かを告白する」というような意味合いもあるが、2008年以来となる小山登美夫ギャラリーでの展覧会なので、新たなデビューをするというような気持ちで臨んだのだそうだ。こんな強烈な印象の絵が部屋にあったらいつも誰かに見つめられているような不思議な気分になるのではないかなどと思いながら鑑賞した。

Making Links:25 years

IMG_9332 IMG_9333 IMG_9334 IMG_9335  IMG_9337 IMG_9338 IMG_9339 IMG_9341

白石コンテンポラリーアートは日本のアートシーンを牽引して来たギャラリーの一つだ。上野にほど近い入谷にある白石コンテンポラリーアートのギャラリー、SCAI THE BATHHOUSEは古い銭湯を外観そのままに内装をギャラリーにしたユニークな建物である。そのSCAI THE BATHHOUSEにて白石コンテンポラリーアートの25年を記念した特別なグループ展「Making Links:25 years」が開催された。出展アーティストは横尾忠則、名和晃平、村上隆、宮島達男、森万里子、ジュリアン・オピー、アニシュ・カプアー、リー・ウーファンなどなどそうそうたる面々である。この顔ぶれを一堂に集められること自体に白石コンテンポラリーアートの歴史とパワーを垣間みれる。当然だが作品はいずれも良く知られた物ばかりで見応えも十分。しかし、この夜はエキシビションよりも25年を祝うために駆けつけたアート業界の面々が主役といった趣だった。まだまだ、日本のアート業界は欧米に比べて統一感がないと感じるが、ここに集まった方々の努力はこれからも続くのだろう。日本国内での更なるアートの普及活動や海外への進出などやらなくてはならない課題は沢山ある。だが、今宵ばかりは素晴らしいアート作品に囲まれて日々アートの為に戦う同士達とグラスを片手に楽しく語り合うといったリラックスした雰囲気がギャラリー内を包んでいた。これからも日本のアートを世界に発信すると同時に海外の素晴らしいアートを直接見たり買える機会を与えてくれる貴重なギャラリーの一つとして白石コンテンポラリーアートに大いに期待したい。

ignore your perspective 21「Study for Cynicalness」

IMG_9264 IMG_9266 IMG_9268 IMG_9269 IMG_9270 IMG_9271 IMG_9272 IMG_9273 IMG_9274 IMG_9276 IMG_9278 IMG_9280 IMG_9281 IMG_9282

白金にある児玉画廊にてグループ展を見る。ignore your perspectiveと題されたグループ展は毎回面白いテーマでの作品発表を試みるが、今回のテーマは「Study for Cynicalness」。シニカルとは、皮肉な態度をとるさま。冷笑的。嘲笑( ちょうしょう)的などと辞書にある。それも踏まえて今回の5人の作家の作品を眺めてみた。貴志真生也、小林真太朗、中川トラヲ、森下明音、和田真由子の5名の参加作家はいずれも個性的な作家であり作品もまた個性的である。平面的なオブジェ、不思議な雰囲気の立体作品、絵画など、さまざまな種類の作品がギャラリー内にインスタレーションされていてとても面白かった。なんの変哲もない普通の素材を使ってアート作品を作っていたり、なにかの装置を連想させるような立体作品や自由で開放的な色使いで描かれた絵画など、どの作品も極めて実験的な感じがする。どうしてこのような作品を作ったのか、作らなければならなかったのか。そんな事も考えながら興味深く見させてもらった。グループ展で作家に共通の制作テーマを与えるというのは凄く良いアイデアだと思う。それぞれの作家の普段とはひと味違った作品に出会えるし、それぞれが同じテーマで違う形の主張をする作品を生み出すのも見ていて刺激的だ。また、そういったさまざまな作品が一つのギャラリー空間でお互いに影響し合いながら展示される様も鑑賞体験として貴重だと思った。今後もこのグループ展ignore your perspectiveが楽しみである。

ベンジャミン・バトラー展「Seleced Trees」

IMG_9315 IMG_9316 IMG_9317 IMG_9318 IMG_9319 IMG_9320 IMG_9321 IMG_9322 IMG_9323 IMG_9324 IMG_9325 IMG_9327

ヒカリエにある小山登美夫ギャラリーにて開催されたベンジャミン・バトラーの展覧会を見に行った。彼はアメリカのカンザス州生まれ。カンザス州というとなにもない場所としてよく比喩の引き合いに出されるほどなにもない所だと聞く。アメリカの田舎を想起させる代表的な州の一つだ。同時にトルネード、いわゆる竜巻の多発地帯でもある。オズの魔法使いの主人公ドロシーも愛犬トトと共に竜巻に飲み込まれ不思議な国であるオズに辿り着く。そんな土地柄が作家の深層心理になにかの影響を与えているのか定かではないが彼の作品は自然をその題材にしている。シンプルに捉えられた風景画。余計な物を全て排除して風景の印象のみを限られた形と色で表現している。その後、モチーフは木の枝の観察に移行し、木々のパターンは単純化され、抽象化される。こういった視点で作品を突き詰めることで有名な作家にモンドリアンがいるがバトラーはそこまで単純に題材を抽象化することはなくあくまで具象的な観点から抽象を試みるといったような感じがする。木の枝は彼にインスピレーションを与え、そこから彼独自のパターンや色合いを生み出している。色使いのセンスはほのぼのとした印象で寒色を使った作品ですらどこか暖かい感じがする。シンプルだが見れば見るほど深い絵だが、単純にそぎ落とされた色と形のパターンだからこそ表現出来る深みのような味わいがある絵になっている。

in our skin 衣川明子展

IMG_9286 IMG_9287 IMG_9288 IMG_9290 IMG_9291 IMG_9292 IMG_9293 IMG_9294 IMG_9295 IMG_9296 IMG_9297 IMG_9298

アラタニウラノギャラリーにて開催されている衣川明子さんの展覧会、「in our skin」を見に行った。見ているととても不思議な感覚に襲われる印象的な絵である。そのほとんどは人物や生物の顔だったり体だったりするが、ネンドで作られた小さなフィギュアや獣の毛皮?のようなオブジェも効果的に展示にしてある。顔に毛のは生えた獣や不思議な体つきの人物などが独特の乾いたブラシストロークで丹念に重ね塗りされ、その表面の色合いはなんとも説明しがたい深い奥行きのような感触を描き出す。キャンバスが感触を持った肌のように見えて来る。そして、しばらく見ているとピントがボケている何かを凝視しているような不安な感覚に陥り、不意にそこに描かれている物に吸い込まれそうになる。そんな不思議な力を持った絵だ。彼女がいったい何をヒントにこうした不思議な生き物達を不思議な技法で描き始めたのかは定かではないが、一貫したスタイルとして描き続けているという事はこれらのイメージは彼女の中に相当強烈にわき上がってくるのに違いない。観る人によっては好き嫌いが分かれるかもしれないが、いずれにせよ忘れがたい絵である事はとても重要な事実だと思う。

笠井爾示 MUSCOVITE

IMG_9181IMG_9194IMG_9193IMG_9192IMG_9190IMG_9189IMG_9188IMG_9187IMG_9186IMG_9184IMG_9180IMG_9179IMG_9178IMG_9177

去年伊勢丹で開催したフォトグラファーズトウキョウという企画は婦人服の売り場にプロのフォトグラファーが陣取りお客様の写真を撮るという斬新な企画だった。その昔、カメラがまだ一般的に普及していない時代には街に写真館が沢山あって記念写真などはプロに撮ってもらうのが普通だったが、今やプロの写真家に写真を撮ってもらうというような機会は少なくなった。そんなせいなのか最初は照れのある人も多かったが、最後には素敵な写真を撮ってもらえてとても喜んでいただけた。その企画に参加を願ったフォトグラファーの1人、笠井爾示氏の展覧会が代官山のギャラリーにて開催された。モスクワなどで撮影された女優、真木ようこさんの写真展だ。モスクワの風景写真も折り込まれ30点に及ぶ作品が展示された。笠井さんは普段とてもシャイな感じの方なのだが、撮影に入ると被写体にのめり込んで撮影するのでフォトグラファーズトウキョウの時にそのギャップを見てとても驚いた。でも、普段は内向的に見えるけど、いざ制作が始まると全面に乗り出してのめり込むように被写体に没頭するというのはアーティストにはよくある、そして理想的な姿なのかもしれない。笠井さんの写真は一言で言えばとてもクール。たえず直球で、被写体の内面を最短距離で見事に捉える事が出来る才能を持ったフォトグラファーだと思う。写真家にとって、被写体が人であれ風景であれそのものとの距離感のようなものが大切な気がするが笠井さんは絶妙な距離感で接近する事が出来るフォトグラファーなのだ。モスクワの街も真木ようこさんも今まで見た事のない表情で見事に捉えられているのが分かる。今後も笠井さんは彼にしか撮れない写真を極めて行くに違いないし、それを見続けるのは楽しみでもある。

佐藤翠展「Fascinated Times」

SATO6SATO4

SATO5SATO3SATO2SATO1SATOSATO11SATO10SATO7

佐藤翠さんの個展を渋谷ヒカリエにある小山登美夫ギャラリーに見に行った。昨年、伊勢丹新宿店で彼女の作品の展示とその期間中にデパートの一角で公開制作、いわゆるライブペインティングのイベントを頼んだ経緯がある。その後、彼女はイギリスに半年ほど留学したので久々に個展でご本人と再会した。今回の絵はイギリスで描いたものも多く、大きなキャンヴァスに描いた絵をその後に枠組みから外しロール状に丸めて持ち帰ったそうだ。彼女の絵のモチーフはクローゼットだったり奇麗な壁紙やカーペット、花やハイヒールなど女性身の回りにあるようなものを題材に取り上げる。作品はいずれもカラフルであるがその色彩感覚は独特で、どの作品にも共通するのはパステルのような淡い色と派手な色の組み合わせの絶妙なバランスの美しさだと思う。色彩感覚というのは誰かに教えられたり学校で学んで身につける類のものではなく作家自身の才能というか、感性の現れだと思っているが、彼女も実に独特な色彩世界を持っている。そして、これは以前にライブペインティングをしている制作風景を見て思ったのだが、一見すると具象的な彼女の絵の正体は実は非常に抽象的な絵画の描き方やアプローチで制作された抽象画なのである。絵の具の垂れを絶妙に利用して描き進んだり、荒々しいブラシストロークを多用したり。遠く離れて見るとクローゼットに整然と並ぶ洋服の絵のように見える作品も近くで見ると過激なまでに抽象的なアプローチで描かれた作品となっている。そのギャップがとても面白くて抽象画の新たな姿を形成しつつあるような予感さえ感じる。2013年に若手作家の登竜門であるBOCA展に於いて大原美術館賞を受賞した将来が楽しみな作家さんだが、ご本人はお洒落が大好きな現代女性でもあり、その自由な雰囲気が作品にも躍動する生命力のように宿っていると感じた。今年はもう一つ大きな個展も控えているということで今後も更に見続けたい作家さんである。

ヒロ杉山(第2回)「ヒロさんのコレクション」

日本と海外のアートマーケット

田辺:僕もONE SIZE GALLERYの時に、ONE SIZEではちっちゃい方にしたんですけど、まあ、幾つか、可能性を考えた時に、おっきいのはあのぐらいが限界かなと、あれ以上になるとちょっと。

ヒロ:そうなんですよね。

田辺:気軽に買えない大きさかなと。

ヒロ:やっぱり、飾るってこと考えると、皆そんなに住宅事情的にね、いい壁を持っているわけでもないし。

田辺:釘とか出来ないじゃないですか。

ヒロ:ですよね。

田辺:だから、そういうのもね、辛いですね。

ヒロ:そう、やっぱり、つまんないところですよね。

田辺:ピクチャーレールで吊るすっていうの僕はあんまり好きじゃないんです。

ヒロ:僕も嫌です。

田辺:線が出ちゃうし。

ヒロ:そうなんですよ。

田辺:アートを飾りたいって人には恵まれた環境ではないというか。 海外に行くと絶対にアートって、家具のひとつというか、必要不可欠みたいな物っていう役割なんですけど、日本だとなんかちょっと、敷居が高いというか。 そういう存在なのはちょっとおかしいですよね。

ヒロ:そう、だから僕いつも言うんですけどOLが20万のルイヴィトンは買うけど20万の絵なんて買わないじゃないですか!

田辺:絶対買わないですね。

ヒロ:だから、その辺の感覚がやっぱり日本にアートマーケットがないっていう寂しい状況のひとつになりますね。

田辺:この話は本当に深い話になっちゃいますけど、日本のアートマーケットっていうのが凄く特殊で、ビジネスとしてこうきちっと確立されてこなかった。 あと、世界基準から取り残されちゃったとか、色々あると思うんですけど、もう少し、例えば、まあ、投資として買えるみたいな側面とかがしっかりしてたり、あと税金の問題とかがフォローされてればもっと違うと思うんですけど。

ヒロ:そうですね。

田辺:本当にその問題って大きいですよね。 あと、たぶん日本人って宗教もキリスト教も何も全部いいじゃないみたいな、わりとなんか、アートも別に特別じゃないというか、なんか、マンガがカルチャーになったりとか、西洋のアートを壁に飾って拝むではないけど、特別にするみたいな感覚がわりとないのかなあとか思ったりして。。。感覚の中に。。。

ヒロ:でも、なんか、江戸時代の浮世絵的な?あれも版画だと思うんですけど、あれを町人が買って、で、やっぱりあれを家に飾ってたと思うんですけど、あの感覚とか、床の間に掛け軸を掛ける感覚とかあったはずなんですけど。

田辺:そうですね。

ヒロ:たぶん、戦争に負けて(笑)贅沢だってことになって排除されて行ったのか、たぶんああいう文化がそのまま残ってればアートマーケットっていうのが現代にも残ってたんじゃないかって気がするんですけどね。

田辺:たぶん、あとなんか、そういうお金持ちの人はやっぱアート買ってるんだと思うんですけど、なんか、こう、画壇のお墨付きみたいのとか、なにかちょっと違う世界?一般、例えば僕らとか若者達っていうのはそういう趣味はないみたいな感じで、だからそこでたぶんヒロさんも今回Neo Silkっていうのをやられたと思うんですけど。 僕も本当に、やっぱアートを飾るとなんか部屋が締まるし、部屋を自分の好みのインテリアでやるっていうのもそうですけど、なんか良い事だと思うんですよね、 だからちょっと広めたいなと。

ヒロ:そう、だからさっきの最初の話に戻りますけど、その、ジム・ダインの版画を買った時に、その、あんな版画でもエディション30とか40だとすると、世界に40枚しかない物のひとつを持ってるという贅沢な気持ちとか、なんかそういうワクワクした気持を、もっと一般の人に感じてもらえたら、なんか、もう世の中にマスのようにある有名ブランドのハンドバッグ1個持つよりどんだけ贅沢な気持ちを味わえるのかと。

田辺:そうですよね。 なんか、3年前の震災直後のART FAIR TOKYOの時に完売ブースとか出てて、その時まだミサ・シンさんって方がディレクターだったんだけれど、話をしたら、なんか完売ブースも出ちゃって、こんな震災もあって景気も良くないのにって話してたら、やっぱりなんかある部分の人達は言われたようにヴィトンのバッグに何十万出すよりもオリジナルの物1点で自分が価値を認めた物に払う動きが出て来たのかななんて言っていたんですけど、まだ、それはART FAIR TOKYOに来るような人達であって、一般的にはなかなか。でも、Neo Silkみたいに、3万円とかのプライスレンジだったら若い子もポスターを飾る感覚を本物のアートのエディションでって出来ますもんね。

ヒロ:そうなんです、あと、僕が思うのは日本人って自分で価値判断が出来ない人種なんじゃないかなって。 だから僕、よく海外のアートフェアに出品してパリのFIACとかは自分も出品してて、で、初日はVIPのレセプションなんですよ。 でも2日目から一般の人も入って来て。 一般の人のアートフェアに来る人口って凄いんですけど。 で、面白いのは、おじいちゃんとかおばあちゃんまで来るんですよ。

田辺:へぇ~

ヒロ:で、ずーっとゆっくり絵を見ながら、で、この作家はどういう作家なの?とか、質問しながら。 日本から来てる無名の作家でも気に入って自分の予算に合えば買って行くんですよね。

田辺:素敵ですよね~

ヒロ:そう、だから自分で好き嫌い良い悪いを判断して、それが別に有名だとかそうじゃないとか関係なく。 日本人ってそれが出来ない。

田辺:そうですね、なんか、お墨付きが欲しいんですよね。

ヒロ:そう!ただもうブランディングされた物は買うけど、自分で価値を見出してそこにお金を投資するってことがなかなか出来ない。

田辺:本当に良いお金の使い方だし贅沢な生活だと思いますけどね。 やっぱり海外は、僕もアートフェア行ったりしますけど、本当にいろんな人が来ていて、興味持ちますよね。 あと、ヨーロッパはアートに対するリスペクトみたいなのが凄くあって、あと、アーティストとかにも。 でも、日本って絵を描いてるとかっていうとなんか道楽者みたいに思われちゃう。

ヒロ:そうですよね。

田辺:なんかこう、ちゃんとした市民権を得た職業と認められていない!みたいな。

ヒロ:そうなんですよ、ヨーロッパ行くとアーティストはやっぱちゃんとした職業だし。 で、やっぱり向こうの絵を買う人は、絵もそうなんだけどアーティストに興味を持つ。

田辺:そうなんですね。

ヒロ:どういう作家なのかとか凄い質問されるし。

田辺:何かこうサポートするみたいな、パトロンの精神なのかもしれないですね。

ヒロ:あとなんか、例えば鞄や時計や車は自慢出来るじゃないですか、外へ持って行って。 でも、絵は外へ持って行って自慢出来ないから。

田辺:なるほどね。

ヒロ:で、海外って意外とホームパーティーが沢山あるから、家に呼んだ時にどういう絵が飾ってあったかっていうのがその人のステータスになるし、その、絵について1時間2時間語り出すじゃないですか。

田辺:語りますね~

ヒロ:日本はやっぱそういうのがないから、自慢出来ないっていうのがひとつありますね。

田辺:本当、外国行くと絵を褒めますもんね。 で、なんか最近買ったんだとか、この作家はこういう人でとか言って自慢しますよね。

ヒロ:そう、で、どういう作家を持っているかでその人の趣味趣向が分かったりね。

田辺:でも、まあ、そういう現状ではありますけど少しづつNeo Silkであったりとか、やり続けるしかないってことですね。

ヒロ:だから僕が最初にジム・ダインを買ったのがキッカケで、そういう、絵をコレクションするのが好きになったように、なんか、その一個のキッカケになったら良いかなと思って、金額を下げた企画をやったりしてるんですよね。

田辺:大事な事だと思います、やっぱりまず1枚、ひとつの作品を買って、で、なんかこう、家でひとり酒でも飲みながらニヤニヤしているっていう。

ヒロ:そうそう!(笑)

田辺:そういうの贅沢ですよね。

ヒロ:なんか、彼女が来た時に、これ良いねとか言われて、もうちょっといい気になって、で、二枚目を買うとか。 で、今は3万円でも3年後にはお給料が上がっていて次は15万円とかでも買えるかもしれないし。 そうやってちっちゃいけどもアートマーケットができる事が、僕は日本の若手の人が育つモチベーションになると思っていて。

田辺:僕もそう思います、やっぱりだから凄く才能がファインアートへじゃなくて、ま、それはまあゲームとかのカルチャーを上げたのかもしれないけど、ファインアートの世界ってなんかスポってないというか、凄く数が少ないじゃないですか。

ヒロ:そうですね。

田辺:だから、ギャラリーも頑張ってるギャラリーとかいますけど、まだまだ足りないし、なんかニューヨークに住んでいた時にアーティストが「俺はニューヨークで有名なアーティストになって大金持ちになってやる!」みたいな夢を持てた訳ですよ。 で、実際アートが売れるとがっぽがっぽ金が入って来るし、まあ、バスキアとかそうですけど、なんかそういう画家は貧乏にちがいないみたいな日本とは180度違う感覚っていうのを覚えていて、凄い違いますよね。

ヒロ:可能性が普通にありますからね。

田辺:ですよね、で、お金が入ればもっともっと大きな作品とか大きな構想の作品とか出来るから、才能をより使い切るっていうか、新しい事に使い切る? そういうなんか、土壌っていうか。

ヒロ:あと、ニューヨークとか行くと、こう、なんだろう、趣味の違うコレクターが沢山いるから、向こうのギャラリーで凄くダサそうなギャラリーでも、誰がこんな絵買うんだろうって絵でも売れてたりするじゃないですか。

田辺:あれも凄いですよね!

ヒロ:そう!やっぱ、こういうのも買う人がいるから成立してるんだな~っておもいますね。

田辺:裾野が広いですね~本当に。 あのチェルシーなんかも、まあ、有名ギャラリーは1階とかの目立つところにありますけど、あのビルの中の、なんかもう、線3本くらいみたいな絵ばっかりのギャラリーの、これ誰買うんだろう!?みたいなのもあるし。

ヒロ:ありますね~ でも、成立してるんですからね、それでも。

KAWSと作品を交換

田辺:いや、本当に凄いですよね。 まあ、日本は現状、村上さんでも奈良さんでもやっぱり海外に出て行ってしまうってことで。 本当に若手を応援するためにもアートが日常に根付いたものになるようなことはして行った方が良いですよね。 さて、話は長くなってしまうので、ここでアートを!

ヒロ:あ、これですね。

hiro-artpiece

田辺:あ、KAWS!

ヒロ:KAWSの初期の頃の、バスの広告をKAWSはその、盗んで来て、それにペイントしてまたバスのショーケースの中に戻すっていうのをやっていて、まあ、グラフィティーの基本というか、公共の物に描くっていう、今のKAWSは全然違うところに行っちゃいましたけど。 これは買ったんじゃなくて、KAWSと絵の作品交換したんですよ。

田辺:あ~そうなんですか!

ヒロ:ええ。

田辺:で、これを選んだ?

ヒロ:僕がちょうど展覧会やるんで準備してる時に、KAWSが遊びにきて、で、1個、KAWSが気に入った絵があって、これ買いたいんだけどって言って、いいよ~って。でも、買うんだったらアーティスト同士だしなんか交換しようよって言って、で、KAWSはこれを送って来てくれて。

田辺:なるほど。これ、何年前くらいですか?

ヒロ:これはね、何年だろ?2000。。。この作品自体は何年か分からないですけど、交換したのは2003年とか。。

田辺:あ~10年くらい前。 これは描いたんですか?

ヒロ:そうなんですよ。

田辺:へぇ~なんか、しっくり来てるから分かんないです。

ヒロ:分かんないですよね。

田辺:分かんないですよね、アクリルかなんかで描いてんのかな? 分かりました、これは凄いわ! で、額は自分で入れたんですか?

ヒロ:そうです。 もう筒に丸めて送って来ましたからね。

田辺:マジっすか!?

ヒロ:ははは

田辺:凄いっすね。 でも、KAWSテクニック凄いですね。

ヒロ:そうですね。 ディズニーにいたんですよね。

田辺:あ、そうなんですか!

ヒロ:うん、ディズニーのアニメーション部門にいて絵を描いていたそうですよ。 だから、器用だし、仕事が細かいから。。 この絵もさっきの話じゃないですが、額が重いんで、こういう普通のマンションの壁じゃダメですね。

田辺:日本は地震あったりもしますし。

ヒロ:ですよね。

田辺:でも、こういう本棚みたいのがあると、いっぱい絵を飾れるから良いですよね。

ヒロ:そうですよね。

田辺:分かりました!今日は面白いお話しと貴重なコレクションを見せていただいてありがとうございました!

ヒロ:ありがとうございました。

→ ヒロさんインタビュー前半「コレクションはお好きですか?最初の印象深いコレクションは?」はこちら!

ヒロ杉山(第1回)「コレクションはお好きですか?最初の印象深いコレクションは?」

印象深いコレクションは?

田辺:今日はよろしくお願いします!

ヒロ:よろしくお願いします。

田辺:ヒロさんの場合は、ご自分でもアートを作るし、見るし、企画もするしっていう、まあ、アートと非常に近いところにいる生活をしていると思うんですけど。
コレクションするとかはお好きですか?

ヒロ:好きですね~大好きです。

田辺:最初の印象深いコレクションは?

ヒロ:最初は、ジム・ダインのシルクスクリーンを青山のギャラリー360°っていうところで買ったので。
僕はまだ20~何歳だったかな?20代半ばくらいかな?
まだ湯村輝彦さんの事務所でアシスタントしている時ですね。

田辺:湯村さん、はいはい、あのヘタウマの!

ヒロ:そうそう、で、まだお給料が十何万の時ですけど、その時で3~4万のシルクスクリーンだったのかな。

田辺:結構なお値段!

ヒロ:そうなんですよ!
ドキドキしながら買いましたけどね。

田辺:ジム・ダインはハートですか?

ヒロ:いや、ハートじゃなかったですね、その時のは。
絵柄ちょっと覚えてないんですけど(笑)

田辺:もう持ってないんですか?

ヒロ:持ってます!
ただ、しまっちゃってるんですよ。

田辺:何に惹かれたんですか?

ヒロ:なんか、ポップアート大好きだったんで、アンディー・ウォーホール、リキテンシュタインから入って、当時ポップアートに僕は凄い影響を受けていて。

田辺:ローゼンクエストとか?

ヒロ:そうそう、僕ローゼンクエスト大好きだったんですけど。
その時の、作品を買えるなんて思ってもみなかったんですよ、自分が!
まあ、版画ですけども、でも、そういう本当の人の作品を買うっていう、所有するっていうことがもう!
もしかしたらジム・ダインじゃなくても良かったのかもしれない(笑)

田辺:その、買うっていう行為?

ヒロ:そう!

田辺:その行為がもうエキサイティングな!

ヒロ:もうずっと本で見ていた有名なアーティストの作品、シルクでもそうなんですけど、それをなんか自分が買えるっていうことが。
お金の値段ってことよりもそれを買える機会があるってこと自体がね、なんか、ドキドキしましたね。

田辺:額入で買ったんですか?

ヒロ:いや、その時はもうシートで。

田辺:シートで?
で、自分で額に入れて。

ヒロ:それ、額に入れてないです。

田辺:あ、そうなんですか?

ヒロ:そのまま、マップケースに入れてます。

田辺:あ、そうですか。
で、それが最初で、でも、20代半ばでって早いですね、コレクターとしては。

ヒロ:そうですね、それを機にちょこちょこ、こう、お金を貯めては買いましたね。

田辺:なんか、印象深いのってあります?

ヒロ:ローレンス・ウィナーっていう文字の作家がいるんですけど、その人の、まあ、ポスター的な作品なんですけど、そういうものとか。 あとは、なんだろう、リキテンシュタインのポスター?あの頃はやはりポスターが多かったですね、値段的にも1万2万で買えて。 ポップアート関係の人が多かったですかね。

田辺:グラフィックとかはあまり?

ヒロ:興味なかったですね。
あと、オールデンバーグ!

田辺:クレス・オールデンバーグ。

ヒロ:そうですね、オールデンバーグのダンボールを切り抜いたミッキーマウスの形のマルティプルスがあるんですけど、それを買ったりとか。
それもだから当時で4~5万したのかな。

田辺:どこでお買いになるんですか?ギャラリー?

ヒロ:ギャラリー360°っていうところが神宮前にあったんですよ。

田辺:表参道じゃなくて?

ヒロ:ええ、その前に。
オーナーの根本さんと仲良くて、いつも遊びに行っていて、で、洋書買ったりとか。
すると、「こんなの入ったよ~」とか言って版画を見せてくれるんですよ。

田辺:なるほどね、それは買いたくなっちゃいますよね。

ヒロ:そう!(笑)
そこが、きっかけですかね。

コレクションのポリシー

hiro-sub01

田辺:うーん、様々なアートを買って来たと思うんですけど、今一番、ま、今回は1点、この逸品を出していただくんですけど、それは最後にとっておくとして、なんか、ポリシーみたいな?

ヒロ:ポリシー?作品を買うにあたって?

田辺:そうですね。

ヒロ:ポリシー。。。そうですね、一番は、やっぱりこう、無名、有名を問わず、心を動かされたかってところにありますね、値段も関係なく。
無名の作家のでも自分が心動かされたなら買うっていうのもその条件にも入りますよね。 あとは、価格的に買えるのかとかも条件に出て来ますけど。

田辺:やっぱりエディションとかの方が買い易い。

ヒロ:あとは、昔は結構おっきい、といっても1メートルとか1メートル50ぐらいの版画とかも買ってたんですけど、だんだんもう、飾れないってことが分かって来て。

田辺:それはフミヤも言ってました!

ヒロ:住宅事情的に。
なので、今はもう、だんだんちっちゃい方に行ってますね。

田辺:なるほど、小さい作品。

ヒロ:ちっちゃいキャンバスだったりとか。

田辺:あーキャンバスとかもお買いになる?

ヒロ:ええ。
あと、写真もたまに買うんですけど、写真はどうも自分の中では買わないようにしている。

田辺:買わないように?
なぜですか?

ヒロ:写真買い出すと大変だから、切りがなくて。(笑)

田辺:切りがない!

ヒロ:あと、保管が難しいんで、湿気とか。
写真の方がエディションもあるし、大きさ的にも手頃なのあるんですけど。

田辺:そうですね、あと、なんか、マーケットも確立して来たというか。

ヒロ:そうですね。

田辺:この20年くらいでね、アートとしての価値も上がりましたよ。

ヒロ:ね!でも、写真も昔に比べて凄く高くなって来て。

田辺:そうですよね、本当に!
ちょうどTOKYO PHOTOやってましたけど、ああいうとこのは高いんだろうなと思って見てましたけど。
もう、見た事のあるような写真が並んでいたので。。。

ヒロ:写真はちょっと僕の中では値段が上がり過ぎてるんじゃないかなって、キャンバスみたいなタブローに比べて。

田辺:出力のものとか、どこまで耐えられるのか分かんないですよね、100年経ってないですからね。

ヒロ:そうですね。

田辺:消えてなくなちゃったらどうするんでしょうね?

ヒロ:ポラロイドのウォーホールのとかは結構色が抜けちゃってるっていいますね。

田辺:そうですね、抜けると思いますよ、やっぱり、薬品ですからね。
で、今AMANAでしたっけ、ゼラチンとかプラチナみたいなの復刻させてますけど、なんていうんですか、こう、コレクタブルな物としての価値っていう方向へ行ってる動きもある感じですよね。

ヒロ:うん、そうですね。

田辺:余りにも全てがマスで簡単に、もう、家でデジタルプリントが出来ちゃうような時代になっちゃったんで、そういう特別感というか、そういうのを逆に見直すというような感じになって来たのかな。

ヒロ:そうかもしれないですね。
写真の良さっていうのはやっぱりエディションが20とか30あって、版画と同じように価格が抑えられているってところが魅力的だったと思うんですけど、それがもう全然凄い値段したりしますから。

田辺:それを言ったらアートも、この間、なんでしたっけ、バスキアでしたっけポロックでしたっけ、何十億でしたっけ?
もう、ちょっとアートマーケットも行くところまでいっちゃってるというか、普通の人じゃ考えられないような金額ですよね。

ヒロ:そうなんですよ、だから僕もギャラリーに所属して、ヨーロッパとかアメリカ行って展覧会して相手にしてるのはそういうお金持ちの人じゃないですか。

田辺:パトロンみたいなね。

ヒロ:で、それはそれでひとつあるんですけど、僕が最近感じているのは、もう少しこう、変な言い方ですけど、一般の人達に普通にアートを楽しんでもらいたい。
それで始めたのがNeo Silkなんですけど、やっぱり版画であって、とにかく価格を下げて、多くの人に自宅にあうアートを飾る楽しみを伝えたいなっていう思いがあってやってるんですよね。

田辺:賛同いたします!
大きさも、あれはちょうどいい大きさですよね。

ヒロ:そうですね。

→ 第2回「ヒロさんのコレクション」はこちら!

三宅信太郎展 「Sitting on a Chair,Eating Bread 」

IMG_8957IMG_8948

IMG_8954IMG_8945IMG_8952IMG_8941IMG_8951IMG_8938IMG_8950IMG_8933

独特の世界観を持つ作家、三宅信太郎の個展がヒカリエの小山登美夫ギャラリーで開催された。初日には作家本人がギャラリー内の壁に壁画を延々と描き続けるライブドローイングのパフォーマンスもあったが、彼がどのようにしてあのクネクネした独自の線の絵を描くのか直に垣間見れてとても興味深かった。今回のテーマはパン屋さん?作家もライブドローイングのパフォーマンスはパン屋さんの恰好で臨んでいたのでパン屋の気持ちで制作した作品なのだろう。もしくはパンへのオマージュなのかも?しかし、彼の場合はどういうテーマにしてもその独自の世界は全く変わらず揺るぎない。彼のライブドローイングの様子を見ていると完全に絵を描く世界に入り込んで無心に描いているのがよく分かる。そして、彼の絵に必ず登場する子供の絵のようなキャラクターやそのクネクネした線も彼の中から自然に溢れ出るものだというのが良く理解出来た。彼には他にまね出来ない彼だけの世界とそれを表す強烈な絵がある。色彩感覚もとても独特でなんというか懐かしいような不思議な色合いを描ける珍しい作家のような気がする。今回はドローイングやペインティング以外にもパン屋さんのナイフのオブジェや巨大なサンドウィッチのオブジェなども展示されているが、テーマに沿って展示を考えて表したい世界観を完結させる工夫を作家としてきちんと成し遂げている。好きな人と好きでない人に別れるような絵かもしれないが自分は結構好きなタイプの絵である。でも、値段が高くなったので買えはしないけど、これからも気にしながら創作の推移を見守って行きたい作家の1人だ。

黒田泰蔵展

IMG_8921IMG_8920IMG_8919IMG_8918IMG_8917IMG_8916

陶芸作家の黒田泰蔵氏の展覧会が六本木のhiromiyoshiiにて開催されている。ギャラリー内にはこの展覧会の為に特別に設えられた木のテーブルが整然と並ぶ。テーブルの下には黒い石が敷き詰められて和の趣を醸し出している。テーブルの上には黒田氏が全身全霊を傾けて創作した真っ白の陶器が静かに置かれている。繊細であるが大胆、美しい白の質感は普遍的な美を表すかのようだ。シンプルなフォームがまっすぐに伝わって来る力強くて迷いのない造形美には感嘆させられる。2階にも照明を落とした中に陶器が浮かび上がるような展示があって素晴らしかった。限りなく純粋な白という世界で造形を浮かび上がらせる黒田氏の陶芸の世界は厳しく、儚い、だが、何よりも物としての卓越した存在感が素晴らしい陶芸作品だと思う。

DAVID SALLE

IMG_7032IMG_7033IMG_7034IMG_7035IMG_7036

1980年代、ニューヨークのアートの世界にはユニークなペインターが続々登場した。ジャン・ミッシェル・バスキア、エリック・フィッシェル、ジュリアン・シュナーベル、フランチェスコ・クレメンテ…それぞれが独自に痛烈なイメージを描き出して次々と話題を提供した。ギャラリーもソノベンやリオ・キャステリといった老舗ギャラリーに加えて、メアリー・ブーンやガゴジアンといった若くて勢いのあるギャラリーが台頭して来た。そんな中で現れたアーティストの1人がデヴィッド・サーレだった。メアリー・ブーンギャラリーで彼の絵を最初に見た時、今まで見た事のないような独特な絵を見たような衝撃を受けたのを今でも覚えている。異質なイメージの融合、イメージの上にイメージを重ねる違和感など視覚的な刺激が巧妙に施されたそれらの絵画はペインター全盛期のアートの世界でも特に勢いがあり、輝いて見えた。写真をキャンバスに投影して描かれたようなリアルなイメージが様々な手法と共にひとつの画面で完結している。しかし、完結しているようでいるにもかかわらず、その絵が持つ不安定なイメージの世界ゆえに次の不安定な絵へと見る者を無理矢理に移行させざる得ないような不思議な感覚を抱かせる。もしかしたら描いていたサーレ自身が描いては不安定さを増して次を描かなくてはならない衝動に駆られて次々に作品を生み出して行った経緯が見る側に伝わったのかもしれない。いずれにせよ、サーレの絵は大きななにかの断片のように終わりのないイメージ世界を表現し続けるといった印象があった。その後、彼の絵は勢いを失い、しぼむように力をなくして弱い絵になってしまったが、少なくともピーク時の彼の絵には得体の知れない力が宿っていたと思う。きっと、彼の才能は彼にも意味が分からないようなイメージの不完全な断片を描けた事であり、彼自身がそこに意味を求め始めたとたんに面白みのない絵しか描けなくなってしまったのかもしれない。いずれにせよ、サーレはあの時代のニューヨークが生み出した希有なペインターの1人だと思う。

「SUPER LESLIE KEE 15th Anniversary Photo Exhibition」

IMG_7934IMG_7933IMG_7930IMG_7929IMG_7927IMG_7925IMG_7915IMG_7924

渋谷パルコに新しく出来たギャラリーでレスリー・キーの写真展が開催された。近年の彼のコマーシャルフォトグラファーとしての活躍ぶりは本当に凄いと思う。あんなに沢山の、そして様々な人を撮り続けているフォトグラファーは日本には他にあまりいないと思うし、そのエネルギー、バイタリティーには圧倒される。superシリーズと銘打ってヨウジヤマモトからビートたけし、浜崎あゆみ、松任谷由実まで各界のセレブリティー達を激写しているが、そういうキャスティングを可能にしているのも彼の貴重な才能だと思う。写真の美しさも彼独自の境地に達しているようで、人物を凄く素直なライティングで奇麗に撮影するし、リタッチもうまい。撮られる側も彼に撮られるのは幸せな体験だろうし、楽しいんだろうなと想像する。先日、将来的なアート関連のプロジェクトの打ち合わせでレスリーとランチをしたが、最初から最後までノンストップで喋り続けるレスリーのパワーには圧倒された。こういう調子で仕事もバシバシこなしているんだろうなと思った。今回の展覧会では様々な写真が展示されている他、「Yohji Yamamoto(ヨウジヤマモト)」の2014年春夏コレクションのイメージビジュアルが世界初公開された。また、物販コーナーにはTシャツや写真集なども多数あってレスリーファンや彼の撮影したセレブリティーのファンには嬉しい展覧会になっている。これからもレスリーは様々な人達を撮り続けるだろうし益々の活躍に期待したいフォトグラファーだ。

ポップアートの看板職人、ジェームズ・ロゼンクエスト

IMG_6995 IMG_6997 IMG_6998 IMG_6999

ジェームズ・ロゼンクエストは広告などの巨大な看板を描く職人だったという。
ポップが大衆向けという意味であるなら、ポップアートの世界に登場した数多いアーティストの中でもこれほどポップなバックグラウンドの作家は他にいないのではないだろうか?彼の作品を最初に見た時、その大胆でビビットな色使いと、写実力、画面構成の奇抜さに衝撃を受けた。それは写実的な絵なのだが写真のようではなくあくまで絵として存在していた。それはおそらく看板を描いていた頃に培ったスタイルなのではないだろうか。日本では昔、映画館の入り口などには映画の宣伝看板が必ずあってそれらは写実的なのだけど近くで見ると筆のタッチがありありと分かる絵だったのだが、ロゼンクエストの描き方にはそれに通ずるものがあるような気がする。彼の画面構成もまた独特で、色々な物や人がコラージュのように断片的に描き並べられていたり白黒の写真のようなイメージがあったりする。またはポップな色の食べ物や天体観測のイメージに大きな指が構成されていたり、異なったコマが画面の中で融合されてひとつになって不思議なイメージの世界を作り上げている。晩年には更に複雑に入り組んだイメージの融合を絵にしたような世界も描いていて、その独自の絵画はどんどん重層的にエスカレートして行った感じがするが、彼にしか描けないような複雑なイメージの融合を描きながらそれを楽しんで追求しているような感じさえした。ポップアートと言うとアンディー・ウォーホールが有名だが、ロゼンクエストはポップアートを黙々とまるで看板を描くかのように描き続けたアーティストとして独自の地位を築いた希有な作家だと思う。

ignore your prospective 19

IMG_7881IMG_7884IMG_7886IMG_7887IMG_7889IMG_7890IMG_7891IMG_7892IMG_7888IMG_7895IMG_7893IMG_7894

ignore your prospectiveではいつも斬新なグループ展を企画して来たが今回は初紹介の作家2名を含む4人の作家の作品を展示していた。以前見た作家の作品もあれば初めて見る作品もあり見応えある展示だった。
佐藤克久さんは6月に個展をしたのが記憶に新しいが色と形の構成によるペインティングと立体を今回も展示している。彼の色彩感覚は実に希有であり、今後も新しい表現に期待が膨らむ。石田浩亮さんの作品は初めて見たが道頓堀の川の水面に写る街の色は信じられないほど美しく、まるで抽象画のような瞬間を切り取った写真作品は凄く面白くて刺激的だ。黒澤潔さんは初めての展示という事だが、同じ大きさの木の土台にガラスを挟んで両方の土台の上に同じ大きさと位置で球体を置き、見る者にガラスが鏡に見えるような感覚を持たせるような不思議な作品や、白いオブジェの組み合わせの作品など、シンプルだがちょっとシュールなインスタレーションを制作している。もう1人の初出展作家、清水信幸さんは盛り上がった色の固まりがキャンバスに散りばめられた彫刻のようなペインティングを制作している。作品はそれがギャラリーであれ、ミュージアムであれ、個人宅であれ、空間に置かれる、または、飾られる。今回のグループ展では4人の異なる表現の作家の異なる作品が面白いハーモニーでギャラリー空間を縦横無尽に行き交いながらひとつの空間を作り上げている感じがした。児玉画廊としても「space aesthetics」=「空間エステティック」という趣向で今回の展示を提示したと聞くとなるほど頷ける展覧会だった。こうしたグループ展で日本の若い作家達をどんどん交差させ、突き合わせるのは見る者にはもちろんだが作家達にとっても刺激的な機会となるに違いないと思った。

アダム・シルバーマン「Space」展

IMG_7860IMG_7850IMG_7859IMG_7858IMG_7853IMG_7852IMG_7849IMG_7846
アダム・シルバーマン氏はあのストリートブランドX-LARGEを設立したメンバーのひとりだそうである。その後、彼は事業を手放して2002年より陶芸家として活動を始め2008年にカリフォルニアのHeath Ceramicsのスタジオディレクターに就任したのだそうです。Heath Ceramicsは独特のレトロ感ある陶芸で有名なブランドでカリフォルニアでとても人気が高いブランド。そのディレクターを務めつつ自身の陶芸家活動を精力的に続けているそうだけど、今回の展示ではその独自の陶芸作品の数々を一挙に見る事が出来た。まるで溶岩のような表面のテクスチャーは個性的であり印象的。なんとも言えない色合いや風合いはとても魅力的で陶芸作品の存在感そのものがズバッと目に入ってくる感じだ。展示方法もギャラリー中央の白い大きなテーブルにランダムに飾られていたり、壁にも迫力のある写真や陶芸作品の大物がどっしりと飾られていたりとてもモダンでシンプルだった。見る角度で陶芸作品の様々な表情を見られるので、なんというか「石庭」を眺めるような趣があったが、その辺りが今回の展覧会タイトルである「Space」と関係あるのかもしれない。小山登美夫ギャラリーは陶芸作家の作品に相当力を入れているが、その見せ方も素晴らしい。絵やオブジェとは違って陶芸作品は見るだけでも良いが使って楽しめるというところが面白いと思う。今回のアダム・シルバーマン氏の陶芸の数々も日本の家にもとても合うと思うし、値段もそこまで高くはないので自分だけの花瓶に花を生けるというような贅沢を楽しみたいなら是非お勧めです!

本木雅弘「素朴なアートのパワー、日常がアートな話。」

フォークアートの魅力

本木あ、今メキシコって言って思い出した、メキシコも一緒に行きましたよね。NYから

田辺あ~行った行った、

本木それで、メキシコシティーでフォークアートを沢山買って、骸骨ものとか奇妙でカラフルなものザクザク。

田辺面白かったね~

本木でも、あれも未だに時々街の雑貨屋さんで見かけるけど可愛いですよね!

田辺可愛い可愛い!

本木やっぱフォークアートの魅力って、行く地方地方であるじゃないですか、あれも面白いですよね。

田辺あるある、素朴なパワーがあるんだよ。
たぶんそれは原始的な無垢なパワーだろうね。

本木昔、グランドキャニオンに行った時に、ナバホインディアン?あ、今はインディアンって言っちゃいけないのか。

田辺そうだね、ネイティブアメリカン。

本木そう、その人達が暮らし続けてる立ち入り禁止の居住区っていうのがあって、そのエリアの回りにちょこちょこっとお土産並べて売ってたりするんだけど、そこで出会った、人間が動物のマスク被った木彫りの人形にどうしてもこう、なんか惹かれて買っちゃいました。

田辺でもさ、それはたぶんトウォブリーと通じるところあると思うよ、あのアフリカの呪術の木彫り人形とかネイティブアメリカンだったり、イヌイットとか、なんて言うんだろうね通じるパワーみたいな。

本木あ、たぶんそれは自然発生的なというか、人間の根源的な祈りみたいなものが込められているから同じ人間としてなにか感じる、、。

田辺だから一方で凄くソフィスティケートされた知的なインテレクチァルなレベルの凄い高い人達のアートがあるけど、どちらかっていうと俺なんかは人間が感じるのはそういった素朴なものとか、なにかこう純粋さみたいなもの、なんかそういう事が感じられる事、そういうのをアートに求めるのかもしれない。だから、例えばアンリー・ルソーっていうペインターね、あのジャングルの絵とか。

本木あーあの幻想的な。

田辺そうそう、あの人なんか俺は凄い好きなんだけど、ピカソなんかも彼の絵を集めていたらしい。 彼なんかさ、本当にジャングル一回も行った事ないのに全部想像で描いてて。
なんか、彼の筆さばきっていうか、彼は自分では凄く絵がうまいって言ってるわけ、俺は天才だって。
だけど、凄くへたっくそなんだけど、うまへただね、そこの具合が凄く好きで。

本木は、はあー

田辺そういうのってあるよね、で、たまたま日本にも似たようなのがあったりアフリカの木彫り人形の感覚に似てたりと。 なんかこう、クロスオーバーして?感性が似てる物がそこに発見出来たりする面白さ。
昔の人なんかさ、ヨーロッパだったらヨーロッパのアートしか知らないじゃん、その中で見てる訳じゃん。
今は世界中の物を俺らは見てて、ここのこれとあそこのこれがなんとなく同じところに引っかかるとか感じられるってのは面白い事かもしれない。

本木確かにそうですよね~

現場主義

田辺それは幸せか幸せじゃないかは別として。

本木でも、やっぱりその、今、旅が凄く楽になっちゃったのと同じように、まあ、仕事もそうだけども、最終的には現場主義でいたいみたいなところがあるじゃないですか。何事も、ある先入観とか、戦略があって、自分なりの物を抱えていくけれど、やっぱり現場に立った時にそれが使える物かどうかとか、そこで改めて感じられるものっていうの?だからやっぱりアートも写真もネットなんかで見ていた平面上の物じゃなくて実際に見た時にどれほどのエネルギーなり刺激を感じるか、交感できるかっていうのがやっぱりあって、そこを楽しみたいですよね、旅の風景もそうだし。

田辺本物だよね、やっぱり。
俺はトゥオンブリーの絵とか感動したし、もちろん好きな作家だから。
ピカソなんかもアヴィニオンの娘たちとか最初に見た時に凄く感動したし、ゲルニカも感動したし、でも一番感動したのはルーベンスの絵なんだよ。

本木はぁ、ルーベンス!

田辺フランダースの犬でさ、最後死ぬじゃん絵の前で、あの時にバックにさキリストが十字架から下げられる場面の絵があるのね、それって宗教画では凄く人気のシーンでいろんな人が描いてるんだけど、ルーベンスのそれっていうのが凄い。
確かベルギーのなんだっけ?

本木ブリュッセルじゃなくて?

田辺違う違う。

本木アントワープ?

田辺そう!アントワープ!
アントワープ美術館にあるのかな、で、それがニューヨークに貸し出されて来てたの。
それだけの名作だから凄い人気で、すっごい大きいんだけどさ、その絵はね、後光が射してた!本当に。

本木へえ~、でもなんだか分かる。

田辺もうなんかね、あれはなんなんだろう、たぶんその絵の前で何百年もの間いろんな人が祈りを捧げてたからか分かんないけど。 なんか、滲み出てくるようなものがあるわけ。
宗教画って沢山見てるけどあの絵は凄かったな。
だからそういう体験って本物のアートに触れるとあるよね、あと仏像とかもそうじゃん。
そういうのって貴重な体験だから、今の若い人はネットだ何だで先に見ちゃうから知った気になっちゃうけど、その、現場?が大切な気がする。

本木あ~いいな~ 最近、そういう決して朽ちないであろうものに出会えてない気がする。

田辺もし行くならアントワープにあると思うよ。
それは本当にお勧め、なんというか、思わず拝みたくなっちゃう感じ。

本木う~ん、そのうち出会いにいきます。

自分の生活全てがアート

田辺話は戻っちゃうんだけど、さっきロンドンにはいろんなところにアートが飾ってあるみたいな話だったけど、あと外国とかだと絵を飾るじゃない。
自分が好きな物、例えば子供の絵でもいいし有名な作家の絵でもいいし、何でも良いんだけど、日々なにか感じるために自分の生活のために飾るっていうのも大事ですよね?

本木そうですよね、やっぱり、平面な壁にたとえばハエ一匹いただけで意味が出てくる?(笑)えっと、それだけでも奥行きが出てくる?(笑)というように。でも、現実的には今の家は借り物なので壁掛けは無理、で、子供が描いたただの絵を立てかけてます、ようするにこれパパの顔?的な、歪んだ丸と小石がくっついただけの顔に枝のような手、とか、あれこれ。
でも、やっぱり、これは右利きの自分が左手であえて描いてもこの味は出せないみたいな魅力はある。

田辺通じる所ある感じ?

本木そうそう。しかも幼児は日々、進歩する、、
そういうものを感じたりするから、ま、今の生活ではそれで十分。

田辺あーそれはいいことだ。

本木かつ、また、やっぱり日常で起きてる出来事が、本当になんというか、単純ですけど、、思春期入り口の娘の手前に、素っ裸の3歳児がいて、時々185センチを越えたバスケ少年(長男)がウロウロ、、それだけで、なんか分かんないけど生活そのものがシュール。 例えば、娘が家でリラックスして、大股開き的にソファに座っているのをテーブル越しに見て=バルテュスみたいなね。(笑)
そういうのが日常のシーンの中にあるし、葉っぱだけだった枇杷がむくむくと育って実をつけていく様を窓からのフレームで見ていれば、あ、もうこの風景だけで静物画いらないよとかね。

田辺たぶんさ、昔アートを色々とどん欲に見た時ってそれが必要だったんだよ、でも今はさ子供とか生活とか、でも、同じだと思う。
日常のことが自分がアートに求めていたのと同じようなことをそこから得ている、だからそれは自分を豊かにしてくれる物だってことだから。

本木たぶんきっと、これは、物を作りたいって人間じゃなくても、ごく当たり前に生活を送っている誰しもが、ある瞬間、ちょっと寄り道したいとか、ここから逸脱したいとか、深く別の世界に行きたいとか、そういう感性の欲望らしきもの?が潜在的にあると思う。
だからきっと永遠にアートは消えないと思うし、アートの力によって群衆や世界が動くってことがあると思う。ちょっと大げさだけど。

田辺そうだよね、個人を動かせる訳だからね。

本木なんかその辺は信じたいし、信じたいって言ってる自分が好き?(笑)
それこそ、全てがコンセプチャル?毎日がアートです、みたいな。
だからウォーホールがただパシャパシャパシャって日々のスナップを撮っていたのも、今でこそ、それが十分過ぎる表現になってる。

田辺ウォーホールは究極のコンセプチャルアーティストであり、センスのいい人?だからそれを色々な形で残した人だよね。
だから、まあ、自分の生活の回り全てがアートですかね、そういう眼で見れば。

本木ホントにそうですね、いや~この先また自分が、どの方向に行くか、ちょっと今は離れているけども、また何らかの形でアートにぐぐっと接触する機会が増えれば、また違う好みも発見出来るかもしれないというのは楽しみです。

田辺なるほど!
今日は長々とありがとうございました、楽しい話が沢山聞けました。

本木いえいえ、こちらこそ、久しぶりに新鮮でした。

本木雅弘さんインタビューは全3回です。

本木雅弘(第1回)「ロンドンでの家族との暮らしコクトーの話。」

本木雅弘(第2回)「ニューヨークの思い出やコンセプチャルアートの話。」

本木雅弘(第3回)「素朴なアートのパワー、日常がアートな話。」

SAYO NAGASE exhibition PINK LEMONADE

IMG_7582IMG_7580

IMG_7581IMG_7577IMG_7575IMG_7576

写真家の永瀬沙世さんの写真集の発表会を兼ねた展覧会を見に恵比寿のスペースALへ。このスペースはクリエーティングエージェンシーのKIKIの事務所の1階にあり、ここでの様々なイベントなどはKIKIが仕掛けている。展示会に貸し出す事もあるし、展覧会をする事もある。今回はKIKIに所属する写真家の永瀬沙世さんの展覧会。今回の写真集「PINK LEMONADE」は過去にも写真集を出しているスウェーデンの出版社LIBRARYMANより出版された。最近多くなってきた女流写真家だが、女性の写真は男性の写真よりもどこか感傷的で繊細なものが多い気がする。永瀬沙世さんの写真もどこか感傷的で繊細である。そして、作品を通して一貫しているのは、まるで夢の一コマのような不思議な空気感だ。一見するとロマンチックで夢見るような雰囲気だが、よく見れば被写